メインフェイズ

七竈 幽
2d6 初手を勝ち取るぞ (2D6) > 5[1,4] > 5
七竈 蘇芳
2D6 (2D6) > 3[1,2] > 3
懸鉤子 蜜
2d6 (2D6) > 4[2,2] > 4
七竈 幽
マジ?
GM
☆レベルの低い戦い――!!
七竈 幽
1d6で決めてます?
GM
びっくりした。とりあえず幽くんからでね。

◆メインフェイズ第一サイクル第一シーン

シーンプレイヤー:七竈 幽

七竈 幽
CST 都市シーン表振ります
 都市シーン表(8) > 古びた劇場。照明は落ち、あなたたちのほかに観客の姿は見えないが……。
GM
劇場だ。
GM
人気のない劇場。
七竈 幽
振ってみたけど どうしようかな 一人なんだよな
GM
気の赴くままに探し求めていつの間にか潜り込んでたんですか。
七竈 幽
一旦集中して気配とか探るか……となったのかもしれない
GM
人気のない場所を求めた感じですね。
七竈 幽
そうですね。
七竈 幽
銃使い相手に屋外は危ないしな。
GM
正しい。
GM
薄暗い劇場。初夏の気配の遠ざかる屋内へ。
GM
人気のない変わりに、少しだけどこか埃っぽさが漂う。
七竈 幽
獅子鞍透夜との邂逅から一夜開け。
七竈 幽
幽は今日も朝から、かの人物を求めて街を彷徨っていた。
七竈 幽
学校はしばらく休むと蘇芳から連絡してもらった。
七竈 幽
「…………」
七竈 幽
昨日はあんなにも確信を持って歩を進めていけたのに、今日はどうにも手応えがない。
七竈 幽
しかし、そう遠くないどこかにいることは分かる。
七竈 幽
埃の積もった舞台に腰を下ろす。
七竈 幽
刀を抜く。
七竈 幽
磨き上げられた刀身が、鏡のように幽の顔を映す。
七竈 幽
プライズ『神鏡・啼沢女』を調べます。
GM
情報判定ですね。いいでしょう。特技は?
七竈 幽
見敵術。
GM
了解。判定を。
七竈 幽
2D6>=5 (判定:見敵術) (2D6>=5) > 8[4,4] > 8 > 成功
GM
難ないですね。お送りします。
GM
お送りしました。
七竈 幽
「…………」
七竈 幽
その鏡に何を見たのか。
七竈 幽
刀を納め、立ち上がる。
七竈 幽
静かに劇場を後にした。
GM
深い赤色の緞帳が、吹くはずのない風に揺れた。

◆メインフェイズ第一サイクル第二シーン

シーンプレイヤー:懸鉤子 蜜

GM
どういったシーンかな。誰か出します?
懸鉤子 蜜
そのまま隠れ家シーンでお願いします。
懸鉤子 蜜
登場は透夜くんに出てほしいかな。
獅子鞍 透夜
おう
GM
はーい。どうしようかな~
GM
ではこれでお願いします。
懸鉤子 蜜
ブレッドにローストポーク、ハム、チーズ、ピクルスを挟んで。
バターでカリカリに焼く。ハニーマスタードをきかせるのが隠し味。
懸鉤子 蜜
そんな晩御飯だった。
懸鉤子 蜜
隠れ家でもちゃんとしたものが食べれるように。
安心して眠れるように。
前から入念に準備をしていた。
懸鉤子 蜜
あの時から仰せつかった、この使命。
守るということ。身の回りの世話をするということ。
ただ追手を制圧するだけでなく、透夜自身のために必要なことを考える。
懸鉤子 蜜
デザートに買ってきた苺をつつきながら。
透夜の顔を見つめる。
獅子鞍 透夜
あの日、家を出された日。
獅子鞍 透夜
自分は幼く、きちんと理解ができていなかったと思う。
獅子鞍 透夜
それでもこうして人間らしい生活ができているのは、ひとえにミツのおかげだった。
獅子鞍 透夜
その視線に気づいて、顔をあげる。
獅子鞍 透夜
「ん?」
懸鉤子 蜜
「この苺甘いね~」
懸鉤子 蜜
はじめてふたりで食べたのも苺だった。
パンケーキを焼いて。苺を乗せて。
獅子鞍 透夜
「ああ……うん」
獅子鞍 透夜
同じものを食べて、一緒に笑って。
獅子鞍 透夜
「アタリだな」
懸鉤子 蜜
「ね!」
懸鉤子 蜜
準備をしてきたけれど。
いざこうして、その時が来て。
思うことは。
懸鉤子 蜜
どうして、仰せつかったのは『宝珠・迦具土』を守ることなんだろう。
懸鉤子 蜜
透夜じゃなくて。
懸鉤子 蜜
そういうものだと思って生きて来たけれど。
ずっと、ずっと不思議だったし。
懸鉤子 蜜
本当はあの時からむかっと来てた。
当然そんなことは言えないし。
だからこうして、こういう形でしか。
懸鉤子 蜜
返せてあげれていない。
懸鉤子 蜜
透夜の秘密を調べます。
特技は隠形術。
この日まで準備してきた、大事な務め。
GM
いいでしょう。判定をどうぞ。
懸鉤子 蜜
2D6>=5 (判定:隠形術) (2D6>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
出目が高い! お送りしましょう。
獅子鞍 透夜
「…………ミツ?」
獅子鞍 透夜
最後のイチゴを飲み込んで、ふとその顔を見る。
獅子鞍 透夜
怪我をした場所は酷い痛みではない。
獅子鞍 透夜
ミツが手当てしてくれたから。
獅子鞍 透夜
自分はまだ生きている。
獅子鞍 透夜
ミツが助けに来てくれたから。
獅子鞍 透夜
こうして、美味しいごはんとデザートを食べられる。
獅子鞍 透夜
ミツが準備していてくれたから。
懸鉤子 蜜
いつもの笑顔が少しだけ、昔の緊張した笑みに戻って。
また笑う。
懸鉤子 蜜
「……ほんっっっと大変だけど……私」
懸鉤子 蜜
「シノビやっててよかったな」
懸鉤子 蜜
「こうしてとーやの力になれるの、うれしい」
獅子鞍 透夜
「は……?」
獅子鞍 透夜
「なんだよ、突然そういうの……」
懸鉤子 蜜
「やー、シノビの家に生まれたからには」
懸鉤子 蜜
「あたりまえなんだけど……ふふ」
懸鉤子 蜜
「頑張ってきてよかったな」
獅子鞍 透夜
「…………」
獅子鞍 透夜
「…………」
獅子鞍 透夜
そういう風に言われると、照れるだろ。
懸鉤子 蜜
「何があっても、私はとーやの味方」
獅子鞍 透夜
ずっと、自分の人生犠牲にして生きてるようなもんだろ。
懸鉤子 蜜
「絶対に、守るから」
獅子鞍 透夜
「…………」
懸鉤子 蜜
「いっしょに頑張ろ」
獅子鞍 透夜
一体、いつまで。
獅子鞍 透夜
いつまで、一緒にいてくれるんだろう。
獅子鞍 透夜
「…………ミツ」
獅子鞍 透夜
「あの、さ。俺……話してなかったことが、あるんだ。」
懸鉤子 蜜
「……うん」
獅子鞍 透夜
まっすぐに、見る。
懸鉤子 蜜
見る。いつものようにそこにいる。
獅子鞍 透夜
「俺、本当は……」
獅子鞍 透夜
話したかったこと。
話さなければならないこと。
本当は話したくなかったこと。
獅子鞍 透夜
家族の事。
流派のこと。
獅子鞍 透夜
それから
獅子鞍 透夜
「いつも……」
獅子鞍 透夜
「いつも、一緒にいてくれて」
獅子鞍 透夜
「…………ありがとう」
懸鉤子 蜜
「ふふ」
懸鉤子 蜜
「今はもう私自身の願いでそうしてるよ」
懸鉤子 蜜
「私こそ、ありがとうね」
獅子鞍 透夜
わからないなと思う。
獅子鞍 透夜
いつも、楽しそうに笑っているように見えて
獅子鞍 透夜
本心がどこにあるのか。
獅子鞍 透夜
それでも、これまで積み重ねてきた日々は
獅子鞍 透夜
嘘ではないから
獅子鞍 透夜
「なーんてな」
獅子鞍 透夜
「もう、なんか真面目な話はおわり」
獅子鞍 透夜
「さっさと彼奴ぶっ倒して学校もどらねーと」
懸鉤子 蜜
「うん、ぶっつぶそうね!」
獅子鞍 透夜
「アプデ前にもどらねーと、俺だけランクおいてかれるし……」
獅子鞍 透夜
「何より、あのユウって名前気に入らねーしな!」
懸鉤子 蜜
「ふふ」
懸鉤子 蜜
たとえ追われる身の隠れ家であっても、この夜も積み重ねてきた日々のひとつになる。
懸鉤子 蜜
「じゃ、今日は早く寝ましょう。
お風呂先にど~ぞ」
獅子鞍 透夜
「ん」
獅子鞍 透夜
「あー……面倒だな」
懸鉤子 蜜
「入ってる間素材集めておくから」
獅子鞍 透夜
「じゃ、ゆっくりはーいろ」
獅子鞍 透夜
そう言って風呂場に向かう。
懸鉤子 蜜
「いじわる!」

◆メインフェイズ第一サイクル第三シーン

シーンプレイヤー:七竈 蘇芳

GM
他の誰か出すかな? どういうシーンにいたしましょ。
七竈 蘇芳
幽と一緒に。こっちはお家で晩御飯かな。
GM
イチャつき返しだ。
GM
幽くんOK?
七竈 幽
OK。
GM
はい。では二人のシーンですね。
七竈 幽
あの後帰ってきた。
GM
初夏の夕暮れ。空気が少し湿っている。
七竈 蘇芳
今日は昨晩の大根と蛸の煮物のあまり、焼いたはんぺん、小松菜のおひたし、汁ものに麦ごはん。焼いた鳥がすこし。
七竈 蘇芳
帰ってきた気配に、前掛けで手を拭いながら玄関まで迎える。
七竈 蘇芳
「おかえり、幽」
七竈 幽
「ただいま、蘇芳さん」
七竈 幽
いつもと変わらぬ無愛想……に、見えるが。
七竈 蘇芳
「今日はどうだった」
七竈 幽
どこか気落ちの気配。
七竈 蘇芳
訊かずともわかる。
七竈 幽
首を振る。
七竈 蘇芳
火の匂いがしない。死の匂いも、血の匂いも。
七竈 幽
「会えなかった」
七竈 幽
「居所もまだ分からない」
七竈 蘇芳
「残念」
七竈 幽
「うん」
七竈 幽
靴を脱いで、きれいに揃える。
七竈 幽
「明日また出かける」
七竈 蘇芳
「まあ、あちらさんも警戒は続けてるだろうからね」
七竈 蘇芳
「うんうん。腹が減ってはなんとやら」
七竈 蘇芳
「お風呂もわかしてるから、休んで」
七竈 幽
「ありがとう」
七竈 蘇芳
学校から帰ってきたときと同じ扱い。
七竈 蘇芳
誰かを殺しにさまよう子供へのそれではない。
七竈 幽
つられるように、幽の雰囲気もやわらぐ。
七竈 蘇芳
整えられた食卓に湯気が立つ。
七竈 蘇芳
この家も、昔からこうだったわけではない。
七竈 幽
蘇芳に向かい合わせて座る。
七竈 蘇芳
ひとらしい生活がかたちになるのは本当にゆるやかだった。
七竈 蘇芳
なにせ羹と膾の区別もなく子供に与えるような男だった。
七竈 幽
それでも出されたものは文句なく、なんでも食べた。
七竈 幽
そして必ず、「おいしい」と感謝を告げた。
七竈 蘇芳
与えたまま、あるままを受け取るこの子のからだが、
自分の喰わせたもので出来あがるのだと気づいてからは。
七竈 蘇芳
火の扱いも覚え、包丁さばきを身につけ。
七竈 蘇芳
こうして。
七竈 蘇芳
「いただきます」
七竈 幽
「いただきます」
七竈 蘇芳
おなじ食事を取っている。
七竈 幽
蘇芳が幽に合わせて自身の生活を変えてくれたことを、理解している。
七竈 幽
だから昔から変わらず、作ってくれたものはなんでも食べる。
七竈 幽
普段から無口な幽は、食事の際には特に物静かになる。
七竈 蘇芳
蘇芳もまた、食事の際は静かだ。
七竈 蘇芳
ただ食器の触れあう音だけ。
七竈 幽
沈黙は苦にならない。
七竈 蘇芳
やや持ち方のだらしない箸で、食事が続く。
七竈 幽
ずっとこうしてきた。
七竈 蘇芳
ずっと、こうしていく。
七竈 蘇芳
感情判定をします。使用特技は兵糧術。異形化で代用。
GM
代用判定でいいんですか?
七竈 蘇芳
大丈夫です。
GM
わかりました。判定をどうぞ。
七竈 蘇芳
2D6>=6 (判定:異形化) (2D6>=6) > 7[1,6] > 7 > 成功
GM
きっちり通す!
GM
双方ETをどうぞ。
七竈 幽
ET 感情表(2) > 友情(プラス)/怒り(マイナス)
七竈 蘇芳
ET 感情表(2) > 友情(プラス)/怒り(マイナス)
七竈 幽
七竈 蘇芳
はい
七竈 蘇芳
GM
健全だ。
GM
選択を。
七竈 幽
オレと蘇芳さんは友人だった……?
七竈 幽
友情。
GM
種族の垣根を越えた友情が。
七竈 蘇芳
友情。
GM
了解しました。
GM
友という言葉には広い意味がある。
七竈 蘇芳
「幽は」
七竈 幽
「ん?」
七竈 幽
ごちそうさまをして箸を置いて。
七竈 幽
声をかけられて、蘇芳を見る。
七竈 蘇芳
「良い子だねえ」
七竈 蘇芳
噛み締めるように。
七竈 幽
「そうかな」
七竈 幽
「学校サボってるから、不良かも」
七竈 蘇芳
「ははは」
七竈 蘇芳
「蘇芳さんなんて学校行ってないんだから」
七竈 蘇芳
食器をかたづけがてら、頭を撫でる。
七竈 幽
撫でられる。
七竈 蘇芳
遠慮のない手付きが髪を乱して。
七竈 幽
乱れた前髪の隙間から、火傷の痕がのぞく。
七竈 蘇芳
それに目をとめる。
七竈 幽
「…………?」
七竈 幽
蘇芳を見上げる。
七竈 幽
蘇芳は背が高い。話す時はいつも見上げる形になる。
七竈 蘇芳
右顔面を覆うような火傷を、長い親指が撫でる。
七竈 蘇芳
こちらはやや背をかがめ、覗き込む形になる。
七竈 幽
「何」
七竈 幽
咎めるでもなく、尋ねる。
七竈 幽
くすぐったそうに目を細める。
七竈 蘇芳
「痕、ちょっと薄くなったかな」
七竈 幽
「どうだろ」
七竈 蘇芳
血の匂いも、焼けた肉の匂いも今はしない。
七竈 幽
「気にしたことなかった」
七竈 幽
「なってる?」
七竈 蘇芳
年頃の少年の肌の上を指が撫でる。
七竈 蘇芳
「なってるかも」
七竈 幽
それを受け入れている。
七竈 蘇芳
本人が気にしていないのなら、気にする必要もない。
七竈 幽
「そっか」
七竈 蘇芳
皮膚の薄くなった痕をひとしきり辿る。
七竈 幽
親のような、兄のような、ただ一人の友人のようなこの人を相手に
七竈 幽
幽は反抗というものをしたことがない。
七竈 幽
幼い頃には、その理由に恐怖心もあったかもしれない。
七竈 幽
けれど、今は違う。
七竈 蘇芳
いまは、牙の覗かぬ笑顔。
七竈 蘇芳
手を離す。
七竈 蘇芳
「さ、片付け片付け」
七竈 幽
離れていく手を少しだけ目で追って、
七竈 幽
「ん」
七竈 幽
再び、蘇芳の顔を見上げる。
七竈 幽
「…………」
七竈 幽
『神鏡・啼沢女』の秘密を蘇芳に譲渡します。
七竈 蘇芳
受け取ります。
GM
はい。
GM
ではお渡ししましょう。少々お待ち下さい。
GM
お送りしました。
七竈 蘇芳
微笑む。
七竈 蘇芳
これからも。
七竈 蘇芳
その口の裏に牙を潜めたまま。
七竈 幽
本当は、もう牙を見ても怖くない。
七竈 幽
だけど蘇芳が幽のためにしてくれることを、
七竈 幽
されるがままに、全て、
七竈 幽
幽は受け取る。
七竈 蘇芳
与えられるものはなんでも。願われることは出来るならすべて。
七竈 蘇芳
この子に。
七竈 蘇芳
ずっと、そうしていく。

◆メインフェイズ第一サイクル第四シーン

シーンプレイヤー:獅子鞍 透夜

GM
満を持し。
GM
どういったシーンにいたしましょ。
獅子鞍 透夜
俺はミツと一緒にその蘇芳って男の秘密を抜きに行きます。
GM
二人で。
GM
蘇芳さんと蜜さんが登場?
獅子鞍 透夜
いや、ミツだけで……!
GM
はーい。
GM
どういう感じになるかな。
獅子鞍 透夜
見た目の特徴とかからだいたいの場所を割り出して、絡繰りで調査しようかなと。
GM
とりあえず判定しちゃってからRPします?
獅子鞍 透夜
はーい
獅子鞍 透夜
蘇芳の秘密を絡繰術で調査
GM
そんなときもある。では判定をどうぞ
獅子鞍 透夜
2D6>=5 (判定:絡繰術) (2D6>=5) > 7[1,6] > 7 > 成功
獅子鞍 透夜
よしよし
GM
よどみなく。とりあえず共有はなしですね。
獅子鞍 透夜
はい
GM
蘇芳さんの秘密、お渡ししましょう。
懸鉤子 蜜
投げ物を使うなんて調べてくれと言っているようなものでしてよ。
GM
ばっちり調べられましたねえ。お送りしました。
獅子鞍 透夜
いただきました
GM
二人で共有しながらRPする?
獅子鞍 透夜
秘密をミツに共有します。
GM
OK
懸鉤子 蜜
いただきっ
GM
お送りしました。お話してどうぞ。
獅子鞍 透夜
ミツの調査した情報をもとに、蘇芳(そういう名前らしい)という男の住処があるらしい地区を走る。
懸鉤子 蜜
少し遅れての並走。
周囲を警戒しながら、辺りに視線を向ける。
獅子鞍 透夜
それに加え、小型の自動徘徊収音ドローンを飛ばしている。
獅子鞍 透夜
透夜は筋力に恵まれなかったが、こういった絡繰や機械類の使用に長けていた。
獅子鞍 透夜
おそらくは、あのユウという男も近くにいる。
獅子鞍 透夜
用心するに越したことはない。
獅子鞍 透夜
「…………ミツ」
懸鉤子 蜜
「ん」
獅子鞍 透夜
「『蟲』が帰ってこない場所がある」
獅子鞍 透夜
「行こう」
懸鉤子 蜜
「オッケー」
獅子鞍 透夜
音も気配もなく、その場所へと向かう。
懸鉤子 蜜
あとへ続く。
獅子鞍 透夜
一般的な家屋のように見える、その板の隙間から『蟲』を放す。
獅子鞍 透夜
建物の反対側から忍び寄り、聞き耳を立てる。
獅子鞍 透夜
「…………いないな」
懸鉤子 蜜
「うん、そうみたい」
獅子鞍 透夜
「見張り頼む。俺が入る。」
懸鉤子 蜜
頷いて、すぐに動けるような場所へ身を潜める。
獅子鞍 透夜
胸騒ぎがする。
獅子鞍 透夜
家に侵入すると、それはより顕著に。
獅子鞍 透夜
記録や素性の分かりそうなものを物色する
七竈 蘇芳
背後からゆらりと、影が差す。
七竈 蘇芳
鬼の影。
獅子鞍 透夜
……!
獅子鞍 透夜
猫のように手をつき離れる。
七竈 蘇芳
「や」
七竈 蘇芳
片手をひらりと揚げる。
獅子鞍 透夜
「…………」
七竈 蘇芳
「そんな警戒しないで」
七竈 蘇芳
「お姉さんもきてる?」
獅子鞍 透夜
先日は、ユウに圧されて感じなかった。
七竈 蘇芳
訊くころには、視線がそれを見つけている。
獅子鞍 透夜
「あ?」
懸鉤子 蜜
天井から降り立つ。
七竈 蘇芳
この家の影という影に、鬼の気配はある。
獅子鞍 透夜
「随分とのんきなもんだな、『蘇芳』さんよ」
七竈 蘇芳
「あっ」
七竈 蘇芳
「やあやあ」
懸鉤子 蜜
「先日はどうも」
七竈 蘇芳
懸鉤子が降りてくれば微笑んで。
七竈 蘇芳
「ろくに話もできなかったからねえ」
七竈 蘇芳
「呑気なのは、まあね」
七竈 蘇芳
「きみたちに用事があるのは俺じゃないからさ」
獅子鞍 透夜
「…………」
懸鉤子 蜜
張っておいた罠が聞こえたと思ったらすでに中へ。
そののらくらとした態度に少し眉を顰め。
七竈 蘇芳
「……人んちに入ってきて随分な態度だこと」
七竈 蘇芳
「お茶でも飲む?」
懸鉤子 蜜
「……敵意がないのは結構なことですが」
懸鉤子 蜜
透夜を庇うように前へ歩みつつ。
七竈 蘇芳
「見逃したげるって言ってるんだけどな」
懸鉤子 蜜
「まぁお優しいこと」
獅子鞍 透夜
「アンタの息子が帰ってきたら困るからか?」
七竈 蘇芳
息子、という言葉に、無邪気に嬉しそうな顔をする。
七竈 蘇芳
「うん」
七竈 蘇芳
「うちで殺し合いはちょっとね」
七竈 蘇芳
「ご近所迷惑だから」
獅子鞍 透夜
「…………」
獅子鞍 透夜
わかる。これは、この感覚。
獅子鞍 透夜
胸騒ぎがする。
獅子鞍 透夜
「ミツ、引くぞ」
七竈 蘇芳
見下ろす。
七竈 蘇芳
血色の瞳。
懸鉤子 蜜
にこりと微笑んで。
七竈 蘇芳
牙を剥き出して、わらう。
懸鉤子 蜜
引くぞ、の声に従い後ろへ跳び退く。
獅子鞍 透夜
しゃかしゃかと羽虫が翅をこするような音が室内にこだまする。
獅子鞍 透夜
一歩、二歩と警戒するように下がり。
七竈 蘇芳
追うことはない。
獅子鞍 透夜
室外へと消える。
懸鉤子 蜜
香りひとつ残さず。
獅子鞍 透夜
やがて、静寂が戻り。
鬼を残してシノビは去る。
獅子鞍 透夜
帰路。
獅子鞍 透夜
ユウが使いそうな『道(ルート)』を避けながら、走り。
獅子鞍 透夜
「ミツ」
懸鉤子 蜜
「……ん」
獅子鞍 透夜
「アレは、おそらく……」
懸鉤子 蜜
「うん」
獅子鞍 透夜
己が感じたこと。
わかったことを告げながら。
懸鉤子 蜜
同じように、こちらも直感したものを話した。
獅子鞍 透夜
『蟲』が散っていく。
獅子鞍 透夜
その行く先を眩ませるように。