行動 ルルキス

ルルキス
*抉り「青い窓の見える庭」
*クエストNo.3
GM
海へ向かったはずだった。
しかし、そこはかつて海だった砂地。
GM
塩辛い水たまりがずっと遠くに点々と今にも干乾びそうに残っているだけ。
ルルキス
「……海……」
ルルキス
「このあたりのはず……ですよね?」
フィルズ
「これ……は……」 
GM
海は枯れていた。
ここからは見えないずっと遠くに海岸線があるのだろう。
フィルズ
何度も地図を確認する。…場所は、間違いがない。
GM
堕落の国の荒廃は日々進行している。
透子
「引き潮じゃあ済まなさそうね……」
GM
それは亡者のせいかもしれないし、救世主のせいかもしれないし。
堕落の国の亡びる力そのものかもしれない。
フィルズ
「………ここで、間違いがない…筈だ」
ルルキス
「水滴一粒ありませんよ」
ルルキス
「遠くまで見ても……何もない。これじゃ砂浜というよりまるで砂漠ですね」
フィルズ
「………」
透子
「相当遠くまで行かないと海には行き当らなさそうね」
フィルズ
何も、言えない。このルートを提案したのは自分だ。このルートならば、目的が叶うと、ラタスに告げてしまった。他ならぬ、自分が。
ラタス
「いや……」
ラタス
「ここにあったって事実に辿り着けただけで十分さ」
フィルズ
「…………………済ま、ない…」
フィルズ
かろうじて、それだけを口にする。
ラタス
「謝るなよ」
透子
「ここじゃあ新しい地図を手に入れるのだって難しいじゃない」
透子
そもそも、地図にもここの海岸がこんな状態だなんて載っていなかったのだ。
GM
この海岸はもう枯れている。
そのことを地図に記すだけの時間や人手が堕落の国にはない。
GM
運が悪かった。
ラタス
少なくともラタスはそう思っているだろう。
しょっちゅう、口癖にしていた。
ラタス
運が悪かったのさ、と。
ルルキス
「まあ、無いものは仕方ないですよ。せっかくここまで来たんですから、近くの街に寄ってみませんか?」
ラタス
「海が近いってことは、交易がまだ生きてるかもな」
フィルズ
「…………そう、だな…」
フィルズ
謝るなと言われても、押し寄せる後悔は止まらない。
ルルキス
「この付近なら海の情報も新しいでしょうし、もしかしたら果物なんかがあるかも」
透子
「そうね、この前の街ほどじゃあないけど市場が大きいみたいだし」
フィルズ
しかし、それをただ口にしても雰囲気を悪くするだけと押し黙っていたが、ルルキスの提案を聞くと弱々しく頷く。
GM
ルルキス
才覚で判定します!
フィルズ
あ、ティーセットどうぞ
ルルキス
えっ、才覚は一兆では……?
ルルキス
才覚(猟奇)で判定します……
ルルキス
ティーセット、お借りします……
[ フィルズ ] ティーセット : 1 → 0
フィルズ
スッ
ルルキス
2d6+3+2 判定:猟奇 (2D6+3+2) > 6[4,2]+3+2 > 11
ルルキス
Success
GM
抉り判定成功。
クエストも成功。
GM
4人は海沿いだっただろう村まで来ました。
ルルキス
「ラタスさん、一緒に果物探しに行きませんか」
透子
「………暑い」
ラタス
「お?交渉勝負でもするか?」
ラタス
村人からうまく話を聞き出す……才覚の高いものたちの遊び!
ルルキス
「この天才に勝負を挑みますか!」
透子
「……二人で好きにしてきて」
ラタス
「2対2でもいいんだぜ~?」
ラタス
「フィル、お前も勝負しろ」
ラタス
「果物を見つけたやつが勝ちだ!」
フィルズ
「…指名をされたならば仕方がないな」
フィルズ
「透子…済まないが、付き合ってくれるか?」
透子
ちらりとラタスの思考を視て、腰かけていた椅子から立ち上がる。
透子
「そうね、そうしないと拗ねちゃうものね」
フィルズ
ラタスの意図は理解っている。だから、提案に乗る。そうすればいくらか気分も持ち直せるだろうから。
ラタス
こうすればお前らが元気出してくれるだろ?
ラタス
「じゃ~そうだな。おれとルルキス、フィルとトーコで行くぞ」
ルルキス
「負けませんよ!」
ラタス
「負けねーもんな!」
フィルズ
「こちらにはこの私と千里眼の透子が居る…覚悟をするんだな」
フィルズ
強がって笑うと、透子を連れて2人とは反対の方へと。
GM
村はそんなに広くもないが、交易市のあとがあった。
急に干乾びたのだろう海岸線に戸惑いながらも、仕入れた品物を売り切ろうとしている。
ルルキス
ここは陸地の隅っこ。
ルルキス
ずいぶんと遠くまで来た。救世主の自分たちを知っている者もいないかと思うと、少しだけ気持ちが軽い。
ルルキス
「いい時期に来たかもしれませんね。海の外から来たらしい品がまだ売られてる」
ラタス
「セーフって感じだな」
ルルキス
「急に干上がったんじゃ、地図に載ってるはずもない。フィルズさん、自分を責めないでいてくれるといいんですけど」
GM
古いスパイス、乾かしたわずかなハーブ、ちびたナッツ。
露店に並ぶのはそんな感じのもの。
ラタス
「だなぁ」
ルルキス
「瑞々しい果実……は、無いか」
ラタス
「塩のあいつもそうだったけど」
ラタス
「この国じゃほんと食べてくだけできついよな」
ラタス
露店を眺めながら。
ルルキス
「ええ」
ラタス
ラタスの住んでいたところもそうだった。
むしろ、いや。
どっちがマシかなんて考えるのが嫌になるくらいには。
ラタス
「おれもそんな楽じゃなかったけどよ」
ルルキス
「長生きの難しい世界ですね。むしろ、寿命で死ねれば幸福だといえるぐらい」
ラタス
「そうだな」
ルルキス
「……ラタスさんは」
ルルキス
「なんで、透子さんのこと振っちゃったんですか?」
ラタス
「聞くねえ」
ルルキス
「協力した手前、気になりまして」
ラタス
「男にだって秘密のひとつやふたつあるんだぜ?」
ラタス
「1回目の話と2回目の話どっちが聞きたい?」
ラタス
「話すのはどっちかだけだ」
ルルキス
「……………………」
ルルキス
「……では、2回目で」
ラタス
「あいつはいい女だよ」
ラタス
「だからだな」
ルルキス
「わかりませんよ」
ラタス
「かっこつけたくなっちまうんだよなぁ」
ラタス
「いい女の前だとさ」
ルルキス
「……」
ラタス
「泣き言のひとつやふたつ」
ラタス
「言うなら娼婦だったってこった」
ルルキス
「別にいいじゃないですか、かっこ悪くたって……」
ラタス
「おれはかっこいいおれでいるんだよ」
ラタス
「あいつらのために」
ラタス
あいつら。
ラタス
フィルズ、ルルキス、透子 ではない。
ラタス
「このリストも、まぁそういうためのモンだな」
ラタス
すでに何度も折りたたまれてボロボロになったリストをポケットから指でつまみ上げて。
ルルキス
「それ……透子さんには隠したのに、私には明かしちゃっていいんですか?」
ラタス
「あいつにゃわかってるさ」
ルルキス
「そりゃあ、そうかもしれませんけどね」
ルルキス
「去るんなら、なおさら……」
ルルキス
「カッコ悪い部分、全部置いてっちゃえばいいのに」
ラタス
「結構してるだろ~」
ルルキス
「なおのこと、今になって綺麗ぶらなくてもいいじゃないですかあ」
ラタス
「はは」
ラタス
「そうしないと、駄目が正しいな」
ラタス
「単なるおれの虚勢だよ」
ラタス
お前の天才みたいな。
ルルキス
「はあ」
ルルキス
「なーにが虚勢ですか。今になってカッコつけても別にあんまカッコよくないですよ、あんた」
ルルキス
「水割りは水でかき混ぜるし。機嫌が悪いときに相手の目を見れないし」
ルルキス
「姿勢も悪いし、自制心がなくて悪酔いするし……もっと言いましょうか?」
ラタス
「あぁ?そこはかっこいいとこだろうが!」
ルルキス
「見解の相違ですね」
ルルキス
「半年やって、ずっと仲間たちに見られてきてんですから」
ルルキス
「もっと素直にやってればみんな幸せになれたのに、って思いますよ」
ルルキス
「……私も、元の世界じゃ素直になれなくて失敗した身ですから」
ラタス
「……だな」
ルルキス
「……双方にとって、無粋で失礼なお節介だとは分かってますけどね」
ルルキス
「もう、3回目はないんですよ。今からやり直して、透子さんを受け入れる事もできませんか?」
ラタス
「いいや」
ラタス
「後悔はしてないんだ」
ラタス
「寂しいだけだよ」
ラタス
「この気持ちをおれは連れてく」
[ ラタス ] 青い窓の見える庭 : 0 → -1
ルルキス
「……」
ルルキス
「二人の間では、もう、決着のついた話ですか」
ラタス
「ルルキス」
ラタス
「おれはもうもたない」
ルルキス
「……え」
ラタス
「心が限界なんだ」
ルルキス
「……それって……」
ラタス
「おれはそのうち亡者になる」
ルルキス
「……………………」
ルルキス
「そうですか」
ラタス
「そうだ」
ルルキス
「なるほど。それでこんな強引な行動を」
ラタス
「おれが目指してる『狂飆の頂』からは元の世界に帰れるって噂がある」
ラタス
「おれのこの疵が、おれを羽根の生えた亡者にしてくれるかもしれない」
ラタス
人工肺のつけられた胸を指で軽くたたく。
ルルキス
「そう上手く行きますかね」
ラタス
「賭けだよ」
ルルキス
「分の悪い賭けです」
ラタス
「お前らがいなかったらもっと分が悪かった」
ラタス
「30日もったかどうか」
ルルキス
「はあ……」
ルルキス
「あなたの決心がどう転んでも、どちらにしろこれが最後の旅だったって事ですか」
ラタス
「そういうことだな」
ラタス
「こんなに恵まれた人生で、この最後の最後。
分の悪い賭けに賭けないなんて」
ラタス
「そんな“かっこいい”コトしたくないな」
ルルキス
「面倒な子……」
ルルキス
「場合によっては殺しますが、恨みませんね?」
ラタス
「恩に着るよ」
ラタス
「お前もいい女だぜ、ルルキス」
ルルキス
「その誉め言葉は嬉しくないですね」
ルルキス
「いい女でなければ、機会があるかと思いましたが」
ルルキス
「……残念です」
ラタス
「はは」
ラタス
「……ありがとうな」
ルルキス
「あなたが戻りたいその理由が、子供だけなら……」
ルルキス
「透子さんか私の胎を、あなたを引き留めるための楔として利用するつもりでした」
ルルキス
「お慕いしておりましたよ」
ラタス
「いい女に好かれるってのは、気分がいいもんだ」
ラタス
「最高の手土産だよ」
ルルキス
「それは何より」
ルルキス
「さて。お互い内緒ができましたね」
ルルキス
「あなたの内緒は、あなたの口から早いうちに皆に伝えることをお勧めしますよ」
ラタス
「ああ」
ラタス
「お陰様で。そうするよ」
ルルキス
「成功を祈っていますが、失敗してもまあ、後処理は任されましょう」
ルルキス
「少なくとも、果物の方は失敗ですかね。日が沈んでしまいました。幸先が悪い」
ラタス
「向こうはどうかわかんねえからな~」
ラタス
「仲間のいいとこは、カノウセイが増えるってことだ」
ルルキス
「尻ぬぐいをさせられる側は苦労するんですよ」
ラタス
「苦労かけるな~」
ルルキス
「まあ、いいですよ」
ルルキス
「私が言えたことではないですしね。いつも戦いでは苦労かけてます」
ルルキス
「……私、凡人ですから。皆さんと一緒に旅をできたこと、本当に幸福に思っています」
ラタス
「お前の努力が毎日実るのを間近で見れて、嬉しかったよ」
ラタス
「楽しかったぜ」
ルルキス
「……ええ。楽しかったです」
ルルキス
「さて!そろそろ合流しましょうか。あちらは収穫があることを祈りつつ……ああ、でもそれはそれで悔しいのですけど!」
ラタス
「負けだからな~~」
透子
フィルズについて、2人とは反対方向へ。
フィルズ
「さて…と」
フィルズ
巻き込んですまない…と言いかけて、それを飲み込んで。
フィルズ
「勝負を受けたからには、勝利を目指そうと思う。…透子、協力をしてくれるか?」
フィルズ
どのみち言わずとも伝わる相手だ。果たしたい意向のみを口にして、反応を窺う。
透子
「ええ。ラタスとルルキスの悔しがる顔が”視える”ようよ」
透子
透子にとって目に浮かぶのは文字通り。
フィルズ
「成程…それは心強い」
透子
「それにフィルズだって負けたくないんでしょう?」
フィルズ
「当然さ。あいつには、そう何度も負けるわけにはいかないからな…」
フィルズ
透子が”視えた”それそのものもそうだが、ノッてくれたのがありがたい。意識をして笑顔を浮かべると、早速動こうと透子を見る。
透子
「そう、じゃあ……そこに座って」
フィルズ
「ああ、分かった」
フィルズ
透子が告げる言葉は最早疑いようもない。
透子
座ったフィルズのやや後ろ、自分だけ木陰に入る場所へ腰を下ろす。
透子
「あとはしばらく待つだけ」
透子
「そうすれば……フィルズ次第でいくつか果物が手に入るんじゃない?」
フィルズ
「ほぉ……そういう流れが”視えて”いるのか」
透子
「ええもちろん」
フィルズ
「ならば、あとのことは任せられよう。抱えきれぬ程の果物を手に入れてみせるさ」
フィルズ
そう宣言すると、言われた通りにその場で座して待つ。透子がそうなると言ったのだ。まずは信じて待っていればいい。
透子
「………ラタスには、ちゃんとお別れを言えたの?」
透子
待つ間の退屈しのぎとでもいうように。
フィルズ
「…………それらしきことは話せた」
フィルズ
「そして、最後までこの旅を楽しくやろうということを話したよ」
フィルズ
だから…さっきのは少し、堪えたと。口にはしないでいられたが、透子にはやはりお見通しなのだろう。
透子
「……旅には失敗なんてつきものじゃない。予定を変えることだって今までたくさんあったでしょ」
透子
「堕落の国では良くあることよ」
透子
そうは言うが、フィルズがこういうことを気にするのは知っている。
透子
いつもはどちらかと言えば楽しく、それでいて堅実な提案をするタイプだ。
下調べも念入りに行い万全に物事をすすめる、いわゆるきっちりとしたタイプ。
フィルズ
「分かっていたつもりなんだが…な。…済まない、やはりまだ少し引きずっているらしい」
フィルズ
何故、今だ…と、そう思ってしまった。ラタスとの最後の旅になる、今。何故と。
フィルズ
しかし仕方がないのだというのも理解っている。それを思い出せる程度には落ち着いてもきている。
透子
「……まぁ、気持ちはわかるけど。でも、少しぐらい心残りがあるほうがよく憶えてるんじゃない?」
透子
「きっと後から思い返したときにはいい思い出になる。……”全部思い通り”よりも記憶にずっと残るものよ」
フィルズ
「…君が言うと、重みが違うな」
フィルズ
きっと、その力で何もかもを思うままに出来ていたのだろう。そんな透子が、心残りがあるのも良いと言う。いい思い出にもなると言う。
フィルズ
だからこそ、心に届いた。
透子
「でしょう?」
透子
ふふん、と鼻で笑う。
フィルズ
「はは、確かに私も……ラタスに負けてからの方が得たものが多かった。そういえば…そうだな。得られずに、”得る”というものもある」
フィルズ
「…ありがとう、透子。君には励まされた」
透子
「本当は有料なのよ?」
透子
冗談めかして言う。
フィルズとのやり取りも、今までの旅の中でゆっくり変わってきた。
フィルズ
「支払うとしたら大分高く付きそうだ。君の助言なら、惜しくはないが」
透子
自分とラタスだけではない。ルルキスにとってもフィルズにとってもラタスとの最後の旅である。
4人で最後の旅である。
フィルズ
冗談めかして笑う透子に、フィルズもまた笑う。誰かと、仲間とこのように笑いあえるなどと昔の自分は想像も出来なかっただろう。
フィルズ
そんな相手が居てくれることが嬉しい。励まされることに悔しさや屈辱でもなく、嬉しいと、ありがたいと思える自分になれたことが嬉しい。
フィルズ
だから、そう思わせてくれた彼らと過ごす時を大切にしたい…と。そう思った。
透子
「―――ねぇ、そろそろだから」
フィルズ
「ああ、任せてくれ」
フィルズ
促されれば、訪れる何かに意識を向ける。
透子
透子がそういうと路地の影から末裔が荷車を押しながら現れた。
荷台の荷物はどう見ても不安定で、しかしそれを直す余裕もないのか懸命に前と後ろから荷車を動かしている。
フィルズ
成程、と合点がいったように荷車を見ると、フィルズは立ち上がり末裔の方へと歩み寄る。
フィルズ
「…失礼、見る限り荷車に問題を抱えているようだが…?」
フィルズ
そう話しかけると、自らが救世主であること。その現状を解決できることを示してみせて。
フィルズ
「…どうだろう。ここは一つ私に任せてみてはくれないだろうか?」
…と、対価に積み荷のいくらかを提示しながら伝える。
末裔
「救世主様にでしたらいくらでも!」
末裔
慌てて積み荷をすべて差し出しかねない勢いだ。
積み荷は、堕落の国からすれば色とりどりの、と言って差し支えない果物の数々。
フィルズ
ありがとう、と礼を言うと、まずはまたたく間に荷車を直してみせる。心の疵の力。フィルズの異能。それを振るう。
フィルズ
「…では、これとこれ……ああ、それとこれらをいただこうか。何、君たちが商うのに困る程は取らない」
フィルズ
逸る末裔を制すると、4人で食べるには十分な程度の果物を手に取りあとはそのままにする。
末裔
「それだけで良いのですか?」
末裔
お礼を言いつつも、もっと持って行っては?と言いたげな末裔。
フィルズ
「ああ、大丈夫だ」
ありがとう…と再度伝えて。
フィルズ
とりどりの果物。瑞々しい果実。それらを最後の思い出に4人で食べることが出来る、それだけで十分なのだから。
フィルズ
「積み荷を運んでいる最中なのだろう?
…もう行くと良い。直に日もくれる」
透子
フィルズに改めてお礼をいい荷車を動かしていく末裔たちに一度視線を向けると、フィルズに微笑みかける。
透子
「さあ、戻りましょう。きっと2人は何も手に入れてないはずだから」
フィルズ
「ははっ 君がそう言うのなら間違いないな」
促す透子の言葉に笑うと、最後に末裔へと顔を向けて。
フィルズ
「それでは、良い旅を」
フィルズ
そう告げて2人の元へと戻っていった。
透子
フィルズの後をついていく。
透子
まだ4人の旅だから。
GM
GM
夕暮れ。
海だった砂浜。
ラタス
後ろ手に何かありそうな風に装う。
フィルズ
「…さて、そちらの成果はどうだ?」
ルルキス
「ふふふ……聞いて驚くがいいです!」
フィルズ
そう尋ねるフィルズの手には、隠しきれない程の果実が抱えられている。
透子
透子は微笑んで何も言わない。
ラタス
見せた手、には。
なにもない。
ルルキス
「これが答えだ!ちくしょうめ!」
ラタス
と、見せかけて。
貝がらがひとつ。
ラタス
「さっき拾った、これが“貝”ってやつなんだろ?」
ルルキス
「えっ」
ルルキス
「いつのまに!?」
ラタス
これが才覚の技だぜ……!
フィルズ
「ほぉ…お前は”海”を見つけたということか」
透子
ふふん、とでもいうようにルルキスを見る。
まるで子供のように。
ルルキス
「いやっ……いやっ!?」
ラタス
「海?」
ルルキス
「ちょっ、これ、私が一人負けたみたいな空気になるんですけど!?」
ラタス
不思議そうに貝を眺める。
フィルズ
「…海での遊びの一つに、貝殻拾いというものがある。お前は果物集めの代わりにそれを成したんだと思ったんだが…違ったか?」
ラタス
「へえ……」
ラタス
貝を眺める。
ルルキス
「……その貝」
ルルキス
「巻貝ですね」
ラタス
「まきがい」
ルルキス
「ええ」
ルルキス
「その貝をね……耳に当てるんです」
ラタス
「耳?」
ラタス
知らない音。
ラタス
遠くから響いてくるような、鼓動をたなびかせたような。
ルルキス
「面白い音でしょう」
ルルキス
「ただの反響、ただのノイズです……が」
ルルキス
「それは……海から押し寄せる波の音によく似ていると言います」
ラタス
「……これが、海の音か」
ラタス
果物を抱えたフィルズの耳に当てたり、透子に手渡したりして共有する。
ラタス
これが自分の知った海の音だと。
ラタス
「で、その……」
ラタス
「それが果物か!」
フィルズ
「そうだ。どれもとびきりに新鮮だぞ。申し分ないだろう」
フィルズ
そら、とラタスに一つ手渡す。
ラタス
当然見たことない。
ラタス
手に持ったまましげしげと見て、においを嗅ぐ。
ラタス
「甘い、においがするな!」
ラタス
「このまま食べていいのか?」
ラタス
手に持っているのは赤い実だ。
フィルズ
フィルズがラタスに差し出したのはりんごだ。勿論、皮ごと食べることも出来る。
フィルズ
「ああ、そのまま食べてみろ。皮は薄く、果肉は瑞々しい」
ラタス
おそるおそる口に運ぶ。
前歯が皮と果肉をかみ切るさわやかな音。
ラタス
「……うまい」
ラタス
「めちゃくちゃうまい!」
フィルズ
「そいつは良かった」
ルルキス
「この世界で林檎を見ることになるとは」
フィルズ
うまいと、興奮をしたように言うラタスを見て満足気に笑う。
透子
「どこかに果樹園でもあるのかしらね」
ラタス
すべての果物について聞く。
食べ方、名前。
そうしてすべての果物の感想を述べる。
フィルズ
「もしくは、そういう力を持つ救世主の手によるものかもな」
フィルズ
相槌を打ちつつ、質問には全てを答えてラタスへと差し出していく。感想には…嬉しそうに目を細めた。
透子
枇杷を丁寧に剥いては食べている。
ルルキス
林檎を齧る。
ルルキス
「……ふふ」
ルルキス
ラタスの顔を見て、思わず頬が緩んでしまう。
ルルキス
普段はあまり目で追わないようにしているが、胸中を告げて少し気が抜けてか。
ルルキス
まあいい。今は彼が主役で、彼が一番喜ぶべき時なのだから。
ラタス
中身を食べた葡萄の皮をこれも食べていいのか?と聞いて、皮を口に放り込んでいる。
フィルズ
食べられるが、その品種はあまり食わないな…と笑いながら次の果物を剥く。
ラタス
この日の夜にラタスは、話すだろう。
自分のこと。これからのこと。
ラタス
ルルキスが背を押した、ラタスの秘密を。
カッコ悪いところを。
ラタス
そういったことを。
最後の旅のために。
GM
[ 透子 ] HP : 14 → 17
[ フィルズ ] HP : 19 → 22
[ ルルキス ] HP : 17 → 20
GM
1d6 (1D6) > 3
GM
── 21日が経過。