行動 リリオ

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GM
1d6 (1D6) > 2

17日目

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リリオ
1d12 (1D12) > 8
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リリオ
8 口笛。仲間がなんとなしに吹いたそれが、今をあの日と結びつける。
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リリオ
馬車の荷台で揺られている。
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こよみ
がたごと……
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ユキ
がたごと……
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GM
積み上げられた荷物の上に座らせてもらっている。
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こよみ
でっかいのがどーんと座ってます。
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ユキ
不安定……
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リリオ
長時間揺られていると疲れそうだな~。
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GM
積み荷の護衛を兼任しての馬車での移動。
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リリオ
荷物の間に、半ば寝そべるようにだらっと腰掛けている。
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こよみ
それでも歩いているよりマシなのが堕落の国。
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リリオ
風が気持ちいい。
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ユキ
はやい!
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こよみ
耳がそよそよ揺れる。
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ユキ
右に揺れたり左に揺れたり、
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リリオ
風に捲られた外套を直す。
その下の短剣の硬い感触。
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ユキ
なにかに車輪が引っかかると、浮いてはお尻をぶつけて悲鳴を上げたり。
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ユキ
ふぎゃ。
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こよみ
ぴにゃあ。
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リリオ
「わっ、はは」
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こよみ
ばいんって揺れる。
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ラタス
ラタスは前の街で買った酒を飲んでいてご機嫌です。
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ユキ
髪の毛が揺れます。
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ユキ
他に揺れるところは特に……ない。
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リリオ
もう一度外套の上から短剣を触る。
落ちていないか、念の為の確認だ。
それ以上の意味はない。
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こよみ
「リリオちゃん」
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こよみ
「リリオちゃん、なにか気になる?」
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ユキ
「ん」
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リリオ
「ん、別に」
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ユキ
「どうかしたの?」
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こよみ
「なってない?」
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こよみ
「なんだか、なんだかなにか」
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ラタス
ラタスは口笛を吹いている。
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こよみ
「気にしてる感じがなにか、リリオちゃん」
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こよみ
「こよみ気になって……」
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リリオ
「風が強くて、外套がめくれるな~って」
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こよみ
「風」
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こよみ
耳がそよそよ~
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ラタス
元の世界の流行りの歌だ。
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ユキ
「ラタスはご機嫌ね……」
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ユキ
「気分悪くならない?」
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ユキ
「こんなに揺れ……んぎゃ」
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ユキ
揺れた。
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こよみ
「ラタスうれしそう」
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リリオ
「お、いいね~。今の気分にぴったりの曲だ」
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ユキ
「揺れて……」
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ユキ
「お酒まで……」
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こよみ
「リリオちゃん知ってる?」
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こよみ
「知ってる曲?」
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ラタス
「おれは乗り物酔いしないからなぁ」
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リリオ
「知ってる曲だよ~」
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ユキ
「そう……」
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ユキ
「大丈夫ならいいけど」
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リリオ
「こよみにも教えよう」
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こよみ
「知りたい!」
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こよみ
「教えられる~」
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こよみ
「どんな曲、どんな曲なの?」
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こよみ
「今の気分にぴったりな、どんな曲?」
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ラタス
上層から引かれたパイプを傍受し、スピーカーで増幅して聴いた曲。
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リリオ
「流行りの曲でね~」
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リリオ
「ふんふんふんふ~ん、ふふふんふ~ん」
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ラタス
必然的に、ハモるかたちになる。
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こよみ
「えっと、えっとえっとえっと」
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ユキ
ハモってる……
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こよみ
「ふふんふ……」いきなり外した。
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リリオ
「はい、一緒に!」
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こよみ
「あぅ」
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こよみ
「ふ」
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リリオ
「ふんふん」
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こよみ
「ふ」
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こよみ
「ふんふん」
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リリオ
「ふふーん」
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こよみ
「ふ」
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こよみ
「ふーん」
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リリオ
「うまいうまい」
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ユキ
「……ふんふん ふふーん」
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ユキ
小声で真似してる。
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ユキ
こそ……
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こよみ
「えへへ」
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リリオ
「お、ユキもうまいうまい」
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リリオ
「ちゃんと音取れてる」
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ユキ
「そ、そう……?」
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こよみ
「ふんふんふーふん」
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ラタス
おれが一番上手いが? って顔でめちゃめちゃ上手い口笛を披露し続けている。
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ユキ
こっそりしてたのに……
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こよみ
やや調子外れに鼻歌してます。
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リリオ
ラタスが口笛が上手いのは知っているので、特に言及しない。
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こよみ
ずれてはいるが楽しそうではある。
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ユキ
口笛ができないので、ユキも鼻歌で。
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リリオ
メロディがまとまってきたので、自分も口笛に切り替える。
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ユキ
四人仲良く。
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こよみ
ちょこちょこ外れつつも奇妙な四重奏ががたごと音を伴奏に。
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リリオ
先に判定しちゃいますね
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ユキ
いっちゃえ~
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こよみ
ティーセットもらいましょう
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ユキ
ティーセットあげます
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リリオ
ティーセットもらいます
[ リリオ ] ティーセット : 0 → 1
[ ユキ ] ティーセット : 1 → 0
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リリオ
* クエストはオールで
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リリオ
* 汚れた手を抉ります
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GM
おっけー
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リリオ
2D6+3+2 (2D6+3+2) > 4[1,3]+3+2 > 9
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GM
成功です。
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GM
じゃあそうですね、ラタスに過去の話を聞くといいと思います。
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リリオ
私が……?
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リリオ
私だなぁ……
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こよみ
リリオちゃんだね……
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ユキ
リリオ!
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リリオ
過去の話聞きたくない……
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リリオ
聞くが……
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リリオ
気分よく合奏を終える。
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リリオ
「いやー、みんな上手い上手い」
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こよみ
「えへへえへへへ」
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ユキ
ふふ~ん……
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こよみ
「リリオちゃんが教えてくれた!」
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ラタス
「ははは」
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ユキ
「ラタスとリリオのいたとこの曲なのよね?」
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GM
みんながいるところで聞きづらいなら二人きりのシーン作りますよ。
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リリオ
「そうそう、僕も今聞くまで忘れてたよ」
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ラタス
「そうだな」
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リリオ
いや……がんばります……二人きりになるのが怖い……
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ユキ
「どこにでも歌ってあるのねえ」
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ユキ
「当たり前なのかもしれないけど……」
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こよみ
「こよみ歌よくしらないから」
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こよみ
「おぼえてるのすごい!」
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ユキ
「全然違う世界のはずなのにね」
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リリオ
「そうだねぇ」
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ラタス
「おれんところは暗かったからなぁ、割と音楽って大きい娯楽だったな」
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リリオ
「ラタスは、この曲に何か思い入れが?」
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こよみ
「歌とか音なら暗くても聞こえるもんね」
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ラタス
「いや、ただ流行ってたってだけだな」
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リリオ
「流行ってたね~。結構どこでもかかってた」
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ユキ
「へ~」
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こよみ
「大人気!」
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ラタス
「上が流行ってる曲が下でも流行るんだよ」
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ラタス
「みんな傍受したやつ聞いてるから」
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こよみ
「上から下、上から下に?」
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こよみ
「ぼうじゅ」
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ユキ
「傍受……」
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ラタス
「なんか……管から音が聞こえてくるんだよ、うまいことやると」
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リリオ
「管は多かったからな~」
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ユキ
「管がいっぱい……」
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リリオ
「こっちの世界はすっきりしてて驚いたよ」
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こよみ
「くだからおとが……」
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ユキ
「ネットもないのにどうやってそんなに流行るのかしらって思ったけど……」
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こよみ
「ねっと?」
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ユキ
「なるほど……」
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リリオ
「ねっと?」
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ユキ
「あ」
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ラタス
「寒い日はなんか温かい管にみんな張り付いて寝てるからな」
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こよみ
「あみ……?」
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ユキ
「えっと……」
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ユキ
「インターネットっていうのがあって……」
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こよみ
「いんたあねっと」
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こよみ
もっとわかんなくなった……
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ユキ
「こう、例えば絵とか音楽とかをね」
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リリオ
「温かい管にも色々あるけどね……」
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ユキ
「遠くに送れるの」
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こよみ
「お手紙?」
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リリオ
触ると火傷するくらい熱いものとか。
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こよみ
「あ、でもお手紙」
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こよみ
「お手紙じゃ音楽おくれない……」
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ユキ
「うん」
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ユキ
「それに、ネットは手紙みたいに時間差とかないのよ」
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ラタス
「意味わからないな」
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ユキ
厳密にはあるのだがユキはよく知らない……
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リリオ
「時間差がない手紙かぁ」
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こよみ
「ふえ……?」
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こよみ
ぜんぜんそうぞうつかない……
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リリオ
「なんだかオカルトめいてるな~」
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こよみ
「お手紙書いたらすぐ読んでもらえるの?」
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ユキ
「うーんと遠いところの、たくさんの人が、同じ曲を同じ時間に聞いたりできるの」
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こよみ
「遠くの人に?」
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ラタス
完全に絵がテレポートしてるのを想像している。
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ユキ
「うん」
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こよみ
「……???」
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リリオ
レコードがテレポートしているのを想像している。
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こよみ
「みんなお耳長いのかな……」
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ユキ
「あたしもあんまりちゃんと分かってないから……」
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こよみ
でもユキはこよみみたいなおみみしてない……
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ユキ
「うまく説明できないわね……」
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こよみ
「むずかしい」
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ラタス
「なんか結構裕福な世界みたいだよな」
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こよみ
こよみの知ってる世界堕落の国とあんまり変わらない……
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ユキ
「とにかく、そういうのがあったからね、国中の人が同じものを知って好きになったりしてたの」
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こよみ
本当は堕落の国よりはだいぶマシだったのだが、奴隷だったのであんまり知らない。
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ユキ
「……そうねぇ」
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リリオ
「便利そうだな~」
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ユキ
「世界の中でも結構差があって……」
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こよみ
色々想像しようとしています。
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ラタス
「おれたちが好きで共通してるの、温かい管くらいだからな」
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ユキ
「あたしがいたのは、かなり恵まれてる方の国ね」
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ラタス
「温かい管はみんな好きだった」
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ユキ
「あったかい管……」
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リリオ
「…………」
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こよみ
「あったかいもの、あったかいとうれしいもんね」
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ラタス
「おっさんも女もみんな温かい管に張り付いてたよ」
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こよみ
「さむいのつらいもん」
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こよみ
「こよみもさむいの苦手だよ、あんまり好きじゃないよ」
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こよみ
「あったかい管は知らないけど……」
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リリオ
寒くて温かい管に張り付いた記憶などは、ない。
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ラタス
「たき火とかも楽しいもんな~」
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リリオ
同じ世界でも、ラタスのいた所と、自分のいた所は違う。
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こよみ
「すき!」
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ユキ
「焚き火って、こっちに来てから初めてしたのよね……」
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ユキ
「はじめはちょっと怖かったわ」
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ラタス
「適温の温かい管、だいたい誰かが縄張りにしてて、金取られるんだよな」
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リリオ
「慣れると結構楽しいよねぇ、焚き火」
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こよみ
「お金を取られるあったかい管……」
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こよみ
「焚き火は集めて火つけたらお金かからないから」
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こよみ
「焚き火、楽しいしお金かからないから、こよみは焚き火が好き」
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ラタス
「枝が落ちてるの、マジか~! って思ったもんな」
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リリオ
温水の通る管を増やして、下層で凍死する人を減らせないか努力したことがあった。
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こよみ
「枝、枝珍しい? 珍しかった?」
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ラタス
「地下には植物ないからな~」
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ユキ
「え」
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ユキ
「あ」
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リリオ
普通に資金を集めきれずに頓挫したけど。
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こよみ
「はっぱない?」
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ユキ
「日が差さないから……」
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ラタス
「葉っぱないな~」
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こよみ
「日がささないとはっぱないの?」
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ユキ
「植物は太陽の光で成長するから」
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ラタス
「なんか燃やせるゴミを買ってきて、燃やしたりはよくしてたよ」
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こよみ
「ほえ……」
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こよみ
空を見上げます。青空ではないが太陽の光は分厚い雲越しに辛うじて透けている。
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こよみ
「燃やせるものもお金かかる……」
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こよみ
「お金のかかる焚き火……」
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こよみ
たいへん……
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ラタス
「煙が臭いんだよな~あれ。枝の煙は臭くないからいい」
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ユキ
「大変だったのね……」
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リリオ
上層の燃やせるゴミは、結構人気があった。
ゴミを持っていくだけで、それなりに喜ばれたものだ。
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ラタス
「まあ、なんかそんな感じで何をするにも金がな」
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ユキ
「……それでも」
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ユキ
「ラタスは帰りたいのね」
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こよみ
「いっぱいたいへんなとこ」
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リリオ
面倒を見ている子供がいる、と言っていた。
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ユキ
帰る、という言葉に自分でしょんぼりしてる。
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こよみ
「ラタス、好きじゃないんじゃなかった……?」
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ラタス
「まあ、だからこそだな」
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リリオ
それは仕方がない。ラタスは帰るべきだ。
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ユキ
「だからこそ……」
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ラタス
「まあ、半年か」
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こよみ
「………?」
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こよみ
むづかしい……
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ラタス
「いや、ガキの世話をしてたんだよ」
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ユキ
「あ」
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ラタス
「まだ生きてるといいんだが」
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こよみ
「えっ」
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こよみ
「ラタスのこども!?」
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ユキ
「え!?」
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リリオ
「はは」
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ラタス
「いや、親のいないガキがいっぱいいるんだよ」
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こよみ
「あっ……」
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ユキ
「そ」
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ユキ
「そう」
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リリオ
「ラタスはつい最近まで純潔だったしな~」
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ユキ
「そうよね……」
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ユキ
「そうよ……」
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ラタス
「人って結構ほいほい増えるしな~」
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ユキ
「ラタスの子供がいたらおかしいわ」
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こよみ
そうだった……
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ユキ
「もう、こよみが変なこと言うから!」
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ラタス
「純潔って言うな!」
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こよみ
「あうあうあぅ」
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リリオ
「ははは」
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こよみ
「ごめん、ごめんね、ごめん」
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こよみ
「びっくりして……」
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ユキ
「もう……全くもう……」
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こよみ
しゅん
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ユキ
「えっと、身寄りのない子供ね」
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ユキ
「その子たちのお世話をしてたのね……」
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こよみ
「お父さんがわり!」
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ユキ
「ラタスがお父さん……」
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ラタス
「よく、例の青い窓から、上に行く方法を考えたりしてたよ、ガキと」
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ラタス
「それで何がしたいとか話したりしてな」
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こよみ
「何が、何がしたかった?」
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ラタス
「あ~、ははは」
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ラタス
笑って誤魔化す。あの紙を出すわけにはいかない。
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こよみ
「?」
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リリオ
「果物と、海と、女?」
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ラタス
「ははは」
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ユキ
「ほら、その話でメモを……」
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リリオ
「オールはどうだったんだろうな」
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ラタス
「はははは」
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こよみ
「!」
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ユキ
とったじゃない、とこよみにひそひそ……。
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こよみ
とった……
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こよみ
こよみわすれてた……
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こよみ
いろいろあったからわすれてた……
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ユキ
そこから始まった話なのよ……
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ユキ
一連の騒動が……
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こよみ
そういえば……
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ラタス
「この人工肺もクソ高いんだぜ」
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ユキ
「高そう……」
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リリオ
安くはないな~
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ラタス
「一番いい感じのあったかい管を20年分くらい使える」
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ユキ
「にじゅうねん…………」
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こよみ
「あったかい管とずっといっしょ」
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ユキ
年間100万円だとしても2000万円……
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こよみ
「…………」
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ユキ
わかんないけど……
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こよみ
そういえばけっこうあったかかったかも……
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ラタス
「ガキ3人養うのも大変で……ってそんな話ばっかしても仕方が無いな」
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こよみ
というようなことを思い出しています。
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リリオ
自分を暗殺した場合、どのくらいの金をラタスは得たのだろう。
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こよみ
もごもご……
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ユキ
「あたしのいたとこでも、たくさん子供がいるうちは大変って聞いたわ」
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ユキ
「きっともっと大変なのよね……」
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ラタス
「世知辛いな~」
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リリオ
僕の生首でも持って帰ったら換金できるかもな~、死ぬ気はないけど~。
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こよみ
「でも子どもいると子どもはたらけるから……」
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こよみ
「はたらけるようになるまではたいへんだけど……」
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ラタス
なんか深刻な空気になってきたので口笛を吹いて誤魔化そうとしている。
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ユキ
「……そういえば」
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ユキ
「リリオはラタスと一緒に帰るの?」
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こよみ
「?」
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リリオ
「え?いや?先着1名様らしいから」
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こよみ
「あ」
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こよみ
「え」
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こよみ
「う?」
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ユキ
「あ」
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ユキ
「そうなの……?」
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ユキ
ラタスを見る。
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ラタス
「はは、そうだなぁ」
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ラタス
酒を呷る。
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こよみ
「…………」
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ユキ
「そっか……」
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リリオ
「まぁ、子供がいるんじゃね~」
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リリオ
「譲らざるを得ないっていうか。しょうがないよね」
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ラタス
リリオの観てきた下層を考えればわかることだろう。
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ラタス
庇護の無い子供は半年も生きられない。
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こよみ
「こよみ、こよみべつにそんなに帰りたくないし」
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こよみ
「ラタスが帰りたいなら……」
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こよみ
「…………」
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こよみ
さみしいけど……
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こよみ
離れたくないけど……
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リリオ
「ちなみに、だけど。
ラタスが面倒見ていた子供って、他に頼る宛はあるの?」
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ラタス
「……ねーな」
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リリオ
「ないか」
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ユキ
ラタスは帰るし、もうこの旅も終わりに近づいている。
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ユキ
お別れの日が迫っている。
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リリオ
「蓄えとかは?」
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こよみ
寂しいを再確認して落ち込んでいます。
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ラタス
「カツカツだったからな……」
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リリオ
「そうか……」
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ラタス
「どうした?」
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ユキ
馬車の行く先を眺めている。
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ユキ
道がうんと長くなって、ずっと着かなければいいのに……とか
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ユキ
そんな馬鹿なことを考えてみたり。
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リリオ
「……いや、元気だといいな」
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ラタス
「だなぁ」
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ユキ
迷って迷って、元来た方向に引き返してしまったり。
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ユキ
そんなことが起きたらいいのにな。こんなことを考えるのは正しくないけど、でも妄想くらいは許してほしかった。
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リリオ
少し静かになったこよみとユキを見る。
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こよみ
がたごと揺れる足元を見ています。
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ユキ
妄想したようなことは起こらなくて、きっとあと数日もしたら目的地に着いてしまうんだろう。
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リリオ
ラタスの隣に移動して、腰を下ろす。
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ラタス
「ん、なんだなんだぁ?」
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ラタス
呑むか?
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ラタス
酒を寄こす。
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リリオ
「いや、いい」
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リリオ
小声で聞く。
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リリオ
「僕を殺したら、どれくらい温かい管を得られる?」
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ラタス
「確かそうだな……8年分くらいだったか」
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リリオ
「結構確保できるな」
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ラタス
「要人は高い」
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リリオ
「それ以外は安い?」
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ラタス
「普通の仕事じゃあ、一年分にも満たない」
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ラタス
「それでも割のいい仕事だ」
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リリオ
「そうだな」
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リリオ
「子供たちは、ラタスの仕事を知っていたのか?」
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ラタス
「隠してはいた」
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ラタス
「だがまあ、血のにおいでもすりゃ勘づいてるだろうよ」
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リリオ
「賢い子供だったんだな」
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ラタス
「おれが育てたからな!」
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リリオ
「はは」
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ラタス
「だいたいの”仕事相手”は、おなじ下層民だ」
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ラタス
「まあ、自分らと何ら変わらない奴らってことだな、殺してきたのは」
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リリオ
「……何歳くらいからその仕事を?」
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ラタス
「だいたい14歳」
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リリオ
「ラタスの子供は、今何歳だ?」
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ラタス
「一番上で12とかだな」
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リリオ
「じゃあ……そうか」
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リリオ
「半年経過していても、帰りたくはなる」
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ラタス
「まあ、歳が届いてても、させるつもりはない」
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ラタス
「わからなくなってくるんだよな、殺しすぎると」
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ラタス
「なんで自分が生きているのか、相手が死んでいるのか」
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リリオ
分からない話ではない。リリオも救世主を殺して、ここまで生きてきた。
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ラタス
「だから、30日ルール」
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ラタス
「あれを知ったとき、愕然とした」
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ラタス
「同じことを繰り返すのかと思った」
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リリオ
「そうだなぁ」
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リリオ
「いつかは引退するつもりだったのか?」
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ラタス
「そう、なんだが」
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ラタス
「そのはずだったんだが」
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リリオ
「できなくなったなぁ」
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リリオ
「そりゃあ戻りたくもなるよ」
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ラタス
「ガキを3人養ってちゃ、どっちにしろ無理だった」
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リリオ
「…………」
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ラタス
「いいか」
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ラタス
「おれは選んでいる」
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ラタス
「大切なものを、特別だと思うことを守るには」
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ラタス
「誰かを殺す以外にない世界に生きてきた」
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ラタス
「ここもそうだ」
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ラタス
「生きるにはそれしかない」
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リリオ
「ここは、そうだね」
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ラタス
「……おれは、それを上手くやれていると、思っていたんだが」
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ラタス
「この堕落の国は、身体だけ無事でも意味がないみたいなんだよな」
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ラタス
「心が死ねば亡者になる」
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リリオ
「過酷な土地だねぇ」
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ラタス
「ああ」
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リリオ
「でも、半年生きてきた」
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ラタス
「ああ」
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リリオ
「いや~、世知辛いね~」
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ラタス
「世知辛いねぇ」
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ラタス
「その期限がわかったから」
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ラタス
「おれはあの手紙を書いた」
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リリオ
「手紙?」
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ラタス
「読んだろ?」
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リリオ
「読んだけど、急用があることしかわかんなかったな~」
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ラタス
「ははは」
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ラタス
「あの少女の救世主を殺したとき」
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ラタス
「これ以上は無理だとわかった」
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ラタス
「だからおれはお前らを置いて出たんだ」
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ラタス
「ずっと聞きたかった話だろ? リリオ」
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リリオ
「…………」
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リリオ
「日記があったね」
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リリオ
「贈り物みたいな化粧品も」
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ラタス
「そうだなぁ」
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リリオ
「僕も結構、かなり、嫌だった」
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リリオ
「殺したくなかった」
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ラタス
「ああ」
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リリオ
「ラタス」
avatar
リリオ
「君は、そんな世界に僕達を置き去りにしようとしている」
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ラタス
「ああ」
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リリオ
「世知辛いねぇ」
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ラタス
「悪いな」
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リリオ
「いいってことよ」
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ラタス
「あの二人の世話、頼めるか」
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リリオ
「仕方ないな~」
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リリオ
「でも、そういうのは明け方に抜け出す前に言って欲しかったな~」
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ラタス
「……そうだな」
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ラタス
「そうだ」
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ラタス
「それは、本当に」
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ラタス
「そう思う」
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リリオ
「ははは」
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ラタス
「悪かったな」
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リリオ
「いいよ、今言ったから」
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ラタス
「リリオ」
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ラタス
「上層には、鳥っていたか?」
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リリオ
「……いた」
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ラタス
「おれはこの世界にきて初めて鳥を見た」
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ラタス
「亡者になって飛べるようにもなろうなら」
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ラタス
「きっと青空の向こうにいけるだろう」
avatar
リリオ
「…………」
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ラタス
「知ってるか? 亡者になってしばらくは、意識が残っているらしい」
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ラタス
「飛んで元の世界に戻れば、あとはたった1往復」
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ラタス
「変わらず青い窓の見える庭で待つあいつらを」
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ラタス
「窓の向こうに運んでやることくらいはできるだろうさ」
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ラタス
「どのみち終わるなら、悪い賭けでもない」
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リリオ
「ラタスは、亡者になる気なのか?」
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ラタス
「言ってるだろ」
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ラタス
「なる気なんじゃない」
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ラタス
「もう砂時計の砂は落ちきっているとわかっている」
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リリオ
「…………」
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ラタス
「それだけだ」
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リリオ
「そうか」
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リリオ
「あーあ、僕も抱かれておけばよかったかな」
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リリオ
笑って、立ち上がる。
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ラタス
「ははは」
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リリオ
元の場所に戻って寝転がり、外套を頭から被って昼寝の姿勢。
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こよみ
落ち込んでたけどさすがになんだかふたりだけの話してるな……というのを途中から察していました。
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こよみ
終わった? って顔あげたけど
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ユキ
話してた……
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こよみ
リリオちゃん寝ちゃった……
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ラタス
口笛を吹いている。
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ユキ
「……また二人の内緒話してたの?」
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ユキ
「いいけど~」
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ユキ
「別にいいけど~」
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ユキ
「いつもだし……」
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こよみ
「むずかしいはなし……」
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ラタス
「拗ねてるのかぁ~ユキ~」
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ラタス
引き寄せて頭をわしわしする。
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ユキ
「拗ねてなーい!」
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ユキ
「あっ」
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こよみ
「みゃっ」
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ユキ
「ああ~~~~」
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こよみ
うらやましい……みたいな顔します。
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ユキ
「ふゃ……」
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ユキ
「あぅ……」
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こよみ
耳がぴんと。
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ラタス
「順番だな」
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こよみ
「み」
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こよみ
「う、うん」
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こよみ
「うんっ」
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ラタス
「ちゃんと我慢できるか~?」
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こよみ
いっぱい頷きます。
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こよみ
「ま、まつ、まつよ」
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ユキ
髪がぐしゃぐしゃになっていってる。
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ユキ
あうあう……
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こよみ
「こよみ、まつよ、待てる、我慢できる、できるから」
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こよみ
「できるから、できるから、あのね」
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こよみ
「いっぱい」
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こよみ
「いっぱいしてね……」
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ラタス
「わかったわかった」
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こよみ
こくこく頷きます。
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ユキ
へにゃへにゃ……
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こよみ
きちんとお座りして待つことにしました。
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こよみ
そわそわ……
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ラタス
ユキがバターになったあと、こよみを同じように撫でる。
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ユキ
バターにされました
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こよみ
みゃあぁ……
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こよみ
撫でられてどんどんへにゃへにゃに溶けていきます。
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ユキ
さっきまで拗ねてたのはすっかり忘れている。
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こよみ
精一杯頭を下げて……
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こよみ
ふにゃふにゃ しおしお
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こよみ
全身から力が抜けて
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こよみ
でも胸の中がどんどんあったかくなって……
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こよみ
うれしい……
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商人
「おい、救世主さんよ」
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商人
「ぼちぼちヤツのテリトリーに入る」
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商人
「護衛はここまでで結構。ありがとさん」
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こよみ
「ぴゃっ」
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ユキ
「ふぁ」
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リリオ
もぞ、と外套の下から這い出る。
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こよみ
わすれてた・・・
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こよみ
何もかも忘れていた ここが馬車の上であることも
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オール
『オール』の情報はすでに得ている。
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こよみ
これから何をするつもりなのかも……
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ユキ
バターになって全てを忘れてた。
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リリオ
バターになっていたねぇ
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オール
守るべき村を亡くしてさまようばかりの亡者。
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ラタス
「ありがとよ、助かった」
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ラタス
「よし、いっちょ行くか」
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ユキ
「……ん」
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ユキ
「うん」
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リリオ
「行くか~」
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こよみ
「う」
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ラタス
マスクをつける。
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こよみ
「ん……」
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ユキ
知っている相手が亡者になる、そういう経験が今までもなかったわけじゃない。
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こよみ
さっきまであんなにしあわせだったのに……
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こよみ
オールのことを思い出したので、いっぱいしゅんになっています。
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ユキ
悲しいけど、わりとあることで……。
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ユキ
わりとあることなのが、すっごく嫌!
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こよみ
でもだからこそ今度は、
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リリオ
「オール、もう意識ないかな」
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こよみ
今度はちゃんと、みんなを守りたい。
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こよみ
盾になるのと癒やすのしかこよみはできないけど……
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ラタス
「まあ亡者に心はないっていうからな」
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こよみ
リリオちゃんも、ユキちゃんも
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こよみ
ラタスも
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こよみ
もう死なせたくないから……
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リリオ
「だよねぇ」
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ラタス
「殺してやるしか出来ることはないさ」
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ユキ
「心、なくても」
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ユキ
「きっとオールは人を殺すのやだよ」
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こよみ
「……うん」
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こよみ
「うん……」
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ラタス
「だなあ」
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リリオ
「優しい人だったもんね」
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ユキ
「だから、止めないと……」
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ラタス
荒野を行く。
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こよみ
とぼとぼと歩いていく。
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GM
そして強い風が吹き抜けると共に、あなたがたに巨大な影が落ちる。
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GM
見上げれば、双翼。
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ユキ
「……っ!」
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こよみ
「…………!」
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ユキ
「あれ、が」
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リリオ
「鳥の亡者だねぇ」
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ユキ
「オール……?」
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こよみ
「ぜんぜんちがう……」
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GM
巨鳥の亡者、オール。
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GM
救世主の4人は迎え撃ち……
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GM
[ ラタス ] 汚れた手 : 0 → -1
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ラタス
クエストクリアですが、欲しい小道具は。
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リリオ
日刻みの時計!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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リリオ
です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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リリオ
時計自慢させろ!!!!!!!!!!!!
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GM
ではどうぞ。
[ リリオ ] 日刻みの時計 : 0 → 1
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リリオ
やっったあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
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リリオ
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!
[ リリオ ] ティーセット : 1 → 0

行動 ラタス5

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GM
1d6 (1D6) > 4

21日目

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GM
これにより、クエスト3.5が消滅。
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GM
地図によれば、狂飆の頂にアプローチするにはここまでが刻限。
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GM
近づくにつれ、風が強くなる。
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ラタス
「まずいな。地図に描いてあるよりも、ずっと手前にも暴風域が広がっている」
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ラタス
堕落の国の荒廃に伴い、暴風域が地図を作られたころよりも広くなっている。
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こよみ
「みゅうぅ……」
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ラタス
辺りには木が一つも無い、滑らかな岩肌の山岳。
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リリオ
「近付くのも大変そうだ」
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こよみ
耳がびこびこびこ……と揺らされています。
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ユキ
「うええ……」
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ユキ
「こっ」
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ラタス
すさまじい風に岩肌が削り取られて、すべすべになっている。
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ユキ
「これを、抜けて」
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ユキ
「てっぺんまでぇ!?」
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こよみ
「いっぱいたいへんだよぅ~~」
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リリオ
「無理じゃないかな~」
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ラタス
「引き返すなら今のうちだぞ」
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ユキ
「ラタスは!?」
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こよみ
「そ、そうっ」
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ラタス
「おれ? おれは行くに決まってるだろ」
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ユキ
「じゃあ行く!!」
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こよみ
「みゃぅ……」
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こよみ
「こよみもっ」
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ユキ
「ついてくから!!」
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こよみ
「こよみも行くう~~~」
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リリオ
「皆が行くなら、行かない訳にはいかないな~」
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こよみ
「ラタスといっしょにいく……」
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こよみ
「リリオちゃあん」
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ラタス
「……わかってるのか?」
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こよみ
「うゆ?」
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ユキ
「何が?」
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ラタス
「ここから先にいくってことがどういうことなのか、わかってるんだろうな」
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ユキ
「え」
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リリオ
「わかんないな~」
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ユキ
「だから、ラタスが帰るんでしょ?」
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ラタス
「30日ルール」
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リリオ
「ラタスが行くってことしか分からない」
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こよみ
「うん、うん」
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こよみ
「?」
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ユキ
「え」
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ラタス
「どんなに順調でも、7日は掛かる」
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こよみ
「うん」
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ラタス
「下りも同じ」
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ユキ
「……!」
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こよみ
「うん、うん」
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ユキ
「今」
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こよみ
「?」
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ユキ
「今、何日目……?」
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こよみ
「なんにちめ?」
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こよみ
なにから……?
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リリオ
「21日目だねぇ」
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ラタス
「21日目だな」
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こよみ
「???」
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ユキ
「にじゅっ……」
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ユキ
「え」
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ユキ
「……うそ」
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こよみ
「?」
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こよみ
「なにが?」
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ユキ
「もう!」
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ユキ
「前の裁判から!」
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こよみ
「ふえ」
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リリオ
「生きて帰るには、誰か一人死ぬ必要がある」
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こよみ
「…………」
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こよみ
「あっ」
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こよみ
「え」
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こよみ
「えっ」
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ラタス
「もとよりおれは」
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こよみ
「えっえ」
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ユキ
「30日目までに帰ってこれない」
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こよみ
「え……」
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こよみ
「…………」
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ラタス
「亡者になって向こうに行く」
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こよみ
「う」
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ラタス
「そう考えていた」
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ユキ
「…………は?」
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こよみ
「え?」
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ユキ
「え」
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こよみ
「ラタス」
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ユキ
「何」
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こよみ
「ラタス、が?」
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ユキ
「何、言ってんの」
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こよみ
「なんで?」
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リリオ
「……」
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こよみ
「ラタス、帰る、帰るんだよね」
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こよみ
「帰るのなら……」
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ラタス
「ああ」
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ラタス
「帰る、が」
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こよみ
「帰って、ラタスのこどもたち、こどもたちと」
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ユキ
「そう、そうよ」
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こよみ
「いっしょに暮らして」
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ユキ
「亡者になって帰ったって……」
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こよみ
こくこく
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ラタス
「おれには意味のあることだ」
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こよみ
「う」
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こよみ
「え……」
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ユキ
「そんな、そんな」
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リリオ
「空の窓には、人の足でたどり着けないし」
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ユキ
「そ、うだけど」
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こよみ
「な、なんか」
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こよみ
「方法、方法とか、あって」
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こよみ
「あるから、あるの、あるんじゃないの?」
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こよみ
「あるから、だからそれで、そういう話で……」
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ユキ
「ないの?」
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ユキ
「そうするしかないの!?」
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ラタス
首を横に振る。
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こよみ
「え」
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ラタス
「それでもいいなら、着いてこい」
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ユキ
「…………」
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リリオ
「なさそうだなあ」
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ラタス
背を向ける。
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こよみ
「え……」
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ラタス
山道を進む。
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こよみ
「えっ」
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こよみ
「あ」
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ユキ
「あ」
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こよみ
「ら、らたっ」
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リリオ
「どうする?」
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ユキ
「うあ」
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こよみ
「ラタス!!」
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こよみ
何も考えずに飛び出しかけて、
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こよみ
リリオの問いに足を止める。
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こよみ
「どうする、って」
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こよみ
「ラタス」
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こよみ
「ラタスいっちゃう……」
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ユキ
「どうし、」
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ユキ
「どうしたら」
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こよみ
「ラタス、いっちゃうんだよ」
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リリオ
「ラタスを殺せる?」
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こよみ
「え」
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こよみ
「う?」
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ユキ
「ラタスを…………?」
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リリオ
「亡者になるって言うんだから、そうなるんじゃない?」
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こよみ
「な、なんで」
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ユキ
「そんな、いや、なんで」
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こよみ
「なんで……」
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ユキ
「あ、ねえ」
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リリオ
「まぁ、歩きながら行こうか」
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ユキ
「ちょっと引き返して、他の」
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ユキ
「他の救世主を、誰か……」
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ユキ
「悪い感じの……」
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ユキ
「探して……」
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ユキ
「ねえ……」
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こよみ
「うえぇ……」
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リリオ
「話を聞いて、嫌なら引き返せばいい」
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こよみ
「う」
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こよみ
「うぅ」
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こよみ
「リリオちゃん」
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ユキ
「……」
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こよみ
「リリオちゃんの」
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こよみ
「言うとおりに、こよみ、する……」
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こよみ
「こよみそうする……」
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ユキ
あたしに思いつく程度のことをラタスとリリオが思いつかないはずがない。
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リリオ
「こよみ」
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こよみ
「う」
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ユキ
だから二人がそうするしかないと言うならきっとそうするしかなくて……。
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リリオ
「それは僕にとって結構キツい話だよ」
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こよみ
「あっ」
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こよみ
「あ」
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こよみ
「ぅ」
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リリオ
「こよみがラタスを殺すかどうか、僕に決めろって言ってる」
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こよみ
「あぁー……」
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ユキ
「…………」
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こよみ
「ああぁ、う」
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こよみ
「ぅ」
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リリオ
「まぁ、でも」
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こよみ
「ごめ、っ」
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こよみ
「ごめんなさい」
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こよみ
「ごめん、ごめんね」
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リリオ
「決められないなら、決めるよ」
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こよみ
「ごめんね、リリオちゃん」
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ユキ
「と、とりあえず」
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こよみ
「ごめんなさい……」
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リリオ
「大丈夫、大丈夫」
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ユキ
「話を、聞くわ」
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リリオ
「そうだね~」
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リリオ
ラタスから少し遅れて歩き出す。
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こよみ
泣きながら何度も頷きます。
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ユキ
ついていく。
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こよみ
とぼとぼ……
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ユキ
「リリオ……」
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ユキ
「リリオは知ってたのね……」
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リリオ
故郷の話、ラタスから聞いた話、狂飆の頂の話をする。なんでもないことのように、世間話のように。
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こよみ
「リリオちゃん」
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ラタス
ラタスは何も言わない。
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こよみ
「やっぱりいっぱい」
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こよみ
「なんでも知ってる……」
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ラタス
リリオが話す話を聞いている。
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こよみ
ぐすぐすと鼻を鳴らし、しゃくりあげながら歩いている。
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ユキ
「…………」
avatar
リリオ
「なんと、僕は難しい話ができるからね」
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こよみ
袖は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。
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こよみ
「うん……」
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こよみ
「リリオちゃんとラタス」
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こよみ
「いっぱいむずかしいはなし」
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こよみ
「してた……」
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リリオ
「故郷が同じだから、説明しなくて済むこともあるし」
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ユキ
話を聞いている内に、涙が滲んでくる。
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こよみ
「うん」
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ユキ
「ずるい……」
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こよみ
「うん…………」
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ユキ
「リリオずるい……」
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こよみ
「みゃ」
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こよみ
「う」
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こよみ
「ユキちゃん?」
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リリオ
「ずるいかぁ」
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ユキ
「あたしたちが難しいことわかんないからってぇ……」
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ラタス
ユキをぶっきらぼうにたぐりよせ、
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ラタス
頭を撫でる。
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ユキ
「んああ~~」
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こよみ
「みゃ」
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リリオ
「あ~、頭撫でられてる~」
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ユキ
「ばかっ、ばか」
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ラタス
「なあ、聞け」
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リリオ
「ずるいな~」
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こよみ
「…………」
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ユキ
「……」
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ラタス
「どんだけケンカが強くてもな」
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こよみ
とぼとぼしょぼしょぼとさり気なくラタスに寄っていきます……
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ラタス
「全部は選べない」
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こよみ
「うぅ」
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ユキ
「…………ん」
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ラタス
「まあ、強くなかったら選べもしないけどな」
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ユキ
「…………」
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ユキ
「そうね……」
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ラタス
「あるいはすごく、めちゃめちゃ強ければ」
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ラタス
「全部選べるのかもしれない、が」
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ラタス
「おれたちには限りがある」
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こよみ
「こよみそんなにつよくない……」
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ユキ
「うん……」
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ユキ
「あたしも……」
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ラタス
「いや」
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ラタス
「強い」
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こよみ
「?」
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ラタス
「お前たちは、生きていける」
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ラタス
「それは強さだ」
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ユキ
「生きて……」
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こよみ
「ラタス」
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こよみ
「ラタスは?」
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リリオ
「……」
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ラタス
「おれは……だめだな」
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ユキ
「ラタス……」
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こよみ
「う」
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こよみ
「うえ」
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こよみ
「ぅ」
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ユキ
「そんな」
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ユキ
「そんなの」
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こよみ
「…………」
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ユキ
「やだぁ……」
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こよみ
またぞろ涙を落とし始める。
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こよみ
「やだ」
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リリオ
「僕もやだなぁ」
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こよみ
「やだ……」
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ラタス
「全部は選べない」
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こよみ
「リリオちゃんも」
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こよみ
「リリオちゃんもやだって」
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ラタス
「おれはなぁ」
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こよみ
「言って」
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こよみ
「うぅ」
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ラタス
「誰も殺したくなかったよ」
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こよみ
「うー……」
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ユキ
「…………うん」
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ラタス
「殺すっていうのは」
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リリオ
「…………」
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ラタス
「見捨てるってことだ」
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ユキ
「見捨てる……」
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こよみ
「でも……」
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こよみ
「そうしないと……」
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ユキ
「やだよ」
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ラタス
「もしかしたら目の前の相手も、自分も、大切な人も、助けられる方法があるかもしれない」
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ユキ
「やだ」
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ラタス
「しかしそれはできない」
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ユキ
「あたしだってあんなことしたくない」
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ユキ
「したくない……」
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ラタス
「殺さずには生きていけない」
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こよみ
「うん」
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こよみ
「うんっ、だから」
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こよみ
「だから、それで、だから」
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こよみ
「死にたくない」
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こよみ
「死にたくないから、それで、こよみたち」
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こよみ
「だから……」
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ユキ
「…………」
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リリオ
「いやぁ、世知辛い」
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ラタス
「おれみたいには、なるなよ」
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こよみ
「やだぁ……」
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ユキ
「死にたくない……」
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こよみ
「こよみ」
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こよみ
「こよみ、ラタス好きだよ」
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ラタス
*ユキの心の疵、小さな失敗を抉ります。
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こよみ
「ラタスが好き……」
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ユキ
死にたくないから、
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こよみ
「やだぁ……」
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こよみ
*横槍に入ります
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ユキ
自分が助かりたいから。
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ラタス
「おれも好きだ。大切に思っている」
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こよみ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
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こよみ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 8[2,6]+3 > 11 > 成功
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こよみ
1d6 効果量 (1D6) > 3
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ラタス
2d6-2+3>=7 (2D6-2+3>=7) > 9[6,3]+2-3 > 8 > 成功
[ こよみ ] HP : 20 → 19
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ラタス
「おれたちは正しくないし、全部は選べないし、見捨てるし、切り捨てる」
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ユキ
「……やだ」
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ラタス
「それでも生きていけよ」
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ユキ
「やだぁ」
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ユキ
「あたしが」
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こよみ
「やだっ」
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ユキ
「あたしがもっと強かったら」
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こよみ
「やだやだ」
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ユキ
「そしたらラタスは助かった?」
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ユキ
「亡者なんかにならないでよかったの?」
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ラタス
「お前はもっと強くなるよ」
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ユキ
「ひ、」
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ユキ
「人を」
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ユキ
「人を、殺して?」
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ラタス
「そうだな」
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ラタス
「ほんっと、クソみたいな世界だよ」
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ラタス
「クソだな」
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ユキ
「やだ」
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ユキ
「やだぁ……」
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こよみ
「うえぅ……」
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リリオ
「クソだな~」
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こよみ
「でっ」
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こよみ
「でも」
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リリオ
リリオは否定する言葉を持たない。
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ユキ
「救世主っ、て」
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ユキ
「言われて、」
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こよみ
「でもぉ……」
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ユキ
「なんか、あたしは、もっと」
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リリオ
慰める言葉も持たない。
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ユキ
「かっこいい、ヒーローみたいになれるんだって」
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ラタス
「ああ」
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ユキ
「最初、そう、思って」
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こよみ
「ユキちゃん」
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ラタス
「ああ」
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ユキ
「世界を、」
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リリオ
ラタスの言葉は事実だと思っているから。
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ユキ
「世界を、ね」
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こよみ
「ユキちゃんはかっこいいよ……」
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こよみ
「ユキちゃんは……」
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ラタス
「ああ」
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ユキ
「救ってって、言われて」
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ユキ
「なのに、」
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ユキ
「なのにぃ……」
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リリオ
「…………」
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ユキ
「オール、」
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ユキ
「オール、を」
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ユキ
「見捨てて……」
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こよみ
「ううぁ……」
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ユキ
「た、助けられなくって、」
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ユキ
「あたしたち、だけ」
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ラタス
「そうだな」
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こよみ
「ユキちゃん」
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こよみ
「ユキちゃん……」
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ユキ
「生き残って、殺して」
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ユキ
「ラタス、」
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ユキ
「ラタス、も」
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ユキ
「し……っ」
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ユキ
「う」
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ラタス
「ごめんな」
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ユキ
「あ、ああ」
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ユキ
「やだ」
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リリオ
「…………」
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ユキ
「やだあ…………」
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こよみ
「やだよぉ……」
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こよみ
「やだ」
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ラタス
ユキを抱きしめる。
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ユキ
「ラタス死んじゃやだ」
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ユキ
「……っ、」
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ユキ
「あ、」
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こよみ
「うああぁ~~~……」
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ラタス
「ごめん」
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ユキ
「うう……」
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ユキ
「ばか」
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ユキ
「ばか、ばか、ばか」
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ユキ
「ラタスのばかぁ……」
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ラタス
「それでもお前には生きていてほしい」
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ユキ
「ううう」
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ユキ
「ずるい」
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ユキ
「ばか」
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ユキ
「やだぁ……」
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ラタス
「おれは、殺す相手と自分の区別がつかなくても」
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ラタス
「おまえたちを愛している」
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こよみ
「あ」
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こよみ
「うぅ」
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ユキ
ラタスの腕の中でわんわんと泣き声をあげる。
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リリオ
「……はは」
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ユキ
「あ、」
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こよみ
「こ、っ」
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こよみ
「こよみ、も」
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ユキ
「うあ、ああ」
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こよみ
「こよみも……?」
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ラタス
「ああ、愛している」
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ユキ
「あたしも」
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こよみ
「うっ」
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こよみ
「ああう……」
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ユキ
「あたしも、すきだよ」
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ユキ
「ラタス、すき……」
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こよみ
「こよみ、こよみも」
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ユキ
「だいすき……」
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こよみ
「ラタス好き」
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こよみ
「好きでっ、あいして」
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ラタス
「心が限界を迎えるまで、救世主を殺したことを」
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こよみ
「あいして……」
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ユキ
「みんな、みんなすきで……」
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ラタス
「おれは後悔していない」
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こよみ
「うぅ……」
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ユキ
「四人が」
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ユキ
「ずっと四人がよかったよぉ……」
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こよみ
何度も頷いている。
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ラタス
「ごめんな」
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ユキ
「やだ、」
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ユキ
「やだぁ……」
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リリオ
「ラタスは頑張ったよ」
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こよみ
「やだ……」
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ユキ
「あたしが、」
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ユキ
「あたし、」
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ユキ
「つよかったら、」
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ユキ
「頭良かったら」
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ユキ
「よかった」
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ユキ
「よかったのに……」
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ラタス
「おれもだ」
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ラタス
抱きしめるのをやめ、頭を撫で、顔を拭き。
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ラタス
そして再び歩き出す。
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ユキ
ぐすぐす……
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こよみ
「ラタス」
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こよみ
「ラタスぅ……」
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リリオ
ユキの背中を、ぽんぽん、と叩く。
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こよみ
歩き出したラタスに、泣きながらそれでもついていく。
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ユキ
拭われてもまた目元に涙がにじみ出る。
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ユキ
「…………」
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ユキ
リリオを見る。
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ラタス
進むにつれ、この世の終わりのような光景が深まっていく。
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ユキ
それから自分でも涙を拭って、ラタスを追いかけた。
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ラタス
地獄があるとするなら、こんな場所かも知れない。
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ラタス
それでもまだ生きている。