2021/01/11 早朝

真城朔
ミツルの胸にはいつものぬくもり。
夜高ミツル
それを感じながら、目を覚ます。
夜高ミツル
布団の中で軽く伸びをする。
夜高ミツル
昨晩まであった熱っぽさやダルさが、すっかり抜けているのが分かる。
真城朔
その胸元ですやすやと眠っている。
真城朔
ベッドに向けられたテレビは電源が切られて、ベッドサイドにはリモコン。
夜高ミツル
そういえばつけっぱなしで寝落ちしたな……。
夜高ミツル
部屋はまだ薄暗い。
夜高ミツル
昨日一日寝て過ごした分早起きしてしまったようだ。
夜高ミツル
すぐ傍で寝息を立てている真城を見る。
真城朔
すやすやと安らかに眠っている。
真城朔
「んー……」
真城朔
ミツルの胸にまた頬を擦り寄せて、
夜高ミツル
昨日は色々面倒かけちゃったなあ……。
真城朔
ふにゃりとご満悦。
真城朔
ぬくぬく……
夜高ミツル
よく寝てるなー
夜高ミツル
擦り寄せられた頬に、そっと手で触れる。
真城朔
布団に温められているのでぬくい。
夜高ミツル
温かい。
夜高ミツル
体温の差がいつも通りになっているのを感じる。
真城朔
日焼けをしない丸い頬。
夜高ミツル
そこに添えた手を、つ、と動かす。
真城朔
「ん」
夜高ミツル
柔らかく、その白い肌を撫でる。
真城朔
ぴくりと反応。
真城朔
わずかに首を竦めてから、
夜高ミツル
思わず手を止める。
真城朔
今度はミツルの手に頬を擦り寄せる。
夜高ミツル
起こしたかな……
真城朔
表情が緩んだ。
夜高ミツル
「…………」
真城朔
「……み」
真城朔
「つ」
真城朔
舌足らずに名前を呼んで、
真城朔
またすうすうと寝息を立てる。
夜高ミツル
「……真城」
夜高ミツル
小さく呼び返す。
真城朔
「ん」
真城朔
「みつ」
真城朔
「ミツ、……」
夜高ミツル
「真城……」
真城朔
手が伸びて、寝間着の胸元を掴んで
真城朔
額を擦り寄せる。
夜高ミツル
あ~……
真城朔
ミツルの胸に頭を埋めて
夜高ミツル
かわいいな……と、思ってしまう。
真城朔
ぐりぐりと押しつけながら
真城朔
「ミツ」
真城朔
「ミツ……」
真城朔
寝ぼけ眼で名前を繰り返している。
夜高ミツル
頬に添えていた手を背中に回して、抱き寄せる。
真城朔
密着する。
夜高ミツル
「……真城」
真城朔
熱がさらに重なる。
真城朔
唇から安堵の息が小さく漏れた。
夜高ミツル
ぴったりとくっついて、真城の頭に顔を寄せる。
真城朔
あまり寝癖のつかないストレートヘア。
夜高ミツル
その感触が鼻先をくすぐる。
真城朔
しばらくその姿勢でもぞもぞとお互い身を寄せ合っていたが。
真城朔
「……ん」
真城朔
「んん~……」
夜高ミツル
「……ん」
真城朔
むにゃむにゃと唸り声を出して、
真城朔
ぼんやりと瞼をあげる。
真城朔
ぼー……
夜高ミツル
「起きた?」
真城朔
顔を上げて
夜高ミツル
少し腕を緩めて、真城の顔を伺う。
真城朔
こくこくと頷いた。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
ぼんやりとミツルの顔を見ている。
夜高ミツル
「おはよ」
真城朔
「おはよ」
真城朔
「う」
真城朔
「…………」
真城朔
「ミツ、は」
真城朔
首をかしげる。
夜高ミツル
「んー?」
真城朔
「大丈夫?」
真城朔
「からだ……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「熱」
真城朔
じー……
夜高ミツル
「もうなんともない、と思う」
真城朔
おもむろに手を伸ばして、
真城朔
ぺたぺたと顔に触れてくる。
夜高ミツル
「熱も下がったと思うけど……」
夜高ミツル
触られている。
夜高ミツル
どう?と首を傾げる。
真城朔
ぺたぺた……
真城朔
やがてこめかみに手を添えて
真城朔
前髪をかき分け、
真城朔
額と額を合わせて至近距離。
真城朔
じっ……
真城朔
いつもの温度差。
夜高ミツル
「……下がったよな?」
真城朔
「…………」
真城朔
「たぶ、ん」
真城朔
たぶんって感じの控えめな頷き。
真城朔
をして、ゆっくりと額を離した。
夜高ミツル
「真城のお陰だな~」
真城朔
離したけどまだすぐ近くからミツルの顔を見ている。
真城朔
「…………?」
夜高ミツル
離れていった頭を撫でる。
真城朔
撫でられます。
夜高ミツル
「色々看病してくれたから」
夜高ミツル
「ありがとな」
真城朔
「……ん」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
真城朔
「いつも」
真城朔
「してもらってる……」
真城朔
「から」
真城朔
昨日と同じことを繰り返す。
夜高ミツル
「嬉しかった」
夜高ミツル
「……心配かけてごめんな」
真城朔
ふるふると首を振る。
真城朔
「連帯」
真城朔
「責任……」
真城朔
「雪……」
真城朔
気をつける……としょんぼりした。
夜高ミツル
「俺も気をつけます」
真城朔
こくこく
真城朔
「今日は」
真城朔
「……今日、も?」
真城朔
首かしげ
真城朔
「ゆっくりする……」
夜高ミツル
「んー……」
夜高ミツル
「そうだな」
夜高ミツル
体感ではかなり元気になったけど、
真城朔
「病み上がり……」
夜高ミツル
無理してぶり返したらバカだからな……。
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「……ん」
夜高ミツル
「今日はまだ大人しくしとく」
真城朔
頷く。
真城朔
「おとなしく」
真城朔
「テレビ」
真城朔
指差した。
真城朔
「こっち向いてる」
真城朔
「し」
真城朔
ベッドでゆっくりできるの主張
夜高ミツル
「そうだな~」
夜高ミツル
「映画かなんか見るか」
真城朔
「確か」
真城朔
「休日だし」
真城朔
「なんか……」
真城朔
あるかな……?
夜高ミツル
「あとでアマプラのやつ適当に探してみるか」
真城朔
頷いています。
真城朔
「一旦」
真城朔
「なんか、食べて」
真城朔
「それで……」
真城朔
「あ」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
思い当たったように目を瞬いて
真城朔
「風呂……」
真城朔
「入れる?」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「てか入りたい」
真城朔
こくこく
真城朔
「先に?」
夜高ミツル
「飯食ってからにしようかな」
夜高ミツル
「その間風呂溜めとけるし」
真城朔
「ん」
真城朔
頷いた。
真城朔
のそのそとベッドから出ていく。
真城朔
エアコンつけっぱ
夜高ミツル
ベッドを出て伸びをする。
真城朔
「朝ごはん」
真城朔
「どうする?」
真城朔
置きっぱなしのコップを取ってます。
夜高ミツル
「どうすっかなー」
夜高ミツル
台所に行って、冷蔵庫の中身を確認する。
真城朔
とてとて……
真城朔
とてとてではないが。流し台でさっさとコップを洗っている。
真城朔
洗い籠に置く。
夜高ミツル
「結構腹減ってるからなあ」
真城朔
「いっぱい」
真城朔
「食べる?」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
洗い終えて手を拭いて
真城朔
ミツルと一緒に冷蔵庫を覗き込む。
真城朔
覗き込んではいるもののよく分かってはいない……
真城朔
「ローストビーフ」
真城朔
「まだ、ある」
真城朔
一昨日作った……
夜高ミツル
小分けにしたご飯の残りや卵なんかも。
夜高ミツル
「あー、これ食わないとな」
夜高ミツル
「食うか」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく
真城朔
「ローストビーフ」
真城朔
朝から元気。
夜高ミツル
「あと卵焼きと味噌汁とか、そんなもんかな」
夜高ミツル
献立が決まったので、必要なものを取り出して冷蔵庫を閉める。
真城朔
「お湯」
真城朔
「溜めてくる」
夜高ミツル
「ん、頼む」
真城朔
決まったらしいのでこちらも冷蔵庫から離れて
真城朔
風呂場の方へ。
真城朔
ついでに着替えの準備とか洗濯機回してたりする気配があります。
夜高ミツル
そちらは任せて、エプロンをして調理場に立つ。
夜高ミツル
鍋にお湯を沸かして味噌汁を作り。
夜高ミツル
隣にフライパンを出して卵を焼く。
真城朔
洗濯機の音が聞こえてくる……
夜高ミツル
ごうんごうん……
真城朔
あとリビングの方では布団を直したり……
夜高ミツル
味噌汁の具は大根と豆腐に乾燥わかめ。
夜高ミツル
卵焼きは砂糖を入れて甘めのやつ。
真城朔
一応何か投函されてないか確認したり
真城朔
ピザのチラシだ……
真城朔
持って帰ってくる。
夜高ミツル
レンジでご飯を温め、ローストビーフを切り。
真城朔
チラシ置き場に置きました。
夜高ミツル
レタスを千切って器に持って、ミニトマトを添え。
真城朔
諸々済んだのでキッチンに戻ってきます。
真城朔
箸の準備……
真城朔
「お茶」
夜高ミツル
すっかり体調の戻った身体で、普段どおりに食事の準備を進めていく。
真城朔
「あったかいの」
真城朔
「淹れる?」
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「そうだな」
真城朔
「ん」
真城朔
ほうじ茶にしよう……
夜高ミツル
フライパンをどかして、ヤカンを火にかける。
真城朔
湯呑みを出して
真城朔
急須に茶葉を入れている。
真城朔
若いと冷たい飲み物の方が多くなりがちなのでやや出番の少ない湯呑み。
夜高ミツル
「真城どのくらい食う?」
真城朔
「んー……」
夜高ミツル
とりあえずローストビーフを食卓の方に持ってきつつ。
真城朔
「たぶん」
真城朔
「けっこう、は」
真城朔
「食べれる……」
真城朔
昨日プリンしか食べてないし……
真城朔
ヤカンのお湯を急須に注いでいます。
夜高ミツル
「了解ー」
夜高ミツル
台所に戻り。
真城朔
お茶が出たので湯呑みに注いでいる。
真城朔
湯気が立つ……
夜高ミツル
少しして、トレイを持って再び食卓へ。
夜高ミツル
真城の分のご飯と味噌汁は控えめに。サラダはなしで。
真城朔
真城量
夜高ミツル
卵焼きは切って一つの皿に盛ってある。
真城朔
こちらも湯呑みを持ってきます。並べる。
夜高ミツル
取りたいだけ取って食べようという感じ。
真城朔
バイキング式
真城朔
それからおしぼりの準備をしている。
真城朔
お湯で 絞って くるくる丸めて
真城朔
よし。
夜高ミツル
皿をトレイから食卓に移して並べる。
真城朔
食卓におしぼりを添える。
夜高ミツル
配膳が済むと台所にトレイを戻して、エプロンを脱ぎ。
真城朔
ミツルを待っています。
夜高ミツル
真城の隣へ。
夜高ミツル
腰を下ろす。
真城朔
座ります。
夜高ミツル
手を合わせて……
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
「いただきます」
真城朔
いつもの。
真城朔
箸を取って、
真城朔
ローストビーフを取って取皿に。
真城朔
持っていきつつ、じっと卵焼きを見ている。
夜高ミツル
味噌汁に口をつける。
夜高ミツル
空腹に味噌汁があまりにも沁みる……。
真城朔
暖かいものと塩味が……
真城朔
真城は朝イチにローストビーフを齧っています。
真城朔
もぐもぐ
真城朔
「なんか」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
「ローストビーフが、こう」
真城朔
「普通に」
真城朔
「……普通に……?」
真城朔
普通か? になってきた。首を傾げて。
真城朔
でも戻して。
真城朔
「こう」
真城朔
「作って」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「冷蔵庫にあるの」
真城朔
「…………」
真城朔
「不思議……」
夜高ミツル
「確かになあ」
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
「こんな定番メニューみたいに出てくるもんじゃないよな」
真城朔
塊肉はまあさすがに結構な値段がするが……
真城朔
頷きます。
夜高ミツル
「あるから食っとくかみたいななぁ」
真城朔
もっと頷きます。
真城朔
「おいしい」
真城朔
「から」
真城朔
「嬉しいけど」
真城朔
「不思議」
夜高ミツル
「だなー」
夜高ミツル
ミツルもローストビーフを取って、齧る。
真城朔
二枚目を取って、今度はお米と食べてる。
真城朔
疑似ローストビーフ丼か?
夜高ミツル
「あと重すぎないのが病み上がりにいい」
真城朔
「ん」
真城朔
「いい?」
真城朔
ミツルを見る。
夜高ミツル
「なんかこう……」
夜高ミツル
「体力使った感じがするから肉食いたいけど」
真城朔
ふむふむ……
夜高ミツル
「あんまり重いのだとちょっと……みたいな」
真城朔
「油っぽく」
真城朔
「ないのが?」
夜高ミツル
「そうそう」
真城朔
赤身だからな~。
真城朔
「ちょうどよかった」
真城朔
嬉しそうにしている。
夜高ミツル
「作っといて良かったなー」
真城朔
自分が作ったものではないが……
真城朔
こくこく
真城朔
「食べられるうちに」
真城朔
「元気になって、よかった」
夜高ミツル
「おかげさまで」
真城朔
「……ん」
夜高ミツル
卵焼きに手を伸ばす。
夜高ミツル
普通のフライパンで焼いているので、四角いフライパンで作るほどはきれいじゃないけど。
真城朔
お味噌汁を飲んでいます。
夜高ミツル
でもまあ、そこそこきれいな形。
真城朔
慣れている。
真城朔
それをじっと見ている。
夜高ミツル
ミツルの作る卵焼きはいつも少し甘め。
夜高ミツル
母親が作っていたのがそうだったので、なんとなくそうしている。
真城朔
真城も甘いのが好き。
夜高ミツル
作り方を教えてもらった訳じゃないので、同じ味ではないけど。
真城朔
遅れて卵焼きを取って、取皿に置いて、じっと見つめている。
真城朔
「…………」
夜高ミツル
「?」
夜高ミツル
卵焼きをもぐもぐと咀嚼しながら、その様子に首を傾げる。
真城朔
おずおずと箸で卵焼きを割っている。
夜高ミツル
「ああ」
夜高ミツル
「大きかったか」
真城朔
「え」
真城朔
「と」
真城朔
「…………」
真城朔
小さく頷く。
真城朔
ローストビーフ抜きなら1切れ行けると思うんだけど……
夜高ミツル
なるほどね。
真城朔
お米と味噌汁もあり……
真城朔
あまり自信がない。
夜高ミツル
「じゃあそっちは俺もらうな」
真城朔
でもローストビーフ食べちゃった。ローストビーフ好きだから……
夜高ミツル
と、割られた卵焼きの片方に箸を伸ばす。
真城朔
「ん」
真城朔
頷いた。
夜高ミツル
ローストビーフいっぱい食べていいよ……。
真城朔
「ありがとう」
真城朔
甘やかされている。
夜高ミツル
ひょい、と自分の取皿に移し。
真城朔
残った半個を箸で取って、口に含む。
真城朔
甘い。
夜高ミツル
食べるところを見てる。
真城朔
まあ真城の家も甘かった。卵焼き。
夜高ミツル
だろうな~
真城朔
甘いとおいしい……
真城朔
嬉しそうにもごもごしています。
夜高ミツル
美味しそうに食べてくれるので、よかったなあと思う。
真城朔
それを飲み下して、ほうじ茶を飲みながら。
夜高ミツル
真城の皿から移した卵焼きを口に運ぶ。
真城朔
「……俺も」
夜高ミツル
「ん?」
夜高ミツル
もごもご
真城朔
「…………」
真城朔
「俺も」
真城朔
「もっと、料理」
真城朔
「ちゃんと……」
真城朔
できたら……と、消え入るような声で。
夜高ミツル
ごく、と飲み下して。
夜高ミツル
「そしたらもっと一緒に作れるなー」
夜高ミツル
「真城が作ってくれる飯、また食いたいし」
真城朔
「…………」
真城朔
おろろ……
真城朔
「味……」
真城朔
「変じゃ……」
真城朔
ちなみに真城が卵焼きを作ろうとするとこの段階ではスクランブルエッグになる。
夜高ミツル
「うまかったよ」
夜高ミツル
「もうちょっと味は濃くてよかったかなって思うけど」
真城朔
「濃く……」
真城朔
「濃くする……」
真城朔
なんか頷いています。
夜高ミツル
「塩がもうちょっとあってよかったかな」
夜高ミツル
「教えるよ」
真城朔
「塩」
真城朔
「……うん」
夜高ミツル
「俺も全然勉強中だけどな」
真城朔
「でも」
真城朔
「卵焼き」
真城朔
「きれい、だし」
夜高ミツル
「弁当に入れるのによく作ってたからなあ」
真城朔
「ローストビーフもビーフストロガノフも作れるし……」
夜高ミツル
「慣れだな」
真城朔
「慣れ」
真城朔
料理への慣れ、かなり無縁。
夜高ミツル
「あとはちゃんとレシピを見ると結構はじめてでもいけたりする」
夜高ミツル
「ビーフストロガノフもそうだったし」
真城朔
「レシピ……」
真城朔
「昨日の」
真城朔
「おかゆ、は」
真城朔
「ネットで……」
真城朔
「見た、やつだけど」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「塩」
真城朔
「適量って……」
真城朔
適量……??? になった。
夜高ミツル
「あ~……」
夜高ミツル
「そこがなあ……」
真城朔
「ちょっと入れた」
真城朔
「入れすぎると」
夜高ミツル
「適量とか少量とかが、結構慣れと好みに左右されるから……」
真城朔
「取り返し、つかないし」
真城朔
「うん……」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
「そうだな、濃いよりは薄いほうがいいから」
夜高ミツル
「だから、ちゃんとできてたよ」
真城朔
「……できてた?」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「そもそもちゃんと調べてるのがえらい」
夜高ミツル
「俺は料理始めたてのころ、全然調べないで失敗しまくった……」
真城朔
「なんにも」
真城朔
「わかんなかった、し」
真城朔
「変なの食べさせたくないし……」
真城朔
「病気」
真城朔
「なのに」
真城朔
「…………」
真城朔
やや言いづらそうに視線を落として
夜高ミツル
「?」
真城朔
指が湯呑みの側面を滑り。
真城朔
「……ミツ」
真城朔
「たぶん」
真城朔
「変、でも」
真城朔
「…………」
真城朔
「食べちゃう」
真城朔
「し…………」
夜高ミツル
「……」
夜高ミツル
「まあ、そりゃ」
夜高ミツル
「真城が作ってくれるなら……」
真城朔
「だか、ら」
真城朔
「失敗」
夜高ミツル
結構どうなってても食ってしまうだろう気がする。
真城朔
「したくなかった、し」
真城朔
「…………」
真城朔
「したくなかった……」
真城朔
「から」
真城朔
「しらべた……」
真城朔
卵入れてからかき混ぜるまでを待ちすぎてなんか塊になったけど……。
夜高ミツル
「……」
真城朔
適量わかんなくて味、薄かったけど……
夜高ミツル
「……ありがとうな、ほんと」
真城朔
ミツルを見る。
夜高ミツル
「頑張って作ってくれたんだな」
真城朔
「……ミツが」
真城朔
「普段、作ってるのより」
真城朔
「たぶん……」
真城朔
「簡単、だし」
真城朔
「ごはんは」
真城朔
「あったし」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「でも、すげえ嬉しかった」
夜高ミツル
「うまかったし」
真城朔
「……ん」
真城朔
「うん」
真城朔
「よかっ、た」
真城朔
頷いて、お茶を飲みます。
夜高ミツル
頷き返して、すっかり止まっていた食事を再開する。
真城朔
その様子を嬉しそうに見ています。
真城朔
ミツが元気に食べていて嬉しい
夜高ミツル
サラダを口に運んで、もしゃもしゃと咀嚼する。
夜高ミツル
真城はあまり野菜を食べないので、サラダは大体ミツル専用。
真城朔
お味噌汁に入ってた具は食べました。
真城朔
野菜は加熱してる方が食べやすい。
夜高ミツル
肉食動物に生野菜はなあ。
真城朔
なんかもしゃもしゃする何か
夜高ミツル
宣言通り結構空腹だったのでパクパクと食べ進める。
真城朔
元気になっている……
真城朔
ちょっとだけ迷ってから
真城朔
ローストビーフを追加で一枚取りました。
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
元気なのでローストビーフをおかずにご飯を食べる。
真城朔
若くて元気でリッチな朝飯。
夜高ミツル
豪華だな~。
真城朔
豊かな暮らしをしている……
夜高ミツル
卵焼きを食べ、味噌汁を飲み。
真城朔
もぐもぐとローストビーフを咀嚼した末に飲み込み。
夜高ミツル
盛られた朝食達が順調に量を減らしていく。
夜高ミツル
そんな感じで、程なくして完食。
夜高ミツル
ほうじ茶を飲んで、一息つく。
真城朔
「元気」
真城朔
嬉しそうに。
夜高ミツル
「元気だろ~」
夜高ミツル
笑う。
真城朔
「ん」こくこく頷いた。
真城朔
「よかった」
真城朔
「うれしい」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
お茶を飲み干して、湯呑みを置く。
夜高ミツル
ミツルの方も湯呑を置いて。
夜高ミツル
空になった食器を重ねていく。
真城朔
おしぼりを片付け……
真城朔
台ふきんで食卓を拭いている。
夜高ミツル
重ねた食器を台所へ。
夜高ミツル
スポンジを取って洗っていく。
夜高ミツル
じゃぶじゃぶ……
真城朔
戻ってきてふきんを取ります。
真城朔
食器も拭いていき拭いていき……
夜高ミツル
いつもの流れ。
真城朔
役割分担が。
夜高ミツル
共同生活だなあ。
真城朔
一緒に住んでるな~。
真城朔
朝食の後始末も済んでよしとなり。
真城朔
お風呂の追い焚きスイッチを入れています。
真城朔
ちゃんとお湯張ったけど まあ 多少冷めてるだろうし……
真城朔
あったかいお湯に浸かってほしいし……
夜高ミツル
食事に時間かけるから……
真城朔
冬だし冷えやすいしまあ追い焚き基本な気もする
夜高ミツル
あったかくしようねえ
真城朔
脱衣所には室内着と下着の着替えとバスタオルの準備が済んでいる。
夜高ミツル
準備してもらったのにお礼を言ったりしつつ。
真城朔
かぽーん。
真城朔
熱めのお湯に二人で浸かっています。
夜高ミツル
真城を後ろから抱くような姿勢。
夜高ミツル
いつもの。
真城朔
ぽかぽかでミツルの身体に背中を預けている。
真城朔
流石に今日は身体を自分で洗いました。
真城朔
各自。
真城朔
冷えたら馬鹿らしいので……
夜高ミツル
各自洗った。
真城朔
お互いどうこうしようとするとひと悶着起きるという学びがある。
夜高ミツル
今は手でお湯を掬って真城の肩にかけたりしてる。
真城朔
あったかい……
真城朔
「そういえば」
真城朔
「俺も」
真城朔
「昨日」
夜高ミツル
「んー?」
真城朔
「入ってなかった……」
夜高ミツル
「ああ……」
真城朔
けっこう入ってなくてもなんとかなるのではあるが……
夜高ミツル
「ずっといてくれてたもんな」
真城朔
「……ん」
真城朔
「いっしょに……」
真城朔
「いっしょだと」
真城朔
「よかった?」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「いてくれてよかった」
真城朔
「……よかった」
真城朔
頷いている。
真城朔
「ミツに」
真城朔
「なにか、できると」
真城朔
「うれしい……」
夜高ミツル
体調を崩した時に一人だとやたらと寂しさや心細さを感じたり
真城朔
ほうと息をついた。
夜高ミツル
そういうことは、一人暮らしの頃に何度か体験した。
夜高ミツル
……それを言ったら真城が気にしそうだから、言わないけど。
夜高ミツル
でも、今回は
夜高ミツル
「……真城がいてよかった」
真城朔
「…………うん」
夜高ミツル
真城の肩に顎を乗せる。
夜高ミツル
こつ、と頭をくっつける。
真城朔
ミツルの側に少し頭を傾ける。
真城朔
「なにか」
真城朔
「できて、よかった」
真城朔
「……あっ」
夜高ミツル
「……ん」
夜高ミツル
「ん?」
真城朔
「ミツが」
真城朔
「風邪、ひいて」
真城朔
「よかったわけじゃ」
真城朔
「なくて」
真城朔
「それは」
夜高ミツル
「ああ、うん」
真城朔
「よくなくて」
真城朔
わたわた……
真城朔
言い訳
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「大丈夫」
真城朔
「……ん」
真城朔
「…………」
夜高ミツル
「それとこれとは別だもんな」
真城朔
「別……」
夜高ミツル
「俺も真城に色々してもらえたのは嬉しくて」
夜高ミツル
「だけど、心配かけたのは良くなかったなって思うし」
真城朔
「……心配は」
真城朔
「別に」
真城朔
「いくらでも、する」
真城朔
「から」
真城朔
「ミツが」
真城朔
「気に病むことじゃ」
夜高ミツル
「あんまりさせないようにしたいけどな」
真城朔
ないと思う、としょぼしょぼと
真城朔
「……したい」
真城朔
「わけじゃ、ない」
真城朔
「けど」
真城朔
心配するようなことが起こってほしくはないのは確か……
夜高ミツル
「……うん」
夜高ミツル
お湯を掬って、かける。
真城朔
あたたかさに息をつく。
真城朔
振り向いて
真城朔
首だけで振り向いて、
真城朔
ミツルの表情を窺う。
夜高ミツル
そちらに顔を向ける。
真城朔
唇が小さく動いた。
真城朔
唇だけが動いて、声も言葉も出ないまま
夜高ミツル
お互いの顔がほど近い。
真城朔
逡巡。
夜高ミツル
その距離を、さらに縮める。
真城朔
微かな緊張に身体を強張らせながら、
真城朔
上体が捻られてさらにミツルを向く。
夜高ミツル
顔を寄せ、唇を合わせる。
真城朔
「……ん」
真城朔
目を伏せた。
真城朔
風呂で温まった唇が重なる。
夜高ミツル
柔らかい。
夜高ミツル
一日ぶりのキスを交わす。
真城朔
掴む服もないので、
真城朔
湯船の中で指が彷徨って、結局ミツルの太ももの上に落ちる。
真城朔
お湯の中でその肌をするりと撫でる。
夜高ミツル
その感触に、ぴく、と身体を震わせる。
夜高ミツル
真城の後頭部を手で支え、啄むように何度も口づける。
真城朔
肌を撫でた指がまだ迷うように動いて、
真城朔
同じ場所で拳を作った。
真城朔
「ん、っ」
真城朔
「ぅ」
夜高ミツル
濡れた唇を舌で撫でる。
真城朔
「……は」
真城朔
撫ぜられて唇を薄く開いてしまう。
夜高ミツル
その隙間に舌先を滑り込ませる。
真城朔
舌を受け入れて、ぴくりと背が引きつった。
真城朔
受け入れた舌のさらに下、
真城朔
真城の舌は戸惑いに縮こまっている。
真城朔
けれどどろりと唾液が溜まって、
真城朔
開いた口の端からそれが溢れる。
真城朔
伝い落ちて、
真城朔
湯に跳ねた。
夜高ミツル
舌を伸ばし、口内をまさぐる。
夜高ミツル
縮こまった真城の舌に触れ、ゆるゆると撫でて。
真城朔
「は」
真城朔
「んく、――ぅ」
夜高ミツル
手は真城の背中に回して、身体をますます寄せ合う。
真城朔
下ろした腕が、指先が、ミツルの脚の上で戸惑ったように動いて
真城朔
抱き寄せられてやや無理な姿勢で腰が浮いた。
夜高ミツル
硬さを持ち始めた箇所が、真城の腰に触れている。
真城朔
「っ」
真城朔
重ねた唇の奥で息を呑む。
真城朔
ミツルの手の触れた背中がぞくりと震えて、
真城朔
慌てて腕を上げてミツルの肩を掴んだ。
夜高ミツル
「……ん」
夜高ミツル
掴まれて、唇を離す。
真城朔
ゆっくりと身体を引く。
真城朔
熱い息を湯気に紛れさせながら、
真城朔
赤い唇を震わせて視線を落とす。
真城朔
「……か、らだ」
真城朔
「冷える」
真城朔
「と」
夜高ミツル
「…………」
真城朔
「よく」
夜高ミツル
「……そ、う」
真城朔
「な、い」
夜高ミツル
「だな……」
真城朔
「…………」
真城朔
頷く。
真城朔
「あがって」
真城朔
「あがって、から」
真城朔
「…………」
夜高ミツル
「……ん」
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
ドライヤーの温風に、癖のない黒髪がなびく。
夜高ミツル
すっかり恒例になった、風呂の後のドライヤー。
真城朔
普段よりも落ち着かなさそうにドライヤーされている。
真城朔
あの後1時間くらいしてシャワーで身体を流してからの恒例行事。
真城朔
恒例なのだが、まあさすがに落ち着かない。
真城朔
「…………」
夜高ミツル
慣れた手付きで真城の髪を乾かしている。
真城朔
脚の上で指と指を擦り合わせたりしている。
夜高ミツル
指で髪をすくって風を当てて、それを繰り返す。
真城朔
「……からだ……」
真城朔
ぽつり。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
静音のドライヤーなので、かけながらでも結構会話できる。
真城朔
「調子」
真城朔
「悪く、とか」
真城朔
「なったりは……」
真城朔
けっこう気にしている。
夜高ミツル
「大丈夫」
真城朔
ずっと。
夜高ミツル
「元気だって」
真城朔
「…………」
夜高ミツル
とはいえこれでぶり返したら本当にバカだな……というのは流石に思っている。
夜高ミツル
真城も気にするだろうし……。
夜高ミツル
今の所なんともなくはあるが。
夜高ミツル
「部屋も暖かくしてたし、大丈夫だよ」
真城朔
髪をしてもらっている間は振り返れないのでぼんやりと視線を彷徨わせている。
真城朔
「ん……」
真城朔
しょんぼりと頷いた。
真城朔
何もなかったら風呂場でするの多分止められてないんだよな……。
真城朔
辛うじて働いた理性がベッドへの移動だからな……
夜高ミツル
理性があってえらい!
真城朔
止めろ!
夜高ミツル
ドライヤーのスイッチを切る。
真城朔
真城の真っ直ぐな髪は乾くのがけっこう早い。
真城朔
スイッチが切られたと同時に振り返って
真城朔
バスタオルをミツルの頭の上に被せた。
夜高ミツル
指で髪を整えて……
夜高ミツル
「ん」
真城朔
ごしごし……
真城朔
いつもではないがちょくちょくやる。
夜高ミツル
大人しく拭かれている。
真城朔
今日はいつもよりも丹念に熱心にやっている。
夜高ミツル
気にかけてもらっている……。
夜高ミツル
拭きやすいように、少し俯いている。
真城朔
前髪をバスタオルで挟んで水分を取ったり……
真城朔
そのまま前髪を上げて髪の生え際を拭いたり……
夜高ミツル
目を伏せて、されるがままになっている。
真城朔
全体的にそんな感じで髪の水分を拭き取って、
真城朔
バスタオルを被せたまま、ミツルの顔に顔を近づけて。
真城朔
「…………」
真城朔
すぐ近くで葛藤している。
夜高ミツル
「……?」
夜高ミツル
間近に気配を感じて、目を開けて。
真城朔
目が合った。
真城朔
顔を寄せて
夜高ミツル
「……」
真城朔
一瞬だけ唇を重ねて、すぐ離した。
真城朔
すぐ離しました。
真城朔
手も離す。
夜高ミツル
はい。
真城朔
俯いている。
夜高ミツル
俯いた頭に掌を乗せる。
夜高ミツル
なで……
真城朔
撫でられている。
真城朔
目を伏せてミツルの掌に頭を擦り寄せて
夜高ミツル
先程自分が乾かしたばかりの髪を掌で撫でつける。
真城朔
さらさらとした髪を撫でつけられている。
真城朔
「……ミツ」
夜高ミツル
「……真城」
真城朔
呼び返されて、瞼を上げた。
真城朔
「…………」
夜高ミツル
黙って頭を撫でている。
真城朔
「ミツ」
真城朔
「……は」
夜高ミツル
「……ん」
真城朔
「こう、いう」
真城朔
「こうするの」
真城朔
「たのしい?」
夜高ミツル
「……うん」
夜高ミツル
「楽しいよ」
真城朔
「……したくて」
真城朔
「してる?」
夜高ミツル
「したいことしかしてないって」
夜高ミツル
「ずっとそう言ってるし」
夜高ミツル
「今もそうだよ」
真城朔
「……ん」
夜高ミツル
掌は変わらず真城の頭を撫でている。
真城朔
「うん……」
夜高ミツル
時折指で髪の流れを整え。
真城朔
「……なんか」
真城朔
「すぐ」
真城朔
「ミツに」
真城朔
「させて、ばっかに」
真城朔
「なる」
真城朔
「から……」
夜高ミツル
また掌で撫でつける。
夜高ミツル
「えー?」
真城朔
撫でられながらぽつぽつと訴えている。
夜高ミツル
「そうかな……」
真城朔
「そう」
真城朔
「だと、思う」
真城朔
「……俺、だと」
真城朔
「料理も」
真城朔
「できない」
真城朔
「し」
夜高ミツル
「真城だって色々してくれてるだろ」
真城朔
ミツルの顔を窺う。
夜高ミツル
「飯の時毎回手伝ってくれるし」
夜高ミツル
「さっき風呂の準備も洗濯もしてくれたし」
夜高ミツル
「別に俺がしてばっかってことはないだろ」
真城朔
「…………」
真城朔
そうかな? という感じで首を傾げます。
夜高ミツル
「料理だって、したいならこれからできるように教えるし」
夜高ミツル
「まあそもそもこれも俺がしたいからやってるだけだしな」
真城朔
「……ん」
真城朔
「できるように」
真城朔
「なれるなら」
真城朔
「したい……」
夜高ミツル
「なれるよ」
夜高ミツル
「できるようにする」
夜高ミツル
「また真城が作ってくれる飯食べたいし」
真城朔
「……ん」
真城朔
「うん」
真城朔
「なり、たい」
真城朔
「ちゃんと」
真城朔
「できるように……」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「まあ言っても教えたこととかないから……」
真城朔
ミツルの顔を見る。
夜高ミツル
「どうすっかな……」
夜高ミツル
「まあなんか考えてみるよ」
真城朔
「…………」
真城朔
「スパルタ……?」
夜高ミツル
「いやいや」
夜高ミツル
「簡単なのからな」
真城朔
「簡単なの」
真城朔
「……でも」
真城朔
「俺は」
真城朔
「スパルタだった」
真城朔
「し」
夜高ミツル
「あれはスパルタしてもらってないと死ぬから……」
夜高ミツル
「料理でそんな厳しくすることないだろ」
夜高ミツル
「プロじゃないんだし」
真城朔
しょぼ……
真城朔
「……教えてもらう」
真城朔
「のは」
真城朔
「同じ」
真城朔
「だから……」
夜高ミツル
「そもそも俺がスパルタにできるほど詳しくないしな」
夜高ミツル
「俺も改めて基本を確認し直すみたいな感じで」
真城朔
「基本……」
真城朔
「卵焼き」
真城朔
「は」
夜高ミツル
「別にちゃんと教わったわけじゃないからな、俺も」
真城朔
「基本……?」
真城朔
なるほどと頷き……
夜高ミツル
「卵焼きは材料は簡単だけど、形を作るのがちょっとむずかしいかな」
夜高ミツル
「味噌汁辺りからかなぁ、最初は」
真城朔
「味噌汁」
夜高ミツル
「切って入れて混ぜるだけ」
夜高ミツル
話しながら、結局できなかったゆかりちゃんのお料理教室に思いを馳せたりしました。
真城朔
「切って入れて混ぜるだけ」
真城朔
復唱。
真城朔
「味噌汁作って」
真城朔
「ごはんと」
真城朔
「なんか、ベーコンとか焼いたら」
真城朔
「朝ごはん……」
夜高ミツル
「なるなー」
真城朔
「できる?」
真城朔
「なった」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「卵も、卵焼きはちょっと大変だけど」
夜高ミツル
「目玉焼きとかスクランブルエッグとか」
夜高ミツル
「その辺なら結構簡単だし」
真城朔
「作れたら」
真城朔
「朝ごはん、作れる」
真城朔
「ように」
真城朔
「なれる」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「……なり」
真城朔
「たい」
真城朔
姿勢を崩して、
夜高ミツル
「俺も、」
夜高ミツル
「真城の作った朝飯、食いたいな」
真城朔
ミツルの胸に頭を預けた。
真城朔
「……できたら」
真城朔
「できるように」
真城朔
「なれた、ら」
真城朔
「食べて」
真城朔
「ほしい……」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「食べるよ」
夜高ミツル
「食べたい」
夜高ミツル
「よし、じゃあ最初の目標は朝飯だな」
真城朔
「……ん」
真城朔
こくこく
真城朔
「ミツが」
真城朔
「寝てても」
真城朔
「大丈夫なように……」
真城朔
ミツルが先に目覚める方が多いが……
夜高ミツル
自分の胸に預けられた頭をまた撫でている。
夜高ミツル
「起きたら真城の作った飯があるの」
夜高ミツル
「……いいな」
夜高ミツル
「楽しみだ」
真城朔
「いい?」
真城朔
見上げた。
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「すげー嬉しいと思う」
真城朔
「…………」
真城朔
「じゃあ」
真城朔
「したい」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「楽しみにしてる」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく頷いて
真城朔
「がんばる……」
真城朔
「し」
真城朔
「よろしくお願い」
真城朔
「します」
夜高ミツル
「ん、よろしくお願いします」
夜高ミツル
「……人に教えるの初めてだから」
夜高ミツル
「俺も、ちゃんとできるように頑張るよ」
真城朔
「俺も」
真城朔
「がんばる」
真城朔
ミツルの胸に頬を擦り寄せて
夜高ミツル
「じゃあお互い頑張りましょうということで」
真城朔
背中に腕を回す。
真城朔
「……ん」
真城朔
頷いた。
夜高ミツル
片手は真城の頭に乗せたまま、もう片腕を真城の背中に回す。
真城朔
身体を擦り寄せて服越しに肌を合わせて、
夜高ミツル
互いの熱を分け合う。
真城朔
心地良さそうにその熱を感じている。
夜高ミツル
今はすっかり平常通りの体温。
真城朔
真城が少しばかり低いいつもの温度差。
真城朔
いつもどおりの平穏で、そうして寄り添っていた。