2021/06/18
真城朔
昼下がりにエプロン姿。
電子レンジを眺めている。
夜高ミツル
傍らにボウルに入ったホットケーキミックス。
真城朔
本格的なやつはよくわからないので、ホットケーキで作れるレシピをネットで探した。
真城朔
中から生クリームのパックを取り出す。脂肪分多めのやつ。
真城朔
ジャムとかクロテッドクリームをつけるとそれっぽいらしいので用意しようと思ったのだが、
真城朔
ので、生クリームで代用するレシピをこれまた探して……
真城朔
作ろうとしています。百均で買ってちゃんと煮沸消毒した瓶で。
真城朔
瓶に生クリームを入れて5分振ればいいらしい。
真城朔
さすがに真城もこの手順にレシピをいちいち確認しなくていいので、
真城朔
割と迷いなく瓶に生クリームを注いでおります。
夜高ミツル
その様子を横目に見つつ、ボウルにバターを投入する。
夜高ミツル
バターのかけらをつぶすように、ヘラで混ぜていく。
真城朔
きちんと……力いっぱい……漏れないように……しっかり。
真城朔
両手で底と蓋を押さえるようにしてしゃかしゃかと振りながら、
夜高ミツル
粉に埋もれたバターの欠片は見つけづらい。
真城朔
言いながらしゃかしゃかとクリームを振ってます。
夜高ミツル
「常温で放置してとか、レンジで溶かしてとか……」
夜高ミツル
ボウルを揺すって、バターのつぶし残しがないか確認している。
真城朔
しゃかしゃかしながらだからちょっと控えめに。
夜高ミツル
おおざっぱが分からなくて首を捻っている。
真城朔
一度手を止めて横から瓶の様子を眺めてみたり傾けてみたりする。
真城朔
クロテッドクリームはもっとクリームっぽくなるはずで……
真城朔
クロテッドクリームのことよく知らないけど……
夜高ミツル
「とりあえずもうちょい振ってみるか……?」
真城朔
しゃかしゃかしてると手元は塞がるが、そんなに注意を払う作業でもないので……
夜高ミツル
不安になって測るときに何回もレシピを確認した。
真城朔
粉に対する液体の比率としてはあまりにも少ない感じがするこの大さじ2。
夜高ミツル
何回確認しても大さじ2って書いてあった。
真城朔
クロテッドクリームはなかなか固まらないし……
真城朔
スコーンは大雑把に簡単にやるといいというようなのを聞いたような気がするが……
夜高ミツル
ちょっとずつ加える、と書いてあったので、ちろっと牛乳をボウルに垂らす。
真城朔
乾咲さんの家で出ていたあれはかなりの高等技術によるものだったということが再確認されている。
真城朔
大さじ2をちょっとずつっていうのがもはやという感じがある。
夜高ミツル
粉にちまちまと牛乳を落としては混ぜている。
夜高ミツル
「……やっぱ牛乳少なくないか…………?」
夜高ミツル
生地というにはあまりにボロボロしているような……
夜高ミツル
「増やしても大丈夫って書いてあったし……」
夜高ミツル
振り向いて、冷蔵庫から牛乳を取り出す。
夜高ミツル
大さじを取って、1杯分測って小皿に足す。
夜高ミツル
これでもやっぱり粉の量に対して少ないのでは……?という気持ちがある。
夜高ミツル
牛乳を冷蔵庫に戻して、再びボウルの前に。
真城朔
その間もしゃかしゃかと瓶をやっていたが……
夜高ミツル
小皿を取ってまたちまちまと足しつつ、ヘラで粉を混ぜていく。
真城朔
見ていたが、ミツルの視線に気付いて目を向け、
真城朔
ミツルへと瓶を差し出したが、まあ当然に真っ白。
真城朔
逆に言うと、さっきみたいに液体が偏って薄くなってる感じのところがない。
真城朔
しっかり締めたのでちょっと大変だったけど、あきました。
真城朔
半固形ってほどでもないけど、とにかくクリーム。
夜高ミツル
差し出された指先を、おずおずと口先に含む。
真城朔
砂糖の入っていない生クリームは甘くないのだ。
夜高ミツル
すっかり手が止まっているのを咎めるように、レンジが予熱完了を知らせる。
夜高ミツル
「これから焼くから、クリームはまだ冷蔵庫に入れててもいいかも」
夜高ミツル
ボウルの中の、いまいち生地っぽくない生地と向き合う。
夜高ミツル
一応改めて手を洗ってから、生地を手でぎゅっとまとめる。
真城朔
ミツルがやっている間に細々とやっています。
夜高ミツル
押すとなんか生地らしくなってきた気がする。
真城朔
レンジには予熱をもうちょっと長く続けてもらって、
真城朔
天板をキッチン台に置いてクッキングシートを敷き……
真城朔
端っこを折り曲げてよいしょよいしょと伸ばしています。
真城朔
他になんかすることないかスマホのレシピを眺め……
夜高ミツル
準備してもらったクッキングシートの上に、生地を乗せていく。
真城朔
オーブンモードで予熱がされているのでじんわりと熱が伝わってくる。
夜高ミツル
「写真見た感じだとそんなに膨らまなさそう」
真城朔
クッキーみたいな感じだろうか……とぼんやりレンジの扉越しの生地を見ている。
夜高ミツル
「乾咲さんちで出てきたやつは、なんか膨らんでたけど」
夜高ミツル
「ミックス使うとあんま膨らまないのか……?」
夜高ミツル
「あれ絶対買ってきたとかじゃないもんな」
夜高ミツル
そんな話をしている間も、オーブンで生地が焼かれつつある。
真城朔
頭を突き合わせて電子レンジを覗き込んでいる……
真城朔
あんまり代わり映えしないものをぼんやりと眺めながら時間を過ごせる二人。
夜高ミツル
見た目にはそんなに変化ないように見えるけど……
真城朔
クリームを まあこれくらいかな? って量器に盛ってみたり
夜高ミツル
洗ってる間にお湯が沸いたのでカップを温め……
夜高ミツル
しっかり温めたカップに紅茶を淹れて、食卓に持っていく。
夜高ミツル
ティーパックのタグがゆらゆら揺れている。
真城朔
さすがにちゃんとした紅茶セットはハードルが高い。
真城朔
食卓で準備をしながらミツルを待っていたが……
夜高ミツル
丸い焼き菓子の乗った天板を、台ふきんの上に置いた。
真城朔
熱い天板の下で濡れた台ふきんが乾かされていく音がする……
真城朔
乾咲さんちのってあんまりまるまるころころじゃなかったな……
夜高ミツル
でもレシピの写真にはちゃんと近いと思う……
真城朔
適当なお皿を取ってぱたぱたリビングに戻ります。
真城朔
色の濃くなった紅茶の入ったカップからティーバッグを引き上げている。
夜高ミツル
あんまり良くない気がしなくもないけど……
真城朔
ちょっと濃いくらいならむしろお菓子に合うかもだし……
真城朔
まるまるほかほかのスコーンとちょっと濃い紅茶と、クロテッドクリームとジャム。
真城朔
そういったものの並べられた食卓に二人で座る。
真城朔
ティータイムでもやっちゃう。日本人だから。
真城朔
とりあえずおずおずとスコーンを取ってみる。
夜高ミツル
ジャムの瓶を開けて、スプーンで真城の皿に乗せる。
真城朔
ちょっと迷ったけど、とりあえずそのまま……
夜高ミツル
「乾咲さんの家で食べたのと違う感じがする……」
真城朔
手元のスコーンの1/4にミツルにとってもらったジャムを塗ってます。
真城朔
にこにこ頷いてから、遅れて紅茶を飲んでいる。
真城朔
出来合いのジャムと生クリームで代替したクロテッドクリーム、
夜高ミツル
「今度スコーン以外にも用意してみてもいいかもな」
夜高ミツル
「乾咲さんちでもなんか色々あったし……」
夜高ミツル
「調べて、やれそうだったら焼いてみるか」
夜高ミツル
「皆川さんに写真撮って送ればよかった」
真城朔
ぜいたく盛りスコーンを口に運びかけたところで止まる。
真城朔
ぜいたくに盛ったスコーンを、今度こそ口に頬張った。