ラタス
ここは仲間が死んだ場所だ。急ごしらえの墓だったが、まだちゃんと残っている。
ラタス
廃墟。
ラタス
村を救えず、オールという一人の救世主を守れず取りこぼした。
ラタス
苦い想い出だ。
リリオ
二度目の墓参り。
ラタス
「『あなたたちが来てくれてよかった』と」
ラタス
「『いてくれてよかった』と」
ラタス
「言っていたな」
リリオ
「うん」
ラタス
先日、海で話したようなことを、あいつはおれたちにもう言っていた。
ラタス
「わかっていなかったな……」
リリオ
「わからなかった……。
よく聞く話だと思ってた」
リリオ
「オールは性格がいいからそう言ったんだって、そう思った」
ラタス
ただの励ましじゃなかったことが、今になってわかる。
リリオ
希望は必要だ。
それが直接救ってくれなかったとしても。
ラタス
「そうなんだよな。いいやつすぎるのがよくない」
リリオ
「…………」
ラタス
冗談めかして人のせいにする。
リリオ
「ラタスは、オールのことどう思ってた?」
ラタス
「どうってどういう」
リリオ
「こよみもユキも、ラタスはオールが好きだったんじゃないか、なんて感じだったけど」
リリオ
「僕もそう思ったことあったな~」
ラタス
「そりゃ~~~好きだろ!」
ラタス
「誰だって好きだろ!?」
リリオ
「美人だったしな~」
リリオ
「性格もよかった」
ラタス
「なんかいい匂いするし……」
リリオ
「胸も大きかったね」
ラタス
「大きかったな~」
ラタス
「死んで欲しくなかった」
リリオ
「…………そうだね」
リリオ
「死ぬことなんてなかった」
ラタス
「でも、だ」
ラタス
「おれはそうした後悔や振り返りで」
ラタス
「今を否定するつもりはない」
リリオ
「かっこいい事言っちゃって」
ラタス
「顔に見合ったことを言ってみたぜ」
リリオ
「見合ってるな~」
リリオ
「とても童貞とは思えない」
ラタス
「びっくり童貞って感じだろ」
リリオ
「びっくりにも程がある」
ラタス
「人の墓の前でする話じゃないな」
ラタス
「オールが困ってる顔が目に浮かぶ」
リリオ
「それは本当にそう」
リリオ
「レディの前でする話じゃなかったね、ごめん、オール」
ラタス
「すまんすまん」
ラタス
墓を整えた。
ラタス
「こんなところか」
リリオ
ここまでの道中で、なんとか集めた雑草の花を添える。
リリオ
「そんなにできることもないからなぁ」
ラタス
「そうだなあ」
リリオ
「どうしたって、死んだ人間にできることは限られてる」
ラタス
あとしてやれることといえば、亡者となったオールを殺してやることくらいだ。
ラタス
「そうだな」
リリオ
2人でか~
ラタス
ちょっと難しすぎるな。
リリオ
猟奇なし、愛なしで……
ラタス
無限に妨害引くしかないな~。
リリオ
ダイスが強いほうが勝つからな~
リリオ
「……夢では、好きな女がいたって言ってた」
リリオ
「オールみたいな女だったのか?」
ラタス
「とんだ夢だな」
リリオ
「子供がいるとかも聞いたな~」
ラタス
「オールみたいな女だったな」
リリオ
「……」
リリオ
「優しくて、美人で、胸も大きくて?」
ラタス
「そうだな」
リリオ
「そりゃ好きになっちゃうなぁ」
ラタス
「ガキを養ってた」
リリオ
「……優しいなぁ」
ラタス
「娼婦の女だった」
リリオ
子供を養うということは、収入が必要になる。
ラタス
「上でゴタゴタに巻き込まれて、下層に堕ちてきた女だった」
リリオ
下層の女が収入を得る方法は限られる。
リリオ
「…………」
ラタス
「上育ちの娼婦は高値をとれる」
リリオ
それはそうだ、肉付きもいいだろうし、肩書きが金になる。
リリオ
その余剰分の金を自分に回せば、それなりに生活はできただろうに。
ラタス
あるいはそうした多少の余裕や剰余を捨てるために、子供を養っていたように見えた。
ラタス
知りもしない子供を。
リリオ
「いい人だったんだね」
ラタス
「そうだな」
ラタス
「……別に上で生まれたからって、責任を感じる必要はないのにな」
リリオ
自分が同じ状況になったらどうしていただろう、と思わずにはいられない。
リリオ
同じことをしたかもしれない。
もちろん、しなかったかもしれない。
リリオ
「そうは言ってもさ、何も感じない訳にはいかないよ」
リリオ
「人には心があるから」
ラタス
「全員がそうってわけじゃない」
ラタス
「それはお前もよく知ってるだろ」
リリオ
「まぁ、それはそう」
リリオ
「でも、非情に見える人が家族思いだったりするのは珍しい話じゃない。誰にでもどこか優しいところがある」
リリオ
「……って、思いたいな~、と思ってるけど」
ラタス
「ははは」
ラタス
冷酷な暗殺者の配役を演じていたのは、おれ自身がそうだ。
ラタス
「……何もわかっていなかった時期もあったよ」
ラタス
「それが一番稼げる仕事だった。初めは」
ラタス
「ただそれだけだった」
リリオ
「人を殺すのは、技術がいるからなぁ」
リリオ
「腕がいい殺し屋には、支払う金も高くなる」
ラタス
「ありがたいこって」
ラタス
「まあでも、その女に会ってからだな。疑問を抱いたのは」
ラタス
「わからなくなった」
リリオ
「……」
リリオ
金のために人を殺していたラタス。
人を生かすために働いていた女。
リリオ
上層の人間ということに、引け目を感じていた女。
ラタス
「そいつが病気で死んで、おれは代わりにガキを育てることにした」
リリオ
「あ~」
リリオ
「それは病むな~」
ラタス
童貞も拗らせた。
リリオ
サッと童貞もらってもらえばよかったのに……
ラタス
そうして、人を生かすために人を殺すことになった。
ラタス
選ぶこと。切り捨てること。
ラタス
誰を生かし誰を殺すのか。
ラタス
暗く冷たい世界では、その区別は次第に曖昧になっていく。
リリオ
殺した相手にも家族がいただろう。
冷たくなった亡骸に、縋り付く子供もいたかもしれない。
リリオ
あるいは、子供を殺すこともあった、かもしれない。
リリオ
ラタスの子供たちも、そうやって親をなくした子かもしれない。
ラタス
その矛盾が心に疵を作っていく。
ラタス
かさぶたを何度も剥がして赤く濡れた。
リリオ
そんな環境を作っているのは、上層の人間だ。娼婦の女が子供を養おうとしたことも分かる。
リリオ
因果は繋がっている。
リリオ
「ラタス」
ラタス
「ん?」
リリオ
「お前はよく頑張ったよ」
ラタス
「そいつはどうも」
リリオ
「頭でも撫でてあげようか?」
ラタス
「やめろやめろ!」
リリオ
「ははは、くるしゅうないぞ!」
リリオ
帽子を取ろうとする。
ラタス
帽子を押さえつける。
ラタス
「やめろーっ」
リリオ
「よいではないかー!」
リリオ
わちゃわちゃするものの、強引には奪わずに適当な所で切り上げる。
ラタス
ふう、と一息をついたところで、
ラタス
一陣の風が吹く。
ラタス
オールの使う魔法のような。
ラタス
帽子が攫われる。
リリオ
「あ」
ラタス
「あっ」
リリオ
ラタスを見る。
ラタス
帽子は廃墟の吹きだまりに引っかかって止まる。
ラタス
「……」
リリオ
「オールも褒めてやれってさ」
リリオ
「ほら、ちょっとしゃがんで」
ラタス
「……」
ラタス
しゃがむ。
リリオ
わしゃわしゃわしゃわしゃ~~~~~
リリオ
「よーしよしよしよし」
ラタス
「……………………」
リリオ
「ラタスは偉いぞ~、よく頑張りました」
リリオ
わっしゃわっしゃになった頭を手放して、ぽんぽん、と軽く叩いた。
ラタス
あの女の腕を強引にとって、娼婦を辞めさせればよかったのか。
ラタス
それはきっと、正しくはないこと。
ラタス
けれどそうすれば死ななかったろう。
リリオ
正しくないことの中にしか、果たされないことはある。
ラタス
そしてすべては選べない。
リリオ
その時にラタスは正しい行いをしたから、自分の前にいる。
ラタス
正しさも、正しくなさも、等しく今に繋がっている。
ラタス
しゃがんだまま、額をリリオの身体に押しつける。
リリオ
「わ」
リリオ
「どうした?」
ラタス
何も言わないでそうしている。
リリオ
ぼさぼさになった髪を撫でつける。
ラタス
ラタスもまた孤児として育った。
ラタス
自分が本当に重ねていたのは、あの女の育てていた子供だったのではないかと。
ラタス
そんなことは、言わない。
リリオ
予知夢を見たとはいえ、ラタスが口にしないことまでは分からない。
リリオ
ただ、ラタスに甘えられているのが嬉しかった。
ラタス
リリオの心の疵『ラタス』を舐めます。
ラタス
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 10[4,6]+3 > 13 > 成功
リリオ
はい
[ リリオ ] ラタス : 0 → 1
ラタス
1d6 (1D6) > 5
ラタス
*それが12日目のこと。
リリオ
* 小道具の調達します
リリオ
* クエストはオール
リリオ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 12[6,6]+3 > 15 > 成功
リリオ
スペシャルが出てしまった
ラタス
*二人でオールを倒すのは無理なのでは? 難易度を上げようと話していたがスペシャルが出たのでどうしたって勝つことになってしまったので頭を抱えているGMとPL
リリオ
前に4人がかりで倒せなかった亡者を2人で?
リリオ
* 小道具の調達はとうみつでお願いします。
リリオ
スペシャルはなんか……赤と白の鏡騒劇から選んでもいいってことだったので……アリスの証言で……
リリオ
* スペシャルでアリスの証言
ラタス
荒野。
ラタス
特に策があるわけでもなく、しかし、何かに導かれるようにオールの元へ向かった。
リリオ
そりゃあ、2人で倒すのはちょっと無理すぎる。
リリオ
策もなにもない。
リリオ
「来ちゃったなぁ」
ラタス
「来ちまったなあ」
リリオ
「人数少ないんだから、オールおまけしてくれないかな」
ラタス
「オールはそういうとこあるよな」
リリオ
「あるある」
ラタス
軽口でしかない。
リリオ
亡者に心はない。
ラタス
「まあでも、運がよきゃ勝てるかもしんねーからな」
リリオ
「才覚の男のセリフとは思えないな~!」
ラタス
「ああ、じゃあ、あれだな」
ラタス
「もし無事倒せたらヤらせてくれよ」
リリオ
「おい」
リリオ
才覚チョップ
ラタス
妨害!
リリオ
妨害するな!
ラタス
妨害を妨害された。
リリオ
「別に倒せなくてもいいよ」
ラタス
「やったぜ」
リリオ
「ラタスが童貞じゃなくなるのは残念だけど……」
ラタス
「おれの童貞になにがしかのプライスを見いだすな」
ラタス
「村長か?」
リリオ
「いや~、ラタスを童貞と罵るのが思いの外楽しくて」
リリオ
「よくないとは思っているんだけど」
ラタス
「そういうお前はどうなんだよ」
リリオ
「あれ、言わなかったっけ」
リリオ
「乱暴されたっていうのは、そういうやつだよ」
ラタス
「あー」
ラタス
「あー、はい、そうっすね……」
リリオ
「まぁ……」
ラタス
「待てよ……?」
ラタス
「それは実質処女みたいなものでは……?」
リリオ
「なんで?」
リリオ
「なんでそう……なるんだ……?」
ラタス
「一度もこう、許可に基づいた性交をしていない」
リリオ
「いや~」
リリオ
「その後こう……普通のはどういう感じなんだろうと思って……」
ラタス
「あー、はい、そうっすね……」
リリオ
「遊び人と噂の男に声をかけてみたりはしたんだよ」
ラタス
「そうですか……」
リリオ
「そういうわけなので……」
リリオ
「ラタスが童貞じゃなくなるのは、さみしい」
ラタス
「劣勢に追い込まれたな……」
リリオ
「いや~、優勢で嬉しい」
リリオ
「予知夢を見てからというもの、ラタスの優位に立てている気がするぞ」
リリオ
予知、有能~~!!
ラタス
「予知め……」
リリオ
「好きな人とはしたことないけどね」
ラタス
「お、おう……」
ラタス
ちょっといじりづらいかたちで譲歩するな。
リリオ
「だからまぁ、ラタスを拒む理由はないな~ってこと」
ラタス
「それは……どうも……」
ラタス
優勢をとり続けるな。
リリオ
夢で拒んだことは黙っておこう。
優勢をとり続けたいので。
ラタス
「そういえば夢じゃオールはどうだったんだ」
リリオ
「大きな鳥の亡者になってた。
4人で戦ったから、なんとかなったよ」
リリオ
「僕達も前よりは強くなってたしね」
リリオ
「2人で勝てる気は、あんまりしないけど」
ラタス
「まあ、ダメ元だな」
ラタス
「いざとなったらトンズラだ」
ラタス
煙幕はトンズラに使えて便利!
リリオ
便利だな~
リリオ
「やっぱり飛んでるのが厄介だったね。
羽をなんとかしたい所だけど」
ラタス
「ワイヤーで脚を捕まえて、風切り羽根を落とそう」
リリオ
「……そんな上手く行くかな?」
リリオ
「自由に空を飛んでいる鳥を捕まえるのは大変だ。ある程度動きを読めないとキツいんじゃないか?」
ラタス
「予知夢を見たんだろ」
ラタス
「今のお前なら捕まえられる」
リリオ
「見たけどさ~!」
リリオ
「そんな上手く行くかな~?」
リリオ
「まぁ、一回どんな感じか見るだけ見てみるか」
ラタス
「そうだな」
ラタス
出没情報のあった領域へ進む。
GM
その道中。
GM
白い兎が追い越していった。
リリオ
白い兎を見る。
GM
ラタスはそれに気付いていない。
リリオ
アリスを導く兎。
追いかけた方がいいのだろうか。
リリオ
少なくとも、あれを追いかけてここまで来た。
リリオ
「ラタス、こっちだ」
リリオ
兎を追う。
ラタス
「おう」
ラタス
導かれるままに走る。
GM
あなたは兎に追いつけないが、うさぎが落としていくように呟く言葉を聞く。
GM
『彼ら私に言うには彼女の所に行ったきみが――』
GM
走りながらに聞いた言葉はとぎれとぎれだ。
GM
『彼女は私はいい奴だと言ってくれたが』
GM
『もし私か彼女かがひょっとして』
リリオ
ラタスに何か説明した方がいいのかもしれない。しかし、どう説明したものか。
GM
『彼は彼女に頼む、彼らを自由にしてやれ、かつて我々がそうであったように』
GM
『むかしきみは、私の考えだと障害だったはず、彼と我々自身と、それの間の』
GM
『彼女が彼らを好きだと彼に知らすな、なぜならこれこそずっと』
GM
『秘密』
GM
『あとの連中みなに隠された、きみ自身と私との間の』
GM
途切れ途切れの、意味がほつれた詩文。
GM
それが終わる間に、導く先には亡者『オール』
GM
いつの間にか白兎は消えている。
ラタス
「出たな……」
リリオ
白兎を探して、辺りを見回す。
何もいない。
リリオ
言葉はとぎれとぎれで、何かが分かった訳ではない。
リリオ
しかし、オールまで導かれたことは確かだ。
ラタス
まるで全てが決まっていたかのように。
ラタス
リリオの脳裏にはっきりと思い浮かべられるデジャヴ。
ラタス
これは見た光景。
リリオ
白兎。アリスを導くもの。救世主を導く者。
ラタス
大きく羽ばたいて、潜るように嘴を前に降りてくる、その軌跡。
リリオ
あの時は4人だった。
リリオ
今は2人。勝てる訳がない。
動きが読めず、空を飛ぶ鳥を捕まえられる訳がない。
リリオ
しかし目の前の亡者は、前に見た姿そのままで。
ラタス
手に取るように、それを追うことができる。
リリオ
あの時は必死だった。こんなにはっきりと覚えているはずがない。
リリオ
しかし亡者の動きが分かっているのなら、そう難しいことはない。
ラタス
完璧なタイミング。遅れてくる突風を適切な姿勢で往なして。
リリオ
動く的を捕まえる練習くらいしている。
リリオ
ワイヤーを射出する。
適切なタイミングで、適切な位置に。
ラタス
オールのかぎ爪を捉える。
リリオ
今までにないくらい、完璧な捕獲。
ラタス
ラタスも合わせて跳躍していた。その成功を信じていたように。
リリオ
こんなに上手く行くなんて信じられない。
導かれた。白兎に。
ラタス
黒いナイフが翼を引き裂く。
ラタス
そしてその一撃は、非力で小さなナイフとは思えないほど鋭利に羽を断つ。
リリオ
ラタスの黒いナイフが、亡者を引き裂くのを見上げる。
ラタス
その理由を、ラタスは知らない。
ラタス
『彼女が彼らを好きだと彼に知らすな』
ラタス
ついぞ明かされることのなかった『秘密』が、
ラタス
彼女自身を解体させる。
ラタス
「これは……いけるんじゃないか」
ラタス
切断された羽が舞い散る。
リリオ
「いけるよ」
リリオ
「これは予知だ」
ラタス
赤く濡れた羽が、祝福の花びらのようにリリオに落ちる。
ラタス
羽を断たれた鳥の亡者は地に落ち、
ラタス
そこには煙幕。
ラタス
独壇場。
リリオ
こうなったラタスは負けないだろう。
ラタス
そして予知された通りに勝利する。
リリオ
地に伏せた、空を泳ぐ亡者を見下ろす。
ラタス
「……まさか本当に勝っちゃうとはな」
リリオ
「……どうなってるんだ」
リリオ
「最初から、これは」
リリオ
小さく呟いて、亡者の側にしゃがみ込む。
ラタス
その違和感を、ラタスはわからない。
ラタス
あなたにしかわからない。
リリオ
オールの羽を撫でた。
リリオ
「……でも、倒せてよかった」
ラタス
「そうだな」
ラタス
「倒せてよかった」
リリオ
「亡者になって、喜ぶタイプでもないしな~」
ラタス
「だよなあ」
ラタス
「これでオールも浮かばれるってもんだろ」
リリオ
「さすがに無理だと思ってたんだけど」
リリオ
「なんとかなったなぁ」
ラタス
「なったなぁ」
リリオ
「運命ってやつなのかもな」
ラタス
ぼーっと眺めている。
ラタス
「そうなんだろうな」
ラタス
リリオを見る。
ラタス
「運命なんだろう」
ラタス
それから穴を掘り、オールを埋める。
リリオ
簡単なものだけど、こちらにも墓を作った。
リリオ
多分、墓参りには来られないだろうけど。
ラタス
「心残りは……これくらいか」
リリオ
「色々できてよかったな」
ラタス
「色々できてよかったぜ」
ラタス
「お前のおかげだな」
リリオ
「いや?」
リリオ
「ラタスが望んだ結果だ」
ラタス
「じゃあ」
ラタス
「共犯だな」
リリオ
「共犯かぁ」
リリオ
「ラタス……、やっぱりこれは正しくないことだ」
リリオ
「こよみやユキを置いて、僕だけが君の時間を独り占めして、君の心残りをなくす旅をしている」
ラタス
「そうだな」
リリオ
「でも……」
リリオ
「今、嬉しいんだ」
リリオ
「君と共犯になれて」
リリオ
「僕は最悪な女になっちゃったなぁ」
ラタス
「最悪だな~」
ラタス
「おれにはもったいないくらいにな」
ラタス
この旅は罪ありき。
ラタス
そのことだけは、ラタスはすでにわかっている。
ラタス
覚えのない3点分の前科。
ラタス
この身に刻まれている。
ラタス
「行くか」
リリオ
「そうだね」
リリオ
「先へ行こう」
ラタス
1d6 (1D6) > 6
ラタス
*それが18日目のこと。