2021/04/16 昼


そのまま正午過ぎ。
真城朔
寒い地方なりに吹いてきた春の風が、今日は心地よい。
夜高ミツル
二人手をつないで、のんびりと歩く。
真城朔
「だいぶ」
真城朔
「春」
真城朔
「って感じ……」
夜高ミツル
「だなー」
真城朔
リュックを担いで空を見る。
夜高ミツル
見上げる空には薄く雲がかかっているが、それでも今日は暖かい。
真城朔
体感では3月とかって感じの気候だけど……
真城朔
あったかいのはうれしい。
夜高ミツル
気軽に外に出られるようになった。
真城朔
道を歩く人々の装いも随分と軽やかになっている。
真城朔
その隣を通り過ぎ進み、やがて近場の公園へとたどり着いた。
真城朔
北海道は土地が広いので、それなりにのびのびとしている。
真城朔
子供もちょこちょこいる……
夜高ミツル
年明け頃にここで二人で雪遊びした。
真城朔
雪もすっかりなくなった……
真城朔
ちょっとだけさみしい。
真城朔
雪遊びがたのしかったので……
夜高ミツル
二人で作った雪だるまもすっかり跡形もなく。
真城朔
春。
真城朔
「シート」
真城朔
「このあたり……?」
真城朔
木陰のなんか……いい感じの空間を……
真城朔
指差しています。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
子どもたちが遊んでる辺りからはちょっと離れた場所。
真城朔
遊具とかからはちょっと外れた場所で……
夜高ミツル
真城が指差した辺りに行って、リュックを下ろす。
真城朔
真城も下ろします。
夜高ミツル
リュックを開けて、中からピクニックシートを取り出す。
夜高ミツル
新品未開封。
真城朔
ブルーシートと違ってちょっと華やかな感じ。
真城朔
柄がある。
夜高ミツル
色が明るい。
真城朔
二人でそれを敷いて、
真城朔
端っこにリュックを置いて。
真城朔
そうしてまた腰を下ろす。
真城朔
思ったより小さくて狭いかもしれない……
夜高ミツル
「狭いなー」
夜高ミツル
言いつつも、それに頓着する様子はなく。
真城朔
「うん」
真城朔
頷くけれど嬉しそうにくっついている。
夜高ミツル
身を寄せ合ってシートに収まっている。
真城朔
子供の遠足向きとかだったかもしれない……
真城朔
別にいいけど。
夜高ミツル
全然だいじょうぶ。
真城朔
ぽかぽかの陽射しと木陰の下で寄り添う。
真城朔
遊具で遊んでいる子供がいるなあ……
夜高ミツル
「遠足みたいだな、こういうの」
真城朔
「……うん」
真城朔
「あんまり」
真城朔
「したことない……」
真城朔
小学校の頃にしたくらいで……
夜高ミツル
「俺も」
真城朔
去年秋頃に公園とか広場でぼんやりしたのもあったけど、
真城朔
シートを敷いてこうするとなんかけっこう違う。
真城朔
特別な場所ではないけれど……
夜高ミツル
それに今回は……弁当もある!
夜高ミツル
リュックから弁当箱を取り出す。
真城朔
手作りのお弁当がある。
真城朔
真城もおにぎりの入った巾着袋を出します。
真城朔
水筒も出す。お茶。
真城朔
時刻は2時を回ったくらい。
真城朔
ちょっと遅めの昼食。
夜高ミツル
蓋を開けて並べる。
真城朔
黄色い鶏の唐揚げと、ソースのかかったミニハンバーグと、ブロッコリーとトマトと……
真城朔
おにぎりは小さめに握ってある。
真城朔
まるい
夜高ミツル
ころころ……
真城朔
うまく形にならなかった……
夜高ミツル
きれいに作るのは難しい。
真城朔
がんばってにぎりました。
真城朔
「食べる?」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「ん」
真城朔
頷き合う。
夜高ミツル
ウェットティッシュを取り出して、一枚取って真城に渡す。
真城朔
「ありがと」
真城朔
受け取り……
真城朔
手をふきふき……
夜高ミツル
ミツルも拭いて……
真城朔
実際家を出てからちょっと歩いて公園に来たばかりなのだが……
真城朔
だいじ。
夜高ミツル
こういうところは結構気にするようになった。
真城朔
真城がミツルの体調と健康を気にするので……
真城朔
冬はインフルが怖いし……
夜高ミツル
衛生は大事。
夜高ミツル
きれいになった手を合わせる。
真城朔
合わせます。
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
「いただきます」
真城朔
頷いて……
真城朔
持ち運び用の箸を取る。
夜高ミツル
巾着袋から真城の握ってくれたおにぎりをとる。
真城朔
箸を持ってちょっと迷い……
真城朔
ちょっと不思議な鶏の唐揚げを取りました。
真城朔
小さめに切られたそれを口に含む。
真城朔
もぐもぐ…………
夜高ミツル
おにぎりを持ったまま真城が食べるのを見ている。
真城朔
もぐもぐしているところで目が合った。
真城朔
もぐ……
真城朔
もぐもぐ……
真城朔
よく噛んでいる。
夜高ミツル
もぐもぐしてるな……
真城朔
よく噛んでから、飲み込みました。
真城朔
ごくん
真城朔
「……ミツ」
夜高ミツル
「うん?」
真城朔
「これ、おいしい」
真城朔
「よ」
真城朔
箸で示しかけ……
真城朔
慌てて手で示す。
真城朔
ちょっと不思議な揚げない唐揚げを。
夜高ミツル
「お」
夜高ミツル
「よかった~」
夜高ミツル
「俺も食ってみよ」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「唐揚げ、とは」
真城朔
「違うかもだけど……」
真城朔
「鶏っぽい」
真城朔
鶏だが……
夜高ミツル
一旦おにぎりを置いて、箸で唐揚げをつまむ。
真城朔
どきどき
真城朔
見ています。
夜高ミツル
見た目やっぱ唐揚げっぽくないよな~とちょっと眺めて、口に運ぶ。
夜高ミツル
もぐ……
夜高ミツル
むぐむぐ……
真城朔
じ~……
夜高ミツル
味がしっかりついてて、唐揚げの風味はある……
夜高ミツル
でもやっぱりなんか……別物感が……
夜高ミツル
ちょっと唐揚げよりなんていうかしっとりしてる感じで……
真城朔
焼いた鶏
夜高ミツル
よく噛んで飲み込みます。
真城朔
じっと見ています。
夜高ミツル
「……うん」
夜高ミツル
「うまい」
真城朔
「ん」
真城朔
嬉しそうに頷いた。
夜高ミツル
「でも確かに唐揚げとは違うな」
夜高ミツル
「うまいけど」
真城朔
「ちがう……」
真城朔
「けど」
真城朔
「かりかりしてる感じ、は」
真城朔
「けっこう……?」
真城朔
がんばってる気がする……
夜高ミツル
「雰囲気は出てる……」
真城朔
「揚げてないし……」
夜高ミツル
「揚げてないわりにはぽいよな」
真城朔
「うん」
真城朔
「大さじ2」
真城朔
普通に洗えば済んで楽。
夜高ミツル
とても楽
夜高ミツル
「結構味がしっかりしてるから」
夜高ミツル
「おかずにちょうどいい感じがする」
真城朔
「うん」
真城朔
たしかに……と頷いて
真城朔
おにぎりに手を伸ばします。
夜高ミツル
おにぎりを持ちなおして、アルミを剥がす。
夜高ミツル
シンプルな塩むすび。
真城朔
自分で握ったまるいおにぎり……
夜高ミツル
ころころしている。
真城朔
海苔とかもなく……
真城朔
ぎゅっと握って 塩水で まるまる
真城朔
ミツルがお弁当詰めてる隣で丸めてました。
真城朔
かじります。
真城朔
むぐむぐ……
夜高ミツル
並んでかじる。
夜高ミツル
もくもく
真城朔
平和……
真城朔
風に木がそよそよしてる。
夜高ミツル
雪遊びができなくなったのは寂しいけど、
夜高ミツル
暖かくなってからしかできないことをしている。
真城朔
まだ葉っぱはないけど……
真城朔
暖かくてもくっついています。
夜高ミツル
多少の肌寒さを言い訳に。
真城朔
おにぎりをかじりながら葉っぱのない木をぼんやり見上げて
真城朔
「あ」
夜高ミツル
「ん?」
真城朔
指差した。
夜高ミツル
見上げる。
真城朔
「あれ」
真城朔
「桜、咲く……?」
真城朔
まだ花開く前のつぼみみたいなの。
夜高ミツル
目を凝らして、
夜高ミツル
「……あー」
夜高ミツル
「蕾」
真城朔
枝にちょこんと……
真城朔
「つぼみ」
真城朔
ミツルと身を寄せながら見上げている。
真城朔
「もうすぐ」
真城朔
「っぽい?」
夜高ミツル
「来週くらいだっけ」
夜高ミツル
「GWと被らなくてよかったなー」
夜高ミツル
人が多い時期に多い場所に出かけたくないので……
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
真城朔
「すごく、早い」
真城朔
「って……」
真城朔
北海道にしては……
夜高ミツル
「らしいなあ」
夜高ミツル
「これから桜が咲くの、結構不思議な感じだけどな」
夜高ミツル
千葉ならとっくに散ってる。
夜高ミツル
「これでも早いんだなぁ」
真城朔
「うん……」
真城朔
「すごい」
真城朔
すごいのか?
真城朔
塩にぎりをもぐもぐしています。
夜高ミツル
頷いている。
夜高ミツル
おにぎりを一口。
夜高ミツル
まだ花も葉もない木を見上げている。
真城朔
けっこうみちっと小さくなっている。
真城朔
力を込め込め……
真城朔
そう握りました。
夜高ミツル
密度があるのでいっぱい噛んでいる。
真城朔
ハンバーグに箸を伸ばす。
真城朔
いっぱいこねたハンバーグ……
真城朔
ミニサイズだけど……
夜高ミツル
真城が捏ねてくれたやつ。
真城朔
ちょっと自信がない。
真城朔
半分にしました。
真城朔
あんまり良くないけどミツとならだいじょうぶ……
真城朔
なので、半分を取って、食べています。
真城朔
もぐもぐ
夜高ミツル
食べれるだけ食べればいいといつも言っているので。
夜高ミツル
真城がもぐもぐするのを眺めている。
真城朔
眺められています。
真城朔
見返した。
真城朔
ミツルを見ながらもぐもぐしている。
夜高ミツル
見つめ合っている。
真城朔
見つめ合いながら嚥下した。
真城朔
「こっちは」
真城朔
「ちゃんと、ハンバーグ」
真城朔
「お肉……」
真城朔
おにくがおいしくてうれしいきもち
夜高ミツル
ミツルも箸を伸ばす。
真城朔
じー
真城朔
すぐ見つめ合うしすぐ見つめてる。
夜高ミツル
見られてるなあ
真城朔
気になるので……
真城朔
相手のことが……
夜高ミツル
真城が割った残りの半分を取ります。
真城朔
あ……
夜高ミツル
ぱくり
真城朔
とってくれた……
真城朔
じー
夜高ミツル
むぐむぐ……
真城朔
お茶を飲んでいます。
夜高ミツル
ミニのハンバーグだな……
夜高ミツル
肉の味がする。
真城朔
よくこねた肉の味
夜高ミツル
もくもく……
夜高ミツル
飲み込む。
夜高ミツル
「ん、うまい」
夜高ミツル
「肉だなー」
真城朔
「ね」
真城朔
「よかった」
真城朔
こねたから……
真城朔
焼いたのはミツだけど……
夜高ミツル
「うまいよ」
真城朔
「……うん」
真城朔
「おいしい……」
真城朔
ので、挑戦的に……
真城朔
今度はまるまる1個を取りました。
真城朔
もぐ……
夜高ミツル
見守っている……
真城朔
取ったけど結局一口で放り込めないんだよな。
夜高ミツル
食事はターン制ではない
真城朔
半分かじって もう半分をおにぎりの入っていたアルミホイルの上に一旦置きました。
真城朔
ターン制じゃないんだけどなあ……
真城朔
もぐむぐ
夜高ミツル
ターン制になりがち。
真城朔
おかしいなあ
真城朔
ミツルに目を向けて、
真城朔
口を動かしたまま頷きました。
真城朔
おいしい。
夜高ミツル
頷きを返す。
夜高ミツル
再度唐揚げに箸を伸ばす。
真城朔
こちらもまた頷く。
真城朔
ミツルにちょっと身を寄せました。
真城朔
もともとくっついているが……
夜高ミツル
さらに……
夜高ミツル
ぴと。
真城朔
ぴと
真城朔
落ち着く。
真城朔
うれしい。
夜高ミツル
あったかい。
夜高ミツル
唐揚げを口に運んでむぐむぐしている。
真城朔
外だとあったかさが強調される。
真城朔
もぐもぐ……
真城朔
飲み込んで、
真城朔
「おいしい」
真城朔
「ね」
真城朔
何回も繰り返したことを言う。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
ひねりのない文句。
夜高ミツル
まだ咀嚼しているので、頷きで返す。
夜高ミツル
おいしい。
夜高ミツル
二人で作った弁当を、二人で食べている。
真城朔
陽射しの下、あたたかい外で、春の風を受けながら。
真城朔
贅沢。
夜高ミツル
贅沢だな~
夜高ミツル
贅沢をしている。
真城朔
こんな4月に……
真城朔
子供は遊んでるけど
真城朔
GW前の忙しい時期で……
真城朔
まあ実際満月も順調に近づいてきているのだが……
夜高ミツル
近づいてきてるなあ……
夜高ミツル
満月の前に花見ができそうでよかった。
真城朔
よかった。
真城朔
満月の後だとどうなってるかわかんないし……
夜高ミツル
無事に済むに越したことはないが、気をつけてもどうしようもない時はある。
夜高ミツル
とはいえ、近づいているといってもまだもう少し先の話。
真城朔
今はのんびり……
夜高ミツル
穏やかに……
真城朔
ひなたぼっこ
真城朔
おべんとう
真城朔
予行お花見。
夜高ミツル
水筒からお茶を注ぐ。
真城朔
冷たい麦茶がおいしい季節になりつつある。
夜高ミツル
お茶を飲んで一息ついて、寄り添っている。
真城朔
ほっ
真城朔
「…………」
真城朔
唐揚げをかじっている。
真城朔
唐揚げをかじって、ミツルに身を寄せて、
真城朔
ぼんやりと目を細めて公園で遊ぶ子供の姿を見ている。
夜高ミツル
子どもたちは元気だなあ。
夜高ミツル
ブロッコリーを食べている。
真城朔
野菜にあまり手を出さない……
真城朔
野菜を入れたがりはする。
真城朔
食べた方がいいかな? とはちょっと思い……
夜高ミツル
野菜は概ねミツルが食べるためにメニューに組み込まれている。
真城朔
ミニトマトに箸を向けた。
真城朔
滑った。
真城朔
…………
夜高ミツル
あっ……
真城朔
ちょっとお行儀悪いけど手で取ります。
真城朔
へたも取らなきゃいけないし……
真城朔
へたをとって ぱく
真城朔
もぐむぐ
夜高ミツル
落とすよりそっちの方がいい
真城朔
すぐウェットティッシュで指を拭いている。
真城朔
ゴミ袋にえいっ
夜高ミツル
俺もトマト食べよ~
夜高ミツル
最初から手で取ります。
真城朔
ミニトマトは味が濃いので真城もけっこう食べるほう。
真城朔
甘めで……
夜高ミツル
トマトは口へ ヘタはゴミ袋へ
夜高ミツル
ウェットティッシュで手を拭いて、それもゴミ袋に。
真城朔
並んでミニトマトを食べているなあ。
真城朔
なんてことのない風景。
夜高ミツル
もくもく……
夜高ミツル
飲み込んで……
夜高ミツル
「本番はもうちょっと種類増やしてもいいな」
真城朔
「ん」
真城朔
「ふやす?」
真城朔
ミツルを見て……
夜高ミツル
「前の日にいくつか作るならそんなに大変じゃなくなるし」
真城朔
減ってるお弁当箱を見ます。
真城朔
「うん」
夜高ミツル
「卵焼きとか……?」
真城朔
「卵焼き」
真城朔
おうむがえし。
真城朔
「ミツがたまに作る……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
あれちょっとむずかしそう。
真城朔
定番料理みたいな扱いされてるけど……
真城朔
「ハンバーグ」
真城朔
「できてるし」
夜高ミツル
「弁当といえば卵焼きみたいな感じあるし」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
真城朔
「唐揚げ、ハンバーグ、卵焼き」
真城朔
指折り……
真城朔
「ブロッコリーとプチトマトと……」
真城朔
「おにぎり」
夜高ミツル
「色もなんか……いいんじゃないか?」
真城朔
手元に残した小さなおにぎりの欠片を口に含みました。
真城朔
もぐもぐしながら頷きます。
夜高ミツル
色がいっぱいあるといいのでは? くらいの感覚。
真城朔
色がいっぱいあるといいと思う。
真城朔
同意してます。
真城朔
「来週」
真城朔
「どれくらいになるかな」
真城朔
見上げる。
真城朔
「いつ頃……」
真城朔
まだちょっとさみしげな桜の木を見上げる。
真城朔
土日はちょっと
真城朔
人が多そうなので、むずかしいという気持ちがある。
夜高ミツル
「予報だと20日くらいに開花だっけ……」
夜高ミツル
スマホでカレンダーを確認している。
真城朔
「たしか……?」
真城朔
同じスマホを覗き込みます。
夜高ミツル
「24と25は土日だから外して……」
真城朔
「うん」
真城朔
ぴと……
夜高ミツル
「26は狩りの前の日だから……」
夜高ミツル
「23より前かなあ」
真城朔
「23日」
真城朔
「に、する?」
夜高ミツル
「そうするかあ」
真城朔
「天気とか」
夜高ミツル
「あんま早いとそんなに見れなそうだしな」
真城朔
「もうちょっと見ながら……」
真城朔
「うん」
真城朔
まだもうちょっとかかりそう……
真城朔
な、気がする。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
もう一度桜の枝を見る。
夜高ミツル
「天気だな~天気次第だよな」
真城朔
唐揚げを取って、かじりました。
真城朔
頷く。
真城朔
今日はいい天気でよかった。
真城朔
ぽかぽか……
夜高ミツル
「一応仮で23ってことで……」
真城朔
口をおさえながら
真城朔
「かりで……」
真城朔
ちょっとそわそわしてきた。
真城朔
飲み込む。
真城朔
「唐揚げ」
真城朔
「おいしいね」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
「ハンバーグも」
夜高ミツル
スマホを置いて、箸を持ち直す。
夜高ミツル
ハンバーグを口に運ぶ。
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
むぐむぐ……
真城朔
している様子を見ています。
夜高ミツル
嬉しそうに食べている。
真城朔
食べてくれているのが嬉しい。
真城朔
焼いたのミツだけど……
夜高ミツル
捏ねてくれたのは真城!
夜高ミツル
飲み込む。
夜高ミツル
「おいしい」
真城朔
「ん」
真城朔
「よかった……」
真城朔
身を寄せる。
夜高ミツル
ぴったりと身体を寄せ合っている。
真城朔
陽があったかくて、あったかすぎないくらいの陽射しでぽかぽかだけど、
真城朔
でもくっついてる方がうれしい。
夜高ミツル
うれしい……
夜高ミツル
いつもくっついてたい。
真城朔
家でも外でも……
夜高ミツル
いつでもどこでも
真城朔
こうしていると嬉しい。
真城朔
しあわせになれる……
夜高ミツル
真城が喜んでくれているとうれしい。
真城朔
うれしくてあったかくて……
夜高ミツル
頭を傾けて、くっつける。
真城朔
頬をすりよせる。
夜高ミツル
春の日差しのおかげではなく、もっと内側から暖かさを感じる。
真城朔
満たされているのがわかる。
夜高ミツル
満たしている。満たされている。
真城朔
それがしあわせで……
夜高ミツル
真城がしあわせだとミツルもしあわせ。
真城朔
お弁当の味とともに、そのしあわせを噛み締めている。
真城朔
おいしいし、うれしい。
夜高ミツル
あったかくて、しあわせ。
真城朔
なんだかおなかいっぱいになってきて……
真城朔
ミツルに体重が傾いてきた。
夜高ミツル
「……真城」
夜高ミツル
「眠い?」
真城朔
「ん」
真城朔
「んー……」
真城朔
うとうとと首を振っている。
夜高ミツル
そうかな~……
真城朔
「だいじょうぶ……」
真城朔
ややふにゃふにゃした声。
夜高ミツル
「いっそ昼寝してってもいいけどな~」
真城朔
「ん」
真城朔
ゆっくりまぶたを上げた。
真城朔
「ひるね?」
夜高ミツル
「シートからははみ出るけど……」
真城朔
「…………」
真城朔
ちょっと考え込み……
真城朔
ミツルの膝に頭を寄せて
真城朔
ころんとなった。
夜高ミツル
膝枕になった。
真城朔
「ん…………」
真城朔
ふにゃふにゃ……
夜高ミツル
丸い頭を撫でている。
真城朔
ミツルの膝に頬を委ねています。
真城朔
寝息はまだ立ってないけど……
真城朔
ぽかぽか ここちよさげ
夜高ミツル
「いいよ、寝てて」
真城朔
「んー……」
夜高ミツル
さらさらの髪を指でとかす。
真城朔
「だい」
真城朔
「じょぶ」
真城朔
「?」
真城朔
髪に触れられているとますます脱力する。
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「かえ、る」
真城朔
「まえ」
真城朔
「に」
真城朔
「おこして……」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「起こす」
真城朔
「ん」
真城朔
「…………」
真城朔
「ミツ……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「すき……」
真城朔
そのまますう、と寝息を立てる。
夜高ミツル
ぱち、と目を瞬かせ
夜高ミツル
「……俺も」
夜高ミツル
「すきだよ、真城」