煤木野灰吏
俺が仕切ったほうがいい空気を感じる……
煤木野灰吏
「とりあえずカード配っちゃいますかね」
煤木野灰吏
「じゃあ順番にかる~く自己紹介してもらって」
煤木野灰吏
「ぺーぺーなので、隣の人にたまにお世話になったりしてます」
鐘守錫為
カードに目を落としていたがそれを一度置いて、
鐘守錫為
「役人をしている。研究企業への視察に出ることが多い」
煤木野灰吏
「じゃあ夜高くんから一枚ずつ引いてもらって……」
煤木野灰吏
「それをそのまま捨てるか、手元のカードと入れ替えるか」
煤木野灰吏
「受け取り手の解釈によるって感じですねー」
鐘守錫為
まあそんな感じするなという納得は得ているが口には出さない。
真城朔
そのまま捨てじゃないの初めてなので微妙に気になる。
真城朔
ミツルを見るということは真城の方を見るということだ。
夜高ミツル
「道徳じゃ守れないものがあるから……」
真城朔
しょぼしょぼになりながら山札に手を伸ばす。
鐘守錫為
誇りと道徳と正義が捨てられているのを見ている。
真城朔
少なくとも自分が抱えてる札ではないな……と思い直した。
夜高ミツル
「苦労は、そりゃ、するだろうけど……」
鐘守錫為
自分のリアクションに真城が怯えることには流石に気付いているので、黙っています。
煤木野灰吏
こいつら人目を気にする気がゼロなのか……?
煤木野灰吏
すげーな~と思いながらカードを引き……
夜高ミツル
「俺は真城にもっと怒ってほしいと思ってる……」
煤木野灰吏
自由を大事にしてたら公安に入ってないな~
夜高ミツル
「決められてるものはない、と思いたいから……」
夜高ミツル
「一人で生きてけないとって思ってたけど」
夜高ミツル
狩人の才能ないとはよく言われてきたけど……
煤木野灰吏
「よっぽど最初の引きがよかったんですね」
夜高ミツル
「最低限、大事にはしてるつもりだけど……」
夜高ミツル
ゴミをポイ捨てしないとかは当たり前だから……
鐘守錫為
自分の手札と捨てられた札を見回して少し首をひねっている。
煤木野灰吏
「能力ね~あるに越したこたないけどね~」
鐘守錫為
多分落ち込ませてるといつものが始まると思った。
鐘守錫為
自分が声出したらこのカップルが怯えると思っているぞ。
煤木野灰吏
「別に恋多き男ってわけじゃないっすよ」
真城朔
なんかミツルが捨てるものを見るたびにしょんぼりするし自分が捨てるたびにしょんぼりしている……
鐘守錫為
高校生くらいの男が友情を捨てるのを見ている。
煤木野灰吏
「5枚に残しておくものかというと……」
真城朔
別に信仰心なくてもけっこうつよいよあれ……
煤木野灰吏
「こだわる人はめっちゃこだわりますけどね~」
鐘守錫為
自分が捨てた恋人を勝利と引き換えにpickする推定男子高校生がいるなあ。
真城朔
高校には好きな人に会いに行くために通っていました。
夜高ミツル
今みたいな生活がずっと続いたらいい……
煤木野灰吏
大事な人達の大事なものが捨てられていくのを見ている……
煤木野灰吏
「ここまで残してたことを褒めてほしいですね」
煤木野灰吏
見た目ほど怖い人じゃないんですけどね~
煤木野灰吏
あの子よっぽどやらかしてるんだろうな……
煤木野灰吏
促しておいて、公開するのか…………という気持ちになってる
煤木野灰吏
まあ確かに印象と違うとこはないけど……
煤木野灰吏
寄り添い合ってるカップルに目をやり……