キャラクター紹介
GM
現在の年齢と、好きなものなどを。簡単にお願いします。
PC1 荒鹿火唯史
荒鹿火唯史
幼なじみのハコとはずっと一緒に鍛錬を重ねて、競い合ってきた。
荒鹿火唯史
ずっと一緒にやってきた。今度の昇格試験も、一緒に合格するつもりでいる。
荒鹿火唯史
好きなものは……里の外のものは面白くてなんでも好きだ!
GM
ありがとうございます!いいPC1 いいPC1です
PC2 霧渡匣
霧渡匣
正しい誕生日はわからないから、唯史とだいたい同じ。
霧渡匣
昔の昔のこと、覚えてないから。親のこととかも……
霧渡匣
影絵座の術が使えるからって、里に拾われてきた。それが私。
導入フェイズ
導入 シーン1
GM
荒鹿火 唯史、そして霧渡 匣が所属するハグレモノの里は、人里からは離れた場所にある。
GM
人の目から隠されたその場所で、里の子供達はまずは忍としての基礎を身に着け。
GM
そして10歳の誕生日を迎えた時に初めて、里の上忍に連れられて人里へと降りる。
GM
もっとも、忍務などを受けていればその日よりも早くに人里へ降りることもあるし、そうでない場合もある。
GM
どちらにせよ、忍ならば【雑踏】というものには慣れておく必要があるものだ。
GM
意思を持って動く人の群れ、隠される事のない気配の濁流。
GM
そうしたものに飲まれてしまえば、他の者を見失ってしまう事もある。
GM
今、霧渡匣が昼間の大通りの中に取り残されてしまっているように。
GM
共にいた上忍──霧渡匣の里親とされている者──の姿も、連れられていた少年の姿も今は見えない。
霧渡匣
胸元でぎゅっと拳を握り、あちらこちらへと視線を彷徨わせる。
霧渡匣
霧渡匣が今まで見たことがないような、多すぎる人の群れ。
霧渡匣
忍びの里に連れてこられる前のことは覚えていないし、
霧渡匣
連れられてきてからは唯史と、あとはあまり数の多くない里の上忍たち。
霧渡匣
だから、わからない。忍びの鋭敏な聴覚があっても、それを処理するだけの能がない。
霧渡匣
見つからない。匣の知る世界がどこにもない。
霧渡匣
それを探して、一歩を踏み出すことすら、今は恐ろしい。
霧渡匣
口は辛うじて開く。けれど舌がうまく回らない。
霧渡匣
ぱくぱくと口を開閉させて、肩で息をする目の前の少年を見ている。
荒鹿火唯史
「お前小さいんだから、もっと気をつけて……」
荒鹿火唯史
と大して変わらない背の丈で言いながら、その涙に目を見開く。
霧渡匣
胸元に握り締めていた手でそれを拭っては、溢れる涙を押し留められず、しゃくりあげる。
荒鹿火唯史
繋ぎ返されると、緊張したように手に力が入る。
荒鹿火唯史
そうしながら、キョロキョロと辺りを見回している。
霧渡匣
人混みを恐れるようにぴったりと唯史にくっついている。
荒鹿火唯史
特に行くあてがあるわけでもないのか、時に迷ったように立ち止まったり、脇道を覗いてみたり……。
霧渡匣
その都度唯史に遅れて、同じ場所へと視線を送る。
荒鹿火唯史
里を出る前は、俺は街に出るの初めてじゃないから頼っていいぜ! とか豪語していたが、実際のところさして差があるわけではない。
荒鹿火唯史
なにか見つけた、というように目を瞬かせ、
荒鹿火唯史
先程までよりも確かな足取りで、少し早足に駆ける。
荒鹿火唯史
クレープ屋、と書かれたのぼりを掲げた店にたどり着く。
霧渡匣
兼ねてより授けられた知識から理解はするが、実感はない。
荒鹿火唯史
ガラスの向こうに並んだ、様々なクレープを指差す。
霧渡匣
どうすればいいかがわからない。唯史を見る。
霧渡匣
泣いた跡の残る双眸が、まっすぐに唯史を見ている。
霧渡匣
唯史にくっついて、一緒にクレープを眺める。
霧渡匣
きらびやかでいろとりどりのメニューがたくさん並んでいて、目が回る。
霧渡匣
そのどれもが滅多に与えられるものではない。
霧渡匣
果物と言えば、基本的には山で見つけて食べるもの。
荒鹿火唯史
たっぷりと盛られた真っ白いクリームも、二人にはなんだか現実みがない。
霧渡匣
なんだか手の届かないものがずらずら並んでいて、気後れに暫し悩み込んでしまったが。
霧渡匣
あずきだとかあんこだとかはまだ結構、里でも見かけるような感じのやつ。
荒鹿火唯史
なんとなく決心をするような間を置いて、背伸びをしてカウンターの向こうに声をかける。
荒鹿火唯史
あずきいちごクリームください、と注文して、財布を取り出し、
荒鹿火唯史
袖を掴まれている方の手に財布を持ち替え、自由な方の手で支払いを済ませる。
荒鹿火唯史
お作りしますので少々お待ち下さい~とか言われる。
荒鹿火唯史
クレープが出来上がるまでの間、なんとなく手持ち無沙汰になる。
荒鹿火唯史
「ハコが、普段食えないやつじゃなくてよかったのかなって」
荒鹿火唯史
「クレープが普段食えなくはあるけど……」
荒鹿火唯史
ハコを見る。それから改めてクレープたちを眺めて。
霧渡匣
「他のが変な味してても、あずきは、たぶんおいしい」
荒鹿火唯史
なんとなく黙ってしまったところに、店員から声がかかる。
荒鹿火唯史
お待たせしました、とできたてのクレープをハコに差し出す。
霧渡匣
遅れて唯史の袖を握る手を離し、そちらも添える。
荒鹿火唯史
しっかり受け取ったのを確認して、店員が手を離す。
荒鹿火唯史
ハコの両手には、できたてほかほかのクレープ。
霧渡匣
クレープに視線を落としたまま、店の前に突っ立ってしまっている。
荒鹿火唯史
あちらのベンチをどうぞ~、と店員に促され
荒鹿火唯史
手は……引けないので、シャツの裾を軽く引っ張る。
霧渡匣
はた……と気付いて、引っ張られていきます。
荒鹿火唯史
こいつ俺が頷くまで食わないなこれ……というのが経験上分かる。
荒鹿火唯史
観念して、差し出されたクレープにかぶりつく。
荒鹿火唯史
慣れない甘さと、甘酸っぱさが口の中に広がる。
霧渡匣
匣の持つクレープに、唯史の歯型がきれいにぱっくりと。
荒鹿火唯史
未知の甘味をもくもくと咀嚼して、飲み込む。
霧渡匣
じ、と歯型の付いたクレープに視線を落としている。
霧渡匣
頷く。促されてやっと、おそるおそる口を寄せる。
霧渡匣
唯史が口をつけた場所だとか、そういうのはあまり気にする様子なく。
霧渡匣
食べやすそうなところをぱくりと食べて、小さな口をもくもくと動かしている。
霧渡匣
唇にクリームとあずきとがちょっとついてる。
荒鹿火唯史
「もしかして……いちごと全然別物なのか……?」
霧渡匣
頷き返して、また唯史へとクレープを差し出します。
荒鹿火唯史
差し出されたクレープをまた一口かじる。
霧渡匣
唯史がかじったのを見て手元に戻して、匣もそれをかじる。
荒鹿火唯史
咀嚼しながら、ん……? これでいいのか……? という気持ちになる。
荒鹿火唯史
でもいちいち持ちかえるのも手間だし……?
荒鹿火唯史
ハコは特に変だと思ってなさそうだし……
GM
口の中の後味も消えない内に、どこからとなく上忍が2人の前に姿を現す。
上忍
上忍は寡黙なまま。服装が忍び装束でない以外は、里の”家”に居る時と何も変わりない。
霧渡匣
それから改めて表情をどうにか引き締めて、上忍を見上げます。
荒鹿火唯史
「俺も、ハコをちゃんと見れてなくて……」
上忍
言葉の代わりに一つ、掌に乗るサイズの箱を霧渡に対し差し出す。
GM
著名な電子機器メーカーのロゴがプリントされた、里ではまず見ないような洒落た紙箱。
GM
中身は、今の時代なら2人と同年代の子どもたちも皆持っている電子端末。
霧渡匣
おそるおそる手を差し出し……片手で受け取りそうになって、唯史と繋いだ手を解く流れを再び繰り返しながら、受け取ります。
荒鹿火唯史
iPhoneじゃん、と興奮したように小さく呟く。
上忍
「お前の分は別の店に用意させている、受け取ってこい」
霧渡匣
何故か唯史の名前が呼ばれたことに緊張していましたが、唯史が咎められる内容ではなかったのでほっとしています。
上忍
受け取り用の領収書も手渡す。記載された店の場所はそう遠くない。
荒鹿火唯史
なんで別の店なんだ……? という疑問がなくはないが、上忍の指示に口を挟める立場にはない。
荒鹿火唯史
領収書を受け取り、記載された店に向かう。
上忍
「お前は、奴を……唯史を、守り、愛してやれ」
上忍
「それが里の者としての私の願いだ。できるな?」
上忍
一つ、緊張から解き放たれたように息をつき、手を放す。
GM
或いは触れたとしても、そこには目に見えぬ隔たりが常にある。
GM
だが時には、その隔たりこそが人を形作るものとなる。
GM
自分と他人の隔たり。
貴方と私の隔たり。
その確認作業を、人は絆と名付ける。
導入 シーン2
GM
竹林の中を、獣に似た4足の異形が駆けている。
GM
枯れ笹を踏みしめ跳躍し、隙間をすり抜けていくその息は荒い。
GM
その異形──妖魔は、後方の気配を探る。
己を追う2人の追跡者の姿を探して。
荒鹿火唯史
二人、妖魔を追って竹林を駆ける。先を行くのは唯史の方。
荒鹿火唯史
妖魔を撹乱するように、その姿がブレる。
霧渡匣
指先より糸を渡し、それを伝う形で追走する。
GM
逃げ切れぬと覚った妖魔は足を止め、地を踏みしめて咆哮する。
GM
無論尋常の叫びではなく、呼応するように竹林が震える──
荒鹿火唯史
咆哮にびりびりと身体を震わせながら笑う。
GM
その言葉を証明するように、妖魔の全身の毛が逆立ち、炸裂。
GM
体毛は人体など容易く貫く鋭利な針と化し、追跡者に向けて射出される。
荒鹿火唯史
防御の姿勢を取らないのは油断していたから──ではない。
荒鹿火唯史
ハコが止めてくれると分かっていたから。
荒鹿火唯史
ならば唯史のなすべきは防御でも回避でもなく。
荒鹿火唯史
雨あられと、その背にクナイが降りそそぐ。
GM
血飛沫と咆哮。しかしクナイの流血のみでは妖魔は止まらず。
GM
身体の内に妖気を溜め込み、再び炸裂させようとしたところで──
荒鹿火唯史
それよりも早く、クナイが次々に音を立てて爆発する。
霧渡匣
爆風に妖魔を拘束していた黒絃が千切れ飛ぶ。
GM
風に舞い上げられた笹の葉が地に落ち着き、巻き上げられた煙と土埃が晴れた頃──
GM
そこにあったのは、黒く焦げ付き、倒れ伏した妖魔の姿だった。
霧渡匣
風に髪を揺らしながら、油断なくその姿を見据えていたが。
荒鹿火唯史
間違いなく、妖魔の力尽きたのを確かめる。
GM
こうした妖魔討伐の忍務はこれが初めてではない。
その手付きは十分に手慣れたものと言えるだろう。
霧渡匣
弱気ですぐ唯史の背中に隠れていた頃はどこへやら、
GM
里の同じ階級の者達が、皆同様にこのような忍務を熟している訳ではない。
GM
2人の実力は、すでに里の下忍頭の中では一つ抜けたものとなっていた。
荒鹿火唯史
自分は受かって当然とばかりの口ぶりでいる。
荒鹿火唯史
さすがにこれを乗ってないと言い返すのは苦しいかもしれん。
荒鹿火唯史
「分かってるって。ちゃんとする。してる」
荒鹿火唯史
「罰ゲームでもするか? どっちか落ちたら」
霧渡匣
「そんなこと考えるより、試験のことを考えた方がいい」
GM
未明の頃、目を凝らしながら手探りで探した誰かの輪郭も。
GM
広く見渡す事ができるようになれば、目に映る世界に対し抱く感想も変わってゆく。
GM
自分の足元と、探し求めるものの場所を見据える事ができるようになって。
GM
2人が里に帰る頃、空はすっかり夕方になっていた。
導入 シーン3
GM
里の最も大きな屋敷、その最も広い板の間は、茜色に染まっていた。
GM
並べられた座布団の上に、荒鹿火唯史 と霧渡匣の2人が並べられ。
GM
その対面に、痩せた老婆が胡座をかいて座り込んでいる。
里長
煙が広がった頃に、しわがれた、しかし自然と背筋が伸びるような力のこもった声が発される。
霧渡匣
真っ直ぐに背筋を伸ばして正座をし、正面の老婆を見つめている。
荒鹿火唯史
背筋が伸びる。緊張を隠しきれずにいる。
里長
「お前たちも予感はしていたろうが……そろそろ、下忍頭じゃ役不足だね」
荒鹿火唯史
揃えた膝の上で、握りこぶしに力が入る。
里長
「ふたりとも、よう技を磨いた。術もいくつか身につけし、忍務の経験も多少は積んだね」
里長
「あと身につけなきゃあいけないのは、一つだけだ」
霧渡匣
唯史よりは、緊張の色が薄く見える。ただ告げられることを受け入れる忍びの在り方。
里長
「確実に、己の手で、相手の息の根を止めるんだ」
里長
「生き残ったほうにだけ、中忍の許しをやるよ」
霧渡匣
常であれば全てに唯唯諾諾と承服するところを。
霧渡匣
自分より目上の忍びの言葉に対し、ただ沈黙だけを返す。
荒鹿火唯史
そう。命じられたことの意味を考える必要などない。
里長
「今あたしゃあ、できるか?なんて聞いたんじゃあないよ」
荒鹿火唯史
理由も目的も尋ねず、ただ首肯のみを返す。それが忍びのあり方だから。
里長
老婆の指の間で煙管が揺らめく。次の言葉を待つように。
荒鹿火唯史
何を言ったところで無駄なのだろう、と悟るには十分だった。
里長
煙管の火が燃え尽きるよりも早く、この老婆は下忍頭の首を落とせる。
荒鹿火唯史
感情的に振る舞うこともできる。理屈を捏ねてみせることもできる。
里長
そしてそうなった場合、落ちる頭の数は一つではないだろう。
霧渡匣
それを知って、全てを受け入れる従順のさま。
里長
それを悟らせるには十分な量の殺気が放たれている。
里長
「身支度する時間くらいはくれてやる。よく気を練っておくといい」
GM
二人が席を立ち、里長の屋敷を後にする頃には、昼の気配はとうに過ぎ去り。
導入 シーン4
GM
里の中にある家屋の一つは、明日行われる定めに係ること無く、定刻通りに灯りが落とされていた。
霧渡匣
万全を期すなら、少しくらいは眠っておくべきだ。という理と、多少睡眠を摂ったかどうかで左右されるものなどない、というもう一つの理と。
霧渡匣
頭の中で喧嘩をして、諦めて膝を抱えてしまう。
霧渡匣
そのように命ぜられるのならば、そのように振る舞うのがこの匣なのだ。
霧渡匣
それが、忍びとして正しいのか。正しくないのか。
荒鹿火唯史
常の溌剌とした様子は影を潜めて、音もなく。
霧渡匣
躊躇うように。恐れるように。指先で口を抑える。
荒鹿火唯史
静かに、だけど確かな意思を持って、匣に告げる。
霧渡匣
唯史が本意を呑み込んだであろうことはよくよく理解していたが、
霧渡匣
それが、まさかこのようなことを言い出すとまでは思わなかった。
荒鹿火唯史
それでも一緒に来ると信じて疑わぬように、まっすぐに匣を見つめている。
霧渡匣
心を灼かれる心地がある。魂を照らされる実感がある。
霧渡匣
なにがしか答えようと、唇をひらいて。動かして。
荒鹿火唯史
「俺は、ハコを殺すのも殺されるのもごめんだ」
荒鹿火唯史
「でもこの里の掟が絶対ってわけじゃないんだ」
霧渡匣
自らの胸元に指を寄せる。不安を示すように拳が握られる。
荒鹿火唯史
「逃げたら抜け忍だ。追手が来るだろうし、二人とも殺されるかもしれない」
荒鹿火唯史
「だからって……諦めて言う事聞いてお前と殺し合うなんて、嫌だ」
霧渡匣
けれど、その手が握るのは、唯史の手じゃない。
荒鹿火唯史
闇の中に溶けた姿を捉えようと、もがく。
霧渡匣
か細い少女の声に、泣き笑うような色を帯びて。
荒鹿火唯史
黒絃を焼き切って自由になった時には、もはやその残滓すら掴めず。
荒鹿火唯史
「そういうこと言うなら、お前も泣きそうになってんじゃねえよ……」
荒鹿火唯史
空に月はなく、一寸先も見通せぬ闇が里を覆っている。
荒鹿火唯史
この闇を抜けていけば広い世界があることを知っている。
荒鹿火唯史
その中には、唯史とハコの二人で暮らせる場所があるはずだ。
GM
或いは一人で駆け抜けてしまえば、まだたどり着けるかもしれなくとも。