メインフェイズ第三サイクル第四シーン
シーンプレイヤー:葛火焔郎
葛火焔郎
先に灰吏さんと話して、そのあと藻と話そうかと思いますが
GM
どんな感じで灰吏さんと話すのがいいでしょうね……
葛火焔郎
煤木野に行くと家の人に気使わせるからな~
葛火焔郎
呼び出しましょうね なんか 山のいい感じのところで
葛火焔郎
鍛錬にというよりは「話があります」って連絡します
煤木野灰吏
呼び出しにはいつもどおり二つ返事で了承し、告げられた時間に約束の場所へと出向く。
葛火焔郎
風に吹かれながら空を仰ぎ、気配に気付けば振り返る。
煤木野灰吏
家のよほど大事な用でもない限り、焔郎に呼び出されればいつもそうしてきた。
葛火焔郎
中学を卒業するころを境に、呼びつけることはさほど多くはなくなった。
煤木野灰吏
「……で、お話ってのはなんですか~?」
煤木野灰吏
対してこちらは軽薄な笑いを浮かべているのもいつもどおり。
葛火焔郎
襟巻の下にいつも隠れ気味の唇から、それでもはっきりとした声が。
葛火焔郎
「手出し無用は、もう守ってはもらえませんか」
煤木野灰吏
「悪いけど、手段を選ぶ余裕がなくてね」
葛火焔郎
子供の頃。叩き伏せられて間に入られれば火のついたように泣いた。
葛火焔郎
藻に加減を許さなかった。灰吏が割って入ることも。
煤木野灰吏
だから、段々とただ立ち会いだけを役割とするようになった。
葛火焔郎
「藻を超えることが俺の生涯の目標だから」
葛火焔郎
「……灰吏さんが、それを喜んでくれないことくらいはわかります」
葛火焔郎
「灰吏さんが俺の頼み断るの、初めてですね」
煤木野灰吏
「ていうかお前、許さないって言ったら諦めるのかよ」
葛火焔郎
どんな小さな子供のワガママでも、最終的には折れてくれたのに。
葛火焔郎
「でも、あんたの気持ちくらいは確認しとかなきゃ」
葛火焔郎
それがどういう気持ちを由来としていたとしても。
葛火焔郎
「俺は、俺の命より、藻との思い出が大事です」
葛火焔郎
「あんたが俺の命を大事にしてくれるのと同じくらい」
煤木野灰吏
「……お前は、お前のやりたいようにやりゃあいい」
葛火焔郎
「邪魔すんなって言っても、邪魔しますか」
葛火焔郎
「……やっぱ俺、説得とか交渉とか向いてないですね」
葛火焔郎
「口先ももうちょっとあんたに似ればよかったんですが」
煤木野灰吏
「お前も全然説得されてくれないくせに」
葛火焔郎
「今回ばかりは、どでかいのが待ってるからなあ」
葛火焔郎
「……まあ、やってやりますよ、ご期待にお応えして」
煤木野灰吏
「どちらにせよ、俺に邪魔されてるようじゃ藻様にも勝てないさ」
葛火焔郎
「言っておきますけど、潺さんは俺の味方ですからね」
煤木野灰吏
「ああ、あの人にはもう宣戦布告済んでるから」
煤木野灰吏
「いや~、心強いお味方がついてようございましたねえ」
煤木野灰吏
なんて、自分が言えた立場ではないけれど。
葛火焔郎
2D6+1>=5 (判定:意気) (2D6+1>=5) >
6[2,4]+1 > 7 > 成功
煤木野灰吏
ET 感情表(3) >
愛情(プラス)/妬み(マイナス)
葛火焔郎
ET 感情表(2) >
友情(プラス)/怒り(マイナス)
煤木野灰吏
……憧憬のままで5以外出したんだが。
感情判定においては、もともと抱いている感情をキープすることもできる。
葛火焔郎
「藻になんか……買って行きたいんですけど」
葛火焔郎
「俺やっぱ甘いもんわかんないから、ちょっと付き合ってもらっていいですか」
葛火焔郎
片手には街のカフェで買ってきた茶チョコフラぺチ―ノ。
葛火焔郎
ちょっと溶けているが、まあ。許容範囲ということにしてもらいたい。
藻
いつものお転婆な服装。
スケスケのシフォンのワンピース。
葛火焔郎
正確には―― チャイチョコフラぺチーノだ。
葛火焔郎
「桜味。ホワイトチョコと……なんか、そんなの」
葛火焔郎
「エクレアとか、マカロンとかも買ってきたから」
藻
そうして、今度は少しだけ。
こちらが視線を泳がせた。
葛火焔郎
一度は金色に輝いていた筈の右目が、元の赤へ戻っているのを見る。
葛火焔郎
「灰吏さんには、やだって言われたけどな」
藻
不思議な味のチョコレートと、生クリームと、バニラと。
葛火焔郎
焔郎の目にはただ、青空と、……目を遣れば、隣の幼馴染が映るだけ。
葛火焔郎
草葉の揺れる音。日差しにすら音が聞こえる。
葛火焔郎
忍の耳ならばその心音さえも聞こうと思えば、容易に。
藻
いそいそと、おそるおそる。
膝の上に身を乗り出して、
幼馴染の膝に角が折れた方の頭を乗せる。
葛火焔郎
厚い袴越しに、やわらかい髪が膝の上に流れる感触がある。
葛火焔郎
「藻があれくらいのサイズだったら何処でも抱いて行くけどな」
葛火焔郎
見下ろす。かじかむ指を後ろにやったまま。
葛火焔郎
彼女が神の血を引く子であることは、焔郎の中でもまた、あまりにも深く結びついたまま。
葛火焔郎
膝の上にある、華奢で儚いけれど、確かな重さ。
葛火焔郎
それを否定することは、捨てさせることは、焔郎にはできない。
葛火焔郎
誰よりも近くで触れ合い、藻が当たり前に笑う姿を見てきた。
葛火焔郎
藻が神などではなく、自分たちと同じ人間であることを信じている。
煤木野灰吏
溶けない内に、と駆け出していった焔郎を見送って、一人。
煤木野灰吏
3人で過ごすということは、子供の時分と比べればそれなりに減った。
煤木野灰吏
常に目をつけていなければ、という年ではとっくにない。
煤木野灰吏
一番の理由は、二人の時間を邪魔しないように、だったが。
煤木野灰吏
そう思って、さりげなく誘導してみたり。
煤木野灰吏
少女の姿を、少女の表情を、立ち振舞いを、
煤木野灰吏
それを、二人の時間をつくるためという綺麗事に包んで。
煤木野灰吏
焔郎はいつでも真っ直ぐに前を見据え、向かっていく。
煤木野灰吏
まっすぐ向かっていく、その正面に立ちふさがり、
御祀 潺
この滝壺の水に浸かり、身を清めるのが日常だった。
御祀 潺
当時の世話係達が見たら発狂していたかもしれない。
御祀 潺
しかし、彼女はここを離れたくはないという。
御祀 潺
ふた目と見れぬ醜い顔を、しているのだという。