◆メインフェイズ第三サイクル第一シーン
シーンプレイヤー:蘭沢 清誉
蘭沢 清誉
足を止める。初めにひとり獣を追ったあの夜に行きかったそれと同じ気配。
蘭沢 清誉
隣に妻とする女の姿がある。小さく、幼い、ほとんど少女の。
牛墓 鞴良
乱世の命を受け、四肢を刀のために投げうち。
妻を炉にくべた男。
蘭沢 清誉
「……お前も、未だ務めを果たせていない」
蘭沢 清誉
鞘の半ばを握り、妻の血を啜った刀を眼前に示す。
牛墓 鞴良
「乱世が生み、情に飢えた化生を。伴侶を喰らう刀で討つとは」
牛墓 鞴良
「私も業深き者の一人故に、解る。が、」
蘭沢 清誉
「出来なければ死ぬまでだ。俺も、この女も、腹の子も、お前も」
蘭沢 繭子
「……清誉様がなさると仰ったことを、私は信じます」
牛墓 鞴良
「老人がそう言わねば、生まれる甲斐がないだろうが」
蘭沢 清誉
言われるたび、腕に、腹に、背に、ざわつくものがある。
蘭沢 清誉
泥のように纏わり続ける殺意。あの獣を討てと。
牛墓 鞴良
「たとひ真でなくとも、口に出さねばならんものがある」
蘭沢 清誉
獣となった男の翡翠の髪と、そこに流れた光が。
瞼の裏に焼き付いている。
牛墓 鞴良
視線が、促す。
お前が待っているのはこちらの言葉ではないだろうと。
牛墓 鞴良
いずれ幕の開く終焉を取りやめる理由は、お前のうちにしかない。
牛墓 鞴良
すでに終わった過去を生きる男が語る言葉は。
ここにはない。
蘭沢 清誉
口を閉ざした静寂にもまた、言霊は宿る。
流れた時の重みだけ、沈黙は語る。
蘭沢 清誉
牛墓鞴良のもう一つの秘密を調査します。特技は【言霊術】で。
蘭沢 清誉
2D6+1>=5 (判定:言霊術) (2D6+1>=5) >
8[4,4]+1 > 9 > 成功
牛墓 鞴良
流れた時の重みだけが、それを雄弁に語る。
蘭沢 繭子
腹に手を添えた妻が、あなたを見上げている。
蘭沢 清誉
『二人で、二度目の生涯を始められるよ』
蘭沢 繭子
一度はあなたの手によって生を終えたはずの妻が。
蘭沢 清誉
自分たちには、確かに居所がここにある。
望むと望まざるとにかかわらず、居るべき場所が。
蘭沢 繭子
新しいいのちをその細い身体に宿して、立っている。
蘭沢 清誉
歩き出す。未だ燻る激情をそのままに。
ーー蝶を追って。
蘭沢 清誉
貴様が知っても、どうせ靡きはしないのだろうな。
蘭沢 清誉
翡翠に牛墓鞴良のもうひとつの秘密を譲渡します。
【追加の秘密:牛墓
鞴良】
あなたはあと一度だけ、魔刀『化生鏖刃』を鍛え上げることが出来る。
鍛えるための宣言は自分がシーンプレイヤーのドラマシーンで行うこと。
宣言した場合、この秘密は公開される。
また、その場合あなたはクライマックスフェイズ終了時に死亡する。
この刀の力を使って妖魔化した者は、必ず制御判定に失敗し、
エンディングフェイズで新たなる『終末の獣』と化す。
あなたは刀の使用者になれない。
あなたには更にもうひとつ秘密がある。
蘭沢 清誉
白む空に日が昇り、まるで何事も起きていないかのように世界は明るく輝く。
風のさざめく中に二人分、足音はなく、気配だけが影のように道を行く。
蘭沢 清誉
ーー辿ればいずれまたまみえる。最早避けられない。
蘭沢 清誉
生まれた時からその瞬間を、心待ちにしていたはずなのに。
蘭沢 清誉
泥をかぶったような気持ちのまま、歩き続ける。
◆メインフェイズ第三サイクル第二シーン
シーンプレイヤー:翡翠
GM
居所をなくした獣に慣れ親しみ付き従う、美しき眷属。
翡翠
使役の蝶は知らせをもたらす。
言霊術で牛墓 鞴良の次の秘密を調査します。
翡翠
2D6>=5 (判定:言霊術) (2D6>=5) >
10[5,5] > 10 > 成功
GM
つつがなく成功、そして感情があるのでそのまま公開ですね。
【最後の秘密:牛墓
鞴良】
あなたは自らの【使命】を果たすため、わが子との記憶を捨てた。
もし記憶を取り戻してしまったなら、あなたはわが子を殺せなくなる。
その場合、あなたの【使命】は『終末の獣』を守ることに変更される。
御伽噺
はたしてほんとうに。
いなかったのでしょうか。
御伽噺
月の光を髪にやどし。
肌は大地のように浅く黒く日に焼けて。
御伽噺
争いも苦しみもない、誰もが善良な理想郷から地上を覗き見ていました。
御伽噺
田畑は焼け、ひとびとは争い。
ひとたびふれればその身が穢れる乱世。
御伽噺
これは、ただの御伽噺。
そうしていつか獣の一生もそうなるかもしれない。
御伽噺
かつてそこに理想郷があると御伽噺が言った。
月から届く光だけが獣を照らしている。
◆メインフェイズ第三サイクル第三シーン
シーンプレイヤー:牛墓 鞴良
牛墓 鞴良
その日は雨だった。
けぶるような雨水が木々を、地面を打つ。
牛墓 鞴良
500年前。
天下泰平を目前にした戦場で獣が生まれた。
牛墓 鞴良
気配を、残された足取りを追えばそこにそれはいた。
果たしてそれが長年磨き上げられた忍の勘によるものなのか。
牛墓 鞴良
時を刻むがごとく、それのいる方向へ歩みを進める。
翡翠
500年前。
戦乱の世に刀を振るった一人の男がいた。
翡翠
天下泰平の為、愛する者の為。
幾人もの肉を切り命を奪ったその男は、いつしか英雄と呼ばれていた。
翡翠
数多の血を啜り、命を絶った『化生鏖刃』は男を獣に変えた。
翡翠
月の光のように輝く金の髪に、冷たい翡翠の瞳。
翡翠
それは500年の時を経てなお、変わらずそこにある。
牛墓 鞴良
雨の夜に月が出た。
歪な美しさを前に悟った。
牛墓 鞴良
じきに世界は終わる。
終わらぬのなら、下された命通りに刀を折る。
牛墓 鞴良
私が生きてきたのは。
それしきのことだっただろうか ──
牛墓 鞴良
歩く。
月の金が、あの翡翠が左眼に映るまで。
翡翠
故に、己が身を天下泰平の為にと捧げ、父の刀を手に人を斬り続けた。
翡翠
争いも苦しみもない、誰もが善良である理想郷が。
翡翠
しかしてその眼に映るのは、屍の転がる戦場と飢餓。
嘆き、苦しみばかり。
牛墓 鞴良
蹄にも似た片足の音が、泥水を微かに打つ。
牛墓 鞴良
「早く着きすぎちまったか。参ったね、どうも」
牛墓 鞴良
「世界の終わりを肴に飲みに来たんだが、生憎の雨だな」
牛墓 鞴良
「お前ェさんの晴れ舞台だってのになァ」
翡翠
「痕跡を消してくれるし、人の場所も教えてくれる。何より……」
牛墓 鞴良
── 雨は嫌いじゃない。
妻もかつて、そう言った。
牛墓 鞴良
今の世には珍しくもない色の髪。
化生に相応しすぎる翡翠の瞳。
牛墓 鞴良
あの日、炉に身を投げた瞬間のほかは。
朧げにしか思い出せない。
牛墓 鞴良
「私が御前さんと初めて会った日もこんな雨だったよ」
牛墓 鞴良
「だから。もはや、それを覚えている者はいない」
牛墓 鞴良
「あの身が炉にくべられた時に、すべて燃え落ちた」
翡翠
「正しいとはなんだ。善良とはなんだ。平和とは、泰平とは。」
翡翠
「国は争い、人は殺し合い、平野には死体が転がっている」
翡翠
また、『失っている記憶と感情の回復』の効果を牛墓 鞴良に適用します。
GM
その使命が【『終末の獣』を守る】に、変更されます。
牛墓 鞴良
どうしてか、どうしても思い出せなかった。
それらが今はすべてがわかる。
翡翠
理想を抱いたまま、自らの意志で刀を手にした。
牛墓 鞴良
あの日、炉に焼かれた女が何故笑っていたのか。
何故雨の日が嫌いじゃないと言ったのか。
牛墓 鞴良
そうだ。
お前はこんな雨の日に生まれたんだ。
牛墓 鞴良
だから雨は嫌いじゃないと、そう。
妻が言っていて──
牛墓 鞴良
髪も、眼も。
その愚直なほどの純粋さも。
牛墓 鞴良
覚えている。私が最初に妻に教えた言葉だ。
翡翠
男の過去に何があったのか、獣の過去に何があったのか。
翡翠
ただ、身体に宿るもう半分の心が胸を熱くする。
翡翠
何処にも帰る場所のなく、理想の果てに破壊を見た獣。
牛墓 鞴良
終末の獣、もとい翡翠に感情を結びます。
牛墓 鞴良
あの日、すべてを捧げた。
今もなお。心に火が灯る。
使用するのは火術。
牛墓 鞴良
2D6>=5 (判定:火術) (2D6>=5) >
2[1,1] > 2 > ファンブル
牛墓 鞴良
KFT 怪ファンブル表(3) >
情報が漏れる! あなた以外のキャラクターは、あなたの持っている【秘密】か【居所】の中から、好きなものをそれぞれ一つ知ることができる。
牛墓 鞴良
もはやこの生を賭ける以外に。
生きる甲斐のない、乱世の忘れ形見。
GM
翡翠の使命が【理想の世界を創る】に変更されます。
翡翠
ただ、手元にある幸福を願ったのは誰だったか。
翡翠
己の願ったひとつの家族の幸福が、消え失せようとも。
【秘密:化生鏖刃】
使い手に莫大な力を与える代わりに、その身を獣へと変える魔刀。
このプライズを持つ者は、自分の手番で妖魔化を行える。
この妖魔化の効果は自分で決めることが出来る。
また、妖魔化する度に【頑健】の忍法を修得する。
背景【魔人】を持っている場合、即座に特殊忍具【霊装】を取得すること。
GM
翡翠は背景【魔人】を持っているため、【霊装】を取得済。この際特技に呪術を指定しております。