2021/03/21 3時過ぎ

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とっぷり夜。
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夜高ミツル
ふ、と目を覚ます。
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真城朔
つけっぱなしの暖房の音が耳につく。
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夜高ミツル
部屋の明かりも点いたまま。
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夜高ミツル
眩しさに目を細めて、うとうとと腕の中の真城を抱き寄せる。
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真城朔
隣でくったり眠っています。
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真城朔
熟睡している。
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真城朔
抱き寄せられればそのままミツルの胸に頬を預けて、小さく息を吐いた。
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真城朔
肌と肌が直接触れ合う。
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夜高ミツル
そのぬくもりに、表情が緩む。
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真城朔
穏やかな寝顔。
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夜高ミツル
それを確かめて、背中を撫で、
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夜高ミツル
やがて意識がはっきりしてくるにつれ……
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夜高ミツル
「………………」
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真城朔
すや……
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夜高ミツル
自分たちの、そして周囲の状態が目に入ってくる。
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真城朔
脱ぎ捨てたくしゃくしゃのバスローブだとか……
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夜高ミツル
空のペットボトルとか……
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夜高ミツル
破り捨てられたなんらかの包装や、使用済みのその中身とか……
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真城朔
意識のない真城はいい気なもので夢うつつ、
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真城朔
ミツルの頬に胸を預けて眠っている。
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夜高ミツル
それから自分たちの身体にも、乾いてこびりついて体液の痕がそこかしこに。
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真城朔
べたべた……
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夜高ミツル
いつもは身体くらいはきれいにしてから寝るものだが……
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夜高ミツル
正直いつ寝入ったのかもあんまり覚えてない。
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夜高ミツル
先に起きた時、ミツルが真城を置いてベッドを出ることはほとんどない。
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夜高ミツル
とはいえ、
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夜高ミツル
とはいえさすがにこのままにしておくわけにもいかなかった。
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真城朔
「……ん」
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真城朔
「んー……」
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真城朔
胸元の真城からむにゃむにゃとした声があがった。
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真城朔
もぞ……
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夜高ミツル
離れようとしていたのが、びくっと静止する。
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夜高ミツル
様子を窺う。
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真城朔
少しだけ空いた距離を埋めるように身体を寄せる。
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真城朔
頬をすり寄せ……
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夜高ミツル
「………………」
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真城朔
「…………」
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真城朔
すう……
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真城朔
また寝息を立て始めた。
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夜高ミツル
こうして甘えるような仕草を見せられるのには、どうしても弱い。
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夜高ミツル
けど、やっぱりこのままにもしておけない。
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夜高ミツル
しっかり布団をかけ直してやってから、ベッドを抜け出す。
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真城朔
今度は特に動かない。
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夜高ミツル
ほ……っ
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真城朔
改めて寝入ってしまったようですやすやと寝息を立て続けている。
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真城朔
ただ、
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真城朔
指先がシーツを握り締めていた。
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夜高ミツル
「…………」
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夜高ミツル
足早に洗面所に向かう。
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夜高ミツル
タオルを取って、お湯で濡らして絞る。
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夜高ミツル
濡れタオルとお湯を張った洗面器を手に持って、再び足早に寝室へと戻る。
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真城朔
すやすや……
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夜高ミツル
ベッドに乗る。
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夜高ミツル
先程かけ直した布団をめくりあげる。
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真城朔
べたべたになった身体が……
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真城朔
薄い身体に濡れて乾いてこびりついた体液の跡。
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夜高ミツル
全身べたべたに……
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夜高ミツル
鎖骨の辺りにタオルを当てて、胸元から拭っていく。
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真城朔
「ん」
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真城朔
「……あっ」
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夜高ミツル
薄い胸板をタオルが這う。
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夜高ミツル
「…………」
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真城朔
肩がぴくりと跳ねて、
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真城朔
「ぁ、……う」
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夜高ミツル
声が上がると一瞬手が止まり、
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真城朔
「んん、っ」
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夜高ミツル
その度になるべく気にしないように気にしないように……と念じながら再開する。
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真城朔
肌を震わせては小さく声を漏らし、脱力。
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夜高ミツル
もくもくとタオルを動かす。
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真城朔
「ぅ、ん――」
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真城朔
「ん」
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夜高ミツル
胸の次は腹部に。
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真城朔
「っひゃ」
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夜高ミツル
「う、」
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夜高ミツル
逐一手が止まる。
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真城朔
腹部に触れられて、腰が揺れる。
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真城朔
内腿を擦り寄せるような仕草。
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夜高ミツル
「…………」
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夜高ミツル
一度タオルを離して、サイドテーブルに置いた洗面器につける。
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真城朔
くた……
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夜高ミツル
ざぶざぶと洗って、絞りなおす。
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夜高ミツル
ぎゅ……
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夜高ミツル
それから再び真城の隣に。
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真城朔
すうすう……
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夜高ミツル
腰の辺りは特に体液の痕が残っている。
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夜高ミツル
ので……触れないわけにはいかない。
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夜高ミツル
せめてなるべく手早く済ませようと思いつつ、タオルを腰に当てる。
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真城朔
「ぁ」
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真城朔
「んっ、……ん、ぅ」
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夜高ミツル
「………………」
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真城朔
ひくりと頭が跳ねて、
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真城朔
顎が上向く。
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夜高ミツル
手早く…………!
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夜高ミツル
手を止めずにタオルを動かす。
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真城朔
その都度ひくひくと肉が震える。
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真城朔
震えて、揺れて、
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真城朔
不意に内腿がミツルの手を挟むように閉じ合わされた。
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夜高ミツル
「……っ!?」
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夜高ミツル
真城の細く白い脚に、手を挟まれる。
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真城朔
「ん、っ」
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真城朔
「んんー……」
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真城朔
「…………」
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夜高ミツル
滑らかな肌の感触。
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真城朔
「…………」
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真城朔
ぼんやりと瞳が開かれる。
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夜高ミツル
「………………あ」
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夜高ミツル
目が合った。
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真城朔
焦点の合わぬままミツルと目が合って
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真城朔
「……ミツ」
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真城朔
「ミツ……」
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真城朔
目を閉じるとともに、唇が軽く突き出される。
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夜高ミツル
いやこれは寝込みを襲ったとかそういうわけではなく……とか
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夜高ミツル
言い訳しようとしかけたところで、
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夜高ミツル
「…………」
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真城朔
「…………」
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真城朔
待っている。
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夜高ミツル
待つような仕草をされると、身を乗り出す。
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真城朔
半分眠っているような気配もあるが……
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真城朔
ミツルの手を挟む力はすぐに緩んだ。
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夜高ミツル
抜いた掌を真城の肩に置いて、
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夜高ミツル
突き出された唇に応える。
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真城朔
すぐに背中に腕が回って、
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夜高ミツル
唇が重なって、触れ合う。
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真城朔
肌と肌も同じように。
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真城朔
ミツルの身体を引き寄せて、ベッドへと。
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夜高ミツル
真城に望まれれば、求められれば、そうされるがままに。
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真城朔
歓びとともにミツルを受け入れて、
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真城朔
小さく笑った。
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真城朔
結局また汗だのなんだのにまみれてくったりとベッドに転がっている。
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夜高ミツル
……結局起きた時とさほど変わらない状態になっている。
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夜高ミツル
ゴミが増えた分ひどくなっているとも言える。
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真城朔
とはいえさすがに目覚めはしたようで……
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夜高ミツル
「……大丈夫か?」
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真城朔
ぼんやりと瞼を上げた。
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夜高ミツル
真城の顔を窺う。
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真城朔
「……ん」
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真城朔
「うん……」
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真城朔
頷く。
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真城朔
「だいじょうぶ……」
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夜高ミツル
「ん……」
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真城朔
舌足らずに答えて、起きようとして、
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真城朔
力が入らず横に転がった。
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夜高ミツル
ならよかった、と言いかけて、
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真城朔
「…………」
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真城朔
「だいじょうぶ……」
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真城朔
繰り返した。
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夜高ミツル
「いや……」
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夜高ミツル
「大丈夫じゃないな」
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真城朔
「…………」
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真城朔
しゅん……
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夜高ミツル
謝ると結局真城に気にさせそうな気がする……。
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夜高ミツル
ので、黙って頭を撫でて
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真城朔
撫でられました。
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夜高ミツル
「……風呂はもうちょっと休んでからにするか」
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真城朔
「……うん」
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真城朔
しょんぼり頷いて……
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夜高ミツル
よしよし……
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真城朔
よしよしされていたが
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真城朔
ミツルから顔を背けて
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真城朔
「…………」
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真城朔
なんともなしに落ち込んでいる気配がある。
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夜高ミツル
顔を背けてしまった真城を抱き寄せる。
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真城朔
「っ」
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真城朔
力ないままに抱き寄せられました。
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真城朔
俯いている。
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夜高ミツル
抱き寄せて、俯いた頭をまた撫でる。
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真城朔
「…………」
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真城朔
撫でられて、おずおずとミツルの胸に頬を寄せる。
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真城朔
涙の濡れた感触。
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夜高ミツル
髪の感触が肌をくすぐる。
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夜高ミツル
「…………俺は」
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夜高ミツル
「昨日、できてよかったと思ってる」
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真城朔
「…………」
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夜高ミツル
「嬉しかった」
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真城朔
首を縮めている。
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夜高ミツル
「……幸せ、だったよ」
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夜高ミツル
ぽつぽつとそう語って、
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真城朔
「ぅ」
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夜高ミツル
再び真城を撫でる。
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真城朔
「うー……」
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真城朔
撫でられ……
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真城朔
妙な呻き声を漏らしながらますます泣き始めた。
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真城朔
身体が小さく震えている。
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夜高ミツル
震える背中に、皮膚の固い掌が触れている。
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真城朔
肩甲骨と背骨の浮く背を撫でられて安堵の息をついては、
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真城朔
それすら戒めるように呼吸を止めて、
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真城朔
こわごわと空気を吐き出している。
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真城朔
首を竦めて肩を縮めて、ミツルの身体に隠れるように寄り添って。
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夜高ミツル
息を詰める度に、掌が呼吸を助けるように背中を優しく叩く。
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真城朔
そうしてぽろぽろと涙を落としている。
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夜高ミツル
真城の細い体を抱いて、寄り添う。
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夜高ミツル
腕の中に閉じ込めるように抱きしめている。
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真城朔
その腕の中に身を隠して胸へと頬を寄せて、
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真城朔
どうにかほうと震える吐息を吐いていた。
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真城朔
そうして長く泣き続け、やがて窓の外が明るくなってくる頃。
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真城朔
ミツルの胸に頬を預けてぼんやりと放心している。
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夜高ミツル
真城が落ち着くまで撫でたり言葉をかけたり、
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夜高ミツル
そうして寄り添っていた。
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真城朔
ぼー……
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真城朔
泣き疲れたのかぐったりしている。
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夜高ミツル
「……真城」
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夜高ミツル
様子を窺いつつ声をかける。
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真城朔
「…………」
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真城朔
ミツルの顔を見る。
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夜高ミツル
「……風呂、入れそう?」
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真城朔
「…………」
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真城朔
「……いっしょに」
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真城朔
「ねてたい……」
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夜高ミツル
「…………ん」
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真城朔
「きれいに」
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真城朔
「とか」
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真城朔
「あとで、いいから」
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真城朔
「いっしょに……」
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真城朔
うつら……
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夜高ミツル
「ん」
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夜高ミツル
「わかった」
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夜高ミツル
回した腕に力を込める。
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夜高ミツル
肌と肌が、より密着する。
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真城朔
ぎゅ……
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真城朔
ひとまず泣き止みはしてミツルに身体を委ねている。
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夜高ミツル
ぬくもりを分け合う。
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夜高ミツル
「一緒に……」
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夜高ミツル
「一緒にいる」
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真城朔
「うん」
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真城朔
「……うん」
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真城朔
「いっしょ……」
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夜高ミツル
「うん」
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真城朔
またミツルの胸に顔を埋める。
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真城朔
眠るときのいつもの仕草。
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夜高ミツル
その仕草を受け止めて、寄せられた頭に口づけるように顔をうずめる。
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真城朔
くっつき……
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真城朔
「……おわっ、て」
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真城朔
ぼそ……
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真城朔
「あたま、ひえると」
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夜高ミツル
「…………うん」
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真城朔
「……こわい……」
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真城朔
ミツルの胸に強く顔を押し付ける。
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夜高ミツル
「……うん」
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夜高ミツル
背中を撫でる。
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夜高ミツル
「……よくない、から?」
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真城朔
小さく頷いた。
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真城朔
「きっと」
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真城朔
「とりあげられちゃう」
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真城朔
「から」
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夜高ミツル
「…………」
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夜高ミツル
「取り上げさせない」
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夜高ミツル
「誰にも」
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真城朔
「…………」
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夜高ミツル
腕に力が籠もる。
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夜高ミツル
「取り上げさせたり、しない」
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真城朔
「で、も」
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真城朔
「でも」
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真城朔
「だめ、で」
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真城朔
「だめだから」
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真城朔
「…………」
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真城朔
「いっぱい」
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真城朔
「いっぱい、して」
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真城朔
「もらって、る、ときは」
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夜高ミツル
「……うん」
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真城朔
「あたま」
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真城朔
「ばかに、なって」
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真城朔
「こわいの、も」
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真城朔
「わすれて……」
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夜高ミツル
「うん……」
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真城朔
「……だから」
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真城朔
「すき……」
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夜高ミツル
「……ん」
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真城朔
「……よくない」
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夜高ミツル
掌はやはり背中を撫でている。
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真城朔
「よくない、のに……」
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真城朔
その腕に甘んじている。
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真城朔
甘んじて、拒めず、受け入れている。
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夜高ミツル
拒まれないことが、嬉しい。
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真城朔
静かに涙を落としながらぽつぽつと言葉を漏らして、
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真城朔
その末に夢うつつに声も曖昧になってきて、
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真城朔
「……ほんと、は」
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真城朔
「だめ」
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夜高ミツル
「……俺は」
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夜高ミツル
「嬉しいよ」
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真城朔
「なの、に」
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真城朔
「なのに……」
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夜高ミツル
「真城がつらい思いを少しでも忘れてられるなら」
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夜高ミツル
「……嬉しい」
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真城朔
「…………」
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真城朔
「もっと」
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真城朔
「なん、て……」
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真城朔
言いながら今もミツルの腕の中。
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夜高ミツル
「もっとって言われるのも」
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夜高ミツル
「……俺は、もう」
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夜高ミツル
「徹底的に真城を逃す気でいるんだ」
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夜高ミツル
「D7からも」
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夜高ミツル
「クラブからも、それ以外の狩人とかからも」
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夜高ミツル
「……罪の意識から、も」
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真城朔
「…………」
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夜高ミツル
「逃がせるなら逃したい」
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真城朔
「……でも……」
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真城朔
「……きっ、と」
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真城朔
「どこか」
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真城朔
「だれか、が……」
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夜高ミツル
「……奪わせないよ」
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夜高ミツル
「そんなやつがいたら逃げよう」
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夜高ミツル
「一緒に、どんだけでも遠くに」
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真城朔
「…………」
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真城朔
小さく震えながら泣いている。
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夜高ミツル
「……大丈夫」
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夜高ミツル
「俺がいる」
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夜高ミツル
「ずっと、真城の隣りにいる」
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夜高ミツル
震える背中を撫でる。
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真城朔
できる限り小さくなるように、
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真城朔
身体を折り畳んで丸くなって、
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真城朔
ミツルの胸に顔を預けている。
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夜高ミツル
「ずっと一緒にいる……」
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夜高ミツル
「誰にも、何も、奪わせたりしない」
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真城朔
「……ミツ、が」
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真城朔
「まきこまれるの」
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真城朔
「やだ……」
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夜高ミツル
「……真城のことなら、巻き込んでもらわない方が困る」
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夜高ミツル
「俺は」
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夜高ミツル
「俺の人生は真城のために使うって決めたんだから」
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真城朔
「…………」
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真城朔
「……ミツ」
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真城朔
「ミツ、が」
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真城朔
「とりあげられ」
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真城朔
「たら」
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真城朔
「…………」
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真城朔
ひときわ大きく、身を震わせた。
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夜高ミツル
「…………」
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夜高ミツル
「……させないよ」
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夜高ミツル
「させない…………」
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夜高ミツル
抱きしめる腕にもまた力が籠もる。
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真城朔
「俺が」
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真城朔
「ミツのこと」
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真城朔
「すき」
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真城朔
「だか、ら……」
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真城朔
「…………」
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真城朔
すう、と
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真城朔
小さな寝息が立つ。
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真城朔
涙は今も頬を濡らし、ミツルの胸を濡らしている。
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夜高ミツル
「…………」
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夜高ミツル
眠ってしまったことに気づいて、腕を緩める。
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真城朔
縮こまるような姿勢で眠っている。
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夜高ミツル
起こさないように、控えめに抱きしめる。
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夜高ミツル
……取り上げさせない、なんて
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夜高ミツル
実際のところ、保証できるものは何もない。
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夜高ミツル
ミツルの気持ちに嘘がなくても、どうにもならないことが世の中には多すぎる。
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夜高ミツル
D7から真城を奪い返せたのだって、ミツルだけの力じゃない。
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夜高ミツル
狩りも、今のところはなんとかできているが、この先もそうとは限らない。
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夜高ミツル
どうしようもないことは、ある。
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夜高ミツル
だけど、なんの根拠も保証もなくても、
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夜高ミツル
バカみたいでも、
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夜高ミツル
信じていなければ、きっと立ち向かってすらいけない。
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夜高ミツル
取り上げさせない。
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夜高ミツル
これ以上真城から何も奪わせたりしない。
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夜高ミツル
腕の中のぬくもりを抱きしめて、目を閉じる。
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夜高ミツル
ずっと。
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夜高ミツル
ずっと、一緒にいるから。
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夜高ミツル
俺が隣りにいるから。