GM
本日のセッション開始前に、GMから一つ訂正と謝罪をさせてください。
GM
クライマックスフェイズの勝者判定の件です。
特別ルールで「生最も生命点の欠けが少ない者が勝者となる」という風に規定していたのを、
完全に失念して勝者なし判定を下すところでした。
本来でしたら脱落者がなければクライマックスフェイズで勝者だったのは潺さんでした。
GM
今後このようなミスのないよう気をつけます……本当にすみません……
GM
では、クライマックスフェイズが終わりまして、エピローグフェイズ。
GM
の、前に
GM
制御判定が……今回存在しますので……
GM
>・妖魔化及び劣性因子による制御判定が発生した場合、クライマックスフェイズ後のタイミングで琴線以外の功績点の計算を可能な範囲で行い、エピローグ前に功績点を使っての制御判定を許す
GM
こちらの特別ルールに従って、このタイミングで功績点会議を行います。
功績点会議の結果、仮の功績点は以下の通りに

焔郎……6点
藻………3点
灰吏……2点
潺………6点
GM
はい。ありがとうございます。
GM
それでは、
GM
鹿乃子さんの制御判定をいたしましょう……
藻鹿乃子
はい
GM
鹿乃子さんは2D6を振ってください。
GM
制御判定に使う特技の決定になります。
藻鹿乃子
2d6 (2D6) > 2[1,1] > 2
GM
ひょえええ
葛火焔郎
びっくりした
葛火焔郎
え?
藻鹿乃子
特技決定でよかった
GM
異形化ですね!
GM
ほんとに・・・
GM
では異形化で判定なのですが、
GM
この際にですね。
GM
異形の数1個ぶんのマイナス修正がつきます。
GM
これに関して、功績点を消費したぶんだけ修正を入れることができます。
GM
それと特例として。
GM
今回はこの、クライマックスフェイズに参加している者からの
GM
感情修正を認めます。
藻鹿乃子
はい……!
GM
感情修正をする方は宣言をお願いします。
煤木野灰吏
感情修正を入れます。
御祀 潺
感情修正をいれます
葛火焔郎
鹿乃子、
葛火焔郎
好きだよ
葛火焔郎
感情修正をいれます。
藻鹿乃子
はわ……
GM
+3ですね。
GM
功績点を消費する場合は宣言で追加してもよく。
GM
そうでないなら+3-1で判定を。
藻鹿乃子
功績点3点すべて使用します
GM
了解です。判定をどうぞ
藻鹿乃子
2D6+6-1>=5 (判定:異形化) (2D6+6-1>=5) > 10[4,6]+6-1 > 15 > 成功
GM
乙女は最強!
葛火焔郎
えらいぞ
藻鹿乃子
ほむろがわたしを人間にしてくれたから
GM
鹿乃子さんの制御判定は成功。
GM
完全な妖魔と化すことは免れました。
GM
では、それを前提として。
GM
エピローグフェイズを開始したいと思います。
GM
よろしくお願いします!
葛火焔郎
よろしくおねがいします。
煤木野灰吏
よろしくおねがいします
御祀 潺
よろしくお願いします
藻鹿乃子
よろしくお願いします。

エピローグ:御祀潺

GM
清冽な気の満ちる成人の儀の舞台。
GM
その中心で満身創痍、けれど心からの笑顔、
GM
額を合わせるふたり。
GM
天に坐す太陽が、ふたりの人間の影を色濃く落としている。
御祀 潺
水が。風が。大地が。命が。
御祀 潺
その瞬間を待ちわびている。
御祀 潺
清浄なる血によって清められた聖域で
御祀 潺
人より産まれし神は、人の子の眠るのを見下ろしていた。
御祀 潺
「こんなに怪我をして……本当に。」
御祀 潺
「困った子たちですね。」
御祀 潺
素養を見出され、神の器として磨かれて30余年。
御祀 潺
神となった男の力はそれでも不完全で、
御祀 潺
世界を救うことはかなわなかった。
御祀 潺
今もそう。
御祀 潺
関わった者たちの記憶を奪う事も、見守る力さえ持たずに。
御祀 潺
ただ、持てる命の全てを使って世界を救う事しかできない。
御祀 潺
その場にしゃがみこみ、2人の頭を順番に撫でる。
葛火焔郎
顔を上げる。
葛火焔郎
「潺さん」
御祀 潺
「おやおや」
御祀 潺
「無理をするものではありませんよ」
葛火焔郎
ぼろぼろに焼け焦げた頬で、僅かに困ったように。
葛火焔郎
「俺、あなたに、賭けてもらったのに」
葛火焔郎
「……」
御祀 潺
「彼女を」
御祀 潺
「人の世に、引っ張り戻したのはあなたですよ」
葛火焔郎
隣の鹿乃子を見る。
藻鹿乃子
「せせらぎ……」
藻鹿乃子
「ありがとう」
御祀 潺
「はい」
御祀 潺
「あとは、潺にお任せください」
葛火焔郎
「……俺からも、ありがとうございます」
藻鹿乃子
一度も泣いたことのなかった少女が、
幸せそうに頬を涙で濡らして微笑んでいる。
御祀 潺
「代わりというわけではありませんが……」
御祀 潺
「獺の……サチの事。よろしくお願いします」
藻鹿乃子
「うん」
葛火焔郎
「獺」
葛火焔郎
「……はい、」
御祀 潺
「十分な生を与える力は」
御祀 潺
「私にはありません」
御祀 潺
「僅かな時間ではありますが、後悔のない生を」
御祀 潺
ひやりとした空気が2人を包む。
御祀 潺
熱と痛みを和らげるように。
葛火焔郎
鹿乃子のために差し出す命があるかと問われたとき。
葛火焔郎
ある、と答えた、その言葉が真実で。
葛火焔郎
後悔は既にない。
御祀 潺
極限の。
御祀 潺
若い、心の。
御祀 潺
為せること。
御祀 潺
その短い生の間に、あるいは。
御祀 潺
死が恐ろしくなることもあるだろう。
御祀 潺
後悔をすることもあるだろう。
御祀 潺
それでも、私は。
御祀 潺
人の心を。慈しみ、愛する心を。
御祀 潺
信じている。
葛火焔郎
「俺、子供の頃」
葛火焔郎
「神様っていうのがいるなら」
葛火焔郎
「あなたみたいなひとなんだろうって思ってました」
葛火焔郎
「……間違ってませんでしたね」
御祀 潺
「ふふ……」
御祀 潺
「慧眼ですね」
葛火焔郎
「あなたが俺たちの神様で、よかった」
藻鹿乃子
「神様になっても」
藻鹿乃子
「せせらぎのこと、だいすきだよ」
御祀 潺
「私も」
御祀 潺
「だいすきですよ」
御祀 潺
ずっとずっと、あなたたちが生まれた時から。
葛火焔郎
その身を、心を、慈しみを、愛を、存在を火にくべて。
葛火焔郎
それでも鹿乃子と生きることを選んだ。
葛火焔郎
だから、すみませんとは言えなくて。
葛火焔郎
もっと話せばよかったと思ったけれど。
葛火焔郎
たぶん、本当はもっとずっと深いところで、ちゃんと。
葛火焔郎
見てくれていた。わかってくれていた。
葛火焔郎
「鹿乃子をこれまで育ててくださって、ありがとうございます」
御祀 潺
「ふふ」
御祀 潺
「これからの鹿乃子様を、よろしくお願いしますね」
御祀 潺
「したい事を、出来ることを」
御祀 潺
「たくさん、経験なさい」
御祀 潺
「初デートはいただいてしまいましたが」
葛火焔郎
「…………ずるい」
御祀 潺
「ええ、大人はずるいのです」
御祀 潺
「鹿乃子様」
藻鹿乃子
「うん……」
御祀 潺
「これから、焔郎と過ごせる時間はきっと長くありません」
御祀 潺
「それでも」
御祀 潺
「人生で最高の経験になることは、私が保証します」
藻鹿乃子
「うん……!」
藻鹿乃子
「せせらぎが背中を押してくれたから」
藻鹿乃子
「……いっぱい、いろんな世界を見てくるね」
御祀 潺
「ええ」
御祀 潺
「デートのハードルは上げておきませんとね」
葛火焔郎
「う」
葛火焔郎
「……努めます……」
御祀 潺
「ふふふ」
御祀 潺
そうして、2人の頭をもう一度撫でて立ち上がる。
御祀 潺
もうひとり、あとひとり。
御祀 潺
大切な子。
煤木野灰吏
地に膝をついたまま、三人が言葉を交わす様をぼんやりと見ていた。
御祀 潺
「…………」
御祀 潺
歩みより、しゃがみ込む。
御祀 潺
視線の高さを合わせて。
煤木野灰吏
気まずげに、目をそらす。
御祀 潺
「灰吏」
煤木野灰吏
「…………」
御祀 潺
「痛かったですか?」
煤木野灰吏
「……別に」
煤木野灰吏
「大した、ことは」
御祀 潺
「もう、身体は重くありませんか?」
煤木野灰吏
考えるように、少し間を置いて
煤木野灰吏
「…………分からん」
御祀 潺
「…………」
煤木野灰吏
鋼線を操っていた腕は、今はだらりと垂れ下がっている。
御祀 潺
「直してあげられなくて、すみません」
御祀 潺
「……本当に」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「……御祀さんが謝ること、ないでしょうよ」
御祀 潺
「いいえ」
御祀 潺
「私にもっと、力があれば。才能があれば。命により多くの価値があれば。」
御祀 潺
「全てを救えたかもしれません」
御祀 潺
「だから、あなたには私を恨む権利がある」
煤木野灰吏
「…………あんたには」
煤木野灰吏
「少なくとも、世界が救えるだろ」
御祀 潺
「…………」
煤木野灰吏
「俺にはどうしたって無理なことが、あんたにはできる」
御祀 潺
「でも、灰吏」
御祀 潺
「私は神様ですが」
御祀 潺
「今、あなたに何と言えばよいかわからなくて」
御祀 潺
「とても困っているんですよ」
煤木野灰吏
「…………それは」
煤木野灰吏
「最後に珍しいもん見れた、かな……?」
御祀 潺
「ふふ……」
御祀 潺
「あなたに」
御祀 潺
「一番つらい立場を、おしつけてしまいました」
御祀 潺
膝を地について、手を取る。
煤木野灰吏
繋がれた手に視線を移す。
御祀 潺
「ふたりを、頼みますと」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「二人なら」
煤木野灰吏
「俺がいなくても、もう……」
御祀 潺
「灰吏」
御祀 潺
「共にいるのが辛くなったら、目をそむけても構いません」
煤木野灰吏
「……」
御祀 潺
「でも……」
御祀 潺
「こんなにぼろぼろになってまで、守ろうとした人を」
御祀 潺
「突き放すような子ではないと、思いたいですね」
煤木野灰吏
「………………」
煤木野灰吏
小さく、息をつく。
煤木野灰吏
「…………マジであんたには勝てずじまいか」
御祀 潺
「本当の事を隠し、振舞うのも大人っぽくは見えますが」
御祀 潺
「本当の事を必要な時に言える大人は、もっとかっこいいですよ」
煤木野灰吏
「……痛み入ります」
御祀 潺
「あなたが、優しい子で」
御祀 潺
「本当によかった」
煤木野灰吏
「…………」
御祀 潺
手を離し、抱き寄せる。
御祀 潺
「本当のことを言いますね」
煤木野灰吏
「ああ!?」
御祀 潺
「恨んでも構わないとは、言いますが……」
煤木野灰吏
「え」
御祀 潺
「本当は、恨んでほしくはないんですよ」
煤木野灰吏
「……………………」
煤木野灰吏
「ずっりぃ~………………」
御祀 潺
「うふふ」
御祀 潺
「誰かを恨むというのは、心を穢すことです」
御祀 潺
「誰よりも優しいあなたに、そんな傷を負ってほしくは……ありません」
煤木野灰吏
「……」
御祀 潺
囁くように、耳元に。
御祀 潺
「…………」
御祀 潺
「できることなら」
御祀 潺
「もう少しだけ……傍に。支えることが……できれば……」
御祀 潺
「よかったんですけれどね」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「…………俺は」
煤木野灰吏
「………………」
煤木野灰吏
「……………………」
煤木野灰吏
「……そうだな」
煤木野灰吏
同じく、ささやくように小さく。
煤木野灰吏
いっそ、聞こえなくてもいいくらいに。
御祀 潺
ひやりと、冷たい風。
御祀 潺
身体を離す。
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「……もう、行くのか」
御祀 潺
「ええ」
御祀 潺
立ち上がる。
御祀 潺
「もう、聞き届けることもできないのかもしれませんが……」
煤木野灰吏
のろのろと、立ち上がる。
煤木野灰吏
結局勝てずじまいではあったが、
御祀 潺
「困ったことや悩み事があれば、何でも言ってくださいね。その辺の……。」
御祀 潺
「川にでも」
煤木野灰吏
それにしても、見送りのときにまで膝をついているのはあまりにも格好がつかない。
煤木野灰吏
「はは」
煤木野灰吏
「困ったら試してみるか」
煤木野灰吏
「神様仏様御祀様ってな」
御祀 潺
「ふふ」
御祀 潺
「……灰吏」
御祀 潺
「あなたは、ひとりではありませんからね」
御祀 潺
「いつも、いつまでも」
煤木野灰吏
「…………どうにも、そうらしいな」
御祀 潺
微笑む。
煤木野灰吏
「心配、かけたな……」
御祀 潺
「足りないくらいですよ」
煤木野灰吏
「これ以上はもらうのが怖いな……」
御祀 潺
「遠慮はいりませんのに」
煤木野灰吏
「いらねーです」
煤木野灰吏
「大人ですし」
御祀 潺
「大人ですか」
煤木野灰吏
「そうだよ」
煤木野灰吏
「大人だから」
煤木野灰吏
「あの二人のこと、」
煤木野灰吏
「…………任されたよ」
御祀 潺
「…………」
御祀 潺
「子供になりたくなったら」
御祀 潺
「滝壺に、いらっしゃい」
御祀 潺
「……頼もしいですね」
煤木野灰吏
「そうならないようにしたいもんですがね」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「あんたのようには、いかないだろうが」
煤木野灰吏
「できることは、ちゃんとするよ」
御祀 潺
「自分を蔑ろにしないように」
御祀 潺
「……今日は偉かったですよ」
煤木野灰吏
「………………」
煤木野灰吏
「…………どうも」
御祀 潺
ざわざわと、木々が音をたて
御祀 潺
水が弾ける
御祀 潺
「さて」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「…………寂しく」
煤木野灰吏
「なるな……」
御祀 潺
「その言葉で、今日は生涯最高の日になりましたね」
煤木野灰吏
「そうですかよ……」
御祀 潺
「ええ」
御祀 潺
「ありがとう」
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「……俺の方、こそ」
煤木野灰吏
「御祀さん」
煤木野灰吏
「…………ありがとう、ございました」
御祀 潺
笑う。
御祀 潺
目を閉じると、世界の悲鳴が聞こえる。
御祀 潺
待っている。
煤木野灰吏
人の子に聞こえるのはただ風の音だけ。
御祀 潺
祝詞は必要ない。
下ろすべき神は既にここにあり、あの日できなかった儀式の続きが流れ込んでくる。
御祀 潺
両手を合わせる。
煤木野灰吏
「…………」
煤木野灰吏
「……俺」
煤木野灰吏
「あんたのこと、苦手だったけど」
煤木野灰吏
「別に嫌いじゃあなかったよ」
御祀 潺
風が、水が、大地が。
その時を待っている。
御祀 潺
世界を救えるならばきっと誰でもよかったのだと、あの日私は思っていた。
御祀 潺
でも、そうではなかった。
御祀 潺
誰にでもできる事では、なかった。
御祀 潺
「知ってましたよ」
御祀 潺
世話係達だって私を神にするために、世界を救うために。
御祀 潺
個を捨て、人生を犠牲にして、ずっと仕えてくれていたのだ。
御祀 潺
ようやく彼等に報える日が来た。
煤木野灰吏
「聞いてんじゃねーよ!!」
煤木野灰吏
「やっぱ嫌い!!」
御祀 潺
長い髪が舞い、肌が透き通っていく。
御祀 潺
潺。
御祀 潺
母は、何を思ってこの名を付けたのか。
御祀 潺
今となっては知る由もなく。
御祀 潺
「だいすきですよ」
煤木野灰吏
「うるせ~…………」
御祀 潺
――私は
御祀 潺
関わりを持ったすべてのモノに。
御祀 潺
関わらなかった全てのモノに。
御祀 潺
大切な、あなたたちに。
御祀 潺
心からありがとうと、伝えたい。
御祀 潺
涙は流れない。
御祀 潺
金の目が、見る。
御祀 潺
役目を果たさせてくれて。
御祀 潺
共に過ごしてくれて。
御祀 潺
たくさん、思い出を作ってくれて。
御祀 潺
ありがとう。
御祀 潺
『ありがとう』
御祀 潺
声は潺となって渓流に消えた。
御祀 潺
私はあなたたちと共に生きることができて。
御祀 潺
本当に、しあわせでした。
御祀 潺
その血は水となり。
御祀 潺
髪は風となり。
御祀 潺
肉は大地となり。
御祀 潺
心は天に捧げられる。
御祀 潺
あとには、衣服と破れた布きれと。
御祀 潺
思い出だけが、残った。
煤木野灰吏
傍らを、涼しい風が通り抜けた。
葛火焔郎
忘れられることのない風が。
藻鹿乃子
優しく頬を撫でていく。