2021/04/16 昼
真城朔
寒い地方なりに吹いてきた春の風が、今日は心地よい。
夜高ミツル
見上げる空には薄く雲がかかっているが、それでも今日は暖かい。
真城朔
道を歩く人々の装いも随分と軽やかになっている。
真城朔
その隣を通り過ぎ進み、やがて近場の公園へとたどり着いた。
真城朔
北海道は土地が広いので、それなりにのびのびとしている。
夜高ミツル
二人で作った雪だるまもすっかり跡形もなく。
夜高ミツル
子どもたちが遊んでる辺りからはちょっと離れた場所。
夜高ミツル
真城が指差した辺りに行って、リュックを下ろす。
夜高ミツル
リュックを開けて、中からピクニックシートを取り出す。
真城朔
ブルーシートと違ってちょっと華やかな感じ。
夜高ミツル
言いつつも、それに頓着する様子はなく。
真城朔
去年秋頃に公園とか広場でぼんやりしたのもあったけど、
真城朔
シートを敷いてこうするとなんかけっこう違う。
真城朔
黄色い鶏の唐揚げと、ソースのかかったミニハンバーグと、ブロッコリーとトマトと……
夜高ミツル
ウェットティッシュを取り出して、一枚取って真城に渡す。
真城朔
実際家を出てからちょっと歩いて公園に来たばかりなのだが……
夜高ミツル
こういうところは結構気にするようになった。
真城朔
真城がミツルの体調と健康を気にするので……
夜高ミツル
巾着袋から真城の握ってくれたおにぎりをとる。
夜高ミツル
おにぎりを持ったまま真城が食べるのを見ている。
夜高ミツル
一旦おにぎりを置いて、箸で唐揚げをつまむ。
夜高ミツル
見た目やっぱ唐揚げっぽくないよな~とちょっと眺めて、口に運ぶ。
夜高ミツル
味がしっかりついてて、唐揚げの風味はある……
夜高ミツル
ちょっと唐揚げよりなんていうかしっとりしてる感じで……
夜高ミツル
おにぎりを持ちなおして、アルミを剥がす。
夜高ミツル
雪遊びができなくなったのは寂しいけど、
夜高ミツル
暖かくなってからしかできないことをしている。
真城朔
おにぎりをかじりながら葉っぱのない木をぼんやり見上げて
夜高ミツル
人が多い時期に多い場所に出かけたくないので……
夜高ミツル
「これから桜が咲くの、結構不思議な感じだけどな」
真城朔
あんまり良くないけどミツとならだいじょうぶ……
夜高ミツル
食べれるだけ食べればいいといつも言っているので。
真城朔
取ったけど結局一口で放り込めないんだよな。
真城朔
半分かじって もう半分をおにぎりの入っていたアルミホイルの上に一旦置きました。
夜高ミツル
二人で作った弁当を、二人で食べている。
真城朔
陽射しの下、あたたかい外で、春の風を受けながら。
真城朔
まあ実際満月も順調に近づいてきているのだが……
真城朔
満月の後だとどうなってるかわかんないし……
夜高ミツル
無事に済むに越したことはないが、気をつけてもどうしようもない時はある。
夜高ミツル
とはいえ、近づいているといってもまだもう少し先の話。
夜高ミツル
お茶を飲んで一息ついて、寄り添っている。
真城朔
ぼんやりと目を細めて公園で遊ぶ子供の姿を見ている。
真城朔
食べた方がいいかな? とはちょっと思い……
夜高ミツル
野菜は概ねミツルが食べるためにメニューに組み込まれている。
真城朔
ミニトマトは味が濃いので真城もけっこう食べるほう。
夜高ミツル
ウェットティッシュで手を拭いて、それもゴミ袋に。
夜高ミツル
「本番はもうちょっと種類増やしてもいいな」
夜高ミツル
「前の日にいくつか作るならそんなに大変じゃなくなるし」
夜高ミツル
「弁当といえば卵焼きみたいな感じあるし」
真城朔
手元に残した小さなおにぎりの欠片を口に含みました。
夜高ミツル
色がいっぱいあるといいのでは? くらいの感覚。
真城朔
人が多そうなので、むずかしいという気持ちがある。
夜高ミツル
「予報だと20日くらいに開花だっけ……」
夜高ミツル
「あんま早いとそんなに見れなそうだしな」
真城朔
陽があったかくて、あったかすぎないくらいの陽射しでぽかぽかだけど、
夜高ミツル
春の日差しのおかげではなく、もっと内側から暖かさを感じる。
真城朔
お弁当の味とともに、そのしあわせを噛み締めている。