2021/01/10 朝
夜高ミツル
時計に目を移せば、いつもよりやや遅めの目覚め。
夜高ミツル
ぼんやりと、眠る真城の頬に手を添える。
真城朔
真城の手は相対的にミツルの体温には冷たく感じられる。
真城朔
冷たい手がミツルの熱に温められてぬるくなっていく。
真城朔
布団から身を起こしておろおろと横たわるミツルを見下ろしている。
真城朔
日曜日だから緊急のとこしかやってねえんだよな~。
夜高ミツル
そういえば体温計買ってなかったな……とかぼんやり。
夜高ミツル
体温計がないから今何度だか分からないが、熱い。
夜高ミツル
自覚的になれば、背中にじっとりと汗をかいていることも分かる。
真城朔
コップに水道水をついだのを持って戻ってくる。
真城朔
ベッドサイドに置いて、ミツルの背中に手を添えて
夜高ミツル
それくらい自分で……とも思ったけど、されるがままに
夜高ミツル
熱の籠もった身体に、冷たい水が心地いい。
真城朔
半分くらい飲ませたところで手を止めて傾きを戻し。
真城朔
ミツルを支えたままおろおろと視線を彷徨わせる。
真城朔
ミツルの顔を覗き込んでぽろぽろ泣いている。
夜高ミツル
目を閉じたまま、ふわふわと返事をする。
夜高ミツル
熱に浮かされた思考はふわふわと要領を得ない。
夜高ミツル
近くに真城の気配を感じながら、意識が落ちるに任せた。
真城朔
そしてその向こう側に、涙を落としながら覗き込んでくる真城の顔。
真城朔
いつも使っているテーブルがベッドの近くまで寄せられている。
真城朔
あと濡れタオルのための氷水を張った洗面器とか。
真城朔
それをベッドサイドに置くと身を乗り出して、くっついて
真城朔
ベッドサイドからコップを取って、同じようにミツルの口元に。
夜高ミツル
むしろ朝より少し上がっているような感じさえある。
夜高ミツル
時間をかけて、コップに注がれた分を飲み干した。
真城朔
ベッドの近くまで寄せられたテーブルに薬とかも並べられている。
夜高ミツル
けどまあ食べないことには薬も飲めない……。
夜高ミツル
横たえられたまま、ぼんやりとそれを眺めた。
真城朔
小さめの底の薄い器と木のスプーンを持って戻ってくる。
真城朔
とりあえずそれを持ってベッドサイドに置いて。
真城朔
ふにゃふにゃのふにゃになった米粒と塊の卵の感触。
夜高ミツル
そもそも味が薄いのか、風邪引いて味覚が狂ってるのかよく分からない。
真城朔
体調を訊いているのか味を訊いているのか微妙。
夜高ミツル
真城ががんばって作ってくれたんだろうな、というのも。
夜高ミツル
別に自分で食べれるな……?と遅れて気づいたが
夜高ミツル
ひな鳥のように、差し出されるままに食べていく。
真城朔
意外となくなっちゃうかな。そんなに量盛ってないし……
真城朔
薬を取るためにミツルから離れようとしたところで止まって
真城朔
こちらも小さく笑ってから、改めてミツルから離れる。
夜高ミツル
差し出されるままにコップに口をつけて、
真城朔
ミツルの喉が鳴ったところでコップを離して。
夜高ミツル
自分からもっと頼んだ方がいい気もするが、頭が回らない。
夜高ミツル
ぼんやりしているうちに、どんどん真城が先回りして聞いてくれる。
真城朔
クローゼットからは替えのルームウェアと下着を出して
真城朔
ミツルのベッドに近づいて、おずおずと布団を剥がす。
真城朔
思い出したようにエアコンを取って室温を上げた。
夜高ミツル
ルームウェアはじっとりと汗を吸っている。
夜高ミツル
やれば自分でできるんだけど、自分でしようと思う前にしてくれるので……。
真城朔
汗ばんだこめかみとか おでことか 髪の付け根とか
真城朔
早めのところで一度ぬるま湯にタオルを戻して、また絞り
夜高ミツル
熱に火照り、汗の滲んだ顔がタオルで清められていく。
真城朔
顔の正面の大方を清めた後に、耳の裏から顎の線を
真城朔
寒さを感じないようにか、なるべく身を寄り添わせながら。
夜高ミツル
いつも真城がミツルにするように、力を抜いて身を任せている。
真城朔
脇の下から腕へとタオルを這わせてぐいーっと。
夜高ミツル
タオルが肌を擦る度に、その場所に意識が向く。
真城朔
それをまた絞って、布団をはがして、同じように。
真城朔
さっきよりもタオルが熱くなっているような気がする。
夜高ミツル
身体のそこかしこに、傷痕がついている。
真城朔
今度は胸から左腕を取って、同じように身を清めていく。
夜高ミツル
ミツルはそれには気づかずに、ただ真城に身を任せている。
真城朔
支えになるように、ミツルの身体が冷えないように、極力寄り添っている。
夜高ミツル
はじめは自分で上半身を起こしていたのが、温もりを求めるように真城に体重を預けている。
夜高ミツル
目を閉じて、真城の体温とタオルの感触を感じている。
真城朔
それに差し掛かった瞬間ばかりはぴくりと手を止めかけたが、
真城朔
思い切ったようにぐいーっと拭いてしまった。
真城朔
自分のよりも少し広い背中へとタオルを添わせていく。
夜高ミツル
ぼやぼやと、身体を清められる心地よさに浸っている。
真城朔
なんとなく気化熱で身体が冷めていくような心地がある。
真城朔
手を伸ばしてテーブルからインナーを取った。
夜高ミツル
下はいいんじゃないか?と遅れて思いもしたが。
真城朔
バスタオルを敷いているのでそのまま下着も脱がせちゃうぞ。
真城朔
淡々とやっていきをし、まずは下着の下の部分をまた拭く。
夜高ミツル
自分だけ下を履いてないと妙に恥ずかしい。
真城朔
シンプルに腰の低いところとか臀部とか 太ももの付け根とか
真城朔
さすがにな……になってるミツルのところに戻ってきます。
真城朔
下着から伸びる脚を今度は直線的な動きで拭き清めていく。
夜高ミツル
なんかまあなんとなく、気恥ずかしさというか……。
真城朔
終わったら足の指全体にタオルを被せて全体を拭く。
夜高ミツル
してもらえること自体は嬉しいので、何も言わずに任せている。
真城朔
左の足裏も最後に拭き上げたらタオルを戻し。
真城朔
ルームウェアのズボンを取って、ミツルを見る。
夜高ミツル
裾が絡まったのを整えてもらったりしつつ
夜高ミツル
さっぱりして、またベッドに横たえられる。
真城朔
ベッドのすぐ隣にしゃがみこんでまたミツルを見ています。
真城朔
いつものように支えていつものように注いだコップをいつものように口元に……
夜高ミツル
でもお粥を食べて身体もきれいにしてもらったから、気分の方はかなりマシ。
夜高ミツル
動く気配に、そちらに向けて手を動かす。
真城朔
今のミツルに体温にはひんやりとした手が触れて、
真城朔
すべらかな指の腹がミツルの指に添わされる。
夜高ミツル
暫くは握り返したり、意味もなく真城の名を呼んだりしていたが
夜高ミツル
やがてゆっくりと、手から力が抜けていき
真城朔
それを認めても、ずっとミツルの手を握っていた。
夜高ミツル
そうして真城に見守られながら眠って、夕方頃。
夜高ミツル
まだ熱っぽさはあるものの、悪寒や頭の重さはだいぶマシになっている。
真城朔
テーブル周りの状況はミツルが眠りに落ちるまでと全く変わっていない。
真城朔
支える腕を離して 身体でミツルの体重を受けながら
真城朔
付き添うか付き添わないかで右往左往している
夜高ミツル
立つ時こそ多少ふらついたものの、足取りはしっかりしている。
夜高ミツル
くっつかれつつ、トイレの方に向かっていく。
夜高ミツル
ほぼほぼただくっついてるだけみたいになってる。
真城朔
終わってから食器とコップを取ってキッチンに消えていく。
真城朔
洗面器が3つ並んでて ルームウェアと下着が積んであって
真城朔
とっぷりの夜に、新しく盛ったおかゆをトレイに乗せて戻ってきます。
夜高ミツル
真城に風邪をうつす心配がないのだけはよかった。
夜高ミツル
それを見送り、匙を手にとって食べ始める。
夜高ミツル
真城が自分のために作ってくれた卵がゆ。
真城朔
固まっちゃったのを後から混ぜた気配がある。
夜高ミツル
やたらと時間をかけて、お粥を味わっている。
真城朔
ごはんを顆粒だしで煮て卵を注いでちょっと塩入れただけみたいな卵がゆ。
夜高ミツル
それを真城が自分のためにがんばって作ってくれた事実が、ぽかぽかと身体を温めているような気がした。
夜高ミツル
味わう時は時間をかけて、でも食べるペースは緩まない。
夜高ミツル
腹減ってたんだなあ、というのに食べ始めてから気づくパターン。
真城朔
前買ったやつ……ってキッチンの冷蔵庫の方指差す。
真城朔
ステンレスのスプーンを添えてプリンを持ってきます。
真城朔
あと台ふきんも持ってきたので今更ながら拭いている。
夜高ミツル
その辺りのタイミングで、ちょうど卵がゆの方も完食する。
夜高ミツル
頷いて、プリンとスプーンに手をのばす。
真城朔
ミツルにくっつきながらもにもにいじっている
真城朔
真城がこういう時にスマホをいじるのはけっこう珍しいのは確か。
夜高ミツル
「届く頃には下がってんじゃないかなあ」
夜高ミツル
そんなもんかなあ、とプリンを掬いつつ。
真城朔
ポカリいっぱいあるやつひっかかりすぎて混乱している
真城朔
冷えピタもまあ多いやつは多いが……そうじゃないやつをとりあえず選んで……
夜高ミツル
千葉にいた頃は全然使ってなかったので、こんなにはやく来るもんかとびっくりした。
夜高ミツル
そうこうしてるうちに、程々にプリンを食べ進め。
夜高ミツル
底の方のカラメルが溜まった部分に行き当たったところで
夜高ミツル
自分だけで食べてる時は一口いるか聞くのが習性になっているところがある。
夜高ミツル
カラメルとプリンをスプーンで掬って、真城の口に運ぶ。
真城朔
固いものではないので時間はかからないが……
夜高ミツル
してもらうのも嬉しいけど、やっぱりこっち側のが落ち着く。
真城朔
嬉しそうにくっつきながらプリンを味わっています。
夜高ミツル
風邪引いてる時の冷たくて甘い物、妙に美味しい。
夜高ミツル
熱がある時に一人じゃないばかりか、大好きな相手がいてくれて、
夜高ミツル
幸せを噛み締めつつプリンを完食しました。
真城朔
ミツルの完食に合わせてごちそうさまをした。
真城朔
トレイにおかゆの器とか色々乗せて立ちあがる。
夜高ミツル
真城がなんでもしてくれるので手持ち無沙汰だ。
夜高ミツル
結構気分も良くなったし、洗い物の手伝いに行こうかなとも一瞬思ったが
夜高ミツル
多分余計な心配をさせるので、おとなしく甘えてしまうことにする。
真城朔
引きずらないようにやってます。傷がつくと大変。
夜高ミツル
よく知ってるつもりだけど、たまに改めてすごいなと思う。
真城朔
無理せずに見られる感じの角度と位置になった。
真城朔
遠慮しているのかベッドには乗り込まないで床に座っている。
真城朔
ニュースとかバラエティとかやってる頃かな……もうちょっとしたら映画とかあるな……みたいな感じかな……
真城朔
他のバラエティとかよりは騒がしくないな……
真城朔
美術館とか 途中のドラマとか わかんないし
夜高ミツル
「結局は自分でちゃんとしないとな……」
夜高ミツル
「色々手間をかけさせてしまったわけですが……」
真城朔
常よりも冷たく感じられる身体がそれに応える。
夜高ミツル
そうでなくても、巻き込まれる可能性はいつだって0じゃない。
夜高ミツル
これから更に冷え込みは厳しくなるわけで。
真城朔
何より単純に、体調を崩していいことなどなにもないわけで。
真城朔
その真城が今はミツルの胸に顔を擦り寄せている。
夜高ミツル
自分よりは体温が低いとはいえ、身を寄せれば暖かく。
夜高ミツル
目を閉じて温もりに浸っていると、また眠気がやってくる。
夜高ミツル
動かしてもらったのに殆ど見なかったな……。
夜高ミツル
そんなことを思いつつも、そのまま眠気に身を任せてしまう。
夜高ミツル
おやすみも言わないうちに、気づけばミツルはすうすうと寝息を立てていた。