メインフェイズ第二サイクル第一シーン

シーンプレイヤー:葛火 焔郎

GM
何をするシーンになりましょう?
葛火焔郎
ではたぶん休日とかで、朝早くから修行に勤しんでいます。
葛火焔郎
藻ちゃんに勝負を挑み、見届け人に灰吏さんを呼ぶぞ。
GM
なるほどね
GM
二人とも出ます?>藻、灰吏
煤木野灰吏
見守りましょう
GM
山の中かな~

出るぞ~
GM
はーい
GM
藻のおうちと葛火のおうちの真ん中あたりの山の中腹。
GM
春の風に木の葉のせせらぐ中、
GM
相対する忍がふたり、
GM
見守る忍がひとり。
煤木野灰吏
二人の試合を見るのもこれで何度目やら。

藻に構えらしい構えというものはない。
ただ森の奥を見据える獣のような視線が相対する者を見ている。
葛火焔郎
拳には焔を纏う。
葛火焔郎
間合いを取った位置から、神速の突き。
煤木野灰吏
焔郎を見て、それから藻を見る。

神速の領域に立ち昇る焔の熱を、五感のその奥まで感じる。

躱す。
羽織が翻る。
煤木野灰吏
邪魔にならない程度の距離から、じっと二人の試合を見据えている。

何かをこそげ落とすような、磨き上げられた蹴りが拳の横に飛ぶ。
葛火焔郎
躱されるのは織り込み済。辛うじて蹴りを往なす。

往なされたしなやかな身体が軽やかに舞った。
葛火焔郎
足のバネを使って大きく跳び上がり、そのまま頭を狙って上段から蹴り抜く。

自分から仕掛けることは、あまりない。

いつも待つような視線が、戦いの空気に乗せられている。
葛火焔郎
その瞳が何を待っているのか、ずっと考えている。

この蹴りもまた、待ちわびたかのように。
肩で、背で受けて流しながら、綺麗に残身された足を取るために狙う。

手が伸ばされる。
葛火焔郎
答えは出ないまま。
葛火焔郎
闇雲に蹴りを繰り出しても躱されるばかりだ。
葛火焔郎
伸ばされた手に捕えられる。が、その力を利用して身を捻り、回し蹴る――

力が十分にかけられたつま先が眼前に迫った。
跪くように身を崩して、

その角が足を絡めとって強く、強くねじり伏せんとする。

髪を振り乱した、獣の一撃。
葛火焔郎
髪の香りが。刹那、思考を奪って。
葛火焔郎
地に伏せる。
葛火焔郎
「っだ……!」
煤木野灰吏
灰吏が止めに入ることはない。
煤木野灰吏
力の加減と分別のつかない年頃ではない。
煤木野灰吏
任されているのはあくまで見届人だ。

滑り落ちた髪を直すことなく、焔郎を見下ろす。
葛火焔郎
判定に持ち込むまでもない、完膚なきまでの敗北。

瞳が瞳を覗き込んでいる。
人のものとは違う輝き。
葛火焔郎
「――っ……」
葛火焔郎
ばったりと両手を広げる。

「……わたしの、勝ち」
葛火焔郎
「…………」
煤木野灰吏
「……お疲れさまです。坊っちゃん、藻様」
葛火焔郎
その瞳の輝きを見返す。
葛火焔郎
焔というには甘く、夕日というには冷たく。
葛火焔郎
硬質な――石にも似た輝き。
葛火焔郎
勝てない。どうしてか。
葛火焔郎
いや、今回は明白だった。要するに……
葛火焔郎
「……鍛錬不足」
葛火焔郎
ぼつ、と呟く。

瞳が瞬いて笑う。
葛火焔郎
気が散ったことを言い訳にはしない。

惜しかったとか、まだまだとか。
かけられる言葉はたくさんあるんだろうけれど。

藻はいつも笑っている。
葛火焔郎
肩についた葉っぱを払いながら起き上がる。
煤木野灰吏
「むしろオーバーワークだったりしませんか~?」
葛火焔郎
「見届けありがとうございます、灰吏さん」
煤木野灰吏
「いえいえ~」
煤木野灰吏
「坊っちゃん、最近はちゃんと休んでますか~?」
煤木野灰吏
「寝ないと身長も伸びませんよ?」
葛火焔郎
「8時間きっちり寝ましたので」
煤木野灰吏
「えらい」
葛火焔郎
「今日は朝から調子も良かった。いけると思ってたんですが」
葛火焔郎
「……」
葛火焔郎
「藻、お前もどんどん強くなる」

「うん」

頷く。

事実だ。
日毎に、藻は強くなってゆく。
葛火焔郎
それに、追いついて。
葛火焔郎
追い抜かなければならない。

そして、日毎に焔郎によって持ち込まれた外の香を纏うようになってゆく。

おなじ17つ。
葛火焔郎
華奢な背を追い掛けてばかりいるわけにはいかない。

背はとっくに追い抜かれた。

未だ華奢で、小柄な少女。
幼馴染を見るのに少し見上げなければいけない。
葛火焔郎
片や少年の身体は鋼のごとく研ぎ澄まさていく。
身長も、緩やかではあるがいずれはもっと伸びるだろう。
煤木野灰吏
焔郎が勝負を挑み、藻がそれを受け、そして叩き伏せる。
葛火焔郎
ただひとつ、力の差だけが埋まらないまま。
煤木野灰吏
幾度となく交わされてきたやり取り。
煤木野灰吏
次は勝てる、と励ます言葉がただのお決まりの定型文になったのはいつからだったか。
煤木野灰吏
焔郎の勝利を願っていないわけでは、勿論ないのだが。
葛火焔郎
立ち上がり、藻にも立ち上がるよう促す。
煤木野灰吏
いつかその日が来るのならば、是非見届けたいものだと思っていた。
煤木野灰吏
今も、そう思う。
葛火焔郎
必要そうなら、手を差し伸べる。

嬉しそうに、その手をとった。
煤木野灰吏
二人の様子を見守っている。
葛火焔郎
嬉しそうな目と、目が合う。
煤木野灰吏
そのいつかが来るまで、この日常が続けばよいものだが。
煤木野灰吏
だけど、変わりなく続くものがないことも理解している。
葛火焔郎
*藻の秘密を……調査します。指定忍法は【瞳術】。
ここで忍法修行功績点には色んな使い方がある。効果は後述まま。
p139のその他の功績点の使用は見落としやすいから気をつけよう。
も宣言しておきます。
GM
では忍法修行の対象忍法は?
葛火焔郎
【春雷】
GM
了解しました。功績点を3消費して、【春雷】を対象に忍法修行ですね。
GM
以降、今セッションの間、焔郎の春雷に対する回避判定に-1の修正がつきます。
GM
秘密の調査に関してもOKです。判定をどうぞ……ですが。
GM
感情修正頼まないんですか?(素)シノビガミブートキャンプ第一弾なのでやさしいGMは確認している。
葛火焔郎
感情修正お願いしても良いですか!?
葛火焔郎
ふたりぶん!!!!
GM
すごいお願いしてる
煤木野灰吏
がんばれ♥がんばれ♥
GM
灰吏さんはともかく藻さんもOKですか?
煤木野灰吏
ともかくいうな 感情修正します!
GM
いや ほら 秘密を抜かれる側だから……
GM
灰吏さんを蔑ろにしたんじゃなくて藻さんに特別に確認する形っていうか……
煤木野灰吏
はい つい……
GM
かわいそう
葛火焔郎
恥をしのんでいます
煤木野灰吏
一緒にお腹見せていきましょうねえ

手を握る。

知らぬ間に、かたくなってゆく手のひら。
反対にいつまでも滑らかさを保った自分の指先。
葛火焔郎
いつのまにか手の大きさ比べもやめてしまった。
葛火焔郎
歳を追うごとに明らかに、違う生き物になっていく。
葛火焔郎
そんなはずはないのに。

交わされた視線の奥。

瞬く。

先日、持ってきてくれたリップクリームが多すぎるほどつけられた唇が笑みを解く。
葛火焔郎
幼いころから一緒に育った。そばにいた。いつでも。

まなざしにまつげの影が落ちて、幼馴染を見つめている。
葛火焔郎
赤い双眸を、同じ色をした瞳を真っ直ぐに見返す。
葛火焔郎
名前をそのまま宿したかのように燃える眼差し。
葛火焔郎
藻について、長く一緒にいて、しかしわからないことばかりだ。
葛火焔郎
知っていることといえば彼女が神の血を引くこと。
葛火焔郎
この里から出ないこと。
葛火焔郎
甘いものが好きなこと。何でも食べること。
葛火焔郎
小学校の帰り、持ち帰った白詰草をやけによろこんだこと。
葛火焔郎
花の咲くように笑うこと。
葛火焔郎
守るべきものではなく、打ち倒すべきものとしていつもそこにいること。
葛火焔郎
それが果たされたら、名前を教えてもらう。そういう約束で、ずっと。
葛火焔郎
ずっと、ずっと。
葛火焔郎
17つ。同じだけ、歳を重ねていること。
葛火焔郎
だからこのままではいられない。
葛火焔郎
その手が届くのを待つのではなく、この手を届かせなければならない。

手を。
少しだけ強く握った。

感情修正乗せます……!
GM
了解しました。
GM
焔郎は+2を加えて判定をどうぞ。
葛火焔郎
2D6+2>=5 (判定:瞳術) (2D6+2>=5) > 11[5,6]+2 > 13 > 成功
GM
成功ですね。
GM
では焔郎さんと……感情共有で灰吏さんにも。長所背景の【絆】により、灰吏は焔郎に【憧憬】の感情を初期習得している。
GM
お渡ししましょう。しょうしょうお待ちください。
GM
お送りしました。

見つめられれば、花が咲くように笑った。

いつもの笑顔。
日毎に変わってゆく香り。
手は、まだ握られている。

妖魔を葬るほどの指先が。
少女の精いっぱいの力で。

そっと。
葛火焔郎
大きな境。視えない境が。僕らを取り巻いている。
煤木野灰吏
抗えない流れがある。
葛火焔郎
その気になれば素手で岩山を更地に返す手が。
こわれものを扱うようにひどく優しく。
葛火焔郎
「帰ろう」
葛火焔郎
「腹減ったろ」

「うん」

「おなかすいた」
煤木野灰吏
変わらないやり取りを、変わらず見守る。
煤木野灰吏
今はまだ。
御祀 潺
屋敷に、潺の姿はない。
御祀 潺
正確には、見えるところにはなかった。
御祀 潺
自室の地下にある秘密の部屋。
御祀 潺
痕跡は残さなかったつもりだろうから、入ったことを咎めはしなかった。
御祀 潺
隠し事を知られたことよりも
御祀 潺
それについて、問われることの方が困ることもある。
御祀 潺
外で集めた様々の物。
御祀 潺
どれにも、思い出というものが残っている。
御祀 潺
ふつう、人はそれを写真や絵に残すのだというが。
御祀 潺
潺の部屋には写真を含む、その姿を写したものはない。
御祀 潺
部屋の外にもおそらく、それはない。
御祀 潺
ただ、共に過ごす者たちの今にだけそれが焼き付く。
御祀 潺
それで十分だと思う。
御祀 潺
流れる川の水が一所に留まらないように。
御祀 潺
『彼らが笑っていられるこの世界がいつまでも続けば良い』
御祀 潺
『いつまでも』なんて、おとぎ話の中にしかない事くらいわかっている。
御祀 潺
しかし
御祀 潺
それを、自分が望まねば、誰が望むだろう。
御祀 潺
水路の水に右手を差し入れて、流れを少しだけせき止める。
御祀 潺
同じだ。
御祀 潺
ほんの少し。
御祀 潺
少しだけ、流れを変えることは出来ても
御祀 潺
上流から下流に。人里に。
御祀 潺
流れゆく川を、留めることは出来ない。
御祀 潺
「いつまでも、幸せに暮らしました」
御祀 潺
「めでたし めでたし」
御祀 潺
そうなればいいと、心から願う。

メインフェイズ第二サイクル第二シーン

シーンプレイヤー:御祀 潺

御祀 潺
あれのあれを調査しますシノビガミではまあまあ見る光景であることがわかる。
GM
あれのあれを了解です
GM
どこにします? おうち?
GM
山とかいますか?
御祀 潺
いや、最初にいた滝の上とかで見ます。
GM
なるほど
GM
いい感じに……どうぞ!
御祀 潺
滝壺へと落ちる水の流れに逆らい
御祀 潺
潺はその上に立つ。
御祀 潺
鯉は滝を上ると龍になるというが
御祀 潺
人は一体、何になるのだろう。
御祀 潺
千年以上をかけてわずかずつ削れながらも
御祀 潺
滝を遮り割る岩。
御祀 潺
それは、丁度水路に差した右手に似ていた。
御祀 潺
千里眼の術で調査を行います。
GM
はい!
GM
判定をどうぞ!
御祀 潺
2D6>=5 (判定:千里眼の術) (2D6>=5) > 8[2,6] > 8 > 成功
GM
高いな~~
GM
お送りします。
GM
お送りしました。
御祀 潺
岩の上に腰を下ろし、額に手をやる。
御祀 潺
「…………」
御祀 潺
冠の様だと、我ながら思っている。
御祀 潺
顔が見えなければ、何物も。
御祀 潺
その存在を、知りえない。
御祀 潺
産まれてから、死ぬまで。
御祀 潺
そうだね。
御祀 潺
ただ、御祀の家系図にのみその名が残る。
御祀 潺
『御祀 潺』と。
御祀 潺
「…………うん」
御祀 潺
『冠』を額へと。
御祀 潺
滝壺に身を投げる。
御祀 潺
ごうごうという水の音。
御祀 潺
ちっぽけな身体ひとつが落ちたくらいで
御祀 潺
気に留める者は、いない。
御祀 潺
誰一人。