メインフェイズ第二サイクル第三シーン

シーンプレイヤー:静寂ヶ原志筑

GM
どういったシーンにいたしましょう。
静寂ヶ原 志筑
韴子ちゃんと黙雷さんとお話がしたいので
静寂ヶ原 志筑
なんか二人のシーンの後を出迎えて一緒にお夕飯でもどうでしょう?
GM
いよさんも出る感じかな
GM
三人どうでしょう。
雨野 いよ
出ます
静居 黙雷
若のお呼びとあらば喜んで
天之 韴子
もちろん!
GM
仲良し~
GM
出迎えるし静寂ヶ原のお屋敷でいいか。
静寂ヶ原 志筑
オッケーです
GM
ではお屋敷でしっかりと4人分のお夕飯の支度が。
GM
こういうおうちはなんかわりと急でも用意できるんだよな。
GM
結構雑談などしながら食べているのかな。お夕飯を。
静寂ヶ原 志筑
かな。
GM
仲睦まじい。
静寂ヶ原 志筑
膳の上に、しっかりとした一汁三菜。
静寂ヶ原 志筑
小鉢のひとつは韴子の好きなもの。
静寂ヶ原 志筑
台所付きのおばあさまは、韴子のことをずいぶん可愛がっている。
天之 韴子
「あっ!」
天之 韴子
筑前煮を見て、嬉しそうに顔をほころばせる。
天之 韴子
「おばあちゃん、入れてくれてる!」
静寂ヶ原 志筑
「静倉さん、韴子が来るとなると張り切るからな」
静居 黙雷
「先程会いましたが、それはそれは張り切っていましたよ」
天之 韴子
「あとで挨拶しにいってもいい?」
静寂ヶ原 志筑
「ん。顔出すと喜ぶと思うし」
天之 韴子
「うん。おいしい」
天之 韴子
口に含み、笑みを作る。
天之 韴子
蓮根は先の見通しを意味するもの。昆布は喜び、里芋は子孫繁栄。未来の幸せを祈る縁起物。
天之 韴子
「……優しい味」
雨野 いよ
「香りからも美味しく煮付けられてますね」
静寂ヶ原 志筑
こちらは鰆の西京焼きに箸をつける。
静寂ヶ原 志筑
ふっくらと丁寧な焼き上がり。
静寂ヶ原 志筑
穏やかで優しい夕食時。
静居 黙雷
黙雷は、ほとんど家族と食卓を共にすることはない。
静居 黙雷
だからこそ、こんな機会をありがたく思うし、この4人が家族のようなものだ、と思う。
静居 黙雷
嬉しそうに、箸を進める志筑と韴子を見守る。
静寂ヶ原 志筑
櫃から自分で二杯目の米を盛りながら、
静寂ヶ原 志筑
「おかわりいる人」
天之 韴子
「はーい」
雨野 いよ
「志筑様、俺がおつぎいたしますよ」
静寂ヶ原 志筑
「いや……」
静寂ヶ原 志筑
「……いっぱい盛るから……」
静居 黙雷
「若はいっぱい盛りますからねぇ~」
天之 韴子
「どっちに頼んじゃおっかな~っ」
天之 韴子
「私も大盛りで食べたいんだよねえ」
雨野 いよ
「では、志筑様にお任せしてみてはどうでしょう」
天之 韴子
「よし志筑!いい感じにお願いっ」
静寂ヶ原 志筑
「よし」
雨野 いよ
「お手並み拝見といきましょうとも!」
静居 黙雷
「これは手加減の必要なさそうですね、若!」
静寂ヶ原 志筑
非常に綺麗な山盛りが返ってくる。
天之 韴子
「ありがと!」
雨野 いよ
「うぅ~~む、すばらしいですね」
静居 黙雷
「さすがは若! お見事な山盛りでございます!」
静居 黙雷
よく分からない賛辞が飛ぶ。
静寂ヶ原 志筑
よくわからないが、いつものことなのであんまり気にしない。
天之 韴子
白い山を切り崩していく。
静居 黙雷
いつもこんな感じだ。
天之 韴子
おかずと一緒に、ごはんが消えていく。
雨野 いよ
いつも以上に和やかかもしれない。
静居 黙雷
適当な所でいよからお櫃を回してもらい、自分でおかわりをよそっている。
天之 韴子
いっぱい食べて、すくすくと育ってきた。
天之 韴子
そうして、立派な大人になろうとしている。
雨野 いよ
自分の前の膳には手を付けず、ただニコニコと食卓を見守り時に語らう。
雨野 いよ
いままで何度も繰り返された食事風景。
静寂ヶ原 志筑
今更、なんということもない。
ごく普通のこと。
静寂ヶ原 志筑
「韴子。食後の甘いの、何かいる?」
天之 韴子
「欲しい!」
天之 韴子
何がとは言わない。志筑に任せれば、韴子の好きなものを選んでくれると思っている。
静寂ヶ原 志筑
「じゃ、あとで芋ようかん切ってもらおう」
天之 韴子
「やったっ」
静寂ヶ原 志筑
「いよさんも、甘いのは持って帰りますよね」
雨野 いよ
「そうですね、是非いただきましょう」
雨野 いよ
「一日の最後に甘いものがよく効くんですよ」
静寂ヶ原 志筑
「黙雷は何切れくらい食べる?」
静居 黙雷
「そうですね、では二切れほど頂きます」
静居 黙雷
本来このような雑事は自分が行うべきなのだが、志筑はなかなか甘やかせてくれない。
静居 黙雷
それはそれで時代に合った頼もしさだと思う。
静寂ヶ原 志筑
そうして、全員の膳の上がきれいに片付いたところで。
静寂ヶ原 志筑
「……芋ようかん貰いに行くついでに、下げちゃうか」
静居 黙雷
「では私めが」
静居 黙雷
私めが、とは言うものの、全てを自分が片付けようとはしない。一人で運ぶよりは、二人で運んだ方が早い。
天之 韴子
「ごちそうさまでした。すごくおいしかった」
雨野 いよ
「ごちそうさまでした」

手を合わせる。
静寂ヶ原 志筑
膳をてきぱき片付けながら、
静寂ヶ原 志筑
「ついでだから韴子も来い。静倉さん、まだ台所にいるだろ」
天之 韴子
「行く行く!いっしょにお皿持ってっていい?」
静寂ヶ原 志筑
「じゃあお櫃持って。お膳に乗らないから」
天之 韴子
「はーい」
静居 黙雷
襖を開けて、膳を抱えて先導する。
雨野 いよ
和やかな食卓もひとまずの終わりを迎え、志筑様と黙雷が韴子を伴って部屋を離れていく。
雨野 いよ
互いの家のことをよく知っている。
部屋の周囲には人の気配もなく、3人もしばらくは戻ってこないだろう。
雨野 いよ
「……いただきます」
雨野 いよ
改めて膳に手を合わせるとマスクをはずす。
雨野 いよ
マスクの下の素顔に、特別変わったところはない。
雨野 いよ
何か付け加えるのであればやや口が大きいことぐらい。
雨野 いよ
特別なものはない。
雨野 いよ
このマスクは”世話役”としての役目のため。
本来は男がなるはずだった”次期筆頭”を、少なくとも対外的にごまかすため。
雨野 いよ
箸と汁椀を手に取り、ゆるくかき混ぜる。
雨野 いよ
いつも冷めてしまって申し訳ないと思う。
雨野 いよ
この手袋も、この格好も、すべては雨野の家のため。
雨野 いよ
汁物を口に含む。冷めていても出汁の味と共に穏やかな香りが鼻孔に広がる。
雨野 いよ
「ふぅー………」
雨野 いよ
嘆息。
雨野 いよ
あまり気を抜いてはいられない。手早く膳へと箸をすすめる。
静寂ヶ原 志筑
もうすっかり夜。淡い月の光。
静寂ヶ原 志筑
「そういえば」
静寂ヶ原 志筑
「静倉さん、来年あたりで、娘さんに台所の仕事譲るかもって」
天之 韴子
「えっ」
天之 韴子
「そっか……。ずっと頑張ってきたもんね」
静居 黙雷
「寂しくなりますねぇ」
天之 韴子
「でも、ゆっくりできるんだね」
静寂ヶ原 志筑
「おれが成人したら良い区切りだから、あとはゆっくりしようかなってさ」
静寂ヶ原 志筑
志筑たちは大人になる。
そして大人は、やがて表舞台を去る。
天之 韴子
「……そっか」
静居 黙雷
「たまには静倉の家に遊びに行きましょう」
天之 韴子
「今のうちにいっぱいお話しよう」
静寂ヶ原 志筑
「……別に」
静寂ヶ原 志筑
「遊びに行けばいいだろ、来年だって」
静寂ヶ原 志筑
来年でも。その次の年でも。
静寂ヶ原 志筑
そう、滲ませる声。
天之 韴子
「……」
天之 韴子
来年、そこに自分は居るだろうか。居たとして、それは本当に自分だろうか。
静居 黙雷
「そうですね」
天之 韴子
志筑が何も知らなければ、笑顔で言えた。「うん、そうだね」と。
静居 黙雷
「忙しくなるでしょうが……、都合が合うのなら」
天之 韴子
嘘は吐ける。けれど、今その言葉を言えば、きっとそれは生への未練のように響くのだろう。
静寂ヶ原 志筑
「……別に、お前に何か約束させたいわけじゃないんだ」
静寂ヶ原 志筑
「おれはおれのしたいことをするよ」
天之 韴子
「うん」
静寂ヶ原 志筑
「たぶんお前も、お前がしたいようにする」
天之 韴子
「まあね」
静寂ヶ原 志筑
「だから、まあ。したいことが違ったら……」
静寂ヶ原 志筑
「勝って示すしかないんだろう。おれは」
天之 韴子
「簡単には負けないよ?」
静寂ヶ原 志筑
「お前が、簡単に勝てる相手なら」
静寂ヶ原 志筑
「ただ近所の幼馴染ってだけだったよ」
静寂ヶ原 志筑
「おれは、お前のことが大切だから」
静寂ヶ原 志筑
「だから、ちゃんと自分のしたいことをする」
静居 黙雷
ちら、と志筑を見るが、何も口にしない。
天之 韴子
「うん」
天之 韴子
「知ってる」
静寂ヶ原 志筑
「じゃあいいよ」
静寂ヶ原 志筑
「わかってるならいい」
静寂ヶ原 志筑
「本気でやるよ。今までがそうじゃなかったわけじゃないけど」
天之 韴子
「うん。私も本気でやる」
天之 韴子
「私、手強いよ」
静寂ヶ原 志筑
「知ってる」
静居 黙雷
「……」
静居 黙雷
いつか奇跡が起きて、志筑が勝てばと思っていた。
静居 黙雷
しかし、今は奇跡が起きないことを祈っている。
静居 黙雷
静かな廊下に、静かな足音が響く。
静寂ヶ原 志筑
わかっている。難しいことだ。何もかもが。
静寂ヶ原 志筑
けれど、何も知らないままではいられない以上。
知って、そして、何をするかは自分で選ぶ。
静寂ヶ原 志筑
「おれはさ」
静寂ヶ原 志筑
「これからも、お前のこと、知っていきたいよ」
静寂ヶ原 志筑
「大人になっても」
静寂ヶ原 志筑
「静倉さんみたいな歳になってもさ」
静寂ヶ原 志筑
韴子ちゃんの秘密に情報判定。言霊術で。
GM
いいでしょう。感情修正などは?
GM
なくていいならそのまま振っていただいても。
静居 黙雷
感情修正を乗せます。
GM
では+1ですね。どうぞ。
静寂ヶ原 志筑
2D6+1>=5 (判定:言霊術) (2D6+1>=5) > 5[2,3]+1 > 6 > 成功
GM
はい。志筑と、情報共有で黙雷に。
GM
お送りしましょう。
GM
お送りしました。
静寂ヶ原 志筑
「…………」
静寂ヶ原 志筑
「お前、よく喋るくせに、大事なこと言わないよな」
天之 韴子
「……そりゃ、だって」
天之 韴子
「……言えないじゃん」
天之 韴子
なるようになってきた、と言った。
天之 韴子
今回も、きっと望む結果を得られるとも言った。
天之 韴子
志筑の願いは叶わせない。韴子は全力でそれを阻むだろう。
天之 韴子
志筑という人間と、韴子という人間が、共に寄り添って長くを生きる。そんな未来を望めないことを、もっとずっと昔から知っていた。
天之 韴子
人は何でもできるわけではない。
天之 韴子
けれど未来の韴子は、きっと何でもできる大人になっているのだ。
静寂ヶ原 志筑
「おれは言ってほしいよ」
静寂ヶ原 志筑
「なんでもはできないけど」
静寂ヶ原 志筑
「できることは、するし。したいし」
静寂ヶ原 志筑
「お前のことなら余計に」
天之 韴子
「できることはもう分かってる。でしょ?」
天之 韴子
「お互い、勝てるように頑張ろう」
静寂ヶ原 志筑
「……ん」
静寂ヶ原 志筑
「頑張るよ」
天之 韴子
「私も」
静寂ヶ原 志筑
できること。したほうがいいこと。
静寂ヶ原 志筑
それしかないってことはない。
静寂ヶ原 志筑
まあ、そうしたほうがいいことはあるけど。
静寂ヶ原 志筑
そうじゃないことだって、おれは選べる。
静寂ヶ原 志筑
おれにとってやるべきことは、おれが決めるよ。
雨野 いよ
韴子も。黙雷も。そしてきっと志筑様も。成人の儀のことを知っている。
雨野 いよ
本当の意味も知っている。
雨野 いよ
それでもこうやって食卓を囲む。いつもの通りの日常の一片。
雨野 いよ
それぞれの決意があるんだろうと思う。
それぞれの想いがあるんだろうと思う。
それぞれの思惑があるんだろうと思う。
雨野 いよ
でもそれは、私も一緒。
雨野 いよ
たとえそれが一時のまやかしに過ぎなくても。
陽が沈むまでの僅かな時間であっても。
雨野 いよ
食事を終え、椀を置く。
雨野 いよ
「ごちそうさまでした」
雨野 いよ
マスクをせずに、手を合わせる。
雨野 いよ
 
雨野 いよ
 
雨野 いよ
 

メインフェイズ第二サイクル第四シーン

シーンプレイヤー:静居黙雷

静居 黙雷
ST シーン表(7) > 清廉な気配が漂う森の中。鳥の囀りや、そよ風が樹々を通り過ぎる音が聞こえる。
静居 黙雷
森かぁ
GM
清らかな感じだ。
静居 黙雷
じゃあ森にすっか。いよさん登場お願いします。
GM
森でお話を。
雨野 いよ
はい
静居 黙雷
子供の頃に訓練とかした森ということにしましょう。
GM
時刻はどうかな。夜?
雨野 いよ
懐かしいねぇ
静居 黙雷
夜にしちゃおうか
GM
あの後の夜でね。
静居 黙雷
うんうん。
雨野 いよ
わかりました
GM
月はあいも変わらず夜空にぽっかりと。
GM
実のところ、夜に囁く木の葉の音こそが、
GM
忍びの身には耳慣れ心地よい。
静居 黙雷
森の中を男が歩く。
静居 黙雷
緑と土、そして夜の香りの合間を草履が踏む。
雨野 いよ
草を、枝を、土を踏む音がする。
静居 黙雷
足音には振り返らない。
静居 黙雷
大きな木の前で立ち止まると、軽く跳躍。ふわりと枝の一振りに降り立つ。
静居 黙雷
ここは月がよく見える。
雨野 いよ
月の光を浴びる幼馴染を見上げる。
静居 黙雷
下を見下ろして、少し横にずれ、手で示す。
雨野 いよ
一息。
雨野 いよ
黙雷の隣へ音もなくたどり着く。
静居 黙雷
枝に腰を下ろして、足をぶらつかせる。
静居 黙雷
「ここに来るのも久しぶりだな」
雨野 いよ
「そうだなぁ。20年ぐらいか?」
そのまま枝に腰を下ろす。
静居 黙雷
子供の頃に共に修行した森。この木の枝の上で、怒ったり泣いたりした思い出。
雨野 いよ
あの頃の自分は泣いてばかりいた。
静居 黙雷
あの頃の自分は怒ってばかりいた。
静居 黙雷
「20年か。俺達も大人になるはずだ」
雨野 いよ
「大人になった、って言われてからはもっとあっという間だったなぁ」
静居 黙雷
「分かるなぁ。年をとると月日が経つのが早い早い」
雨野 いよ
「矢のごとしなんてものではないな!」
静居 黙雷
「そうだなぁ、光速くらいか?」
雨野 いよ
「俺たちより速いのは間違いないよ」
静居 黙雷
「追いつけない訳だ」
静居 黙雷
月明かりが、幼馴染の二人を照らす。
雨野 いよ
「気を抜くと置いていかれかねない」
静居 黙雷
「……」
静居 黙雷
「置いていかれる、か」
静居 黙雷
「お前は、俺を置いていくつもりなのか?」
雨野 いよ
「そうだって言ったら?」
静居 黙雷
「寂しいなぁ」
静居 黙雷
「お前の気持ちは分かるから、馬鹿な真似はやめろ、とも言えないし」
静居 黙雷
「困っているよ」
雨野 いよ
「………そうだろうな」
雨野 いよ
「一番困ってるんじゃあないかって思うよ。そういうところ」
静居 黙雷
「はは、皆俺よりも心が強いからな」
雨野 いよ
「……別に」
雨野 いよ
「そういうわけでもないだろう。きっと誰も悩んで、困って、考えて」
雨野 いよ
「そして、決める」
雨野 いよ
「黙雷も言ってたじゃないか。俺が悩んで決めたことなら、肯定はしてくれるんだろ?」
静居 黙雷
「もちろんだとも」
静居 黙雷
「しかし、俺は寂しい。寂しいぞ」
静居 黙雷
枝から葉っぱを引きちぎり、いよに投げつけた。
静居 黙雷
ただの八つ当たりだ。
雨野 いよ
「はっは、まるで子供みたいだ」
静居 黙雷
「お前しかいないのだから、このくらい、いいだろう」
静居 黙雷
足をぶらぶらさせて、草履を遠くに放り投げる。
静居 黙雷
後で足袋を脱いで拾いにいかないといけない。
雨野 いよ
「こーら、無くすでしょうが」
静居 黙雷
「無能な俺でもそこまでではないわい」
静居 黙雷
枝の少ないスペースで胡座を組む。
雨野 いよ
「昔はがさつでよく物をなくしただろうが」
雨野 いよ
「それに、俺は黙雷を無能だと思ったことは一度もない」
静居 黙雷
「はて、はて。すっかり忘れてしまったなぁ」
静居 黙雷
「……」
静居 黙雷
枝の下を、じっと見ている。まぶしい月から目を逸らすように。
雨野 いよ
「無能に韴子様や志筑様を任せるか?そんなわけないだろう」
雨野 いよ
月光を受け、白と黒の輪郭は銀色に縁どられる。
静居 黙雷
ふ、と笑う。
静居 黙雷
「そうだな、少なくとも、お前はそうだ」
静居 黙雷
「ありがとう、いよ」
静居 黙雷
顔を上げる。
雨野 いよ
「………」
静居 黙雷
「いよ」
雨野 いよ
「なんだ?」
静居 黙雷
「男に二言はない。俺はお前の選んだことを肯定する」
静居 黙雷
隣の幼馴染の目を、まっすぐに見る。
静居 黙雷
「だが、お前を死なせてやる気はない」
静居 黙雷
「残念なことにな。俺は他人に順序を付けられる人間だ」
静居 黙雷
「志筑様が一番」
静居 黙雷
「二番目は、お前だ。いよ」
雨野 いよ
「………」
雨野 いよ
 
雨野 いよ
「じゃあ……」
雨野 いよ
「好きなようにやってくれ。もっくんの思う通りに」
雨野 いよ
「”私”ももっくんが決めたことは肯定するから」
雨野 いよ
世話役でもなく、家も関係ない。友人とも少し違う。
幼馴染としての約束。
雨野 いよ
「”俺”にも、二言はないよ」
静居 黙雷
「……ありがとう、いよ」
静居 黙雷
情報判定します。 雨野いよの秘密
GM
OK 特技は?
静居 黙雷
うーんと 対人術で
GM
対人をしているなあ。
GM
では判定をどうぞ。
雨野 いよ
少しお待ちを。
GM
おっと。
静居 黙雷
雨野 いよ
感情修正入れましょう
GM
なるほどね。
GM
では+1をつけてどうぞ。
静居 黙雷
2D6+1>=5 (判定:対人術) (2D6+1>=5) > 6[2,4]+1 > 7 > 成功
GM
成功だ。マジで出目いいな最近。
GM
では黙雷と、情報共有で韴子にもですね。
GM
お送りします。
GM
お送りしました。続けてどうぞ。
静居 黙雷
「いよ」
静居 黙雷
「これから何があったとしても、俺はおまえのことを、志筑様の次に大事に思っている」
静居 黙雷
「何があったとしても、一生、だ」
雨野 いよ
「一生」
雨野 いよ
「……一生ときたかぁ」
静居 黙雷
「俺が本気なのは分かるだろう」
雨野 いよ
「そりゃあ長い付き合いだからね」
雨野 いよ
「一生の付き合いにしようって?」
静居 黙雷
「そうするつもりだ」
雨野 いよ
「俺が筆頭になって、もしかして会えなくなっても?」
静居 黙雷
「勝手に思う分には怒られないだろう?」
雨野 いよ
「ふふん、そりゃそうだ」
静居 黙雷
「例えばお前がものすごく偉くなって、俺より長生きして」
静居 黙雷
「俺が死んだ時に葬式に来て、大騒ぎを起こしてくれれば最高だ」
雨野 いよ
「……迷惑な、年寄りになるなぁ。それは」
静居 黙雷
「いいじゃないか。俺は迷惑な年寄になったお前を見て、若い頃はもっとまともだったと陰口を叩きたい」
雨野 いよ
「草葉の陰でか」
静居 黙雷
「そうだな」
静居 黙雷
「そうなったら最高だ」
雨野 いよ
「陽の差すところに出ればいいのに」
雨野 いよ
「……まてよ?もし俺の葬式に出たら同じことをするつもりか?」
静居 黙雷
「はっはっは、それはいいな」
静居 黙雷
「それを思えば、野心の一つも持てそうな気がしてくる」
静居 黙雷
「将来の夢ができてしまったな」
静居 黙雷
「俺の夢のためにも、俺が偉くなるまで、お前を死なせるわけにはいかん」
静居 黙雷
「静かに死ねると思わないことだ」
雨野 いよ
「寝てる人の傍で騒いじゃいけませんって怒られるぞ」
雨野 いよ
「起きちゃうかもしれないだろ」
静居 黙雷
「それはそれは、余計に騒がねばなるまい」
静居 黙雷
「交互に葬式で大騒ぎすれば、長生きできそうじゃないか」
静居 黙雷
軽口を叩いて、笑う。
静居 黙雷
月に手を伸ばす。
届くはずはない。
静居 黙雷
僅かにつま先立つ。
指先まで伸びた筋肉。
指の間から溢れる光。
静居 黙雷
例え手が届かなくとも。
手を伸ばすこと自体が楽しい。
そんなことに、ようやく気が付く。
静居 黙雷
「俺はお前を諦めないよ、いよ」

◆マスターシーン

GM
今度は噂じゃない。
GM
街に忍ばせた下忍から齎された、確かな事実。
GM
――人が、消えている。
GM
一人また一人と手を引かれ、
GM
影に取り込まれて姿を消して、
GM
その消息はいざ知れず。
GM
行方は不明、原因も不明、
GM
けれど子どもたちが囁き合う。
GM
「もうすぐ」
GM
「世界が、おわってしまうんだって」