2021/01/31 早朝
夜高ミツル
擦り寄せる動きにつられて、ミツルも身じろいで
真城朔
昨日の昼頃に眠りについてからずっと眠り続けていた。
夜高ミツル
まだぼんやりしている真城の背中を撫でる。
真城朔
夜頃には身体は元に戻ってはいたようだったが。
真城朔
やや覇気のない声で答えてからこくこくと頷いた。
夜高ミツル
ひとまず傷が塞がっている様子なのに安堵する。
夜高ミツル
やや気落ちした様子でルームウェアを戻す。
夜高ミツル
「結局そうしたくて、そうしたのは俺だから……」
夜高ミツル
身を寄せ合って、ゆっくりと真城の背中を撫でている。
真城朔
改めて布団に潜り込み、ミツルの身体に頬を寄せる。
夜高ミツル
「あ、洗濯物片しといたから今日はしなくて大丈夫」
夜高ミツル
「……動けるからって、無理させたくないよ」
夜高ミツル
「俺が怪我してる時は真城が色々してくれるだろ?」
夜高ミツル
「……真城が庇って怪我するのは嫌だし」
夜高ミツル
「それでああやって連れ込まれてっていうのも本当に嫌だけど……」
夜高ミツル
「真城が誰かを助けたいって思って、そうするのは」
夜高ミツル
「……真城が誰かを助けたいって思って」
夜高ミツル
「それって誰にでもできることじゃないから」
夜高ミツル
「俺は真城のそういうところすごいと思ってる」
夜高ミツル
本当は、そもそも狩りなんて出る必要がなければ
夜高ミツル
真城が危険に身を晒す必要がなくなれば、それが
真城朔
それができないのもまた真城のわがままに他ならない。
夜高ミツル
でも、真城に生きてもらうこと自体がミツルのわがままだから。
真城朔
そうされてもすぐには落ち着くことができないで、
夜高ミツル
ゆっくりと掌を動かして、身体を寄せ合って。
夜高ミツル
「真城はそれを申し訳ないって思うかもだけど……」
夜高ミツル
「……真城に何も痛いことや怖いことがないのが、俺はやっぱり嬉しい」
夜高ミツル
「真城に罰を受けさせたいわけじゃないから」
夜高ミツル
「……帳尻って言うなら、真城だってひどいことされてきた」
夜高ミツル
「とにかく俺は罰でも帳尻合わせでも、真城がそういう目に遭うのは嫌だ」
夜高ミツル
「俺はそれを無理にやめさせたりはしない……」
夜高ミツル
「苦しまないで生きられるなら、それが」
夜高ミツル
背中に回す腕に力を込めて、抱き寄せる。
真城朔
ミツルの胸に顔というよりかは頭を埋めるようにして、
真城朔
しばらくぐりぐりしたところで落ち着いた様子で
真城朔
ほんのちょっとしょんぼりの気配を漂わせながら頷きます。
真城朔
あまり手伝えなかったので落ち着かなかった……
真城朔
あまり手伝えなかった……という気持ちで寄り添っています。
夜高ミツル
準備も片付けも今日はとにかく休んでろで押し切った。
夜高ミツル
しょんぼりになっているのを察して、頭を撫でる。
真城朔
ゆっくりと体重を隣に座るミツルに預けていき。
夜高ミツル
俺のせいで傷を開かせたしな……という気持ちも結構ある。
夜高ミツル
これを言い始めると俺のせいバトルになるので口には出さない。
夜高ミツル
「まあ、任せろつっても飯の準備くらいだけど、今日は」
夜高ミツル
狩りの後であれこれしなくていいように、結構事前にできる家事は済ませてあったりする。
夜高ミツル
身を寄せ合って、手はやはりゆるゆると頭を撫でている。
真城朔
入院沙汰になっても帰ったら荒れてるのいやだからね……
真城朔
頭を撫でられると気持ちよさそうに目を細める。
夜高ミツル
すぐにダメになるようなものは置いておかず
夜高ミツル
だから今日一日何もしなくたって問題ない。
夜高ミツル
いつもなら午前中は家事や買い物を済ませたりするけど、
夜高ミツル
癖のない髪は引っかかりもなく指を通す。
真城朔
風呂上がりには毎日のように乾かしてもらっている髪。
真城朔
特別な理由のない限りやってもらっている……
真城朔
自制心とか罪悪感でめいっぱいブレーキをかけてはいるが、
夜高ミツル
まだ遠慮が見えるので、もっと甘えてくれていいのになと思う。
真城朔
そういえばルームウェアも着替えてそうですね。
夜高ミツル
怪我が治るまでしないって言ったのは俺だし……
夜高ミツル
一緒に風呂入ったらどうなるか分かるから……
夜高ミツル
浴槽の掃除はしてあるので、栓をしてお湯のスイッチを押すだけ。
夜高ミツル
「俺も真城が隣にいてくれたら、それで」
真城朔
もとから密着している体温と体温をそれよりもなお。
夜高ミツル
こうしてるだけで十分幸せで、それは本当に本心で……
夜高ミツル
それはそれとして、の気持ちがあるのは否定できない。
夜高ミツル
ルームウェア越しではない、直の体温を感じたい。
夜高ミツル
ソファの背もたれにぐんにゃりと背中を預ける。
真城朔
しばらくしてから浴室の扉が開いて閉まる音が聞こえ……
夜高ミツル
一緒に入っても俺が我慢したらよかったんじゃねえの?
夜高ミツル
だから俺一人の我慢の問題じゃないんだって……と指摘が入る。
夜高ミツル
中途半端にするのは真城にもよくなくて……
夜高ミツル
天井を仰ぎながらぐにゃぐにゃになっている。
夜高ミツル
風呂に入る時間なんてずっと一緒にいる時間と比べたら一瞬なのに、
夜高ミツル
そんな僅かな時間でも、離れることに寂しさを覚える。
真城朔
またシャワーの音が聞こえてきたりしている。
真城朔
濡れた髪をバスタオルでごしごし拭きながら……
夜高ミツル
真城がこちらへ来るのでまた腰を下ろした。
夜高ミツル
名残惜しげにバスタオルから手を離し……
夜高ミツル
……見下ろして、もう一度頭を撫でてから
夜高ミツル
今回は声に出ず、大人しく一人で風呂に。
夜高ミツル
さっとシャワーを浴びて、浴槽に身を沈める。
夜高ミツル
一人で入ると浴槽もなんか広い気がする。
夜高ミツル
広いけど別にそれが嬉しいわけでもなく……。
夜高ミツル
風呂は温かいし気持ちいいけど、今求めている熱はこれではない。
夜高ミツル
そのようにぐにゃぐにゃしたあと、いつもよりだいぶ短めに浴槽から上がる。
夜高ミツル
普段は入って真城とくっついてる内にお湯が冷めてくるので追い焚きしたりする。
夜高ミツル
今は一人なので湯がぬるくなる前に上がってしまう。
夜高ミツル
それから脱衣所に出てバスタオルで身体を拭き
夜高ミツル
ドライヤーを手に、先程の真城と同じような格好で脱衣所を出る。
夜高ミツル
髪をわしゃわしゃしながらソファの方へ向かっていく。
真城朔
ミツルがこちらに来るので、すぐにソファに座り直し。
夜高ミツル
途中でちょっと迂回して、ドライヤーのコンセントを差す。
真城朔
バスタオルでわしゃわしゃしてきたので相応に乱れている
夜高ミツル
カチ、とドライヤーのスイッチを入れる。
夜高ミツル
概ね毎日やっているのですっかり慣れた手付き。
夜高ミツル
改めて指を通して、乾いたのを確かめる。
夜高ミツル
同じシャンプーを使ってるのに髪の毛は全然違う。
夜高ミツル
匂いもなんか真城の方がいい匂いがする気がする……。
夜高ミツル
この流れはいつもの……というのが分かり
夜高ミツル
ミツルの方からも顔を寄せて、それを受け入れる。
夜高ミツル
風呂上がりのしっとりした唇を合わせる。
夜高ミツル
ミツルの手も、惑うようにさまよった挙げ句
夜高ミツル
それを抱き寄せて、ぴったりと身を寄せ合っている。
夜高ミツル
一つの生き物になるかのように、隙間なく身体を重ねる。
真城朔
切なげに漏らされた湿った吐息がミツルの鼻先にかかった。
夜高ミツル
そんな微かな刺激にも、小さく身震いして。
夜高ミツル
ただただ唇を重ねて、その熱と柔らかさを確かめる。
夜高ミツル
真城の背に回す腕にますます力が籠もって、
夜高ミツル
それができない分、もどかしげに長く唇を合わせる。
真城朔
唇を合わせ、身体を寄せて、背中に腕を回して。
真城朔
切なくも穏やかに相手の熱に身を委ねている。
夜高ミツル
一度触れてしまえば離れることなどできず。
夜高ミツル
他の誰かにあんな風に触れさせたくなんかない。
夜高ミツル
ただただ単純に、ミツル自身が他人に真城を触れさせたくない。
夜高ミツル
そして今は、その望み通りに真城が腕の中にいる。
真城朔
ミツルの腕の中、ミツルに身を預けてしがみつき、唇を重ねている。
夜高ミツル
それが、こうしていられることが、たまらなく嬉しい。
真城朔
むしろ幼い性急さで力任せに唇がまた押しつけられ。
夜高ミツル
何か言おうとした矢先にまた唇が重なり。
夜高ミツル
思考があちらこちらとぐるぐる行き来する。
夜高ミツル
血を飲ませてもすぐには治りきらなくて、
夜高ミツル
今は見えないけど、傷はまだそこに存在しているはずだ。
夜高ミツル
最後に本当に一瞬だけ、掠めるように口づけて。
夜高ミツル
それでは真城に欲をぶつけてきた男たちと同じになる。
夜高ミツル
気が紛れるくらい、とびきりおもしろい映画を。