2021/07/18 昼過ぎ
noname
少しぬくまった体温がミツルに寄り添っている。
夜高ミツル
それからぼんやりとまぶたを持ち上げる。
真城朔
ヤカンからコップに水を注いで、ミツルへと差し出す。
夜高ミツル
服の下に手を差し入れて、体温計を挟む。
真城朔
それをテーブルに置き、体温計も受け取って枕元へ置いて、
真城朔
何度か頷いて、改めてキッチンへと向かった。
夜高ミツル
冬にもこうして風邪を引いて、お粥作ってもらったな……
真城朔
すぐにミツルに助けを求める癖は変わらないが、毎日やっているだけあって手際自体はよくなっている。
夜高ミツル
問題なくできるだろう、と思うものの、どうしてもソワソワしてしまう。
真城朔
ないので、ミツルの脱いだ服を抱えると洗濯物入れへと移し
真城朔
そのうち食器の音とかが多少聞こえてきてから、
夜高ミツル
それを眺めつつ、ゆっくりと体を起こす。
夜高ミツル
支えられつつ、ベッドから降りてテーブルの前に。
夜高ミツル
卵粥をひとすくいとって、少し冷ましつつ
真城朔
思えば料理を教わり始めたのもミツルが風邪を引いたのがきっかけだった。
夜高ミツル
再びそう言って、ぱくぱくと食べ進めていく。
真城朔
どこか思わしげな様子でミツルが食べるのを眺めている。
夜高ミツル
食べていく内に思ったよりも腹が減っていたことに気づき
真城朔
よかった、ともう一度繰り返して頷いている。
夜高ミツル
「洗い物、あとでもいいんじゃないか?」
夜高ミツル
ベッドに上がっておけばよかったな……と今更思った。
真城朔
布団を引き上げて、まとめて二人でひっかぶる。
夜高ミツル
うつす心配のないのをいいことに、身を寄せる。
真城朔
こういう時は人間じゃない身体でよかったとおもう……
真城朔
それを防ぐ手立てが自分にないことに気づいてきたため……
夜高ミツル
「お互い気をつけようということで……」
真城朔
そうだろうか、とは思いつつも口に出せずにいる。
真城朔
どう気をつければいいかわからなくなっている。
夜高ミツル
せめて布団だけはかけるように……と思ってから、
夜高ミツル
それでいいのか? と内心で首をひねった。
真城朔
高くはない平温が、またミツルの熱を受けてぬくまっていくのが分かる。
夜高ミツル
今日はずっと寝てばかりではあるのだが、
夜高ミツル
そのぬくもりのおかげか、腹がくちくなったからか、
真城朔
二人身を寄せ合いながら、仲良くまどろみへと落ちていった。
夜高ミツル
三度、目を覚ます頃には、きっと熱は下がっているだろう。