◆メインフェイズ第三サイクル第三シーン
シーンプレイヤー:七竈 蘇芳
七竈 蘇芳
戦闘から離脱してどっかしらに身を潜めてますね。
万が一の時幽くんと落ち合おうって決めてる場所とかかな。
七竈 蘇芳
CST 都市シーン表(12) >
廃屋。床には乱雑に壊れた調度品や器具が転がっている。
GM
吸血種の仲間の持ち物で、これもまた好きに使っていいと言われていた。
GM
強い陽光から逃れるように、蘇芳はその一階に隠れている。
七竈 蘇芳
惨めなものだ。泥水が溜まるように、廃屋の片隅。
七竈 蘇芳
宝珠を吐きだすことも出来ず、しばし苦しみ喘ぐように影が震え。
七竈 蘇芳
やがて廃屋の壁に落ちた薄い影に沿って、人のかたちを結ぶ。
七竈 蘇芳
案の定、胸に。――かつてと同じように。
七竈 蘇芳
息を浅く吐き、吸い。ちらと窓に目を向ける。
七竈 蘇芳
既に陽が高い。どれほど経ったのかは感覚でわかる。
七竈 蘇芳
あの後すぐに戦闘が終わっていたなら、そろそろ。
七竈 幽
そう思ったのを見計らったかのように、潜めた気配が廃屋へと近づいてくる。
七竈 蘇芳
差し込む陽光を嫌うように僅かにずれる。
七竈 蘇芳
目を開く。が、視線は幽には向かなかった。
七竈 蘇芳
それから僅かに間を置いて、思い出したように。
七竈 蘇芳
火傷、あるいは寄生されたかのような、傷。
七竈 蘇芳
それはかつて神なりし頃には無かった感覚。
七竈 蘇芳
近付く幽を拒みこそしないものの、普段のように長い手を伸ばして頭を撫でることもない。
七竈 幽
そのまま腕を蘇芳の身体に回して、身体を寄せる。
七竈 蘇芳
身にしみついた習慣めいて、寄せられた身体をのろのろと抱きかえす。
七竈 幽
もっと幼い頃、幽が同じことを言ったらしてもらったように。
七竈 蘇芳
不格好に背を曲げ身をかがめて、肩に頭を載せる。
七竈 蘇芳
「こういうの、ヤキが回ったっていうのかねえ」
七竈 蘇芳
「昔の俺ならこんな風にはならなかったよ」
七竈 蘇芳
抱きすくめた身体から、温もりが分けられる。
七竈 蘇芳
変調の回復判定をします。指定特技は異形化。
七竈 蘇芳
2D6+1>=5 (判定:異形化) (2D6+1>=5) >
6[3,3]+1 > 7 > 成功
七竈 幽
「蘇芳さんにがっかりしたりするわけない」
七竈 蘇芳
はああ、と今度はわざとらしいほど肩を落として。
七竈 蘇芳
「俺は自分にも~幻滅だよ、せっかく幽ががんばったってのに」
七竈 蘇芳
「ここんとこ平和暮らしだったからな~」
七竈 蘇芳
蘇芳の言う、ここんとこ、というのは、あなたがやってきてからの十年。
七竈 蘇芳
不死の頃には気にも留めなかった短い間。
七竈 蘇芳
背中を撫でる手に心地よさそうに頭を傾けて、額を合わせる。
七竈 蘇芳
「俺は不死じゃなくたって長生きするから、幽も」
七竈 蘇芳
「もしかしたら人間らしい幸せってのは、もうちょっと他にあるかもしれないけど」
七竈 蘇芳
「結婚したりとか、孫つくったりとかさ」
七竈 幽
「オレが妹を見捨てる冷たい人間でも、がっかりしない?」
七竈 幽
妹に、蜜に、なんとなじられようが仕方がない。
七竈 幽
たった一人、蘇芳が幽を受け入れてくれるなら。
七竈 蘇芳
「もしかして……人間って、親より先に子が死んじゃだめじゃない?」
七竈 蘇芳
息子の頭をわしゃわしゃと掻き乱して、それから手櫛で整えて。
七竈 蘇芳
七竈 蘇芳の使命を『七竈幽より先に死なない』に変更します。
七竈 幽
「蘇芳さん、オレを助けるために死んじゃったりしそうで怖いから」
◆メインフェイズ第三サイクル第四シーン
シーンプレイヤー:七竈 幽
七竈 幽
とりあえず家で クライマックスにそのまま繋がるような形にします
七竈 幽
蘇芳に与えられ、十年間暮らしてきた私室。
七竈 幽
古びた家は鴨居が低く、蘇芳はよく苦労していた。
七竈 幽
幼い頃、幽が自分の炎を扱いきれずに焦がしてしまった。
七竈 幽
二人で食卓を囲む居間。その向こうに蘇芳がいつも立つ台所。
七竈 幽
だけど上の棚から物を取るのは難なくしていた。
七竈 幽
よく使うものを上にしまって、シンクの下にはそうでないものを入れているのだと言っていた。
七竈 幽
どこを見ても、十年間蘇芳とともに暮らしてきた思い出がある。
七竈 蘇芳
いつもの笑顔。いつもの。いつも通りの生活の延長に。
七竈 幽
2D6+1>=5 (判定:盗聴術) (2D6+1>=5) >
7[1,6]+1 > 8 > 成功
[ 七竈 幽 ] 器術 : 0 → 1
七竈 幽
買い物にでも出かけるように、いつもどおりに。
GM
2d6 (2D6) >
9[3,6] > 9
GM
9:霧中。視界を覆いつくす霧。互いの姿は認識できない。僅かな音と気配を頼りに相手の出方を窺う。
GM
月は冴え冴えと蒼く、視界を霞ませる霧を映え立たせる。
GM
にしてはどこか冷たい湿った空気が、じんわりと肌を包み込む。
GM
街を見下ろせる高台に、月光が降り注いでいる。
懸鉤子 蜜
月光の下。
夏のワンピースをさらりと着て。
女が立っている。
懸鉤子 蜜
これから刃を交えるとは思えないようないでたち。
いつもの服。いつもの自分。
懸鉤子 蜜
シノビとして、自分自身として、女として。
透夜の姉として。友人として。
すべての誇りを身に纏って前を見据えた。
七竈 蘇芳
今や人間の統べる宵闇の世界にも、灯りの無い場所はある。
真なる闇がひとつ、人の姿を結んで立つ。
七竈 蘇芳
10年。
不死なる命を持つ間、瞬きのように過ぎていたはずのその時間は。
ただひとりの人間のこどもを気まぐれに生かした、
たったそれだけのことで、あまりにもその質を変えてしまった。
七竈 蘇芳
それでも次の10年を。その次の10年を、そしてその次を。
定められた命尽きるまで過ごす為に、今ここで。
七竈 蘇芳
全ての憂いを断ちきらなければならない。
七竈 蘇芳
その障害を前にいまひとたび牙を剥いて、笑う。
獅子鞍 透夜
お役目、宝珠を守る。
家の為、国の為、世界の為。
獅子鞍 透夜
行動範囲は制限された。
技を仕込まれ、術を仕込まれ、今日の為。
獅子鞍 透夜
初めから、彼奴らは俺の事なんてどうでもよかった。
ただの器、使い捨ての道具。
獅子鞍 透夜
ミツは、地下深くに幽閉されていてもおかしくなかったその人生に、光を当ててくれた。
獅子鞍 透夜
学校に行けば友人がいて、カフェに行けばよく見る顔の店員がいて、知らない人とすれ違い。
獅子鞍 透夜
そんな『普通』が俺にとっての『自由』だ。
獅子鞍 透夜
動きを阻害しない戦闘服に、武器の詰め込まれた鞄。
斜めにかけたベルトに、幾本も仕込まれた武器。
獅子鞍 透夜
既に心臓はなく、この身に鼓動はなかれども。
獅子鞍 透夜
『火神死なずして神産みの儀は成らず』
獅子鞍 透夜
黒い炎が、神を殺せと囃し立てる。
自由を掴めと燃え盛る。
七竈 幽
一族の妄念と共に滅ぶはずだった自分が、今も生きてここに立っているのは
七竈 幽
数年もあれば人間を構成する細胞は全て入れ替わるのだと、授業のこぼれ話で聞いた。
七竈 幽
ならばやはり、ここに立つのはもう不知火の透夜ではなく
七竈 幽
二人で積み上げきた10年は、これからも積み上げようとしているものは
七竈 幽
他人からすればあるいは、ひどくいびつで見るに耐えないものかもしれない。
七竈 幽
だけどそれこそが、幽には何よりも大切で手放しがたい。
七竈 幽
あの日結んだ小指は、もう離してしまったから。
GM
交錯する視線の間に、それがどちらともなく膨れ上がり、