2021/09/29 昼過ぎ

真城朔
バスを降りる。
真城朔
太陽は天高く陽射しは強く、
真城朔
帽子を目深に被って息をついた。
夜高ミツル
すっかり秋になってきたな……というような気分でいたのに
夜高ミツル
南下してくるほどになんか……全然……
夜高ミツル
夏……
真城朔
夏……
真城朔
気温も30度近いらしく、まあまあばて気味になっている。
真城朔
水族館近くのバス停はあまり日光を遮るものがない……
夜高ミツル
陽射しから逃げるように、ささっと入り口の方へ……
真城朔
ちょっと距離がある。
真城朔
途中でなんかかき氷とかを売っている屋台もある……
真城朔
屋台……?
夜高ミツル
水族館に……?
真城朔
わかんないけどなんか売ってる……
真城朔
平日なので人出はまあまあ。
夜高ミツル
そう多くないだろうと見越して来たので、予想通りでほっとする。
真城朔
二人で並んでチケットを買う。
真城朔
「こういう」
真城朔
「水族館とか、動物園って……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「チケット売り場とか、入り口の近くに」
真城朔
ちら……
真城朔
「売店」
真城朔
「あるよね……」
夜高ミツル
「あるなー」
真城朔
ちょっと張り出した感じで売店がある。
真城朔
「入らない人でも売店だけ」
真城朔
「みたいな」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「そういう層……?」
夜高ミツル
「そういう人もいるのかもなー」
夜高ミツル
「地元の人だと気軽に来れそうだし」
真城朔
「かも……」
真城朔
水族館の近くには海とちょっとしたお店くらいしかなさそうだけど……
真城朔
バス一本ではあった。
夜高ミツル
駅からバスに揺られてそう時間もかからず……
夜高ミツル
「帰りにちょっと覗いてみるか」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
荷物が増えると困るので、普段は土産系のショップなどはあまり積極的に見ないのだけど
夜高ミツル
昨日話し合って、この後八崎に立ち寄ろうと決めている。
真城朔
お世話になってる人へのお土産とか……
真城朔
かさばらない程度になら買ってもいい。
真城朔
頷き合いながら、二人で水族館の中へ。
真城朔
すずしい……
真城朔
別の意味でふにゃ……になった。
夜高ミツル
すずし~……
真城朔
帽子を取ってリュックに突っ込み……
真城朔
受付のお姉さんの隣を通り過ぎつつ……
真城朔
上が開放されている浅めの水槽が目に入った。
夜高ミツル
すぐそこにもう水槽が……
真城朔
開幕水槽。
真城朔
二人の身長なら全然上から覗き込めるくらい。
真城朔
パンフレットを開いて……
真城朔
「潮風の」
真城朔
「風景……」
夜高ミツル
「潮風の……」
夜高ミツル
ライトに照らされた開放的な水槽。
真城朔
浅い水槽には、確かになにやらサンゴ礁とか色鮮やかな魚やらが。
夜高ミツル
視界に入る水槽はどこも同様に明るい。
真城朔
小さい水槽なので、展示されている魚たちも小さい感じで……
真城朔
導入向きって感じはするかも……
夜高ミツル
「あ、パネル」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
回り込んだところの壁に、魚の写真や名前が掲示されていた。
真城朔
ぴかぴかちかちかと……
真城朔
時限式で切り替わっていくところとそうでないところがあるっぽい。
真城朔
見上げ……
真城朔
「ハマクマノミ」
夜高ミツル
「クマノミ」
夜高ミツル
「カクレクマノミのやつ」
真城朔
「ニモ……」
真城朔
水槽を探し……
夜高ミツル
「あれ見たことない」
真城朔
「俺も」
真城朔
「ない……」
夜高ミツル
ちょっと世代上な感じ……
真城朔
ちっちゃい頃になんか昔あったらしい映画
真城朔
「あ」
真城朔
「オレンジの……」
真城朔
いた……
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
いる……
真城朔
「青いのとか」
真城朔
「黄色いのとかも……」
真城朔
パネルを見て……
夜高ミツル
「派手だなー……」
真城朔
あ……
真城朔
あれかな……になっている。
真城朔
「サンゴ、が」
真城朔
「きれい」
真城朔
「だから……」
真城朔
透き通った水にきらきらのライトとサンゴ礁。
真城朔
そこに馴染む小さくて色鮮やかな魚たち。
夜高ミツル
「環境に合わせて……」
真城朔
こくこく……
真城朔
頷き……
夜高ミツル
「深海の魚とかはこういうイメージじゃないもんな」
真城朔
「もっと」
真城朔
「のっそり……」
真城朔
「おっきい感じの……」
夜高ミツル
「形がすごかったり……」
夜高ミツル
「この辺は全部浅瀬かな……?」
夜高ミツル
明るいし水槽が浅いし……
夜高ミツル
見渡している。
真城朔
「かも……?」
真城朔
見渡し……
真城朔
振り返ると
真城朔
「あ」
真城朔
なにかの予定表が並んでいる。
真城朔
「ショー案内……」
夜高ミツル
一緒にそちらを見る。
夜高ミツル
「イルカショー」
真城朔
「ある……」
夜高ミツル
「あと給餌に水槽の解説に……」
真城朔
いろいろやってる……
夜高ミツル
いろいろあるな……
真城朔
教育機関あじ
夜高ミツル
予定表の上の時計をちらりと見て……
夜高ミツル
今は13時過ぎくらい。
夜高ミツル
「今から見れるのだと……」
夜高ミツル
「イルカショーに、給餌解説に……」
夜高ミツル
「……あー、磯のいきもの解説とアクアラボ体験以外は全部間に合うか」
真城朔
「いっぱいある……」
真城朔
「できる……」
真城朔
すごい……
真城朔
「でも」
真城朔
「全部、は」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
時間も被るし……
夜高ミツル
「人が集中しないように組んであるのかな……」
真城朔
「かも……」
夜高ミツル
「真城なんか見たいのある?」
真城朔
「ん」
真城朔
「んー……」
真城朔
じー……
真城朔
上から下まで眺めて考え込んでいたが……
真城朔
「……せっかく」
真城朔
「だし」
真城朔
「イルカ……」
真城朔
ごにょごにょ
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「イルカショー、時間もよさそうだしな」
真城朔
「う」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
「やっぱり水族館来たらイルカってとこあるし」
夜高ミツル
「見に行こ」
真城朔
「うん」
真城朔
「えーと」
真城朔
「時間、ふたつ……」
真城朔
今からだと14時からと15時半とある。
夜高ミツル
「今から1時間だと結構ギリギリな感じになりそうだな……」
夜高ミツル
「15時半の方にするか」
真城朔
「うん」
真城朔
頷いた。
真城朔
パンフレットを開き……
真城朔
「展示」
真城朔
「いっぱい、ある」
真城朔
「し」
夜高ミツル
「ゆっくり見てこ」
真城朔
「うん……」
真城朔
頷き……
真城朔
また浅い水槽を振り返る。
真城朔
ちらちらきらきら光る魚とサンゴ礁……
夜高ミツル
焦ってさっさと通り過ぎるのはもったいない。
真城朔
二人でのんびりと回っていく。
真城朔
2つめの水槽は1つめほど鮮やかではなかった。
真城朔
「えっ、と」
真城朔
「マングローブ……」
真城朔
木が……
夜高ミツル
木だな……
真城朔
なかなかしっかりした木が生えている。
夜高ミツル
「熱帯……だっけ……?」
真城朔
「たぶん……」
夜高ミツル
ぼんやりとした印象で言っている。
真城朔
「アマゾン的な……」
夜高ミツル
「そんな感じの……」
真城朔
泳いでる魚もさっきより地味。
真城朔
大きい。
真城朔
水槽の広さはそんなに変わらないけど……
真城朔
土とか岩とか木の存在感がすごいぶん狭い感じもする。
夜高ミツル
さっきの原色な感じとは違った、白灰黒って感じの魚が泳いでる。
真城朔
魚~って感じ。
夜高ミツル
「オキナワフグ……」
真城朔
「沖縄の」
真城朔
「フグ……?」
夜高ミツル
「多分……」
真城朔
「マングローブに……」
真城朔
不思議。
夜高ミツル
「沖縄にもマングローブ生えてるってことか……?」
真城朔
「かも……」
真城朔
「あ」
真城朔
「もしかしたら」
真城朔
「気候が近いから」
真城朔
「同じ種類の魚が……」
真城朔
住める感じ……?
夜高ミツル
「あー」
真城朔
沖縄とマングローブで……
夜高ミツル
「そういう感じもあるかも……」
真城朔
「かも……」
真城朔
曖昧なことを言い合いながら魚を眺めている。
真城朔
ちょっとまぬけなかおしてる……
真城朔
黒い斑点がぽつぽつしててお腹がたっぷりな感じの……
真城朔
えーと……
真城朔
パネルを見……
真城朔
「テッポウウオ……?」
夜高ミツル
はらが丸い……
夜高ミツル
「テッポウウオ」
夜高ミツル
「テッポウウオってマングローブの辺りなのか……」
夜高ミツル
へ~になってる。
真城朔
「らしい……」
真城朔
初めて知った。
夜高ミツル
「あんまイメージないなあ」
真城朔
「ない……」
夜高ミツル
「な」
真城朔
どんなイメージがあるかと言われても困るけど……
真城朔
こくこく
夜高ミツル
でも少なくともマングローブではなかった……
真城朔
なかった。
真城朔
もっと海っぽい感じのイメージ。
真城朔
トビウオと混ざってるのでは?
夜高ミツル
そうかもしれない……
真城朔
そこから振り返ると……
真城朔
今度は水槽の中になんか……
真城朔
細長い草がそよそよと……
真城朔
今度の水槽は結構深い。
夜高ミツル
「アマモ……」
真城朔
「あまも」
真城朔
復唱。
真城朔
近づき覗き込むが……
真城朔
あまり魚がいないな……
夜高ミツル
草が揺れている……
真城朔
「エビ……」
真城朔
「タツノオトシゴ……」
夜高ミツル
「草が……」
夜高ミツル
草がいっぱいある……
夜高ミツル
じー……と水槽に目を凝らす。
真城朔
草が揺れている。
真城朔
「あ」
真城朔
「えび」
真城朔
「これ……?」
真城朔
透明な……
真城朔
透き通った黒っぽい……
夜高ミツル
「ん」
真城朔
足を動かしているのがいる。
夜高ミツル
「あ~」
夜高ミツル
「エビだ」
夜高ミツル
「ちいさ……」
真城朔
「ちいさい……」
真城朔
存在感ない……
真城朔
「タツノオトシゴも」
真城朔
「あんまり……」
真城朔
小さいな……
夜高ミツル
「小さいな~……」
真城朔
「タツノオトシゴ」
真城朔
「なんか、立派そうな」
真城朔
「イメージが……」
真城朔
あるけど……
夜高ミツル
「もっと大きいイメージが……」
夜高ミツル
「種類の差……?」
真城朔
「かな……」
真城朔
パネルにはただのタツノオトシゴとしかない。
夜高ミツル
シンプル……
真城朔
ちんまりかわいらしいタツノオトシゴが……
真城朔
そよそよと揺れる水草の中に紛れている。
夜高ミツル
草にしっぽで巻きついて、一緒に揺られている。
夜高ミツル
そよそよ……
真城朔
なんか……
真城朔
「穏やかな暮らしって感じ……」
夜高ミツル
「穏やかだな……」
真城朔
エビもなんか……
真城朔
砂の上をもそもそと歩いたり……
真城朔
ちょっと跳んだり……
真城朔
平和……
夜高ミツル
「うみのゆりかごとも呼ばれます、だって」
夜高ミツル
「アマモ場」
真城朔
「うみのゆりかご……」
真城朔
なるほど……
真城朔
ゆられている……
夜高ミツル
「様々な生き物のすみかとなっています……」
夜高ミツル
穏やかな暮らし……
真城朔
じー……
真城朔
いいな……という気分になる。
夜高ミツル
水槽の中は敵もなく静かで穏やかで……
夜高ミツル
野生はきっと穏やかな暮らしどころじゃないんだろうけど……
真城朔
こういうところなら……
真城朔
外敵もいないし……
夜高ミツル
そよそよ……
真城朔
のんびりした水槽をのんびりと眺めてしまっている……
夜高ミツル
動きの少ない水槽をまじまじ眺めてられる二人。
真城朔
えんえんと……
夜高ミツル
とはいえまだまだ先もあるので、次の水槽へ。
真城朔
とことこ
夜高ミツル
「すな……」
夜高ミツル
「さ……?」
真城朔
「イソギンチャク……」
夜高ミツル
砂泥底って書いてある。
夜高ミツル
「さでいてい……」
夜高ミツル
かな?
真城朔
「かな……?」
真城朔
今度は緑がない。
真城朔
地味な色のイソギンチャクと、なんかだいぶのんびりした魚が……
真城朔
小さい水槽だから小さい生き物がのんびりしてるな……
夜高ミツル
砂の上でのんびり……
真城朔
腹ばいになった魚が。
真城朔
なんか……
真城朔
穏やかなのは同じなんだけど……
真城朔
だいぶ無の趣を感じている。
夜高ミツル
なんか水槽に対して無の割合が大きい。
真城朔
縦があんまり使われてない感じだからか……?
真城朔
アマモ礁はアマモが揺れてたから……
夜高ミツル
他もマングローブが生えてたりサンゴ礁があったり……
真城朔
色もあんまりなんか……
真城朔
全体的に砂色。
夜高ミツル
イソギンチャクの数も、ぽつ……ぽつ……って感じ
真城朔
穏やかではある……
夜高ミツル
静か……
真城朔
静かな水槽を今度はすすっと通り過ぎ……
真城朔
結構広い感じの水槽に。
真城朔
広い感じの水槽というか……
真城朔
「岩が……」
真城朔
ごっつい岩が。
夜高ミツル
「岩だな……」
真城朔
「岩……」
真城朔
岩の多い感じの海辺を再現してるのかな……
夜高ミツル
横に広い水槽を見渡し……
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
「磯だって」
真城朔
「磯」
真城朔
なるほど……
真城朔
言われてみると磯って感じ……
真城朔
「カブトガニ」
真城朔
「ムツゴロウ」
真城朔
「トビハゼ」
夜高ミツル
「泥の辺りの生き物って感じの……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「ムツゴロウさん……」
夜高ミツル
「ムツゴロウさんのムツゴロウだなー」
夜高ミツル
逆なのでは?
真城朔
逆だと思うけど……
真城朔
印象はそっちが強い。
真城朔
どろべちゃなあたりを通り過ぎると……
真城朔
岩で区切られた先に、今度は色鮮やかな空間が広がっている。
真城朔
「あ」
真城朔
「こっちは、サンゴ……」
夜高ミツル
「カラフルになった」
夜高ミツル
イソギンチャクもいる。
夜高ミツル
「同じ水槽の中で感じが違うの、なんか珍しい気が……」
真城朔
黄色と紫と……
真城朔
ミツルに頷いている。
夜高ミツル
「いや、言うほど水族館知らないけど……」
真城朔
「珍しいか、はわかんない」
真城朔
「けど」
真城朔
「おもしろい……」
夜高ミツル
「そうだな」
夜高ミツル
今度はミツルが頷く。
真城朔
頷きあっている……
夜高ミツル
「岩場で水が浅いからこういう展示できるんだろうなー」
真城朔
「水、いっぱいだと」
真城朔
「区切るのも」
真城朔
「難しいし」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
「おもしろいなー……」
真城朔
「工夫が」
真城朔
「色々……」
夜高ミツル
「色々考えてるんだろうな……」
夜高ミツル
すごい……
真城朔
「趣向を凝らして……」
真城朔
すごさを噛みしめています。
真城朔
潮風の風景のコーナーはここで終わりらしい。
真城朔
歩いていくと……
真城朔
「私たちと」
真城朔
「海……」
真城朔
なんか……
真城朔
壁で海について語られている。
夜高ミツル
なんかでかい話になってるな……
真城朔
海はおっきいから……
夜高ミツル
「地球と海水……」
夜高ミツル
「太陽と地球……」
夜高ミツル
「太陽……?」
夜高ミツル
さらにでかい話になった。
真城朔
「雄大……」
夜高ミツル
「でかいな……」
真城朔
やや圧倒されている……
夜高ミツル
水のいきものとかを見に来たら急に太陽系レベルの解説が出てきて……
真城朔
まあ……
真城朔
海って広いもんな……
真城朔
とは思いつつ……
夜高ミツル
てくてくとその先へ……
真城朔
すると何やら開けた場所に。
夜高ミツル
向こう側にでっかい水槽が見える。
真城朔
「おっきい……」
真城朔
ほんとにおっきい水槽。
夜高ミツル
入り口辺りは結構小さめの水槽が多めだったので……
真城朔
いきなりのスケールアップに圧倒されている。
真城朔
パンフを眺め……
真城朔
「日本海大水槽」
夜高ミツル
「大水槽って感じだな……」
真城朔
「ほんとにおっきい……」
真城朔
フロアを横切り……
真城朔
水槽の隣のスロープを下っていく。
夜高ミツル
水槽の前に並んで立つ。
真城朔
いーっぱい魚がいる。
真城朔
今までと違って、なんというか……
真城朔
「海の魚」
真城朔
「って」
真城朔
「感じ……」
夜高ミツル
「日本海だもんな……」
夜高ミツル
「広いな……」
真城朔
「広くておっきい……」
真城朔
なんか……
真城朔
こう……
真城朔
「食べられそうな」
真城朔
「魚が……」
真城朔
いっぱい増えてきた……
真城朔
光り物だったり……
夜高ミツル
「知ってる魚が結構……」
夜高ミツル
食用な感じの知ってる魚が……
真城朔
なんとなくスーパーとかで見るような見ないような魚が……
真城朔
そういった魚たちを眺めながらスロープを下っていく。
夜高ミツル
てくてく……
真城朔
波の音が聞こえる……
真城朔
ざざーん……
夜高ミツル
スロープを降りていくと、水槽の深さも相当あることが分かる。
真城朔
大水槽の名は伊達じゃない……
真城朔
そこをくぐっていくと、暗い空間になり……
真城朔
暗いと落ち着く……
真城朔
壁にはめ込まれる形で四角くて小さな水槽が何個もある。
真城朔
くらげとか……
真城朔
いる……
夜高ミツル
小さい水槽に小さい生き物が……
真城朔
雄大な水槽の下を潜ると小さな生き物たちが。
真城朔
スケールの差がすごい……
夜高ミツル
小さいから種類も精々1つの水槽につき2,3種で……
夜高ミツル
大水槽は大きいので色々いた。
真城朔
小さいとこはちゃんと区切られてる。
真城朔
「カニ……」
真城朔
カニ静か……
夜高ミツル
「カニだな……」
夜高ミツル
あんまり動きがない。
真城朔
のし……
真城朔
狭い水槽の中になかなかどっしりしたカニが何匹か鎮座している……
夜高ミツル
まあ大きい生き物ってあんまりせかせか動かないイメージではある……
真城朔
それにしてもこんな狭いところで……
真城朔
大丈夫なんだろうけど……
夜高ミツル
プロが大丈夫と判断している……
真城朔
大丈夫らしい。
真城朔
小さい魚がちらちらしてる水槽もあったり……
真城朔
いろとりどり。
夜高ミツル
いろいろさまざま。
真城朔
「……水のいきもの」
真城朔
「いろいろいる……」
夜高ミツル
「知ってるのも全然知らないのも……」
夜高ミツル
「色々だなー」
真城朔
「大きいのも小さいのも……」
真城朔
二人で囁き交わしながらコーナーを抜ける。
真城朔
暗くて静かな感じなので声も控えめになる……
夜高ミツル
ひそひそ……
真城朔
ぼそぼそ
真城朔
していたが、
真城朔
今度はまた明るくなった。
真城朔
目の前には透明なトンネルが。
真城朔
それも、水槽の中に作られたようで……
真城朔
「わ……」
真城朔
魚が……
夜高ミツル
「おー……」
真城朔
いっぱい泳いでる……
夜高ミツル
上の方から光が差し込んでいる。
真城朔
青い光が……
真城朔
大きな水槽を泳ぐ魚、魚、魚。
真城朔
大きいのから小さいのまで……
夜高ミツル
悠々と……
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
エイがすい~っと二人の頭上を通り過ぎる。
真城朔
「おお~……」
真城朔
おおきなエイが……
夜高ミツル
「でかいなー……」
真城朔
「エイの」
真城朔
「お腹側……」
真城朔
「顔みたい」
夜高ミツル
「だなあ」
真城朔
「笑ってる感じの……」
真城朔
「あ」
真城朔
「亀……」
真城朔
ウミガメって感じの亀が……
真城朔
すい~っと……
夜高ミツル
「おー……」
夜高ミツル
「でか……」
真城朔
「背中」
真城朔
「乗れそう……」
夜高ミツル
「浦島太郎だ」
夜高ミツル
「エイも子供くらいだったら乗せられそうだな」
真城朔
「いけそう……」
真城朔
すいすい~……
真城朔
下から泳ぐ魚とかを見上げている。
真城朔
なかなかない機会。
真城朔
青い光がちかちかしてて……
真城朔
おなかがしろい……
夜高ミツル
しろいな……
夜高ミツル
ウロコが光を反射してぴかぴかしている。
真城朔
まぶし……
真城朔
「あ」
真城朔
「れ」
真城朔
「サメ……?」
真城朔
小さい感じの……
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「サメっぽい」
真城朔
ちょっと細長い感じのサメが。
真城朔
「あれくらいだと」
真城朔
「かわいい……」
夜高ミツル
「小さいなー」
真城朔
エイよりも海亀よりも小さい……
真城朔
他の魚より細長いかな? くらい。
夜高ミツル
かわいい感じのサメがすいすい~っと泳いでいく。
真城朔
圧倒されながらトンネルを抜けていくと……
真城朔
大きなガラス張りの水槽が横から眺められる形に。
夜高ミツル
「広いな~……」
夜高ミツル
あらためて……
真城朔
広大さに圧倒される……
夜高ミツル
パネルもたくさん置いてある。
真城朔
解説がいっぱい。
真城朔
「横から見ると」
真城朔
「いつもの魚って感じの……」
真城朔
「海の魚たち……」
夜高ミツル
「色々いる……」
真城朔
同じ種類の魚たちが……
夜高ミツル
いっぴきで泳いでる魚から群れで泳いでる魚まで色々……
真城朔
「なんか」
真城朔
「こう……」
真城朔
「魚を描くって言われたら」
真城朔
「こういう形のを描きそう」
真城朔
「みたいな魚が……」
夜高ミツル
「よく見る感じの」
夜高ミツル
「食べれそうなやつが色々……」
夜高ミツル
一般的に食用にされる魚はついそういう目で見てしまう。
夜高ミツル
アジとか……
真城朔
「色々……」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「イクトゥスみたいな……」
夜高ミツル
「いくとぅす」
真城朔
「あの……」
真城朔
「信者が確かめ合うやつ……」
真城朔
「魚の形描いて……」
真城朔
指で空に弧を描いている。
夜高ミツル
首を捻っている。
夜高ミツル
「それ知らないかも……」
真城朔
そうなんだ……になっている。
夜高ミツル
「信者ってなんの?」
真城朔
「確かキリスト教の……」
真城朔
「迫害されてる時で」
真城朔
「こう」
真城朔
「片方の人がこうやって線描いて……」
夜高ミツル
ふんふん……と耳を傾けている。
真城朔
指で空中に弧を描く。
真城朔
「それ見てもう一方が……」
真城朔
「こう」
真城朔
今度は反対側に弧を描き……
真城朔
「すると」
真城朔
「魚の絵が完成して……」
夜高ミツル
「暗号みたいな」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
真城朔
「それ、できる同士だと」
真城朔
「仲間」
真城朔
「みたいな……」
夜高ミツル
「なるほどなー」
真城朔
「おおっぴらに言えないから……」
夜高ミツル
「知ってる人同士だけ通じるように……」
真城朔
話しつつ なんでこんな話を? になっていたが……
真城朔
「あ、えっと」
真城朔
「なんか」
真城朔
「そんな感じの」
真城朔
「きれいな形した、魚」
真城朔
「いっぱい……」
真城朔
水槽に視線を戻す。
夜高ミツル
水族館でイクトゥスの解説をしてもらった。
夜高ミツル
「魚って感じの魚」
真城朔
太陽系の話を見たり……
真城朔
食べられそうな形の魚が……
真城朔
すいすい泳いでる……
真城朔
なんか気恥ずかしくなったのを誤魔化すように水槽に寄っていく……
夜高ミツル
「イワシ玉だ」
夜高ミツル
小さめの魚がいっぱい群れになってるのを指差す。
真城朔
「イワシ玉」
真城朔
見上げる。
真城朔
おお……
真城朔
ぴかぴかきらきらが……
真城朔
上の方に。
夜高ミツル
いっぱい集まってる。
真城朔
「いわし、って」
真城朔
「魚に弱いって書くから……」
夜高ミツル
「だから群れてるのかな……」
真城朔
「かも……」
夜高ミツル
ハンターと一緒だな……
真城朔
一緒かも……
真城朔
イワシに共感している……
夜高ミツル
ハンターは群れて狩りをする、というのがミツルは一番最初に教わったことなので……
真城朔
大事なこと。
夜高ミツル
折に触れて思い出している。
真城朔
鉄則だから守ってほしい……
真城朔
自分が言えたことじゃあんまりないけど……
夜高ミツル
今は真城と一緒に狩りを続けている。
夜高ミツル
「結構」
真城朔
この前は何事もなくてよかった……
夜高ミツル
「かなり小さいのもいるな」
真城朔
「ん」
真城朔
「んー……」
真城朔
視線を落として……
真城朔
「ほんとだ」
真城朔
「イワシより小さい……」
夜高ミツル
小さい魚が控えめに海藻の周りに……
真城朔
おっきい魚がのっそりと泳いでいる隣を……
真城朔
恐れるでもなくちらちらと……
夜高ミツル
「こういうのって食われたりしないのかな……」
夜高ミツル
「してないからいるんだろうけど……」
真城朔
「共存」
真城朔
「できてる……」
真城朔
「10倍以上差ありそうなのに……」
夜高ミツル
「な……」
真城朔
「穏やか」
夜高ミツル
「餌いっぱいもらえてるからかな」
真城朔
「かも……」
真城朔
だといいな……
夜高ミツル
そうだといい……
真城朔
穏やかに暮らしてほしい。
真城朔
ぼんやり見て回ってると……
真城朔
「あ」
真城朔
覗き込める感じの小窓が……
真城朔
丸くくり抜かれて……
真城朔
張られたガラスも凸形になっている。
夜高ミツル
「おー……」
夜高ミツル
ちょっと裏側的な雰囲気がある。
真城朔
穴場的な……
真城朔
トンネルとはまた違った趣。
夜高ミツル
逆光で……
真城朔
ちょっと身を乗り出して覗き込んだりして……
夜高ミツル
岩場の陰になっているようで、小さな魚たちがふわふわしている。
真城朔
「憩いの場」
真城朔
「みたいな……」
夜高ミツル
「そんな感じ」
夜高ミツル
「隠れ家的な……」
真城朔
こくこく
真城朔
「水槽」
真城朔
「広いもんね……」
夜高ミツル
「ちょっと陰になってる方が落ち着きそうだもんな……」
真城朔
こくこく
真城朔
そういう落ち着く場所を覗かせていただいているが……
夜高ミツル
裏からこっそりと……
真城朔
ちょっと申し訳なくなって身を引いた。
真城朔
この次は暖流の旅とかいうコンテンツ。
真城朔
全体的にサンゴ礁とか、熱帯魚とか……
真城朔
大きめの水槽に、そういうきれいでちかちかした空間が広がっている。
夜高ミツル
1階のように、いろんな水槽が点々と。
真城朔
それよりも規模がでかい感じで。
真城朔
カクレクマノミもいた。
夜高ミツル
ニモのやつ。
夜高ミツル
エイがこっちにもいたり……
真城朔
全体的にトロピカル……
夜高ミツル
大水槽は食用でよく見る感じだったけど、ここは観賞魚でよく見る感じのやつが多い。
真城朔
目の保養って感じ
夜高ミツル
あざやか……
夜高ミツル
明るい水槽の次は、なんか暗い水槽が続くエリアもあったり……
真城朔
赤い魚がいっぱいいたりした……
真城朔
暗いほうが落ち着きはする。
真城朔
けどちょっと怖い……
真城朔
魚の雰囲気が……
夜高ミツル
目元とかがなんとなく……
真城朔
ホラーっぽさがある。
真城朔
そういった諸々の水槽を抜けていくと……
真城朔
また開けた空間に出る。
真城朔
今度は暗く……
真城朔
そして中央に、筒のような形の水槽がいくつか並んでいる。
夜高ミツル
そちらに近づいていく。
夜高ミツル
「クラゲ」
真城朔
青い光の中にちらちらと……
真城朔
「クラゲだ……」
真城朔
さっきもちょっと見たけど……
夜高ミツル
こっちはそれより水槽が大きくてクラゲも多い。
真城朔
ライトアップも強めで……
真城朔
なかなか幻想的。
真城朔
そのうちのひとつ、ぷわぷわした丸いクラゲが詰まっている水槽に近づいていく。
夜高ミツル
「クラゲって感じの……」
夜高ミツル
よく見るイメージのやつ。
真城朔
「うん……」
真城朔
こくこく……
真城朔
笠を……
真城朔
広げたり縮めたりして……
真城朔
水の中をふよふよしている……
夜高ミツル
ふわ……
夜高ミツル
「……こんなにいると」
夜高ミツル
「クラゲ同士で脚が絡まったりとか……」
真城朔
「どうだろ……」
真城朔
「このクラゲは」
真城朔
「あんまり足、長くないみたいだし……」
真城朔
笠の生き物……
真城朔
って感じの……
夜高ミツル
ちら、と他の水槽に目を向けると、足の長いクラゲはもっと密度が低い感じ……
真城朔
気遣われている……
夜高ミツル
「笠のとこ触ったらすべすべしてそう」
真城朔
「ぷわぷわ」
真城朔
「すべすべ……」
真城朔
「やわらかそうなかんじも……」
真城朔
「きのこみたい」
夜高ミツル
「だなー」
夜高ミツル
クラゲがぷかぷかしているのを二人でぼんやり眺めている。
真城朔
きれい……
真城朔
クラゲも大きいのと小さいのと結構いる。
真城朔
差がなかなか……
夜高ミツル
年の差……?
真城朔
かも……
真城朔
小さいクラゲは小さいクラゲでいっちょまえにぷわぷわしているが……
夜高ミツル
「何考えてるんだろう」
夜高ミツル
「クラゲって……」
真城朔
「…………」
真城朔
首を傾げた。
真城朔
「わかんない……」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「浮いてる……」
真城朔
浮いてる……
夜高ミツル
「わかんないな……」
夜高ミツル
浮いてるな……
夜高ミツル
「冷静になるとなんか、不思議すぎるよな、クラゲ……」
真城朔
「顔とか」
真城朔
「ないし……」
真城朔
「ふしぎ……」
真城朔
じ……っと見ている。
夜高ミツル
透明でぷかぷかしてて……
夜高ミツル
「内臓なんかもなさそうに見えるし……」
真城朔
「うーん……」
真城朔
眺めている……
真城朔
他のクラゲを見回し……
真城朔
「あ」
真城朔
「でも、あっちは」
真城朔
「ちょっと」
真城朔
「内蔵っぽいの」
真城朔
「見えるかも……」
真城朔
他の水槽を指差した。
真城朔
3つあるうちの2つ目。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
そちらに移動する。
真城朔
二人でてくてく寄っていき……
真城朔
「ほら」
真城朔
「なんか」
真城朔
「笠の中、色ついてる感じで……」
真城朔
こっちのクラゲは足が長い。
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
「ほんとだ」
真城朔
「やっぱり」
真城朔
「笠の中に、内蔵……」
夜高ミツル
「ちゃんと生き物……」
真城朔
「あ」
真城朔
「足からまっちゃってる……」
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
「ああ~……」
真城朔
細長い白い脚が……
真城朔
なんか……
真城朔
だまみたいなのできて……
夜高ミツル
「やっぱり長いとこういうことが……」
真城朔
「あんまり詰めないようにしてるみたいだけど……」
真城朔
「でも」
真城朔
「自分の脚が絡まっちゃってる感じだし……」
夜高ミツル
「うん……」
真城朔
「どうしようもないのかも……」
真城朔
他の子と絡まるのはかなりかわいそうだけど……
夜高ミツル
「野生だともっと引っかかったりとか大変そうだしな……」
真城朔
「広いとこで生きられる代わりに」
真城朔
「敵も、いるだろうし……」
夜高ミツル
「大変……」
真城朔
最後の一個の方にも行くが……
真城朔
こっちはもっと透明で……
真城朔
足が長くて……
真城朔
「絡まっちゃってる子」
真城朔
「いる……」
夜高ミツル
「いるな……」
夜高ミツル
ここの3種類のクラゲたちの中で一番小さい。
真城朔
控えめなシルエットというか……
夜高ミツル
なんか儚い感じの……
真城朔
「ちっちゃい……」
真城朔
透明度が高くて……
真城朔
なんかぽつぽつと光を放つ箇所がある。
夜高ミツル
「小さいな~……」
真城朔
「ネオンライトとか」
真城朔
「イルミネーション?」
真城朔
「みたいな……」
真城朔
「そんな感じ……」
夜高ミツル
「光ってるな……」
真城朔
「はかない……」
夜高ミツル
がんばって動いてるんだけど、他のやつより流されてる感が強い気がする……
真城朔
笠の動きもなんか控えめで……
真城朔
ぴくぴく動いたりするんだけど……
真城朔
あんまりそれで流れる方向を変えられてる感じも薄かったり……
夜高ミツル
ふわふわ……
夜高ミツル
2番めのやつとかかなり元気な感じだったのに……
真城朔
一個目もなかなかサイズあったし……
夜高ミツル
ここだけなんか……
夜高ミツル
「儚いな……」
真城朔
こくこく……
真城朔
なんか心配になってしまう……
夜高ミツル
水槽の中は穏やかで敵もいなくてよかった……
真城朔
脚の絡まりもなおるといいね……
夜高ミツル
なんとなくしんみりしながらクラゲのエリアを後にする。
真城朔
さよなら……
真城朔
そのあとはなんか……
真城朔
信濃川のコーナーで……
真城朔
川魚がいっぱい……
夜高ミツル
素朴な魚がいっぱいいる。
真城朔
お腹の赤い魚とかもいた
夜高ミツル
水槽の中は岩とか木とかで自然っぽく作られている。
真城朔
川なのでそんなに暗い感じもなく……
真城朔
まあまあ明るくて緑って感じのコーナー。
夜高ミツル
川だな~
真城朔
川を登っていき……
真城朔
登っていったらなんかまた明るい感じのフロアに……
真城朔
ちょっとした休憩所とか……教育的展示とか……
真城朔
そんな感じの場所……?
夜高ミツル
「えーっと……」
夜高ミツル
フロアマップを開く。
真城朔
覗き込み……
夜高ミツル
「こっからは外に出る感じか……」
真城朔
「外……」
夜高ミツル
「イルカとかペンギンとか」
真城朔
確かに外につながってる感じで……
真城朔
ガラスのドアが行き先に見え……
真城朔
眩しげな外に目を眇めた。
真城朔
「イルカショーは……」
夜高ミツル
「15時半」
夜高ミツル
スマホを見て……
夜高ミツル
「まだ全然時間あるな」
真城朔
「ある……」
夜高ミツル
「ちょっと戻るとレストランあるっぽいから、先に飯食ってく?」
真城朔
「んー……」
真城朔
ちょっと考えてから頷いた。
真城朔
「そうしよ」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
というわけで、二人でレストランへ……
真城朔
わりと食堂ライクなレストランだった。
真城朔
海鮮丼とかもあったけど、軽めの軽食を二人で頼み……
真城朔
天井にぬいぐるみとかぶら下がってる……
夜高ミツル
ここのショップのやつなんだろうな……
真城朔
販促。
真城朔
窓から海が見えたりした。
夜高ミツル
水族館の後に行ってみようということになっている。
夜高ミツル
隅っこの方の席で二人で分け合いながら軽食をいただき……
真城朔
二人で手を合わせます。
夜高ミツル
ごちそうさまでした。
noname
 
真城朔
お昼を食べた後は改めて順路へ。
真城朔
一旦建物を出た場所にあるらしい水辺の小動物コーナーを目指し、館内を歩いていると……
夜高ミツル
途中で浅い水槽が視界に入る。
真城朔
岩場っぽい感じに作られてて……
真城朔
磯風味?
夜高ミツル
近づいて覗き込んでみると……
夜高ミツル
ヒトデとかナマコとか。
真城朔
おとなしい感じの生き物たちが……
真城朔
「磯の体験ガイド……」
真城朔
なんか書いてある。
夜高ミツル
水の中でやさしくさわってねとか……
夜高ミツル
「へー、触っていいやつか」
真城朔
覗き込んでいる……
真城朔
「あんまり」
真城朔
「動かない……」
真城朔
あんまりっていうか……
真城朔
全然動かない生き物たちがぽつぽつと……
夜高ミツル
「おとなしい感じの……」
真城朔
顔とかもよくわからない……
真城朔
「あ」
真城朔
「魚もいる」
真城朔
泳いでる……
夜高ミツル
「ほんとだ」
夜高ミツル
動く感じのやつもいるんだな……
真城朔
「魚は触ったらだめみたい……」
真城朔
魚だし……
夜高ミツル
「なるほど……」
夜高ミツル
じっ……と浅い水槽を覗き込む。
真城朔
ミツルの後ろから見る。
夜高ミツル
真城の方へ振り返る。
夜高ミツル
「触ってく?」
真城朔
「う」
真城朔
「うー……」
真城朔
ちら……とガイドとか張り出されてる写真とか注意書きを見て……
真城朔
やさしくさわってねとか……
真城朔
ひっぱらないとか……
真城朔
ちらちら見て……
夜高ミツル
見てるな……
真城朔
なまこやひとでも見て……
真城朔
「…………」
真城朔
控えめに首を振りました。
真城朔
「つ」
真城朔
「つぶしたら」
真城朔
「大変……」
夜高ミツル
大丈夫だとは思うけど……
真城朔
なんかいかにも脆そうな生き物たちで……
真城朔
嫌でも意思表示できなさそうだし……
夜高ミツル
哺乳類より分かんないから不安だろうな……とも思う。
真城朔
哺乳類はいやいやしてくれる
夜高ミツル
自分も触ったことないからよく分かんないし……
夜高ミツル
「……ん」
真城朔
しょぼ……
真城朔
「み」
真城朔
「ミツは……?」
夜高ミツル
「んー……」
夜高ミツル
「せっかくだし、触ってみようかな」
真城朔
「おお……」
真城朔
すごい……みたいになっているが……
夜高ミツル
自分が触って大丈夫だったら真城も触れるかもだし……
夜高ミツル
「えーと、手洗い……」
真城朔
ちょっと離れた場所にちょっとした手洗い場が。
真城朔
学校の手洗い場を彷彿とさせる……
夜高ミツル
そこできれいに手を洗う。
夜高ミツル
じゃぶじゃぶ……
真城朔
なんとなく真城も洗っている……
夜高ミツル
二人並んでぴかぴかになりました。
夜高ミツル
改めて水槽の前へ。
真城朔
またミツルの後ろから覗き込んでいる。
真城朔
じ……
夜高ミツル
水槽の底で佇んでいるヒトデの方に手を伸ばす。
夜高ミツル
そ……
夜高ミツル
ちゃぷ、と手が水の中に。
真城朔
はわ……
夜高ミツル
指先でそろそろとヒトデに触れる。
夜高ミツル
すり……と表面を撫でて
夜高ミツル
「ざらざらしてる……」
夜高ミツル
それからちょっと押してみたり……
夜高ミツル
「結構」
夜高ミツル
「固い感じ……」
真城朔
「固い……」
真城朔
ぱちくり……
真城朔
ミツルの手の中のヒトデを見下ろしている。
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「……ヒトデの感触、って」
真城朔
「あんまり」
真城朔
「イメージ、なかった」
真城朔
「かも……」
夜高ミツル
「普通触ることないしなあ」
夜高ミツル
「かなりしっかりしてる感じだから、真城も触って大丈夫だと思う」
真城朔
「…………」
真城朔
ミツルに言われ……
真城朔
じ……とその手の中のヒトデを見下ろし……
真城朔
「…………」
真城朔
そろ……
真城朔
そろり……と、水槽の水に手を差し入れ……
夜高ミツル
触りやすいように手をどける。
真城朔
ちょん…………
真城朔
人差し指でそっと触ってみる。
真城朔
「あ」
真城朔
「ざらざら……」
夜高ミツル
「してるよな」
真城朔
こくこく……
真城朔
「固い」
真城朔
「し」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「そういう素材」
真城朔
「って感じの……」
夜高ミツル
「独特な感じの……」
真城朔
「不思議……」
真城朔
しばらく人差し指でソフトタッチしていたが……
真城朔
それ以上は勇気が出ないのか手を引っ込めていく……
夜高ミツル
引っ込められてしまった。
真城朔
「あ」
真城朔
「サメもいる……」
真城朔
小さいサメ……
夜高ミツル
「ほんとだ」
真城朔
水槽の奥の方にいるのを発見している。
真城朔
「おとなしい」
真城朔
「ん、だろうね」
夜高ミツル
「小さいもんなあ」
真城朔
「間違っても噛んだりとか……」
真城朔
「そういうののない……」
真城朔
「サメ」
真城朔
「だけど……」
夜高ミツル
「サメも色々だな……」
真城朔
「ヒトデも……?」
真城朔
ミツルの手の中のヒトデを見下ろすが……
真城朔
このヒトデはまあまあ普通のお星様形。
夜高ミツル
いかにもヒトデって感じ。
真城朔
「なんか、もっと」
真城朔
「細長い」
真城朔
「感じだったり、も」
真城朔
「いるよね」
真城朔
ここにはいないけど……
夜高ミツル
ヒトデを水槽の底にリリースしてやる。
夜高ミツル
そ……
夜高ミツル
「テヅルモヅルとか……?」
夜高ミツル
途中の展示でいたやつ。
真城朔
「テヅルモヅル……」
真城朔
リリースされゆくヒトデを眺めつつ……
真城朔
「なんか」
真城朔
「怖かった……」
夜高ミツル
水から手を上げる。
夜高ミツル
「すごかったな……」
真城朔
「ツタみたいで……」
真城朔
「ツル……?」
夜高ミツル
「手が蔓……」
夜高ミツル
蔓みたいで……もじゃもじゃしていて……
真城朔
「迫力が」
真城朔
「すごかった……」
真城朔
こっちのひとでは……
真城朔
リリースされたのを改めて見下ろし……
真城朔
素朴。
夜高ミツル
「気が弱い子は泣いてもおかしくないんじゃないか……」
夜高ミツル
言い過ぎか?
真城朔
「演出次第では……?」
真城朔
ライトアップとかの……
夜高ミツル
「そうだな……」
夜高ミツル
ここのヒトデはこわくない。
夜高ミツル
手からリリースされた今も水槽の底でじっとしている。
真城朔
無……
真城朔
生きてるかどうかもちょっと怪しい感じの……
真城朔
生きてるんだとは思う……
夜高ミツル
よ~く見るとどこかが動いているよ、とガイドには書いてある。
真城朔
じー……
真城朔
見てるけど……
夜高ミツル
まじまじ……
真城朔
うーん……?
夜高ミツル
「動かないな……」
真城朔
「動かない……」
真城朔
わからない……
夜高ミツル
わからなかった……
夜高ミツル
わからないので次のいきものに……
真城朔
なまこもなんか……
真城朔
無って感じ……
夜高ミツル
やっぱりじっとしている……
夜高ミツル
こちらもミツルがまず手を伸ばし……
真城朔
見守っている……
真城朔
手のひらサイズの小さななまこ。
夜高ミツル
指先でちょん……と触れる。
真城朔
ヒトデと違って柔らかく……
真城朔
指先が軽く沈むような感触が……
夜高ミツル
おお……
真城朔
どきどき見ている……
夜高ミツル
ヒトデより柔らかい分、手に乗せるのはちょっと不安がある……
夜高ミツル
ので、指先でつんつんふにふにしている。
真城朔
なまこも無抵抗につんつんふにふにされている……
夜高ミツル
おとなしい……
夜高ミツル
真城にも触るか促してみる。
真城朔
え……になった。
真城朔
…………
真城朔
ふるふる……
真城朔
ヒトデを触っていない方の手でミツルの服をひし……と掴んでいる。
夜高ミツル
強めに遠慮されてしまった……
真城朔
なんかこわい……
真城朔
なまこに比べたらヒトデはまだ形あるいきものってかんじした……
夜高ミツル
怖がっているようなので無理強いはせず、ミツルも手を引く。
真城朔
ほ……
真城朔
何故かほっとしている。
夜高ミツル
ほっとしている真城を連れて再び手洗い場へ。
夜高ミツル
手を洗い……
真城朔
じゃぶじゃぶ
夜高ミツル
きれいになりました。
真城朔
ミニタオルで手をふきふき……
夜高ミツル
タオルをしまって、手を繋ぎなおす。
真城朔
握り返して……
真城朔
「水辺の小動物コーナー」
真城朔
「あっち、だって」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
表示を示し……
夜高ミツル
案内に従っててくてくと……
真城朔
一度外へと出て、すぐにまた建物。
真城朔
ほとんど日光には当たらずに済んだ。
真城朔
相変わらず外は陽射しが強い……
夜高ミツル
9月って夏だったんだな……
真城朔
かなり夏……を体感しつつ、建物の中へと避難すると……
真城朔
柱っぽい感じのところにビーバーの絵が。
真城朔
水辺の小動物。
夜高ミツル
柱を回り込んで、左手の水槽へ。
真城朔
ビーバー。
真城朔
いた。
真城朔
すいすい~って泳いでる……
真城朔
水面を……
夜高ミツル
「泳いでる……」
真城朔
「しっぽ」
真城朔
「平たい……」
夜高ミツル
「毛が生えてないし……」
真城朔
「ゴムベラみたいな……」
夜高ミツル
「そんな感じ」
真城朔
水槽は半分よりちょっと上くらいまでが水で満ちていて……
真城朔
それより上は陸地みたいな感じ。
真城朔
なので、泳ぐ姿を横から眺めて……
真城朔
ビーバーが上がっていくのは見上げる感じになる。
夜高ミツル
「足にヒレがある」
真城朔
「泳ぐ生き物……」
夜高ミツル
「顔とか身体とかは水の生き物って感じないのにな」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「…………」
真城朔
ビーバーを見る。
真城朔
なんだろうなこの生き物……
真城朔
「……おっきい」
真城朔
「ねずみみたいな……」
夜高ミツル
ちら、と解説パネルに目をやる。
夜高ミツル
「齧歯目だから」
夜高ミツル
「ネズミの仲間、だよな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
「前歯が強い」
真城朔
陸地と水の境目のあたりに……
真城朔
木がで作られたビーバーのダムがある。
夜高ミツル
「木をかじり倒すんだよな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
言わないでいるけど……
真城朔
ビーバーのモノビとやったことがある……
真城朔
歯が強かった……
真城朔
「ダム」
真城朔
「作ってる」
真城朔
言わないで指差しています。
夜高ミツル
そんなことはつゆ知らず……
夜高ミツル
「水族館でもちゃんとダム作るんだなー」
真城朔
「習性……」
真城朔
すい~っと泳いでいたビーバーが陸の上に上がっていく。
夜高ミツル
その姿を目で追う。
真城朔
アングルの事情でちょっと見えづらいけど……
真城朔
なんか食べてるのかな……
夜高ミツル
なんか背中が小刻みに動いているのは見える。
夜高ミツル
食べてるっぽい……わかんないけど……
真城朔
濡れた茶色い毛の塊って感じ……
真城朔
平たいしっぽが生えてる。
夜高ミツル
泳ぐのに適した感じになってる。
夜高ミツル
ネズミの仲間なのに……
真城朔
水辺のネズミ。
真城朔
水辺のネズミの次は……
真城朔
「カワウソ」
真城朔
「寝てる……」
真城朔
同じ茶色い生き物だけど、今度はなんだかひょろ長い。
真城朔
二匹が陸に上がって腹ばいになったりお腹を見せたりしている……。
夜高ミツル
ころころ……
夜高ミツル
「結構でかいな……」
夜高ミツル
「カワウソってもっと小さいイメージあったけど……」
真城朔
「おっきいイタチって感じ……」
夜高ミツル
パネルを見る。
夜高ミツル
「ユーラシアカワウソ」
真城朔
「ユーラシア」
夜高ミツル
「よく聞くのってコツメだよな」
真城朔
「なんか」
真城朔
「ちっちゃいらしい……」
夜高ミツル
「かわいくてなんか……人気の……」
真城朔
「ここは……」
真城朔
次の水槽をちょっと見てみたけど……
真城朔
カワウソじゃない……
真城朔
「ここはユーラシアカワウソだけ……」
真城朔
はらばいになって……
真城朔
ごろごろしているユーラシアカワウソたち……
真城朔
仲良しって感じ。
真城朔
「カワウソは」
真城朔
「しっぽ、平たくない……」
夜高ミツル
「しゅっとしてる……」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「哺乳類、ってより」
真城朔
「爬虫類っぽい感じの」
真城朔
「形……」
夜高ミツル
「水辺の哺乳類でも全然違うな……」
真城朔
「ビーバーは、なんか」
真城朔
「ずんぐりしてた……」
真城朔
まるまる……
夜高ミツル
「こっちは細い感じ」
夜高ミツル
「俊敏そうな……」
夜高ミツル
今はごろごろしてるけど……
真城朔
おなかがしろっぽい……
真城朔
「寝息が……」
真城朔
寝息というか……
真城朔
「おなか」
真城朔
「ふくらんだり……」
真城朔
寝てるから……
夜高ミツル
「腹上にして寝るんだな……」
夜高ミツル
「野生じゃないからか……?」
真城朔
「かも……」
真城朔
「隣の子、は」
真城朔
「違うし……」
夜高ミツル
隣の方はそこまであけっぴろげな寝相じゃない。
真城朔
まるい毛の塊になってる。
夜高ミツル
「まあ、こういう寝方ができるくらいリラックスできてるならいいことだな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
おなかを上にして手足を投げ出して……
真城朔
人の目もはばからず……
真城朔
「あ」
真城朔
腹ばいになってる方が……
真城朔
むくっと起き上がって……
夜高ミツル
起きた……
真城朔
そのまま水の方へ……
真城朔
ちゃぽん
真城朔
すいーっ……
夜高ミツル
やっぱりビーバーより俊敏な感じ……
真城朔
シルエットも細長い。
真城朔
頭から飛び込んだ勢いのまますい~っと泳いで、そのまま水中で弧を描いて水面に顔を出し……
真城朔
また顔から沈め……
真城朔
ガラスの水槽を蹴って勢いをつけたり……
夜高ミツル
「器用だな……」
夜高ミツル
「ガラス分かるんだな」
真城朔
「泳ぐのがうまい……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「透明なのに……」
夜高ミツル
ぶつかるんじゃないかとハラハラしたけど、全然平気だった。
夜高ミツル
しばらくそのまますいすいーっと泳いだかと思うと、また地上に上がり……
真城朔
水の跡を残しながらころんと……
真城朔
濡れカワウソ
夜高ミツル
毛皮がぺったりしてる。
真城朔
「こっちは」
真城朔
「ダム、ない」
真城朔
「ね」
真城朔
作らない……
夜高ミツル
「作ってないなあ」
真城朔
「歯もそんなに」
真城朔
「強くなさそう……」
真城朔
ビーバーは前歯の存在感がすごかった……
夜高ミツル
「ねずみじゃないもんな」
夜高ミツル
ビーバーもねずみではないが……
真城朔
「イタチとかテンとか……」
夜高ミツル
ちら、と再度パネルを見る。
夜高ミツル
「でも、食肉目だから肉食だよな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
こくこく……
真城朔
そもそもイタチが肉食だし……
夜高ミツル
「強そうに見えないだけで……」
真城朔
「魚とか」
真城朔
「じゃない?」
真城朔
「食べるの……」
夜高ミツル
「そうだな……」
真城朔
「あ」
真城朔
「でも」
真城朔
「サル襲うとか」
真城朔
「そういう話は……」
真城朔
あったかも……
真城朔
小声になっていく。
夜高ミツル
「サルを…………?」
真城朔
「サルを……」
夜高ミツル
ころころと地面に寝転んでいるカワウソたちを見やる。
真城朔
「集団で……」
真城朔
ミツルにつられてカワウソを見る。
真城朔
のんびりころころしている……
夜高ミツル
「集団で……」
夜高ミツル
オウム返ししながらカワウソを見ている……
真城朔
ここのカワウソたちは平和。
真城朔
むくりと頭をもたげ……
真城朔
つぶらなひとみ……
夜高ミツル
口元がωって感じの形をしている。
真城朔
ひげが長くて……
夜高ミツル
かわいいいきもの……という顔をしている。
真城朔
「……たぶん」
真城朔
「ここのカワウソは、猿とか」
真城朔
「食べないと思うから……」
夜高ミツル
「そうだな……」
夜高ミツル
ここの二匹は平和そうにしている……
真城朔
餌をもらったりしてるのだろう……
夜高ミツル
よかった……
真城朔
なんとなく安心しつつ……
真城朔
次はアザラシ。
真城朔
ずんぐりむっくりしたシルエットが水の中に。
夜高ミツル
まるまる……
真城朔
すい……
真城朔
すいすい……
真城朔
「……あざらし」
真城朔
「って」
真城朔
「思ったよりこう……」
真城朔
「…………」
真城朔
見ている。
真城朔
「おっきい……」
夜高ミツル
「でかいな……」
真城朔
「見るたびに思う……」
夜高ミツル
「存在感がある……」
真城朔
「まるまるしてる……」
夜高ミツル
「寒いところの生き物だから脂肪が……」
真城朔
「たっぷり……」
夜高ミツル
「もちもちしてそう」
真城朔
「ぷよぷよかも……」
真城朔
頭の悪い会話をよそに、アザラシはすい~っ……
真城朔
す~っ……
夜高ミツル
すいすい……
真城朔
泳ぎが上手い。
真城朔
当たり前だけど……
真城朔
「あと」
真城朔
「思ったより、なんか」
真城朔
「ひれが……」
真城朔
「魚っぽい」
夜高ミツル
「だなあ」
夜高ミツル
「手も足も……」
夜高ミツル
「ビーバーとかはまだ足の間にヒレがある感じだったけど」
真城朔
「かわうそとかビーバーより……」
真城朔
うんうん……
真城朔
こくこく
真城朔
「最初から」
真城朔
「魚の形というか……」
夜高ミツル
「めちゃくちゃでかくて太い魚みたいな……」
真城朔
「そんな感じ……」
真城朔
「まるい……」
夜高ミツル
まるまるの生き物がすいすい目の前をよぎっていく。
真城朔
でっぷり……
真城朔
「……あと」
真城朔
「黒い……」
夜高ミツル
「もっと白いイメージあるよな……」
夜高ミツル
「あれ小さい頃だけか?」
真城朔
「かも……?」
真城朔
「こう」
真城朔
「白くてふわふわのイメージが……」
真城朔
目の前のアザラシは……
真城朔
黒いし毛もないけど……
夜高ミツル
「ニュースでたまに見るのとかそんな感じだよな」
真城朔
「やっぱ」
真城朔
「かわいいから取り沙汰されるのかな……」
真城朔
でもまあ……
真城朔
気ままに泳いでいるアザラシを眺めている。
真城朔
「愛嬌は」
真城朔
「ある」
真城朔
「かも……?」
真城朔
まんまるで……
夜高ミツル
「そうだな」
夜高ミツル
ヒレをゆらゆらさせながら泳いでいる。
真城朔
「まんまるでっぷりで……」
真城朔
「気ままな感じ……」
夜高ミツル
「ずっと泳いでるな……」
夜高ミツル
水槽の真ん中に柱のように岩があって……
夜高ミツル
その周りをくるくるすいすいと泳いでいる。
真城朔
「カワウソとか、ビーバーより」
真城朔
「泳ぐの好きなのかも」
真城朔
「あ」
夜高ミツル
「そういう形になってるもんな……」
真城朔
「肥えてるから」
真城朔
「身体、冷えない」
真城朔
「とか?」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「そうかも」
真城朔
「ずっと水の中でも」
真城朔
「平気……」
真城朔
すいすい……
夜高ミツル
気まま……
真城朔
気ままなラッコをのんびり見ていき……
真城朔
次のコーナー……
真城朔
は……
真城朔
「あれ」
真城朔
シャッターが閉まっている。
夜高ミツル
「閉まってる……」
真城朔
なんか張り紙があって……
真城朔
「ウミガラス」
真城朔
「設備の不具合……?」
真城朔
けっこうなんか……
真城朔
座って見られる感じの広めのコーナーになってるんだけど……
夜高ミツル
メインコーナーっぽい雰囲気が……
夜高ミツル
「見れないのかー」
真城朔
しまっちゃってる。
夜高ミツル
「残念」
真城朔
「うん……」
真城朔
ちょっとしょんぼりしつつ……
真城朔
通り過ぎていく途中に自動販売機のコーナーとか……
真城朔
水族館オリジナルプリクラのコーナーとかあるけど……
夜高ミツル
そういうのはしない……
真城朔
「飲み物」
真城朔
「大丈夫?」
真城朔
喉乾いてないかは心配になった。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
そういえば朝買ったお茶がもう空になってた……
夜高ミツル
「ん、買ってく」
真城朔
「天気」
真城朔
「夏だし……」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
真城朔
ほっ……
夜高ミツル
「ありがと」
真城朔
「ん……」
真城朔
このあたりは出口が近いので、外の陽射しの強さが感じられる。
夜高ミツル
施設の中は薄暗いのでなおさら……
真城朔
まぶし……
夜高ミツル
自販機でお茶を買う。
夜高ミツル
水分補給……
真城朔
大事。
真城朔
そのまま一旦順路に従って外へ……
真城朔
外……
真城朔
まぶし……
真城朔
目を眇めている。
夜高ミツル
いろんな施設の間みたいなところに出た。
夜高ミツル
「えーっと……」
夜高ミツル
案内を探し……
真城朔
ミツルの手を握っている……
真城朔
きょろ……
夜高ミツル
「ここがイルカショーのプールで……」
夜高ミツル
スマホを見る。ショーまではまだまだ。
真城朔
14時に始まったショーはもう終わっていて、隙間の時間。
夜高ミツル
「奥がイルカのプールっぽい」
夜高ミツル
「あっちから見てみるか」
真城朔
「イルカのプール……」
真城朔
頷いた。