キャラ紹介

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GM
さて……ざっくりとキャラ紹介から入りましょうか。
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GM
3人は、ラタスを加えて4人のPTです。
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こよみ
はい!
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GM
それなりの時間を一緒に旅してきました。
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こよみ
それなり……
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リリオ
それなりに一緒にいたねぇ
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GM
それぞれどういう立ち位置だったり、流れで加入したかみたいなのも含めて、ざっくり紹介していただければ嬉しいです。
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リリオ
じゃあ加入順にしようか?
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こよみ
それがいいんじゃないかなって……
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ユキ
いいんじゃない
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GM
いいですね。それでお願いいたします。
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リリオ
僕がこの世界に来たばかりのとき、たまたまラタスに会ったんだ。
故郷で見覚えのある……格好をしていたから、同郷だってすぐに分かったよ。
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リリオ
その時に協力して他の救世主を倒して、それ以来の付き合いかな。
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リリオ
結構男友達みたいな感じで付き合えていると思うよ。
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リリオ
こんなところかな?
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リリオ
次は……ユキ?
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GM
お願いいたします!
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ユキ
ん!
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こよみ
ユキちゃんだ~
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リリオ
がんばれ~
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ユキ
勇気と希望のユキよ。
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ユキ
て言っても、この世界じゃ全然伝わらないんだけど……。
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ユキ
元々は日本の中学生だったんだけど……
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ユキ
なんか……こんな変な所に来ちゃって……
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ユキ
何にも分かんないまま亡者に襲われてたところをラタスとリリオが拾ってくれたわ。
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ユキ
……リリオのこと男の子だと思ってたのよ。
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ユキ
こよみが来るまで教えてくれなかったの!
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ユキ
ひどくない!?
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ユキ
ばーかばーか!
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リリオ
ごめんね♥
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ユキ
ラタスもいなくなるしばか!
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ユキ
あっばか!
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こよみ
リリオちゃんはかっこいいよ~
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ユキ
そう……かっこいいから……騙されたわ……
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ユキ
……そんな感じよ!
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ユキ
最後はこよみ!
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こよみ
わっ
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リリオ
がんばれ~
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ユキ
しゃきっとしなさい!
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こよみ
ぴぅ……
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こよみ
えっとぉ、
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こよみ
543ってね、ずっとそうだったんだけど、
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こよみ
でもこれだとね、長くて、長いでしょう?
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こよみ
長いから、だからね、ユキちゃんがね、こよみってね、
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ユキ
めちゃめちゃ呼びづらかったわ
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こよみ
その方が呼びやすいからねって……
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こよみ
うん
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こよみ
でもこよみうれしかったからね、こよみはこよみなのね
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リリオ
呼びやすくなったねぇ
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ラタス
名前つけてくれて助かったよな~
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こよみ
うん……
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ユキ
呼びやすいしかわいいでしょう!
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ユキ
ふふ~ん
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こよみ
うれしい~
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こよみ
うれしかったの!
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こよみ
さいしょはね、こよみは他の救世主さんたちといたんだけどね……
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こよみ
いろいろあってね、その救世主さんたちがリリオちゃんたちともめてね
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こよみ
こよみそのひとたちこわかったから……
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リリオ
揉めたねぇ。酷い奴らだった。
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こよみ
うん……
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こよみ
あのひとたちこわかったけど、リリオちゃんたちこわくないよ
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ラタス
ユキが刹那チョップで粉々にしたんだよな~
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こよみ
末裔のひとたちにこよみをいじめさせたりしないし……
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ユキ
チョップはしてない!
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こよみ
つよかったよぅ~
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リリオ
怖くなくてよかった!
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ユキ
こよみは怖くないのハードルが低すぎよ
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リリオ
ユキは強いからな~
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こよみ
つよいつよい!
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こよみ
だからね、こよみね、がんばろうってね
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こよみ
手はないけどね、たまに痛いけど
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こよみ
でもユキちゃんもリリオちゃんもいっぱい手伝ってくれてね
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こよみ
だから失敗しないようにがんばってね、がんばって、それでね
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ラタス
おれが手伝おうとすると怒られるんだよな
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こよみ
あうぅ
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こよみ
らっ
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リリオ
そりゃあラタスは男だし
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こよみ
ラタスは、あの
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こよみ
えっと、こわく……えっと
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こよみ
えっとぅ
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こよみ
うぅ~…………
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リリオ
がんばれがんばれ!
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ユキ
言いたいことあるなら言いなさいよ
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こよみ
みぃ……
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こよみ
え、と
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こよみ
ラタスおとこのひと、おとこのひとだけど
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こよみ
こよみはね、ラタス、ラタスのことね、ラタスはね……
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こよみ
ラタスは…………
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こよみ
………………
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こよみ
ちょ
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こよみ
ちょっとは、
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こよみ
こわくは……
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こよみ
な、ないからね
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こよみ
だからね
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こよみ
ラタスとずっといっしょにいたくてね
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こよみ
いたいよ……
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こよみ
いっしょだよね?
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リリオ
おー、言えた!えらい!
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ラタス
おれは顔がハンサム顔だからな~
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こよみ
みゃうぅ……
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ユキ
ムカつく顔!
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リリオ
僕も皆大好きだし、ずっとこの4人でいたいな。
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こよみ
うん、うん!
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ユキ
……まあ、そうね
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ユキ
結構うまくやってきたわよね、あたしたち
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こよみ
こよみね、みんなといてこよみでね、こよみになったからね
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こよみ
みんなといっしょでうれしいし
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こよみ
いっしょにいられるためならね、こよみなんでも下手だけどがんばるからね……
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こよみ
がんばるよぅ~~
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こよみ
こよみ、がんばります!
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リリオ
うんうん
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リリオ
皆で協力して頑張っていこう!
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ラタス
そうだな~
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こよみ
ん!
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ユキ
えぇ!
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GM
はい。みなさんありがとうございました。
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GM
それではシナリオに参りましょう。
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GM
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GM
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GM
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GM
Dead or AliCe
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GM
『青い窓を見上げて』

導入

0日目

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GM
黒い煙が立ちこめる。
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GM
「死んでっ! 死んでよ!!」
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GM
絶叫。救世主の少女は血に濡れた大きな斧を振りかぶる。
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GM
その斧はこよみに狙いを定めていた。
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こよみ
「ぴ……っ」
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こよみ
「し、あ、あぅ」
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こよみ
「う、ううっ」
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リリオ
「こよみ、危ない!」
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こよみ
「し、しねない、っ」
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GM
「うぐっ」
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GM
少女の動きが止まる。
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こよみ
「……!?」
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ラタス
「悪いが、他を当たってくれ」
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こよみ
「あ」
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ラタス
ラタスは亡霊のように煙から姿を現す。
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こよみ
「ら、……っ」
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リリオ
「ラタス!」
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ラタス
うずくまった少女の背には、黒く塗り込まれたナイフが突き立てられている。
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ユキ
「こよみ、大丈夫だった!?」
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GM
「く、そっ……!」
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こよみ
「え、あ」
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こよみ
「う」
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こよみ
「うん、うんっ」
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こよみ
「こよみ」
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こよみ
「こよみだいじょうぶだよ、こよみ、こよみはね」
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こよみ
「ラタスがね、助けてくれてね、だから」
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ラタス
「今だ、ユキ」
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こよみ
「あっあっ」
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ユキ
「オッケー!」
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ユキ
巨大なハサミを振りかぶる。
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こよみ
「がっ」
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こよみ
「がんばって!」
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ユキ
うずくまった少女に、それを
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リリオ
「やっちゃえ、ユキ!」
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ユキ
突き刺した。
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GM
少女の救世主は貫かれる。
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GM
身体を貫かれ、夥しい血が溢れ、しかし、
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GM
「こんな、ところで……」
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GM
まだ倒れない。
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ユキ
返り血にユキの身体が濡れる。
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ユキ
「しつっこいのよ!」
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こよみ
顔を半分ほど袖で覆ってそれを見ている。
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リリオ
「意外と粘るね」
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ユキ
ハサミを引き抜いて、再び振り上げる。
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ユキ
「……楽にしてあげるから、もう諦めなさい!」
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GM
斧を破れかぶれに振り回し、抵抗する。
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ユキ
「……っ、」
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ユキ
咄嗟にハサミで斧を防いで、
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ラタス
「リリオ!」
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ユキ
「ああ、もう!」
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リリオ
「おまかせあれ!」
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リリオ
「援護するよ、ユキ!」
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こよみ
「ゆきちゃっ……」
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ユキ
「よろしく!」
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こよみ
こよみに攻撃を援護する力はない。ただ無力に祈るばかり。
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リリオ
先端にフックの付いたワイヤーを射出する。
救世主の少女に刺さり、動きを縛る。
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GM
「うっ、あっ」
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ユキ
鍔迫合っていた斧が止まり、ユキのハサミが自由になる。
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ユキ
「あんがと!」
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ユキ
ハサミを一度引いて、勢いをつけて
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ユキ
「……っ!」
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GM
もがく。荒野の砂を掻くように脚をよじらせる。
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リリオ
リリオが背負う機械から射出されたワイヤーは、少女を逃さない。
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ユキ
もがく少女の首に、それを突き立てた。
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GM
「がっ、あ――!」
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こよみ
「…………!」
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GM
少女は昏倒する。
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こよみ
悲鳴に目を瞑って立ち尽くしていたが。
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こよみ
はたと目を見開いて、ぴょんと跳ねる。
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GM
黒い煙――ラタスの撒いた煙幕が風に流されて消えていく。
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ユキ
「…………はぁ」
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リリオ
少女の方に歩み寄り、生死を確認する。
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ユキ
詰めていた息を吐く。
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こよみ
「あっ、あ、あぅ、あうあうあぅ」
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GM
取り囲む人々の喧噪が蘇る。
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GM
少女はまだ……生きている。
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こよみ
「ゆ、ユキちゃんユキちゃん、ユキちゃ」
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こよみ
「リリオちゃん」
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GM
ここは村の広場だ。
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こよみ
「……ら」
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ユキ
ごしごしと袖で乱暴に顔を拭って、
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こよみ
「ラタ、ス……」
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こよみ
「あっ」
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こよみ
「け」
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こよみ
「怪我、怪我ない、怪我?」
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ユキ
「……あたしはだいじょぶ」
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こよみ
「こよみ、こよみなめるよ」
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ラタス
「ん、ああ、おれは大丈夫だ」
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こよみ
「けがあるなら、こよみ……」
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こよみ
村の広場
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ラタス
ラタスは倒れた少女を見下ろしている。
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リリオ
「僕はちょっとすりむいたかも。治してくれる?」
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こよみ
その中央にいることも忘れて仲間の三人を気遣っている。
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こよみ
「ん!」
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こよみ
リリオに、大きく頷いて大きな図体でどたどたと駆け寄る。
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GM
悪さをする救世主を倒すよう依頼されたあなたがたは、見事彼女を打ちのめした。
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こよみ
「リリオちゃん、傷、傷見せて、傷」
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ユキ
ラタスを見て、ラタスの視線の先の少女を見る。
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リリオ
袖を捲って、怪我を見せる。
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こよみ
顔を突き出した。
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GM
血で濡れた身体に乾いた砂がまとわりついて、黒く汚れている。
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こよみ
汚れも気にせず、嬉しそうにリリオのその傷を舐める。
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GM
まだ息をしていて、胸が上下している。
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リリオ
「ふっ、はは、くすぐったいよこよみ」
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こよみ
一度、二度、赤い舌が傷を舐めるたび、
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こよみ
その擦り傷は癒えて塞がっていく。
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こよみ
「ん」
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こよみ
「ご、ごめんね、あのね」
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こよみ
「こよみ、いのるのうまくできないからね」
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こよみ
「こっちのほうがね、確実でね……」
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ユキ
「……ラタス、こいつ」
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リリオ
「大丈夫。分かってるよ」
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ラタス
「ああ」
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リリオ
「治してくれてありがとう、こよみ」
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こよみ
「ん、うんっ」
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こよみ
「よかっ」
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ラタス
しゃがみ込み、少女の胸にナイフを突き立てた。
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こよみ
「た、…………」
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こよみ
びく、と
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リリオ
少女のほうに、ちらと一度だけ視線を向けた。
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ラタス
「よし、裁判閉廷」
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こよみ
ラタスの行動に、失われる命に
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こよみ
半ばで肩が強張った。
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ユキ
「……ん」
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リリオ
「……さて!これにて一件落着!」
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ユキ
「そっちももう大丈夫?」
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ユキ
リリオとこよみを見る。
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リリオ
「こよみのお陰で大丈夫。元気百倍だよ」
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こよみ
「う、うんっ」
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こよみ
「こよみもね、こよみもだいじょうぶだよ、こよみね」
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こよみ
「こよみ頑丈だから、なんともなかったから」
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こよみ
「ラタス助けてくれたし、みんなつよかったから」
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ラタス
「よかったよかった」
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こよみ
「だからだいじょうぶだよ、こよみ、こよみはだいじょうぶなの」
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ユキ
「分かった分かった」
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リリオ
「うんうん、こよみは大丈夫だねぇ」
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こよみ
「うん!」
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ラタス
こよみの頭をぽんぽんと叩く。
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こよみ
「ぴゃう」
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こよみ
人を殺したばかりのラタスのその手で触れられ、
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こよみ
先程は竦んでいたが、今度は別の意味で固まる。
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ユキ
「あっこら!」
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ユキ
「セクハラ!!」
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ラタス
「よっしゃ飯だ!! ごちそうしてくれよ!!」
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こよみ
「ひゃううぅ……」
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リリオ
「飯だ飯だ!」
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こよみ
耳がしおしおになっている。
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ラタス
そんなこよみのリアクションに省みず、村人に呼びかける。
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GM
飯と宿、そういう約束だ。
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ラタス
小さな祝宴の準備が成される間、救世主の荷物を漁る。
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こよみ
「ら」
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こよみ
「ラタス」
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こよみ
「なにか、なにかあった?」
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こよみ
「なにか……」
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ラタス
「まずはコインだな~」
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こよみ
「みつかる? ある? そこにもってる?」
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ラタス
「あったあった」
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こよみ
「こよみ手伝えなくてね、手伝えなくてごめんね」
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ユキ
「……」
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こよみ
「自分で探せなくてね、探せないから、こよみね」
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こよみ
「いつもわけてもらってるから……」
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ラタス
全員に渡す。こよみにはポケットに直接ねじこむ。
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ユキ
死者の荷物を漁る行為に、はじめは随分反発したものだった。
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こよみ
「ぴぃう…………」
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ユキ
「……あんがと」
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ラタス
「あとは日記と……これは地図だな」
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こよみ
ねじ込まれる瞬間も固まっていました。
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ラタス
「ふーん……」
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ユキ
ラタスを見上げて受け取った。
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リリオ
ラタスとは別に救世主の荷物を漁る。
小さな化粧ポーチを見つけて黙っている。
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ラタス
「……それくらいか」
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こよみ
「みょ」
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ユキ
ユキの正義感には沿わない行為。
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こよみ
「リリオちゃん、リリオちゃんもなにかあった?」
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リリオ
「……ありがと」
差し出されたコインはありがたく受け取った。
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こよみ
自分が何も出来ないぶんやたらに目ざといところがある。
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こよみ
すぐ気にする。気にかける。興味を示す。
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こよみ
首を突っ込む。
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ユキ
だけどこの世界ではこれが普通で、生きていくためには正しいこと。
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リリオ
「ん……、身だしなみの品とかそのくらいかな」
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こよみ
そういう女。
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こよみ
「みだしなみ」
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こよみ
「めずらしい、めずらしいね?」
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リリオ
「そうだね、元の世界から持ってきたものかも」
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ユキ
随分時間がかかったけど、今ではそういうものとして飲み込んでいる。
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こよみ
「大切にしてたのかな……」
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リリオ
「かもね」
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リリオ
興味なさそうに言って、ポーチを落とす。
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こよみ
そのように思いを馳せたりする割に、あまり罪悪感に思い悩んでいる様子はない。
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こよみ
落とされたポーチを拾う手もない。それを見ている。
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ラタス
「もらっておけよ」
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ユキ
「……いらないでしょ」
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ユキ
「誰か使う?」
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リリオ
「こよみやユキには、色が似合わないかもね」
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こよみ
「こよみ、こよみつかえないから……」
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ラタス
「好事家が買い取ってくれるかもしんねーし」
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こよみ
「こうずか」
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リリオ
「……それもそうか」
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こよみ
「好事家は、うーん、いる、いるかも?」
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こよみ
「変なもの好きな人、いっぱいいるもんね」
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ユキ
「……荷物が増えるわよ」
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ユキ
「いいじゃん、置いてったら……」
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こよみ
おろおろ……
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こよみ
持っていった方が売れたり使えるのかも……とは思うものの、
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ラタス
「まあ、飯だな飯」
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リリオ
ポーチの中身の化粧品は、趣味が統一されていなかった。おそらくは全て、贈り物。
そして、その全てを大切に使っていたようだ。
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こよみ
自分では持ち運べないため反論しづらくなっています。
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リリオ
だからどうという訳ではない。
この少女は死んだし、日銭は必要だ。
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こよみ
「どうっ」
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こよみ
「どうする?」
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こよみ
「リリオちゃん、どうする?」
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こよみ
「どうしよう……」
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リリオ
「まぁ、一応僕が持っていくよ」
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GM
30日ルール。それがある以上、救世主は殺し合わなければならない。
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リリオ
「買ってくれそうな人がいたら見てもらおう」
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ユキ
「……あっそ」
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こよみ
「ん」
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ユキ
ぷいとそっぽを向いた。
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こよみ
「リリオちゃんがそうするなら、それがきっとね、合ってるよ」
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ユキ
お金は必要なのだ。分かっている。
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こよみ
「リリオちゃんとラタスはね、いっぱい、いっぱいあたまいいから」
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こよみ
「いいからね」
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ユキ
飲み込んでいる。すり合わせは終わっている。
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こよみ
「きっとね、ふたりが決めたらそれが正しいの」
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こよみ
「ね」
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GM
いかに想い想われていようとも、殺し合いのもとで死に切断される。それが堕落の国の摂理。生きていくためには金がいる。それが人間の条理。
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リリオ
買ってくれそうな人が、この街にいなければ。
荷物になるから置いていってもいい。
そう思うが、口には出さない。
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ユキ
だけど捨てきれない感傷がある。
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こよみ
ユキの心情も知らずにユキに同意を求めます。
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ユキ
「……正しい、ね」
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ユキ
多分そう。
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ユキ
この世界では、二人が正しい。
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こよみ
「ん!」
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ユキ
その正しさに救われてきて、今も生きている。
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こよみ
一人同意を得られて満足げ。
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リリオ
「大丈夫、悪いようにはしないよ」
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ラタス
「ん、よろしく」
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ユキ
「……うん」
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リリオ
悪いようにはしない。本当に高値で買う物好きがいれば売るし、いなければ死者と共に葬る。
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リリオ
この街には、そこまで資産を持った物好きはいなかったように記憶している。多分、大丈夫。
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ラタス
「あんまり思い詰めんなよー適当がいいんだ適当が」
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こよみ
「てきとう」
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こよみ
「ラタス、てきとう?」
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リリオ
「そうそう。適当でも僕がなんとかするから~」
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ラタス
「適当適当」
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ユキ
「……ラタスは適当すぎぃ」
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こよみ
「ラタス、てきとう……」
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リリオ
「ラタスは適当すぎるところはあるな」
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こよみ
「すぎ?」
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こよみ
「みゅう……」
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こよみ
かげんがむずかしい……みたいな顔をしています。
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ラタス
「それくらいがちょうどいいんだよ」
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リリオ
「ま。皆違って皆いいってことだよ」
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ラタス
村人が集まっている方に歩いていく。
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リリオ
こよみの背中をぽんぽん。
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こよみ
叩かれました。
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ユキ
むぅ……
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こよみ
ん、と頷いて背を伸ばします。
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こよみ
「こよみ、違うけど」
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こよみ
「違うけどみんな、やさしくしてくれるもんね」
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こよみ
「手、ないし、ないけど」
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こよみ
「でもみんなやさしいし……」
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こよみ
「リリオちゃんも、ユキちゃんも」
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こよみ
「ラタスも」
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こよみ
「みんな違うけど」
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こよみ
「こよみ、こよみはね」
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こよみ
「みんな好きだよ」
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こよみ
「大好きなの」
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リリオ
「うん。僕も皆好きだよ」
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ユキ
「な、なによ急に」
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ユキ
「なに!?」
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こよみ
「え、えっと」
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こよみ
「えっと」
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こよみ
「こよみ、こよみがみんな」
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こよみ
「みんな好きだって話を……」
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ユキ
「それは分かるけど!」
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こよみ
「だめだった……?」
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ユキ
「だ……っ」
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ユキ
「めじゃない、けど」
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リリオ
「ユキだって皆のこと好きだよね?」
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ユキ
「はぁ!?」
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こよみ
「あうあ……」
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ラタス
「おれは~みんなのことが好きだぜ」
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こよみ
「ぴゃあっ」
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リリオ
「ラタスも好きだって、ユキは?」
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ユキ
「あっ、あた、」
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こよみ
袖で顔を隠してしまった。
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ラタス
「好きって言ってくれないのか~?」
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リリオ
「かなしいな~」
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ユキ
「う………………」
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こよみ
隠しつつ、ちらちらとユキの顔を見ている。
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こよみ
ちら……ちら……
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ユキ
「う~~」
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こよみ
期待……
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こよみ
だめ?
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ユキ
「す、好きだけど!?」
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リリオ
「なぁラタス、もしかしてユキって僕達のこと好きじゃないのかな?ショックだな~」
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こよみ
「!」
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リリオ
「お、やった~!」
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ユキ
「好きだって! もう!」
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ラタス
「やったな~」
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こよみ
「ん!」
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ユキ
「いっつも助けてもらってるし!」
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こよみ
「やった~~」
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こよみ
「うれしい!」
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こよみ
「こよみ、こよみうれしいよ」
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こよみ
「みんながみんな好きでね、こよみね、こよみはうれしいの」
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ユキ
「う~~~……」
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リリオ
「うんうん、僕も同じだよ」
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リリオ
「全員で相思相愛だね~」
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こよみ
「そうしそうあい!」
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こよみ
しきりに頷いています。
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ラタス
「らたすもうれしいよ~」
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リリオ
「りりおもうれしいよ~」
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ラタス
こよみの真似です。
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こよみ
「えへへへへ」
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こよみ
真似されても嫌がらずに笑っています。
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ユキ
「ゆ、ユキも……」
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ユキ
「……」
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ラタス
「よっし、飯だ」
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ラタス
「いくぞ」
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リリオ
「おう!」
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こよみ
「ん!」
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ユキ
「え、あ」
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ユキ
「…………」
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こよみ
「ユキちゃん?」
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こよみ
「どうかした、どうかしたの、ユキちゃん」
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ユキ
口をパクパクさせている。
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こよみ
「なにかした? あった?」
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ユキ
「…………なんでもない!!」
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こよみ
「ぴょ」
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リリオ
「ん?なになに」
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ユキ
「なんもない!」
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リリオ
目ざといこよみの様子に、こちらも気が付く。
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こよみ
「???」
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こよみ
「なんもない、なんもないって」
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こよみ
「リリオちゃん、ユキちゃんなんもないって」
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ユキ
「そうよ!!」
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ユキ
なんもないから!と言い捨ててラタスを小走りに追いかける。
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リリオ
「なんもないのか~。じゃあ、何か言いたいけど言うのが恥ずかしいとかかな?」
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こよみ
「あっあっ」
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ユキ
「うるさい!」
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リリオ
「ははは」
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こよみ
慌てて追いかけます。
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ユキ
八つ当たりのようにラタスの背中に小さくパンチした。
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リリオ
小走りな二人の背中を見ながら、ゆっくり追いかけた。
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こよみ
動作そのものはどんくさいんだけど、一歩一歩が大きいのでそう遅れずには済む。
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ラタス
「うぐっ」
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ユキ
ようにではなく八つ当たりなのだった。
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リリオ
「おいお~い!ラタス死ぬぞ~」
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こよみ
「リリオちゃんリリオちゃん、ユキちゃん、ユキちゃんおこってる?」
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ユキ
「ばーかばーか」
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こよみ
「おこっちゃった?」
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こよみ
「こよみなんかしちゃった……?」
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ユキ
「ラタスのばか~」
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ラタス
「あ~??」
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ラタス
「バカはそっちだろ、ばーかばーか」
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ユキ
小パンを繰り返している。
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リリオ
「怒ってないない。あれは好き好きパンチだから」
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ユキ
「あたしバカじゃないもん!!」
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こよみ
「すきすきパンチ」
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ラタス
小走りでそれから逃れながら村人の方へ行く。
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こよみ
「…………」
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こよみ
ユキとラタスの方を見ます。
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こよみ
「……いいなぁ……」
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ユキ
むすー……
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リリオ
「はは、こよみもやってみれば?」
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こよみ
「こよみ、こよみでもこれだから」
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こよみ
ぷらぷら……
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こよみ
「パンチうまくできない……」
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リリオ
「むしろそっちの方が、痛くなくていいかもしれない」
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こよみ
「いたくない、いたくない?」
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リリオ
「そっと撫でるようにやるんだ」
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こよみ
「いたくないほうが、いい?」
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こよみ
「なでる……」
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こよみ
「なでるように」
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こよみ
「なでる」
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こよみ
「……ん、うん」
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こよみ
こくこく……
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リリオ
「こよみも痛くないように、ラタスがくすぐったいように、ね」
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こよみ
「こんど、えっと、うん、こんど、こんどね」
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こよみ
「こよみ今度、ためしてみる」
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こよみ
「がんばる……」
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リリオ
「はは、そうだね。人がいないところがいいかも」
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こよみ
「ぴゃう……」
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こよみ
「ひとがいないところ……」
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こよみ
ってことはラタスとふたりきり……
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こよみ
みたいになってもぎゅ……になっています。
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こよみ
ぐるぐる
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ユキ
「……リリオ、こよみー!」
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ユキ
「置いてくわよ!」
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リリオ
「はーい」
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リリオ
「まってぇ~」
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こよみ
「ひゃ」
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こよみ
「あっ」
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こよみ
「お、おいてかないで!」
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ユキ
「あー、はいはい」
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リリオ
そう言いつつも、あまり焦った様子もなく、やる気のない小走りで向かう。
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GM
そんなこんなで、無事救世主を倒しました。
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ユキ
「行かないから歩いた歩いた!」
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こよみ
「あるくう~~~~」
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GM
村人はあなたがたに感謝し、宴を開きます。
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GM
ひさしぶりにお腹いっぱい食べれるし、ふかふかのベッドにもありつけることでしょう。
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GM
ささやかながらも心のこもった料理、それからお酒。
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GM
しかし、いつもはお酒を浴びるようにして飲むラタスでしたが、その日は一杯しか口にしませんでした。
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GM
avatar
GM
翌日。
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GM
宿屋です。
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GM
戦いと宴のあとであなたがたはぐっすりと眠りました。
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GM
日差しはいつも通りの曇りですが、わりとマシなほうでしょうか。
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リリオ
カーテンを開ける。
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こよみ
「みゅう……」
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リリオ
「やぁ、今日はやや晴れ。まぁまぁ気持ちのいい日になりそうだ」
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こよみ
布団を被って眠っています。
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ユキ
「んん~……」
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GM
ベッドがいくつも並んでる大部屋を、救世主が貸し切りにしてもらいました。
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ユキ
「……おはょー」
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ユキ
「リリオはいつも早いわね……」
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こよみ
お布団があるといっぱい寝ちゃいがちです。
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リリオ
「おはようユキ。今日もかわいいね」
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ユキ
「んえ」
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リリオ
「ほらほらこよみ、朝だよ。起きて~」
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こよみ
「んみぃ……」
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GM
普段ならいつも一番最後まで寝ているラタスですが、ベッドは既に空になっています。
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リリオ
ゆさゆさ
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こよみ
ゆさぶられ……
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こよみ
もごもごと顔を出してきます。
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ユキ
固まったままリリオがこよみを起こすのを眺めていましたが、
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リリオ
「ラタスはもう朝食かな?珍しいこともあるもんだ」
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ユキ
「ん、あ」
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ユキ
「ほんとだ」
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こよみ
「うゆ……?」
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ユキ
ラタスのいたベッドに目を向ける。
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こよみ
ラタスの名前に目が開きました。
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ユキ
「昨日あんまお酒も飲んでなかったし」
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リリオ
「……」
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ユキ
「健康志向に目覚めたのかしら」
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こよみ
目が開いたけどやっぱねむい……
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ユキ
自分で言っておいて首を捻った。
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リリオ
なんとはなしに、ラタスが使っていたベッドに触れる。まだ暖かいだろうか?
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こよみ
「けんこうしこうのらたす……」
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ユキ
「ないわね……」
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GM
ベッドはもう冷たいですね。
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GM
荷物もない。
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こよみ
あんまり想像のつかないねぼけなまこ。
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リリオ
「……結構な早起きを、したみたいだな……」
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GM
枕元に手紙が置かれている。
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こよみ
「……?」
avatar
ユキ
「……リリオ?」
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リリオ
手紙を手に取る。
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こよみ
リリオの様子を見ています。
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ユキ
「なにそれ」
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ユキ
「手紙?」
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こよみ
「なに、なにかあった?」
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こよみ
「てがみ?」
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リリオ
「枕元にあった。ラタスの字だ」
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ユキ
リリオが取った手紙を見る。
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こよみ
「リリオちゃんよんで、よんで、よめる?」
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こよみ
こよみは文字が読めません。
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リリオ
「……ラタスの荷物もない」
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ユキ
「……なに、それ」
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こよみ
「?」
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ユキ
「どういうことよ」
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こよみ
「てがみ……」
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リリオ
「……読んでみよう」
『バカやろうどもへ。
今まで楽しかった。用事ができたからこれでさよならだ。
精々元気でやってくれ。それじゃ ―― ラタス』
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リリオ
「……だって」
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こよみ
「…………」
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ユキ
「…………はぁ?」
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こよみ
大きく目を見開いてベッドで固まっています。
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ユキ
「え、あ、え?」
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こよみ
「よう」
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こよみ
「よう、じ?」
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ユキ
「何?」
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GM
急いで書かれたのか乱れた字で、乾く前に折りたたまれて滲んでいます。
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ユキ
「……ドッキリ?」
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こよみ
「ようじ、って」
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ユキ
「またラタスの悪ふざけ?」
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こよみ
「…………???」
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こよみ
「ラタス」
avatar
リリオ
「……時間がない中、急いで書いた手紙みたいだ」
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こよみ
「ラタス、なにかすること?」
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こよみ
「じかん……?」
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こよみ
「いそいで?」
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こよみ
「ラタス、いそいでた?」
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こよみ
「じゃあ」
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ユキ
「いや、だって、そんな」
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こよみ
「じゃあ、こよみたちも、いそぐ?」
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こよみ
「いそいで……」
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ユキ
「……どっかで見てんじゃないの!?」
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ユキ
「あたしたちが慌てるの、笑って……」
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こよみ
「いそ、いそいで、いそぐ?」
avatar
こよみ
「リリオちゃん、リリオちゃん」
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こよみ
「リリオちゃん」
avatar
リリオ
紙をひっくり返して裏を見たり、光に透かして仕掛けが無いか見たりしている。
意味がないとは分かっているが。
avatar
こよみ
「どうしよう?」
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こよみ
「どうする、どうしよう?」
avatar
こよみ
「リリオちゃん、ラタス、いそいで……」
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ユキ
「……ラタス!!」
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こよみ
「ぴゃっ」
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ユキ
扉を開けて、廊下を見渡してみる。
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リリオ
「……どうしようね?」
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GM
当然ながら手紙には何も細工などないです。
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GM
ラタスもいません。
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こよみ
大声にびくっとなります。
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こよみ
「ら」
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こよみ
「ら、らた」
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こよみ
「らたす」
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ユキ
「いるんでしょ! 出てきなさいよ!」
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こよみ
「ラタス~~~~~!!」
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こよみ
ユキに呼応するように喚き始めました。
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リリオ
「…………」
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宿の主人
「おはようございます~。どうしましたか?」
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こよみ
「ラタスが~~~~!!」
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ユキ
「あ!」
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ユキ
「あの!」
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こよみ
宿の主人にびゃーって泣き声で答えます。
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ユキ
「ラタス」
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リリオ
「あ、すみません。連れが出ていくのを見ましたか?」
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こよみ
「ラタスが用事だってえ~~~~~~」
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宿の主人
騒ぎに気付いて、眠りネズミの末裔の、宿の主人が出てきました。
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ユキ
「見てない!?」
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宿の主人
「お連れのかたですかぁ~」
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こよみ
「いそいで、ラタスいそいでたって、いそいで、用事で」
avatar
こよみ
「ラタスが……」
avatar
こよみ
「ラタス~~~~~」
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宿の主人
「なんか明け方? 出て行った、ような~」
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こよみ
えーんえーんあーん……
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リリオ
「明け方ぁ……。なるほど、ありがとうございます」
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ユキ
「なんか」
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ユキ
「なんか言ってたり、とか」
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ユキ
「なんかないの?」
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宿の主人
「んん~」
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宿の主人
「伝言とかはなかったですねぇ」
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こよみ
「なかった~~~~~」
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ユキ
「……そ、う」
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リリオ
手紙を読み直している。
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ユキ
「ありがと……」
avatar
宿の主人
「村の人に聞いてきましょうかぁ」
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こよみ
寝てたままの格好でベッドにうずくまってびゃあびゃあ泣いています。
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ユキ
しょんぼりと、主人から離れる。
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ユキ
離れかけ
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ユキ
「あ、」
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ユキ
「お願い!」
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ユキ
「お願いします!」
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リリオ
「お願いできますか?」
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宿の主人
「皆さんは恩人ですからぁ」
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宿の主人
ははは、と笑う。
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リリオ
「いやぁ、お世話になります」
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こよみ
「なりますう~~~~」
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ユキ
「よろしくね!!」
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宿の主人
「朝ご飯出来てるので、食べて待っててくださいねぇ」
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こよみ
ひっくひっくぐすっ……
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リリオ
「ああ、これはどうも。頂きます」
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ユキ
「ごはん……」
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リリオ
「……ま、とりあえず朝ごはん食べようよ」
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ユキ
そういえばまだ起きたばっかりなんだった……
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リリオ
「どうも難しいことになったみたいだ。食べられる内に食べておこう」
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ユキ
「……うん」
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こよみ
「ん」
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ユキ
「わかった……」
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こよみ
「うぅ……」
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こよみ
「ラタス」
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こよみ
「ラタスぅ……」
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こよみ
頷きながらもめそついています。
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こよみ
「なんでえ……」
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こよみ
「ラタス」
avatar
リリオ
「う~ん、なんでだろうねぇ」
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こよみ
「ラタスいっちゃった……」
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ユキ
「用事……」
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こよみ
「ラタス……」
avatar
ユキ
「用事って何よ……」
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ユキ
「あ、あたしたち」
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ユキ
「ずっ、と」
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ユキ
「い、一緒に……」
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リリオ
「そうだねぇ」
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リリオ
「2人はラタスから何か聞いてない?それっぽいこと」
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ユキ
ぐす、と鼻を鳴らす。
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ユキ
首を振る。
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こよみ
「いっしょにいるって」
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こよみ
「うれしいって」
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こよみ
「言ってた……」
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こよみ
どう考えても昨日の会話のことです。
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リリオ
「言ってたねぇ」
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こよみ
当然聞いてない。
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リリオ
「まぁ、他にもさ、未来のこととか」
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ユキ
「全然、いつもどおりで、」
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ユキ
「昨日もその前も」
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こよみ
こくこく……
avatar
リリオ
「田舎で野菜を育てたいとか、恋人と丘の上の家で暮らしたいとか」
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ユキ
「そんな、変わったことなんも……」
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こよみ
ユキにいっぱい頷いている。
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ユキ
「聞いてない……」
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こよみ
「やさい……」
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ユキ
「聞いてないよぉ……」
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こよみ
「レタスになっちゃうって……」
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こよみ
何の話だっけ……
avatar
リリオ
「僕も聞いてないんだな~」
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リリオ
「ヒントなしか……」
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宿の主人
しばらくして、主人が戻ってくる。
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宿の主人
「おまたせしました~」
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リリオ
「お、ご主人」
avatar
ユキ
「どうだった!?」
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宿の主人
「なんか~、南の方に? 出てったみたいですよ」
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こよみ
めそめそ……
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こよみ
「みな」
avatar
こよみ
「みなみ?」
avatar
ユキ
「南」
avatar
こよみ
「ラタス、南、南にいるの?」
avatar
リリオ
「ありがとうございます。助かりました」
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ユキ
「……あ、りがとうございます!」
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宿の主人
「それと、なんか地図を見てたって」
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こよみ
「ちず」
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リリオ
「地図?」
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こよみ
「ちず」
avatar
こよみ
「あ」
avatar
こよみ
思い当たります。
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こよみ
「き、きのう」
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ユキ
「え」
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こよみ
「きのうのひと」
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こよみ
「持ってたやつ?」
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こよみ
「ラタス、ラタス見つけてた、あ、えっと」
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こよみ
「地図と……」
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こよみ
「地図、そう、あと」
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こよみ
「地図と日記、ラタス、あったって」
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こよみ
「コイン以外に」
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こよみ
「あったって、ラタス言ってた」
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リリオ
「そういえばそうだったな」
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ユキ
「……そういえば、そんなこと」
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こよみ
こくこく
avatar
ユキ
「こよみえらい!」
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GM
荷物を確かめると、日記や化粧品はそのままで、地図だけがなくなっています。
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こよみ
「ん!」
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リリオ
「地図だけが、無い……」
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こよみ
褒められて頷くけど、すぐに曇ります。
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リリオ
日記を手に取り、中身を確認する。
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こよみ
「ラタス、地図」
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こよみ
「地図見て、どこか行っちゃった?」
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こよみ
「ラタス、地図見て、地図、南、そう、南に……」
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ユキ
「どんな地図だったかって誰か見た?」
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こよみ
首を振ります。
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リリオ
「いや、見てないな」
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こよみ
肩を落とす。
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ユキ
「あたしも……」
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こよみ
「見せて……」
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こよみ
「こよみ、見せてもらえば……」
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こよみ
「ラタスに……」
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こよみ
「見せてもらえばよかったのに、こよみ、見なかった」
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こよみ
「ラタスとリリオちゃん、頭いいから、こよみあんまり道とかわかんないし、だから」
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こよみ
「見なくていいって思って……」
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リリオ
日記のページをぺらぺらとめくってゆく。
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ユキ
「……もう、今更言ったってどうにもなんないわよ!」
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こよみ
「ううぅ……」
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ユキ
「……リリオ、日記どう?」
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ユキ
「なんかある?」
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GM
日記はただ少女の過程が記されています。
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ユキ
「ありそう?」
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リリオ
「あんまりなさそうかな~」
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ユキ
「そんなぁ……」
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GM
元の世界の日記から、急に転じて、堕落の国の日記となり。
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GM
生きていた残滓として一冊のノートになっている。
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GM
しかし、それ以上のことはないです。
avatar
リリオ
「…………うん、普通の日記みたいだ」
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こよみ
「で、でも、みなみ」
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こよみ
「ラタス、みなみ、南だよね?」
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リリオ
「南かぁ」
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こよみ
「南、行く?」
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ユキ
「南……」
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ユキ
「行くわよ!」
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ユキ
「行くわよね!?」
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こよみ
「う、うんっ」
avatar
リリオ
「別に他に目的地も無いしねぇ」
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こよみ
「うん……」
avatar
こよみ
こくこくこくこく
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こよみ
「ラタス見つかるまで、南」
avatar
ユキ
「あのバカ追っかけないと!」