21/1/16 昼過ぎ
真城朔
入居のときに揃いで買ったものだったが、真城が着る機会はあまりなかった。
夜高ミツル
いつもはミツルが前に出ているのだが、今日は半歩引いた形。
真城朔
ややというか普通に落ち着かない様子で立っている。
夜高ミツル
ミツルもやや落ち着かなさげ……なのをどうにか取り繕いつつ。
真城朔
助けを求めるように視線をミツルに向けていたが、その声に気持ち背筋を伸ばして。
真城朔
ミツがいつも味噌汁にはこれを使っている……
夜高ミツル
「一日分まとめて作る時は……この辺くらいかな」
夜高ミツル
「豆腐買ってある時は大体味噌汁用だから使っていい」
夜高ミツル
「あとはキャベツと玉ねぎあるからそれにするか」
夜高ミツル
後ろで見てるだけってなんか慣れないな……。
真城朔
豆腐とキャベツと玉ねぎがとりあえず並びました。
夜高ミツル
「火が通りにくい野菜から入れたほうがいいから」
真城朔
全体的に白いのに上の方が茶色い層に辿り着いてしまった。
夜高ミツル
「もう一層全部剥いちゃってもいいんだけど」
夜高ミツル
茶色い部分が取り除かれているのを見て頷いた。
夜高ミツル
「包丁の使い方って習ったことあるか?」
真城朔
右手でぎゅっと握って、左手で玉ねぎをまな板に置いてます。
夜高ミツル
「気をつけて使えば大丈夫だから、そんなに緊張しなくていいからなー」
夜高ミツル
反対の手を手刀の形にして、包丁に見立て
夜高ミツル
「指を伸ばしてると……切っていく時にうっかりやっちゃうかもだろ?」
夜高ミツル
一度手を伸ばし、とんとんとジェスチャーしてみせ、
夜高ミツル
「こうやって丸めてるとザクッとやっちゃう心配がないと」
真城朔
切り落とした側を下にして玉ねぎを置きました。
夜高ミツル
「それを端の方から細めに切っていく感じで……」
夜高ミツル
「最初だからもうちょっと太めでいいけど」
真城朔
とんとんではなく さく……さく…… みたいなテンポ。
真城朔
当然ながらやや太い。1/3くし型みたいな感じ。
真城朔
じっ……と玉ねぎをにらみながらやっている。
真城朔
睨みながらやっているが、涙が滲む様子はなく。
夜高ミツル
お湯やっちゃうか……と思いかけたけど、それじゃ教えるにならないな……
夜高ミツル
「小さくなったら、無理しなくてもいいからな」
夜高ミツル
「まあ最終的に火が通ればいいわけだから」
真城朔
かけらよりはちょっと大きい感じの玉ねぎの半分の残りを見ます。
真城朔
ちょっと悩んだけど、言われたとおりに角度を変えて
真城朔
おおむね同じ要領で改めてやっていきが始まりました。
真城朔
あちゃこちゃしていた手でボウルに切り終えた玉ねぎを入れていきます。
夜高ミツル
「まな板をボウルの上に持っていって……」
夜高ミツル
後ろでそわ……になりながら見守っていた。
夜高ミツル
ふーになったのが落ち着いたところで……
夜高ミツル
「はみ出てると何かに燃え移ったりするかもしれないから」
夜高ミツル
「ちゃんと出汁を取るなら水の時から昆布入れたりするんだけど」
夜高ミツル
「そうそう、味噌汁は出汁と味噌で味をつけるから」
真城朔
味に関わる加減の問題なので、かなり不安そうにミツルを見ます。
夜高ミツル
細々とした調理器具をまとめてるところから、小さじを出す。
夜高ミツル
事前にスマホで開いておいたレシピをチラ見し……
真城朔
こういうのはこんもりしちゃだめなのはわかるぞ……
夜高ミツル
山盛りしちゃだめだぞって言おうと思ったけど、言わずにできてたので頷いている。
夜高ミツル
「味噌は具に火が通ってから最後に入れるから」
真城朔
外側1、2枚を残して包んで保存してあるやつ
真城朔
形が立体的ではないので、玉ねぎみたいなアクシデントはそんなに起きない。
夜高ミツル
途中でお湯が湧いたので鍋に玉ねぎを投じたりした。
真城朔
火にかけてる真っ最中なので、さっきよりは慎重な手つきで
真城朔
ややぐつぐつになっている鍋を見下ろして息をつきます。
夜高ミツル
「あれはまあ、慣れないうちはやらなくていいよ」
真城朔
自分がやったことにあんまり気づいていない……
真城朔
豆腐を手の上で切るのは印象的だから覚えているのだが……
夜高ミツル
包丁を……って言いかけたのが止まっていた。
夜高ミツル
関係ないけど気をつけてるのはいいことだから……
真城朔
なってしまい、むずかしいかおをしています。
夜高ミツル
むずかしいかおになっているので、フォローを入れる。
真城朔
豆腐はぷるぷるだし真城も気持ちぷるぷるになりながら
真城朔
止まったらなんかたぶんますます崩れる気がする これは
真城朔
そんな気持ちになりながらとりあえず縦に切り……
真城朔
さいの目切りの手順でサイコロ状じゃない豆腐ができた。
夜高ミツル
「多分木綿の方が切りやすいから、次からそっち買ってくるか……」
夜高ミツル
「あっちの方がもうちょっとしっかりしてるから切りやすい」
真城朔
真城が切った具材が鍋のなかでふつふつ煮えてます。
真城朔
今まで手伝うときはこういうとき真城が洗ってそう。
真城朔
包丁を洗って包丁入れに まな板を洗ってまな板の台に
夜高ミツル
「うん、具に火が通ってたら入れていい」
夜高ミツル
「玉ねぎだったら色が透明っぽくなってたら大丈夫」
真城朔
ぐつぐつというほどではないのでは。まあそこそこ。
夜高ミツル
「まあこのくらいなってたらいいかなー」
夜高ミツル
「好みもあるから、柔らかい方がよかったらもうちょい待ってもいいけど」
夜高ミツル
「豆腐はそんなに気にしなくても大丈夫」
夜高ミツル
「味噌はあんまり火入れすぎると良くないらしいから」
真城朔
なんとかパックの側面に貼り付けてちゃんと大さじ1にして
夜高ミツル
言い出そうかとしたタイミングで真城が気づきを得た。
真城朔
最後は大さじと箸を鍋に突っ込んで残りを溶かし……
夜高ミツル
「おたまを使ったほうが……よかったな……」
夜高ミツル
人に教えるとなると途端に色々抜けていく現象
夜高ミツル
「おたまの中で味噌を溶かす感じで……」
真城朔
おたまだけじゃなくて箸も使って捕まえるといいことに気づく
夜高ミツル
「教えるからちゃんとするぞって思ってたんだけどな……」
夜高ミツル
「結構色々したし、真城がやるのはまた次にするか?」
夜高ミツル
「ベーコンと、卵でなんか……と思ってたんだけど」
真城朔
大変な手際(大変な手際)を晒してしまった……みたいな気持ちになっている。
真城朔
普段じっと見てるようでちゃんと見てなかったな……を痛感しています。
真城朔
ミツの手が動いてる……しか見てなかった……
夜高ミツル
「味噌を入れたらちょっと煮立たせて火を止めて」
夜高ミツル
冷蔵庫からベーコンと卵2個を取り出す。
夜高ミツル
「ベーコンを焼いて、目玉焼きを作ります」
夜高ミツル
「こっちの方が味噌汁よりやることは少ないかな」
真城朔
ちょっと背伸びして火加減の具合とかを見ようとしている。
夜高ミツル
「普通炒めものとかする時は油を使うんだけど」
夜高ミツル
「ベーコンは油が出てくるから使わなくて大丈夫」
夜高ミツル
「ジュワーってなったら温まってるから」
夜高ミツル
じゅわわ……とフライパンの上で水が蒸発していく。
夜高ミツル
卵あるから大体そんなもんかな、と当たりをつけつつ。
真城朔
ミツが作ってるとひときわおいしいものができている感じがする……
夜高ミツル
「ベーコンは焼いていくとこうやって脂が出てくるから」
夜高ミツル
「キッチンペーパーを使ってちょっと吸わせて……」
夜高ミツル
「あんまり脂がいっぱいだとギトギトになるから」
夜高ミツル
ちょいちょいと箸とキッチンペーパーで脂を吸わせ……
夜高ミツル
「裏側が焼けた色になってきたらひっくり返して……」
夜高ミツル
「この後卵も一緒に焼くから、ベーコンは軽く焼いておくだけな感じで」
夜高ミツル
「あんまりしっかり火を通してると最後に焼き過ぎになるから」
夜高ミツル
こんこん、と台の端にぶつけて割れ目を入れる。
夜高ミツル
「こうやって真ん中辺りに軽くヒビを入れて」
夜高ミツル
「殻が混ざったり……ぐちゃぐちゃになったり……」
夜高ミツル
「まあ慣れていけばできるようになるし」
夜高ミツル
「慣れたつもりで失敗することも……たまにある……」
夜高ミツル
「で、目玉焼きの焼き方もなんか色々流派があるんだけど……」
夜高ミツル
「俺が作る時は、卵入れたら端の方に水を入れて」
夜高ミツル
「母さんがこんな感じで作ってたから……」
夜高ミツル
「……で、蓋してから3分くらいで完成」
夜高ミツル
「……あ、蓋をしたらちょっと弱めにする」
夜高ミツル
「卵の白身の透明な部分がなくなってたらいい感じ」
真城朔
ミツに自分が作った味噌汁を見られている……
夜高ミツル
焼くだけでそんなに時間経ってないし大丈夫そうだな
夜高ミツル
説明をしたりもしてたのでそろそろ3分が経つかもしれない。
夜高ミツル
フライパンの上に、よく朝食で出てくるベーコンエッグの形ができている。
夜高ミツル
よそったものから対面キッチンのカウンターに置かれていく。
夜高ミツル
最後に真城が作った味噌汁をお椀についで。
真城朔
つがれた味噌汁にちょっと不安そうな顔をした。
夜高ミツル
手を洗ってエプロンを外して、リビングの方へ。
夜高ミツル
「俺も真城に初めてカレーつくったとき」
夜高ミツル
「真城が作ってくれたんだから、ちゃんと温かいうちに食わないとな」
夜高ミツル
箸を取って、真っ先に味噌汁に手を伸ばす。
夜高ミツル
お椀をちょっと下ろして、箸で玉ねぎを口に運ぶ。
夜高ミツル
「忘れてたけど、でもちゃんとうまいよ」
真城朔
唇を閉じた上でもごもごと舌を動かしている気配
真城朔
縦に割ったベーコンエッグをお茶碗の上に乗せ……
夜高ミツル
「好きだから、それはそれでいいんだけどなー」
夜高ミツル
ミツルの方もベーコンエッグに箸を伸ばす。
夜高ミツル
「俺の方でも良さそうな動画とか探しとく」