2021/03/13 昼過ぎ
夜高ミツル
二人並んで台所に立つのも、すっかりいつもの風景になった。
真城朔
二人で揃いのエプロンを着込んで、諸々の用意の済んだ台所に。
夜高ミツル
二人はいつもどおりで、しかし台所に並んでいるものはいつもと様子が違う。
夜高ミツル
袋に入ったチョコとか粉とか、室温に戻したバターとか。
真城朔
臙脂色を貴重としたパッケージの空箱を取り上げて、
夜高ミツル
後ろでは余熱中のオーブンレンジが低い音を響かせている。
真城朔
近くの店で見つけたガトーショコラの手作りキット。
夜高ミツル
料理は一人暮らしの頃からそこそこやってきていたが、お菓子作りは今日が初めて。
夜高ミツル
ミックスでホットケーキは作ったことがある程度。
真城朔
混ぜて焼くだけのレシピで、二人で動画も見たし、そんなには難しくないのかもしれないとは思うものの。
夜高ミツル
これもホットケーキを作るのと似た要領でいける……はず!
真城朔
「オーブンを180度に温めておきます……」
夜高ミツル
「材料も……計るのはバターと牛乳くらいで」
夜高ミツル
バターは早めに計って室温に戻してある。
夜高ミツル
あとは卵一個と、キットに入っているものですべて。
夜高ミツル
それも低温調理器を鍋にセットして準備済み。
真城朔
低温調理器がこんなところで役に立つとは思わなかった。
夜高ミツル
温度計を買うところで、「これ低温調理器でいけるんじゃね?」となり
真城朔
お湯であったまったボウルの縁でチョコがちょっとずつ溶けている……
夜高ミツル
体温でも溶けるんだからそりゃそうだという感じだが。
夜高ミツル
「まあとりあえず全部溶けたらいいんだよな」
夜高ミツル
話しているうちにもチョコが溶けて、バターと混ざっていく。
夜高ミツル
「これレンジで溶かすのじゃダメなのかな」
夜高ミツル
だんだんチョコが溶けてなめらかな感じになってきた。
夜高ミツル
まだ溶けてないチョコを潰すように更に混ぜていく。
夜高ミツル
「匂いがめちゃくちゃ甘いしなもう……」
夜高ミツル
お湯も冷めないし量も少ないしでサクッと湯煎完了。
真城朔
「別のボウルに卵を割りほぐし、牛乳を入れて混ぜ」
真城朔
湯煎のところに置いたままのチョコバターを見ます。
夜高ミツル
2つ目のボウルとミックスの袋を手に取る。
夜高ミツル
ちなみに追加のボウルやら泡立て器やらは今日のためにキットと一緒に買ってきた。
真城朔
ボウルもまああと何個か欲しいなって気持ちもあったし……
真城朔
卵を泡立て器で混ぜたい瞬間とかもまああったし……
夜高ミツル
当たり前だけど菜箸より混ざるのが早い。
夜高ミツル
しゃかしゃか……と卵と牛乳を混ぜきって、
真城朔
ようとして、思い直してキッチンばさみを取る。
真城朔
既に粉が白っぽくない? みたいな顔になった。
真城朔
動画を止めて、スマホの画面をミツルに見せます。
夜高ミツル
「……とりあえず動画くらいの感じになればいいんだよな」
夜高ミツル
白っぽいかは分からないけど、とりあえずまだなめらかさが足りない気がする。
夜高ミツル
2分程度って書いてあって、そのくらいは混ぜた。
夜高ミツル
再確認するように軽く泡立て器を動かす。
夜高ミツル
「ていうかチョコ入れる前から茶色いんだな」
真城朔
湯煎にかけっぱなしだったチョコのボウルを取ります。
夜高ミツル
これだけ焼いても何らかのお菓子になりそう。
真城朔
ゴムベラでチョコとバターの混ざったものを投入していく。
真城朔
なんかこのチョコと見比べたら白っぽいような気はしてきた。
真城朔
泡立て器とチョコの入っていたボウルを流し台に持っていきます。
夜高ミツル
濃淡の茶色のマーブルから中間色一色に。
夜高ミツル
大体同じような感じに……なっているはず。
真城朔
「焼き型に流し入れ、180度のオーブンで約15~18分焼きます」
夜高ミツル
「特にこう入れろとかはないんだな……」
真城朔
わりと丁寧な動画なのでちょっと意外ですらあった。
真城朔
箱だと最後まで泡立て器で混ぜろってある……
夜高ミツル
ヘラを使ったので、そのままヘラで型に流し込んでいく。
夜高ミツル
真城の葛藤も知らず、生地を流し入れ……
夜高ミツル
ボウルに生地が残らないようヘラでちゃんと……
夜高ミツル
とんとんと型を叩いて生地を平らにならし……
夜高ミツル
オーブンレンジの扉を開けて、型をターンプレートに置く。
真城朔
「180度のオーブンで約15~18分焼きます」
真城朔
「オーブンの機種により焼き時間は多少異なります……」
夜高ミツル
レンジの中で生地がゆっくり回っているのを見て……
真城朔
調理器具を洗う方のお手伝いは最初からよくやってきた。
夜高ミツル
混ぜているときからかなりチョコの香りはあったのだが……
夜高ミツル
組み直した低温調理器を持ったまま、レンジの方に。
真城朔
レンジの中央でくるくる回っているチョコ生地が膨らみつつある……
夜高ミツル
近くにいるとチョコの匂いも一層濃い感じがする。
夜高ミツル
さすがに外から触って火傷することはないが……
真城朔
「竹串を刺してぬれた生地がついてこなければ、焼き上がりです」
夜高ミツル
持ちっぱなしだった低温調理器を置いて、引き出しから竹串を取り出して……
真城朔
ゴムベラと泡立て器どっちが正しかったんだろう……
夜高ミツル
レンジの方を振り向けば15分まで秒読みの段階に。
夜高ミツル
ちょっと色が濃いような……? 影になってるからか……?
夜高ミツル
眺めながらそんなことを思いつつ、竹串を刺す。
夜高ミツル
竹串は多少チョコ色に染まったものの、生っぽいものはついてない。
夜高ミツル
グリルを開けて、網を取り出して調理台に置く。
夜高ミツル
レンジの方に戻って、焼き上がったガトーショコラを取り出す。
夜高ミツル
「……今日作っておいてよかったな……」
夜高ミツル
味見くらいは今日できたらいいと思ってたけど……
夜高ミツル
……なんかちょっと色が濃いような……?
真城朔
それはそれとして、これで16時が回ったくらいで……
夜高ミツル
思ったよりはやく出来たし、あとは4時間放置……。
夜高ミツル
おいしそうな匂いがしてるのに8時間後まで食えないやつ