2021/05/28 昼過ぎ

真城朔
どこかほっとした表情でミツルに寄り添いながら、マンションを出てくる。
真城朔
マンションと言ってもそこはハンター御用達の闇病院なのだが。
真城朔
空は曇天。しとしとと雨が降っている。
夜高ミツル
傘を開く。
真城朔
遅れて真城も傘を開き……
真城朔
ばさ……
真城朔
よいしょ。
夜高ミツル
「……なんともなくてよかった」
真城朔
「……うん」
夜高ミツル
「心配してくれてありがとうな」
真城朔
傘をさして歩きながらしきりに頷いている。
真城朔
「……ん」
真城朔
「うるさくして……」
真城朔
しょぼ……
夜高ミツル
「頭は、でも」
夜高ミツル
「大丈夫なつもりだったけど実は……とか結構聞くし」
真城朔
「…………」
真城朔
小さく頷く。
夜高ミツル
「今回は大丈夫だったけど、もしかしたら来てないと危なかったかもしれないしな」
真城朔
「……う」
真城朔
「うん……」
真城朔
濡れた街道をスニーカーで踏みしめて歩く。
真城朔
すっかり雪でなく雨の季節。
夜高ミツル
だいぶ暖かくなってきたとはいえ、雨が降ると少し肌寒い。
夜高ミツル
「だから、来てよかったよ」
夜高ミツル
「ありがとう」
真城朔
「よかった」
真城朔
「なら」
真城朔
「よかった」
真城朔
「…………」
真城朔
「よかった……」
夜高ミツル
頷く。
真城朔
改めて実感のこもった声。
真城朔
傘が邪魔にはなる中で、
真城朔
少しだけミツルへと身体を寄せた。
夜高ミツル
ミツルも少し真城の方に寄る。
夜高ミツル
互いの身体が濡れない程度に。
真城朔
気持ち……気持ちだけでも……
夜高ミツル
気持ち近くに……
夜高ミツル
「……そういえば」
真城朔
「?」
夜高ミツル
「飯どうしようか」
真城朔
「めし」
夜高ミツル
何も考えずとりあえず病院に行った。
真城朔
びょういんはだいじだから……
真城朔
スマホをぼんやり確認すると
真城朔
確かに昼飯時 をちょっと過ぎたくらい。
真城朔
「スーパー」
真城朔
「寄る?」
夜高ミツル
「んー……」
夜高ミツル
「せっかくだし、たまにはどっかで食ってかないか?」
真城朔
ちょっと目を丸くした。
真城朔
「どっかで」
真城朔
ちょっと考え……
真城朔
て、から、頷いた。
真城朔
「検査」
真城朔
「終わったばっか、だし……」
真城朔
病院は地味に疲れる。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
「たまには」
真城朔
ミツルの言ったのと同じ言葉を繰り返して、また頷く。
夜高ミツル
ミツルも頷く。
夜高ミツル
「近くの店とかも全然行けてないしな」
真城朔
「つい」
真城朔
「作っちゃう……」
真城朔
あんまりたべられないし……
夜高ミツル
「だからまあ、たまには」
夜高ミツル
「あー、ほら」
真城朔
「たまには」
真城朔
「?」
夜高ミツル
「名前……なんだっけ……」
夜高ミツル
「忘れたけど……」
真城朔
「うん」
夜高ミツル
「散歩する時とかによく通る……カフェの……」
真城朔
「ん」
真城朔
思い当たったらしい。
真城朔
強めに頷いた。
真城朔
「公園過ぎたあたりの……」
夜高ミツル
「そうそう」
夜高ミツル
「その内行ってみるか~って言って結局行けてない……」
真城朔
「ランチ」
真城朔
「まだやってる」
夜高ミツル
「だよな」
真城朔
「はず……」
真城朔
時間的に……
真城朔
こくこく……
真城朔
繰り返し頷いてから、
真城朔
「……うん」
真城朔
「じゃあ」
真城朔
「行こ」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「雨、だし」
夜高ミツル
「行こう行こう」
真城朔
いこういこうと頷き合い……
真城朔
行きました。
真城朔
ちょっと古めの雰囲気いいな~って感じのカフェ。
真城朔
の、なるべく奥の席に通してもらった。
夜高ミツル
すいててよかった。
真城朔
ピークタイムも微妙に過ぎてるし……
真城朔
メニューを広げて二人で眺めている。
真城朔
紅茶とコーヒーが色んな種類ある……
夜高ミツル
色々ある……
夜高ミツル
ちょこちょこと説明があるけどあんまりイメージがつかない。
夜高ミツル
いっぱいある。
真城朔
紅茶の種類 わからない
真城朔
乾咲さんならわかるだろうか……
夜高ミツル
解説してくれそう。
真城朔
聞いても理解できる気はしない。
真城朔
「ど」
真城朔
「どうしよう」
夜高ミツル
「どうしようか……」
夜高ミツル
「大盛り行けるみたいだし、大盛り頼んで分ける?」
真城朔
「大盛り」
真城朔
じ……
真城朔
「ミツが」
真城朔
「よければ……」
夜高ミツル
「それでドリンクは別で頼んで……」
夜高ミツル
「俺は真城がいいなら大丈夫」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく繰り返し……
真城朔
「ミツが、いいなら」
真城朔
「そうする」
真城朔
「そうしよ」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
改めてメニューを見る。
夜高ミツル
ランチセットの選べるパスタを眺め……
真城朔
覗き込み……
夜高ミツル
肉っぽいやつがいいな……
真城朔
カルボナーラとかペスカトーレとか生ハムと水菜のパスタとか
夜高ミツル
生ハム。
夜高ミツル
「これどう?」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
「生ハムと水菜のパスタだって」
真城朔
「生ハム」
真城朔
真城も生ハムにくいつきがち。
真城朔
「…………」
夜高ミツル
真城がくいつくからくいつく。
真城朔
「おいしそう……」
夜高ミツル
「な~」
夜高ミツル
「じゃあこれにするか」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
真城朔
「飲み物……」
真城朔
ランチセットについてるやつは結構種類が少なくて……
真城朔
でも飲み物は別で頼むとして……
真城朔
えーと……
真城朔
つまり……?
夜高ミツル
「俺はセットのやつで頼むから」
夜高ミツル
「真城選んでいいよ」
真城朔
「あ」
真城朔
「でも」
真城朔
おろ……
夜高ミツル
「……セットの紅茶がアールグレイらしいから、真城もそうする?」
真城朔
ん、ってなった。
真城朔
「そうする」
真城朔
こくこく……
真城朔
「む」
真城朔
「むずかしいの」
真城朔
「わかんない、から」
真城朔
「同じやつのが……」
夜高ミツル
「俺もわかんない」
夜高ミツル
「同じにするか」
真城朔
「する」
真城朔
「俺」
真城朔
「アイスで……」
夜高ミツル
「俺もそうしよ」
夜高ミツル
「あとはデザート……」
夜高ミツル
「……とりあえず食ってからでいいか」
真城朔
「うん」
真城朔
ランチセットにはついてないし……
真城朔
「おなか」
真城朔
「いっぱいになる」
真城朔
「かも」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「食えそうだったらにしよ」
真城朔
「そうしよ」
夜高ミツル
頷いて、店員に声をかけて注文を伝える。
真城朔
伝えてもらっている……
夜高ミツル
追加の小皿とフォークもお願いして……
真城朔
おねがいします……になっている
真城朔
ぺこぺこ。
夜高ミツル
カフェなので二人とも食べ物頼まなくてもいいのはまあ気楽。
真城朔
ありがたい……
真城朔
お外はミツに二倍くらい食べさせることになることもちょこちょこある……
真城朔
二倍は言い過ぎだが……
夜高ミツル
食べ盛りなので、結構食えば食える。
真城朔
申し訳ないとはおもう……
真城朔
思いつつも、カフェはそういう心配はなく……
真城朔
オーダーを受けた店員が戻っていくのを見送って小さく息をついた。
真城朔
「……けっこう」
真城朔
「落ち着く、感じ……」
夜高ミツル
「隠れ家的な……?」
真城朔
ちょっとレトロな感じの内装をぼんやり見回している。
夜高ミツル
よく分からないままとりあえず聞いたことのある形容詞を言った。
真城朔
「隠れ家的」
真城朔
「……かも」
真城朔
よくわかってない。
真城朔
テーブルセットも全体的に暗い色で 室内照明もあんまり明るすぎず……
真城朔
外はしとしと。
夜高ミツル
「ああいうの、テレビで紹介されたら全然隠れてないよなって思う」
真城朔
「うん……」
真城朔
暴かれたセーフハウス……
夜高ミツル
「的だからいいのか……?」
夜高ミツル
セーフハウスが暴かれたら困るな……
真城朔
「……お店、だし」
真城朔
「ほんとに来ないのも、たぶん」
真城朔
「すごく」
真城朔
「こまるだろうし……」
夜高ミツル
「そうだな……」
夜高ミツル
それはそう。
真城朔
「ここも」
真城朔
「紹介、されたら」
真城朔
「大変になるかな……」
真城朔
北海道だけど……
夜高ミツル
「かもなあ」
夜高ミツル
「札幌だし……」
夜高ミツル
結構混みうる。
真城朔
なかなか人の往来が多い。
真城朔
「される、前に」
真城朔
「来られてよかった」
真城朔
別にテレビで特集されるはんて話はまったくないが。
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
ないなあ
夜高ミツル
ないけど頷いてる。
真城朔
「こういうとこ」
真城朔
「久しぶり、だし……」
夜高ミツル
「冬の間はずっと家だったもんなあ」
真城朔
「回転寿司とかは行ったけど……」
夜高ミツル
「こっち来るまでは外で食うか買うかしかなかったけど」
真城朔
回転寿司は回転寿司だったから……
夜高ミツル
「行ったな~」
真城朔
「すごかった」
真城朔
思い出している。
夜高ミツル
「回転寿司でもうまいんだな……」
真城朔
「本場……」
真城朔
本場?
夜高ミツル
改めて噛みしめる。
夜高ミツル
「正直ナメてた……」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
真城朔
「……また」
真城朔
「今度、行っても」
真城朔
「お寿司……」
夜高ミツル
「だなー」
夜高ミツル
「次は回らないのも試してみたい」
真城朔
「まわらない……」
真城朔
ちょっと表情に緊張が滲んだ。
夜高ミツル
「手頃なところを探して……」
夜高ミツル
ランチ1000円くらいの……
真城朔
「マナー、とか」
真城朔
「大丈夫かな……」
真城朔
想像が飛んでいる。
夜高ミツル
「すげー高いとこじゃなければ……」
夜高ミツル
「大丈夫……とは思うけど……」
夜高ミツル
言われると不安になる……。
真城朔
「だと」
真城朔
「いいけど」
真城朔
おろしょぼ……
夜高ミツル
「まあ回転寿司でもすげーうまかったから、あれまた行くのでもいいけどな」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
真城朔
「とりあえず、それで……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「そしたら」
真城朔
「考えよ」
夜高ミツル
「そうするか」
夜高ミツル
頷きを返し……
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
そんなところで、ランチセットとアイスティーが運ばれてくる。
真城朔
あ……
真城朔
きた……
夜高ミツル
セットはミツルの方に、アイスティーは真城の方に置いてもらい。
真城朔
パスタを見ている。
夜高ミツル
小皿とフォークも置いてもらって。
真城朔
なんか……
真城朔
思ったより具が……
夜高ミツル
多い。
真城朔
ずっしりしている。
真城朔
目を丸くしている。
夜高ミツル
ごゆっくりどうぞ、と声をかけて店員が戻っていく。
夜高ミツル
「……すごいな」
夜高ミツル
「うまそう」
真城朔
じー……になってた
真城朔
「あ」
真城朔
「うん」
真城朔
うなずきうなずき……
真城朔
「すごい」
真城朔
「いっぱい……」
夜高ミツル
パスタの上に結構厚めの生ハムがいっぱい……
真城朔
なんかもっと申し訳程度に乗ってるのをイメージしてた。
夜高ミツル
してた。
夜高ミツル
かなり想定以上のやつが来た。
真城朔
大盛りだから視覚的にも迫力がある。
真城朔
すごい……
真城朔
圧倒されている。
夜高ミツル
小皿を引き寄せて、パスタを取り分けていく。
真城朔
あっ。
真城朔
分けてもらっている。
真城朔
のを見ています。
夜高ミツル
野菜少なめ生ハム多め。
夜高ミツル
「このくらいで大丈夫そう?」
真城朔
「うん」
真城朔
「うん」
真城朔
「……ありがとう」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
皿とフォークを差し出す。
夜高ミツル
「おかわりとか食いきれないとかあったら言って」
真城朔
受け取り……
真城朔
「ん」
真城朔
「そうする……」
真城朔
自分の前に置きます。
夜高ミツル
頷き……
真城朔
置いた。
夜高ミツル
それを見て手を合わせる。
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
合わせ……
真城朔
「いただきます」
真城朔
唱和。
真城朔
して、フォークを取る。
夜高ミツル
取ります。
真城朔
フォークを……
真城朔
えーと……
真城朔
ちょっと躊躇ってパスタの方と具の方をいったりきたりしたけど
真城朔
結局生ハムに行っちゃった。
真城朔
まぐもぐ……
夜高ミツル
じ……
夜高ミツル
見ている。
真城朔
もぐもぐ口を動かしている。
真城朔
長い時間をかけて咀嚼して……
真城朔
やがて飲み込み……
真城朔
「ん」
真城朔
「おいしい……」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
「おいしい」
真城朔
「よ」
真城朔
「ミツも……」
夜高ミツル
嬉しそうに頷く。
真城朔
じ……
夜高ミツル
「うん」
真城朔
見ている……
夜高ミツル
生ハムと、ついでにトマトもフォークに乗せる。
夜高ミツル
ぱく。
夜高ミツル
まくまく……
真城朔
じー……
夜高ミツル
厚めの生ハムなので、結構しっかりと肉を食べている感じがする。
真城朔
おにく。
夜高ミツル
やわらかいけど噛みごたえがある。
真城朔
単体で食べるのは濃いめのお味の生ハム。
夜高ミツル
具だなあという感じの味の濃さ。
真城朔
完全に手を止めてミツルを見ています。
夜高ミツル
多分こうしてトマトとかと一緒に食べてるのがミツルにはちょうどいい感じがする。
夜高ミツル
飲み込む。
夜高ミツル
「うまい」
真城朔
「ね」
真城朔
「具」
真城朔
「しっかり……」
夜高ミツル
「思ったより肉って感じがする」
夜高ミツル
「もっとぺらぺらのやつで来るかと思ってた……」
真城朔
「うん」
真城朔
「量もいっぱい」
真城朔
「だから」
真城朔
よいしょよいしょ……
真城朔
思い出したようにフォークにパスタを巻いている。
夜高ミツル
「意外とある」
真城朔
「ある……」
真城朔
くるくる……
夜高ミツル
「ここいいなー」
夜高ミツル
「また来よう」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん」
夜高ミツル
同じくくるくるとパスタを巻きながら、
真城朔
頷いて、パスタを口に含み
夜高ミツル
はやくもそんなことを言う。
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
まだ一口食べただけ。
真城朔
もぐもぐになりながら頷いています。
真城朔
ひとくち食べただけだなあ。
夜高ミツル
二口目も口に運ぶ。
真城朔
生ハムよりも咀嚼にかかる時間が短い。
真城朔
飲み込んで、アイスティーを飲み……
真城朔
ふうになっている。
夜高ミツル
飲み込む。
夜高ミツル
「そういえば、近くの店もだけど観光もまだ全然だよな」
真城朔
きょと……
真城朔
「そ」
真城朔
「う、いえば?」
真城朔
ずっと寒くて……
夜高ミツル
「思ったより冬の間出かけるどころじゃなかったな……」
夜高ミツル
マジで寒かった……。
真城朔
「うん……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「……狩り」
真城朔
「も」
真城朔
「いろいろ……」
真城朔
「あった」
真城朔
「し……」
真城朔
ぽつ……
真城朔
ぽつ
夜高ミツル
「そうだな……」
真城朔
しょぼ……
真城朔
「…………」
真城朔
はっ……
真城朔
たべよう……
真城朔
たべる……
夜高ミツル
食べよう。
夜高ミツル
「……暖かくなったし」
真城朔
生ハムをフォークに引っ掛けて パスタを巻いて
真城朔
まきまき……
夜高ミツル
「ちょっと遠出とかもしてみたいよな」
真城朔
「う」
真城朔
「うん」
真城朔
「とおで……」
夜高ミツル
「バイクも出せるしなー」
真城朔
「雪」
真城朔
「そろそろ大丈夫」
真城朔
「に……」
真城朔
パスタを食べる。
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
フォークを口に運んで、頷く。
夜高ミツル
まくまく。
真城朔
もぐもぐ。
真城朔
咀嚼長い。
夜高ミツル
冬本番が過ぎても雪が積もってるうちはバイクを運転する気になれなかった。
夜高ミツル
危ない。
夜高ミツル
地元の人はいけるのかもしれないが……
真城朔
このあたりが融けても結構残ってはいるって聞いたし……
夜高ミツル
でももうそろそろ6月だし、寒い日もなくなってきたし……
真城朔
さすがに……
夜高ミツル
改めて調べはするけど、そろそろいけるんじゃないかという気がする。
真城朔
パスタを飲み込み……
真城朔
「どういう」
真城朔
「ところ、行く?」
夜高ミツル
飲み込んで……
夜高ミツル
「んー……」
真城朔
くるくる……
夜高ミツル
「北海道っぽいとこ……」
夜高ミツル
「牧場とか?」
真城朔
「牧場……」
真城朔
「うまとか……」
夜高ミツル
「牛とか……」
真城朔
「ひつじ」
夜高ミツル
サラダのレタスにフォークを刺している。
真城朔
もぐもぐ……
真城朔
生ハムを食べ……
真城朔
食べています。
夜高ミツル
「馬乗れたりするかな」
真城朔
首を傾げた。
真城朔
食べている最中なので……
夜高ミツル
「昔一回だけ乗ったことあるんだよなー」
夜高ミツル
ぱく。
真城朔
瞬き。
真城朔
あるんだ、という顔。
夜高ミツル
シャクシャク……
夜高ミツル
頷いている。
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
飲み込み、
夜高ミツル
「すげー怖かった」
真城朔
ごくん……
真城朔
「こわ」
真城朔
「い?」
夜高ミツル
「高いし揺れるし……」
真城朔
想像している……
真城朔
「…………」
真城朔
「こわい……」
真城朔
ぼんやりと……
真城朔
そうなんだ……みたいな響き。
夜高ミツル
「馬の背中がまず結構高くて、その上に乗るから……」
夜高ミツル
「地面が遠くて……」
夜高ミツル
「馬は普通に歩いてくれたし、落ちかけたとかも全然ないんだけどな」
夜高ミツル
怖かったな~……としみじみ呟いている。
真城朔
ほー……みたいな感じで聞いている。
真城朔
「……いまも」
真城朔
「こわい……?」
夜高ミツル
「どうかなー……」
夜高ミツル
「一緒だったら怖くないかも」
真城朔
「……ん」
真城朔
「うん」
真城朔
頷き……
真城朔
「じゃあ」
真城朔
「いっしょに」
真城朔
「いっしょに、乗ろ」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
頷いている。
夜高ミツル
またサラダを一口。
真城朔
「……うん」
真城朔
頷いて、生ハムとトマトをフォークに刺して……
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
もくもく……
真城朔
結構順調に減っている。
夜高ミツル
減っているのを見て、
夜高ミツル
「……真城もうちょっと食う?」
真城朔
「ん」
真城朔
まだ口の中に入っている……
真城朔
顔を上げて
真城朔
ちょっと考え込み……
真城朔
ちらちらとミツルの皿の残りと自分の皿の残りを見比べている。
真城朔
もぐもぐと咀嚼しながら……
夜高ミツル
考えてるなあ。
夜高ミツル
待っている。
真城朔
待たせている……
真城朔
やがて飲み込んで、
真城朔
「……ちょ」
真城朔
「ちょっと、だけ」
真城朔
「…………」
真城朔
「だいじょうぶ……?」
真城朔
おず……
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「大丈夫」
真城朔
頼んだものの……
真城朔
お皿を差し出すのもなんだか……みたいな
真城朔
微妙な空気感でおろついている。
夜高ミツル
「皿借りるな」
真城朔
「あ」
真城朔
「う、うん」
夜高ミツル
おろついている真城の前から皿を引き寄せて
真城朔
お皿がもっていかれる。
夜高ミツル
大皿からちまっとパスタを移す。
夜高ミツル
パスタをというか、主に生ハムを。
真城朔
ハムが移されている……
夜高ミツル
「このくらいで大丈夫?」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく……
真城朔
「み」
真城朔
「ミツ、が」
真城朔
「大丈夫」
真城朔
「なら……」
夜高ミツル
「俺は大丈夫」
夜高ミツル
頷いて、皿を返す。
真城朔
返され……
真城朔
前に置き……
真城朔
まじ……
真城朔
「あ」
真城朔
顔を上げた。
真城朔
「ありがと」
真城朔
「う」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
笑顔を返す。
真城朔
「……うん」
真城朔
頷いてから、
真城朔
小さく笑顔を作った。
夜高ミツル
真城が喜んでくれると嬉しい。
夜高ミツル
笑って、改めて大皿のパスタを食べていく。
真城朔
ふにゃふにゃ笑顔でもぐもぐ……
真城朔
わけてもらったパスタを食べています。
夜高ミツル
食べているのを見ながら、自分も食べすすめる。
夜高ミツル
くるくる……もぐもぐ……
真城朔
まくもく……
真城朔
向かい合って座っていると食べながら相手が見られるので普段より早い。
夜高ミツル
合理的だなあ
真城朔
そんな感じでお互いもくもく食べ進め……
夜高ミツル
量の少ない真城に遅れて、ミツルの皿が空になる。
真城朔
完食!
夜高ミツル
「……デザートとか頼む?」
夜高ミツル
アイスティーを飲みつつ尋ねる。
真城朔
「あ」
真城朔
「え」
真城朔
「っと……」
真城朔
「…………」
真城朔
うーん……
真城朔
アイスティーを飲んでいます。
夜高ミツル
結構食べてたもんなー
真城朔
けっこうたべた……
真城朔
たべちゃった……
夜高ミツル
「それか帰りにアイスでも買って帰る?」
真城朔
「アイス」
夜高ミツル
「スーパー寄るし」
真城朔
「……ちょ」
真城朔
「ちょっと、だけ」
真城朔
「で」
真城朔
「いいなら……」
真城朔
あんまりたべられない……
夜高ミツル
「ちょっとでもいいし」
夜高ミツル
「夕飯のあとにしてもいいしな」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん」
真城朔
「そう」
真城朔
「そうする」
真城朔
「それで……」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
いい? とミツルを見た。
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
「そうしよう」
夜高ミツル
話がまとまったところで手を合わせる。
真城朔
合わせ……
夜高ミツル
「ごちそうさまでした」
真城朔
「ごちそうさま」
真城朔
「でした」