2021/01/11 早朝
夜高ミツル
昨晩まであった熱っぽさやダルさが、すっかり抜けているのが分かる。
真城朔
ベッドに向けられたテレビは電源が切られて、ベッドサイドにはリモコン。
夜高ミツル
そういえばつけっぱなしで寝落ちしたな……。
夜高ミツル
昨日一日寝て過ごした分早起きしてしまったようだ。
夜高ミツル
擦り寄せられた頬に、そっと手で触れる。
夜高ミツル
体温の差がいつも通りになっているのを感じる。
夜高ミツル
頬に添えていた手を背中に回して、抱き寄せる。
夜高ミツル
ぴったりとくっついて、真城の頭に顔を寄せる。
真城朔
しばらくその姿勢でもぞもぞとお互い身を寄せ合っていたが。
真城朔
離したけどまだすぐ近くからミツルの顔を見ている。
夜高ミツル
無理してぶり返したらバカだからな……。
夜高ミツル
「あとでアマプラのやつ適当に探してみるか」
夜高ミツル
台所に行って、冷蔵庫の中身を確認する。
真城朔
とてとてではないが。流し台でさっさとコップを洗っている。
真城朔
覗き込んではいるもののよく分かってはいない……
夜高ミツル
「あと卵焼きと味噌汁とか、そんなもんかな」
夜高ミツル
献立が決まったので、必要なものを取り出して冷蔵庫を閉める。
真城朔
決まったらしいのでこちらも冷蔵庫から離れて
真城朔
ついでに着替えの準備とか洗濯機回してたりする気配があります。
夜高ミツル
そちらは任せて、エプロンをして調理場に立つ。
夜高ミツル
レンジでご飯を温め、ローストビーフを切り。
夜高ミツル
レタスを千切って器に持って、ミニトマトを添え。
夜高ミツル
すっかり体調の戻った身体で、普段どおりに食事の準備を進めていく。
夜高ミツル
フライパンをどかして、ヤカンを火にかける。
真城朔
若いと冷たい飲み物の方が多くなりがちなのでやや出番の少ない湯呑み。
夜高ミツル
とりあえずローストビーフを食卓の方に持ってきつつ。
夜高ミツル
真城の分のご飯と味噌汁は控えめに。サラダはなしで。
夜高ミツル
取りたいだけ取って食べようという感じ。
夜高ミツル
配膳が済むと台所にトレイを戻して、エプロンを脱ぎ。
真城朔
真城は朝イチにローストビーフを齧っています。
夜高ミツル
「こんな定番メニューみたいに出てくるもんじゃないよな」
夜高ミツル
ミツルもローストビーフを取って、齧る。
夜高ミツル
「あと重すぎないのが病み上がりにいい」
夜高ミツル
「体力使った感じがするから肉食いたいけど」
夜高ミツル
「あんまり重いのだとちょっと……みたいな」
夜高ミツル
普通のフライパンで焼いているので、四角いフライパンで作るほどはきれいじゃないけど。
夜高ミツル
母親が作っていたのがそうだったので、なんとなくそうしている。
夜高ミツル
作り方を教えてもらった訳じゃないので、同じ味ではないけど。
真城朔
遅れて卵焼きを取って、取皿に置いて、じっと見つめている。
夜高ミツル
卵焼きをもぐもぐと咀嚼しながら、その様子に首を傾げる。
真城朔
ローストビーフ抜きなら1切れ行けると思うんだけど……
真城朔
でもローストビーフ食べちゃった。ローストビーフ好きだから……
夜高ミツル
と、割られた卵焼きの片方に箸を伸ばす。
夜高ミツル
ローストビーフいっぱい食べていいよ……。
夜高ミツル
美味しそうに食べてくれるので、よかったなあと思う。
夜高ミツル
「真城が作ってくれる飯、また食いたいし」
真城朔
ちなみに真城が卵焼きを作ろうとするとこの段階ではスクランブルエッグになる。
夜高ミツル
「もうちょっと味は濃くてよかったかなって思うけど」
夜高ミツル
「塩がもうちょっとあってよかったかな」
夜高ミツル
「弁当に入れるのによく作ってたからなあ」
真城朔
「ローストビーフもビーフストロガノフも作れるし……」
夜高ミツル
「あとはちゃんとレシピを見ると結構はじめてでもいけたりする」
夜高ミツル
「適量とか少量とかが、結構慣れと好みに左右されるから……」
夜高ミツル
「そうだな、濃いよりは薄いほうがいいから」
夜高ミツル
「そもそもちゃんと調べてるのがえらい」
夜高ミツル
「俺は料理始めたてのころ、全然調べないで失敗しまくった……」
夜高ミツル
結構どうなってても食ってしまうだろう気がする。
真城朔
卵入れてからかき混ぜるまでを待ちすぎてなんか塊になったけど……。
夜高ミツル
頷き返して、すっかり止まっていた食事を再開する。
夜高ミツル
サラダを口に運んで、もしゃもしゃと咀嚼する。
夜高ミツル
真城はあまり野菜を食べないので、サラダは大体ミツル専用。
夜高ミツル
宣言通り結構空腹だったのでパクパクと食べ進める。
夜高ミツル
元気なのでローストビーフをおかずにご飯を食べる。
真城朔
もぐもぐとローストビーフを咀嚼した末に飲み込み。
夜高ミツル
盛られた朝食達が順調に量を減らしていく。
真城朔
ちゃんとお湯張ったけど まあ 多少冷めてるだろうし……
真城朔
冬だし冷えやすいしまあ追い焚き基本な気もする
真城朔
脱衣所には室内着と下着の着替えとバスタオルの準備が済んでいる。
夜高ミツル
準備してもらったのにお礼を言ったりしつつ。
真城朔
ぽかぽかでミツルの身体に背中を預けている。
真城朔
お互いどうこうしようとするとひと悶着起きるという学びがある。
夜高ミツル
今は手でお湯を掬って真城の肩にかけたりしてる。
真城朔
けっこう入ってなくてもなんとかなるのではあるが……
夜高ミツル
体調を崩した時に一人だとやたらと寂しさや心細さを感じたり
夜高ミツル
そういうことは、一人暮らしの頃に何度か体験した。
夜高ミツル
……それを言ったら真城が気にしそうだから、言わないけど。
夜高ミツル
「俺も真城に色々してもらえたのは嬉しくて」
夜高ミツル
「だけど、心配かけたのは良くなかったなって思うし」
夜高ミツル
「あんまりさせないようにしたいけどな」
真城朔
心配するようなことが起こってほしくはないのは確か……
真城朔
湯船の中で指が彷徨って、結局ミツルの太ももの上に落ちる。
夜高ミツル
真城の後頭部を手で支え、啄むように何度も口づける。
夜高ミツル
縮こまった真城の舌に触れ、ゆるゆると撫でて。
夜高ミツル
手は真城の背中に回して、身体をますます寄せ合う。
真城朔
下ろした腕が、指先が、ミツルの脚の上で戸惑ったように動いて
真城朔
抱き寄せられてやや無理な姿勢で腰が浮いた。
夜高ミツル
硬さを持ち始めた箇所が、真城の腰に触れている。
夜高ミツル
ドライヤーの温風に、癖のない黒髪がなびく。
夜高ミツル
すっかり恒例になった、風呂の後のドライヤー。
真城朔
普段よりも落ち着かなさそうにドライヤーされている。
真城朔
あの後1時間くらいしてシャワーで身体を流してからの恒例行事。
夜高ミツル
慣れた手付きで真城の髪を乾かしている。
夜高ミツル
指で髪をすくって風を当てて、それを繰り返す。
夜高ミツル
静音のドライヤーなので、かけながらでも結構会話できる。
夜高ミツル
とはいえこれでぶり返したら本当にバカだな……というのは流石に思っている。
真城朔
髪をしてもらっている間は振り返れないのでぼんやりと視線を彷徨わせている。
真城朔
何もなかったら風呂場でするの多分止められてないんだよな……。
真城朔
辛うじて働いた理性がベッドへの移動だからな……
真城朔
真城の真っ直ぐな髪は乾くのがけっこう早い。
真城朔
今日はいつもよりも丹念に熱心にやっている。
真城朔
前髪をバスタオルで挟んで水分を取ったり……
真城朔
そのまま前髪を上げて髪の生え際を拭いたり……
夜高ミツル
目を伏せて、されるがままになっている。
真城朔
全体的にそんな感じで髪の水分を拭き取って、
真城朔
バスタオルを被せたまま、ミツルの顔に顔を近づけて。
夜高ミツル
先程自分が乾かしたばかりの髪を掌で撫でつける。
夜高ミツル
「さっき風呂の準備も洗濯もしてくれたし」
夜高ミツル
「別に俺がしてばっかってことはないだろ」
夜高ミツル
「料理だって、したいならこれからできるように教えるし」
夜高ミツル
「まあそもそもこれも俺がしたいからやってるだけだしな」
夜高ミツル
「また真城が作ってくれる飯食べたいし」
夜高ミツル
「まあ言っても教えたこととかないから……」
夜高ミツル
「あれはスパルタしてもらってないと死ぬから……」
夜高ミツル
「料理でそんな厳しくすることないだろ」
夜高ミツル
「そもそも俺がスパルタにできるほど詳しくないしな」
夜高ミツル
「俺も改めて基本を確認し直すみたいな感じで」
夜高ミツル
「別にちゃんと教わったわけじゃないからな、俺も」
夜高ミツル
「卵焼きは材料は簡単だけど、形を作るのがちょっとむずかしいかな」
夜高ミツル
話しながら、結局できなかったゆかりちゃんのお料理教室に思いを馳せたりしました。
夜高ミツル
「目玉焼きとかスクランブルエッグとか」
夜高ミツル
自分の胸に預けられた頭をまた撫でている。
夜高ミツル
「俺も、ちゃんとできるように頑張るよ」
夜高ミツル
「じゃあお互い頑張りましょうということで」
夜高ミツル
片手は真城の頭に乗せたまま、もう片腕を真城の背中に回す。
真城朔
いつもどおりの平穏で、そうして寄り添っていた。