真城朔
大小のイルカが並んで泳いでいる様子が映っている……
夜高ミツル
つい看板を眺めてまじまじしてしまった。
夜高ミツル
看板から視線を上げ、真城の手を引いて中に入っていく。
真城朔
日陰だし建物の中は涼しいのでほっとする……
真城朔
その側面が例によってガラス張りになっていて横から眺められる感じで……
夜高ミツル
その中を悠々とイルカの親子が泳いでいる。
真城朔
写真よりもだいぶカマイルカの子どもが大きくなっている。
夜高ミツル
「海の中だと泳げるようになるまで待つとかできないだろうしな……」
真城朔
カワウソとかと違って魚みたいな形してるけど……
真城朔
水面を軽くジャンプするような動きをしている。
真城朔
アザラシもけっこうつるつるだったけど、イルカはよりつるつる。
真城朔
ミツルと手を繋ぎながら、ぼんやりそのさまを眺めている。
夜高ミツル
二匹寄り添ってすいすい泳いでいるのを……
真城朔
ちょっとした25mプールみたいな感じの広さがある。
真城朔
この建物がそもそもこのプール専用っぽい広さ
真城朔
イルカのプール それとそれを眺める人間の場所
夜高ミツル
こちらからは見えないが、左手側はショーのプールに繋がっているらしい。
夜高ミツル
ぼんやり眺めていると、また軽くジャンプ。
夜高ミツル
海のイルカもジャンプしてるイメージあるしな……
真城朔
横に広いプールが岩場と柵でいくつかに区切られている。
真城朔
腹這いになって転がっているあざらしがいる。
真城朔
一応日陰ではあるけど、建物じゃなくて屋外の展示なので……
夜高ミツル
寝ているあざらし以外にも、プールの中を何匹か泳いでいる。
真城朔
屋外なだけあって建物の中のアザラシよりも広めなような……
真城朔
屋外だからそう感じるだけかもしれない……くらいのプールを……
夜高ミツル
まるいお腹がでーんと晒されている……。
真城朔
上から見下ろすとなかなか牧歌的風景の趣が強く。
真城朔
他のあざらしには首がないかのような物言い。
真城朔
まあお前らはトドじゃろうて……って感じのトド。
真城朔
すいすいころころしてるアザラシとアシカとを眺め……
真城朔
檻とかプールとかの都合かもしれないけど……
夜高ミツル
「その内仲間連れてきてもらえたりとか、も、あるかも」
真城朔
あざらしと仲良くしているアシカを見ている。
夜高ミツル
柵に手をついてぼんやり眺めていると……
夜高ミツル
唸るような、なんとも言えない低い声が右手のプールから轟く。
夜高ミツル
ヴァー、とか、ヴォー、とか、そんな感じの……
夜高ミツル
柵の向こうの岩場の上に、でっぷりとしたトドが……
真城朔
あざらしたちと仲良くしているアシカを見る。
真城朔
入っていくと、先程のプールの部分が横から見られる感じに。
真城朔
トドは上にいたから横からはあんまり見られないけど……
夜高ミツル
横から見るとやっぱりあざらしは丸い……
真城朔
よかったな……という気分になってしまっている……
夜高ミツル
ぎゅっと手を繋いで、そそくさと建物を後にする。
真城朔
日差しの下に出ると気持ちふにゃ……になってしまう。
夜高ミツル
「ペンギンのとこ、中からでも行けるな」
真城朔
ここで押し問答をしてもそのぶん消耗してミツルを心配させるだけなので……
真城朔
今まさに何らかのゲージが削られている感覚がないでもない日差しの強さ。
夜高ミツル
よく分からないので気にしないことにして……
真城朔
岩山には穴が開いていて、そこがペンギンの巣穴になっているらしい。
真城朔
なんか立ち呆けているのから泳いでいるのから……
夜高ミツル
岩山の穴の中に引っ込んでいったり出てきたり……
夜高ミツル
ちょっとわたわたしたけど転びはしなかった。
夜高ミツル
「普段木の上で暮らす鳥なら、そんな上手じゃなくてもいいんだろうけど……」
夜高ミツル
「ペンギンって結構歩くイメージも……」
真城朔
ぼんやり見ていると、ガラスでできた塀に張り紙が……
真城朔
『かまれます! 中に物や手を入れないで下さい。』
真城朔
当のペンギンを見ると、ぼんやり突っ立って羽繕いしてたりする……
夜高ミツル
「表に出ない部分はめちゃくちゃ大変なんだろうな……」
夜高ミツル
トドとか、パネルによるとオスは700kgとかあるらしいし……
夜高ミツル
日除けがあるとはいえ、結構ずっと屋外で見ている……
夜高ミツル
手を繋いで、ミツルたちも本館へ戻っていく。
真城朔
休憩スペース的な場所があり、そこに腰掛ける。
夜高ミツル
リュックからペットボトルを取って差し出す。
真城朔
バテてる割にはそんなにいっぱいはお茶を飲まずに……
夜高ミツル
仰ぐ手を一旦止めて、ペットボトルを受け取る。
夜高ミツル
飲み始めると結構喉渇いてたな……って気づくやつ。
夜高ミツル
一度口を離したが、残りが中途半端だったのでそのまま飲み干してしまう。
真城朔
人が少ない日だから、席取りに不安はないけど……
夜高ミツル
ないけど、のんびりしすぎて遅れるとよくない。
夜高ミツル
途中の自販機で空のペットボトルを捨て……
真城朔
イルカショーのスタジアムはカマイルカの親子が展示されていた場所の……
夜高ミツル
外の施設の中では一際大きいように見える。
真城朔
探しつつも何も、平日なので人が少なくて選び放題なのだが……
真城朔
入り口の近くではちょっとした軽食も売っていた。
夜高ミツル
なんか色々売店だな~って感じの軽食があって……
夜高ミツル
ミツルたちも気になったものを一つ買ってきた。
夜高ミツル
それを手に、空いている座席に腰を下ろす。
真城朔
人が少ない平日とは言え、流石にイルカショーともなるとちょこちょこ観客が。
真城朔
でも全然スペース開けて座れる余裕はある……
夜高ミツル
身体を寄せ合いつつ、輪ゴムで留められた透明なパックを開ける。
真城朔
ホットドッグのソーセージの部分にのどぐろのフライが挟まってる。
夜高ミツル
フライは3匹分入ってて、なかなか存在感がある。
夜高ミツル
もぐもぐしながら真城の口元にも差し出す。
夜高ミツル
していたが、先にミツルが飲み込んで……
夜高ミツル
「のどぐろの味はよく分かんないな……」
夜高ミツル
食べ進めてみてもやっぱりのどぐろの味はよく分からなかった。
真城朔
トレーナーさんらしき人がステージに立って……
夜高ミツル
都度指示している感じでもなさそうなのに……
真城朔
ひととおりジャンプを繰り返した後はステージの方で飼育員さんに餌をもらっている……
夜高ミツル
イルカたちが餌をもらっている間に、マイクを持った飼育員さんが始まりの挨拶をしている。
真城朔
逐一イルカたちが飼育員さんに餌を貰いに行くのが見える……
真城朔
かと思えば水面の上に身体を大きく出したり。
真城朔
ショーのイルカの並んで跳ぶ様子など眺めつつ……
真城朔
飼育員さんが差し出した手にちょんと触れたり……
真城朔
飼育員さんは身振り手振りで指示を出したりとかしている……
真城朔
ショーじたいもマイクを持って解説する飼育員さんとイルカに指示を出したりご褒美をあげて戯れている飼育員さんとで……
真城朔
プールから上がってステージに腹ばいになった。
真城朔
三匹のイルカがステージ上でお腹を見せて……
真城朔
イルカはおとなしくステージに横たわっている。
夜高ミツル
こちらはなんとなく気まずい気持ちになってしまう……
真城朔
飼育員さんの合図とともに、イルカが三匹同時に……
夜高ミツル
そんな二人をよそに、ショーは進んでいく……
夜高ミツル
途中お客さんを交えての体験コーナーがあったり。
真城朔
平日なので子どもが少なくて、普通に大人も呼ばれてた。
夜高ミツル
小さい子がイルカの身体に触らせてもらっている。
夜高ミツル
感想を聞かれて、つるつるしてると言っていた。
夜高ミツル
濡れたイルカの身体はつるつるぴかぴかしている。
真城朔
プールの上でお腹を見せて横たわっていた様子は……
真城朔
まだなんか……どうにでもなりそうな感じだから……
夜高ミツル
「ショーでお客さん相手にできるくらい噛まないんだよな……」
夜高ミツル
飼育員さんが教えた仕草をお客さんが真似して……
夜高ミツル
イルカはそれを見てヒレを動かしている。
夜高ミツル
なんだか折に触れて気まずくなってしまう……
真城朔
終わって、あとはイルカが芸を見せるコーナーが再び……
夜高ミツル
イルカたちがぴょんぴょんとジャンプし始める。
夜高ミツル
普通にジャンプするだけでなく、身体に捻りを加えながら跳んだりしている。
夜高ミツル
見ていると、飼育員さんが棒の先に輪っかのついたものをプールの上に掲げる。
夜高ミツル
かなり高い位置で輪っかを静止させて……
夜高ミツル
ぴょーんと、イルカが輪をくぐり抜ける。
夜高ミツル
輪っかくぐりのあとは、一層派手なジャンプが披露されていく。
夜高ミツル
くるくるっと回転してから着水したり……
真城朔
最後にひときわ気合の入ったジャンプを何匹かで一斉に決めて……
夜高ミツル
飼育員さんの終わりの言葉とともに、また拍手が上がる。
真城朔
イルカも戻っていったり餌をもらっていたりしている……
夜高ミツル
退場を急かされなければ、他のお客さんが出ていくのを待ったりしがち。
夜高ミツル
眺めていると、近くまで来て泳いでいったりする。
真城朔
などということはなく、イルカはきままにすいすいと。
夜高ミツル
勝手に見て、近づいてきたのを見て勝手にサービスしてもらった気分になったりした。
夜高ミツル
楽屋裏に見に来てしまったような気分がなくはない……
夜高ミツル
ぼんやりしてると、スタッフの人が客席の清掃にやってきたらしき様子。
夜高ミツル
「にいがたフィールドってのがあるっぽいけど……」
夜高ミツル
緑に囲まれた池のような写真が載っている。
真城朔
二人で手を繋いでドルフィンスタジアムを出て……
真城朔
そのままちらっとにいがたフィールドとやらの方を見てみるが……
夜高ミツル
いきものがいるという情報も書いてないし……
夜高ミツル
自然、南下してくる途中で散々見たし……
真城朔
なんかこの水族館で見た覚えのない生き物も居る気がするが……
夜高ミツル
「皆川さんこういうの好きだったりしないのか?」
夜高ミツル
小さいのなら持っていけそう……と手のひらサイズのぬいぐるみを触ったりしている。
真城朔
お花はむしろ枯れるからこそいいみたいな……
夜高ミツル
彼女の好みを知らないので、だいぶ真城の意見を参考にした。
真城朔
ハンターをやっているとそのあたりの感覚が正確になる。
夜高ミツル
「海沿いにちょっと歩いていったら着けそう」
真城朔
海はなんとなく見えてるんだけど、いざ海に出るまでは軽く歩く。
夜高ミツル
海沿いの駐車場に思いのほか車が停まっているのを横目に……
真城朔
このあたりはだいぶコンクリートというか……
夜高ミツル
歩いていくと、海の家らしきカラフルな建物が並んでいるのが見える。
夜高ミツル
海の家の傍はコンクリートで道があったので、そこに上がる。
夜高ミツル
ご近所さんらしきおじさんが酒を飲んでたりする。
真城朔
店の奥が色んなものでごちゃついているのが見える……
夜高ミツル
結構歩き、通り過ぎたか……? とちょっと不安になってきた辺りで
夜高ミツル
スマホを取り出し、店の名前を確認し……
真城朔
なんか今までの海の家とずいぶん毛色の違う感じの建物。
夜高ミツル
平日だからか奥の方だからか、その両方か、全然お客さんがいない。
夜高ミツル
奥から店員さんが出てきて案内してくれる。
夜高ミツル
テーブルと座敷の希望を聞かれたので、座敷に通してもらった。
夜高ミツル
壁際に足のないソファみたいなのと、クッションもいくつか。
真城朔
分けて注文する必要はないので、同じ端末で一緒にドリンクを選ぶ。
夜高ミツル
なんかおしゃれなドリンクがあったのでそれにした。
真城朔
口の広いおしゃれな瓶って感じのグラスに入って出てくる。
夜高ミツル
見えるところに自分たちしか客がいないので……
夜高ミツル
そのために遅くまで対応させるのはさすがに。
真城朔
黒くて太いストローでジュレをかき混ぜている。
夜高ミツル
海面が夕日に照らされてきらきらと揺れている。
夜高ミツル
「なんかヨットに乗ってるっぽい人もいるし……」
真城朔
ちょっと前まではまだまだ日が高かった気がするけど……
真城朔
秋の夜はつるべ落としというだけあり、みるみるうちに傾いてきている。
真城朔
そうして撤収しているサーファーたちを見ていると……
真城朔
まだ残っているジュレスカッシュを手に取り……
夜高ミツル
「もうちょっと波打ち際の方行ってみるか」
夜高ミツル
昼間の暑さが嘘のような、少し冷たい潮風に吹かれながら。
真城朔
やがて日の沈む水平線へと、二人並んで歩いていった。