真城朔
夕食。
真城朔
星型にんじんのカレーを食べまして。
夜高ミツル
食べました。
夜高ミツル
カレーはいつ食べてもおいしい。
真城朔
おいしかった……
夜高ミツル
二人で作ってるからなおさら。
真城朔
やっぱりこれが定番メニューという趣もあり。
真城朔
でも今日は定番メニューに続きがあり……
真城朔
「フルーツポンチ」
真城朔
「出す?」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「ん」
真城朔
頷き……
真城朔
席を立ち、気持ちぱたぱたと冷蔵庫の方へ。
真城朔
ガラスの器を持って戻ってくる。
真城朔
星型の果物のゆらゆら揺れるフルーツポンチ。
真城朔
それをよいしょと食卓の中央に置いた。
夜高ミツル
一緒に台所に行って、取り分け用の器やスプーンを取ってきた。
真城朔
カレーの器は避けて避けて……
真城朔
持っていっちゃお……
真城朔
戻ってきました。
夜高ミツル
「ありがと」
夜高ミツル
真城が戻ってきたのでラップを取って……
真城朔
じー……
夜高ミツル
「どのくらい食えそう?」
真城朔
「あ」
真城朔
「えと……」
夜高ミツル
真城の器を取って尋ねる。
真城朔
うーん……
真城朔
んー……
真城朔
「と」
真城朔
「りあえ、ず」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「半分くらい……?」
夜高ミツル
「オッケー」
真城朔
お腹に手を当てたりなどしている……
真城朔
考え込んでいる……
夜高ミツル
スプーンで、まずはところてんを…………
夜高ミツル
…………
夜高ミツル
「……箸いるな……」
真城朔
とぅるとぅるに……
夜高ミツル
つぶやいて、一旦器を置いた。
真城朔
「あ……」
夜高ミツル
台所に向かい……
夜高ミツル
いそいそと箸を取って戻ってきた。
真城朔
お腹具合確かめているうちに行きそこねた。
真城朔
待っている……
夜高ミツル
座りなおし……
夜高ミツル
改めて、まずはところてんから器に盛る。
夜高ミツル
控えめに……
真城朔
ところてんだ……
真城朔
透明でつるつるしている……
真城朔
横から見ています。
真城朔
じー
夜高ミツル
それからスプーンに持ち替えて、ちまちまと
夜高ミツル
全種類……
真城朔
ていねいに……
夜高ミツル
偏らないように……
真城朔
丁寧に盛ってくれている……
夜高ミツル
フルーツを盛り付けて、最後にサイダーを足して
夜高ミツル
ちょうど器に半分ほど。
夜高ミツル
「はい」
真城朔
きれいに。
真城朔
「ん」
真城朔
「ありがと」
真城朔
両手で受け取ります。
真城朔
まじまじ眺めている……。
夜高ミツル
眺めてるな……
夜高ミツル
自分の分の器を取り、同じように盛っていく。
夜高ミツル
量は多め。
真城朔
ミツルを待っている。
夜高ミツル
ところてんを盛り、いろどりよく果物を盛り、
真城朔
きれいに盛られる様子を見ている。
夜高ミツル
サイダーを入れ……
夜高ミツル
きれいに盛り付けて、自分の前に置いた。
真城朔
置かれた。
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
「写真撮る?」
真城朔
「写真」
夜高ミツル
「皆川さんに送るのに」
真城朔
「とる」
真城朔
頷いた。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
また腰を上げて、スマホを取ってくる。
真城朔
フルーツポンチの小さい器を持って待っている。
夜高ミツル
カメラを立ち上げながら真城の隣に戻り
夜高ミツル
カメラが近すぎるのでちょっと引いて……
真城朔
ちょっとおず……になりつつも
真城朔
笑みを浮かべてミツルとスマホの方を向いている。
真城朔
両手でフルーツポンチを持っています。
夜高ミツル
フルーツポンチを持つ真城を真ん中に収めて、
夜高ミツル
「撮るぞー」
真城朔
「うん」
真城朔
頷いた。
夜高ミツル
せーの、の掛け声
夜高ミツル
その直後に、パシャリとシャッター音。
真城朔
軽く息をつく。
真城朔
「とれた?」
夜高ミツル
確認し……
夜高ミツル
「……ん」
夜高ミツル
真城にも見せる。
夜高ミツル
「撮れてる」
真城朔
見せられた。
真城朔
「……ん」
夜高ミツル
両手でフルーツポンチを持つ真城が映っている。
真城朔
ちょっと恥ずかしい気もする……
真城朔
恥ずかしいというかこそばゆいというか……
真城朔
でも彩花に送るっていうから……
夜高ミツル
送る
真城朔
そんな感じで写真を撮るのに慣らされてきた。
夜高ミツル
「じゃあ、あとで送っとくな」
真城朔
「うん」
真城朔
「お願い」
真城朔
「たべよ」
夜高ミツル
用が済んだスマホはさっさと置いてしまう。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
カレーからなんとなくインターバルを挟んでしまったので
真城朔
改めて手を合わせる。
夜高ミツル
合わせ……
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
「いただきます」
真城朔
唱和。
真城朔
スプーンを取り……
真城朔
スプーン……
真城朔
スプーンでところてんすくうのってけっこう大変なのかもしれない……
真城朔
大変そうだった……
夜高ミツル
あ……
真城朔
諦めて、とりあえず果物から食べます。
夜高ミツル
取り分けのことしか考えてなかった。
真城朔
星型に抜いたいちごを食べ……
真城朔
もぐもぐ……
真城朔
「ん」
真城朔
頷いた。
真城朔
「おいしい」
真城朔
「よ」
夜高ミツル
とりあえず食べるのを見守るいつものやつになっていた
真城朔
ミツルを見る。
夜高ミツル
「よかった」
真城朔
こくこく……
真城朔
「ちょっとすっぱいけど」
真城朔
「いちご」
真城朔
「あ、でも」
夜高ミツル
なんとなく、真城が箸をつけるのを待つのが癖になりつつある。
真城朔
「シロップとかサイダーで」
真城朔
「甘いから」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「おいしい」
真城朔
ちょっとだけシロップを飲む。
真城朔
しゅわしゅわ……
夜高ミツル
ミツルもスプーンでいちごを取って、口に運ぶ。
真城朔
甘いしゅわしゅわを楽しみながらミツルの様子を窺っている。
夜高ミツル
ちょっと季節からは外れているけれど、真城の言う通りシロップで甘みがついている。
夜高ミツル
「ん、うまい」
真城朔
「ね」
真城朔
キウイも熟す前ですっぱめの果物だけど……
夜高ミツル
頷いている。
真城朔
こういうフルーツポンチだとちょうどいい。
真城朔
緑のお星さま。白いのが少ないのをミツルが選んだ。
夜高ミツル
まわりの柔らかめの部分を……
真城朔
柔らかい部分を与えられている……
真城朔
そういう部分をもぐもぐ食べています。
夜高ミツル
ミツルは白い方をもらっている。
夜高ミツル
ちょっとかための部分をもぐもぐ……
真城朔
果物を食べては器に口をつけてシロップを啜っている。
真城朔
ちょっと行儀悪い感じもするけど……
夜高ミツル
家だし 二人だし
真城朔
もうちょっと傾けて、スプーンでところてんをどうにかすくって
真城朔
ちゅるちゅる……
真城朔
もぐもぐ……
夜高ミツル
ちら、とそちらを見る。
真城朔
「んー……」
真城朔
もごもご口を動かしながら首を傾げている……
真城朔
暫く舌で味わっていたようだが、そのうち咀嚼して
真城朔
「なんか……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「シロップとかサイダーとかの……」
真城朔
「そういう味……?」
真城朔
ところてんの味とは……?
夜高ミツル
「ところてん本体ってそんな味ないんだよな~」
真城朔
こくこく……
真城朔
頷いている。
真城朔
「でも」
真城朔
器を浮かして照明に透かす。
真城朔
「涼しそうで、きれい」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「夏っぽい」
真城朔
「ん」
真城朔
「七夕」
夜高ミツル
「あとなんか、食感? がいいよな」
真城朔
「うん」
真城朔
「つるつる……」
真城朔
「つるつるの」
真城朔
「天の川?」
夜高ミツル
「ゼリーとかともちょっと違って……」
夜高ミツル
「そんな感じだな」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
……
真城朔
「不思議な感じ」
夜高ミツル
真ん中に川っぽく盛ったほうが良かったのかなって思った。
真城朔
器を下ろして上から見下ろしている。
夜高ミツル
思いながらところてんをすすった。
夜高ミツル
ちゅる……
真城朔
ちゅるちゅる もぐもぐ
真城朔
しゅわしゅわ……
夜高ミツル
熟してない果物の酸味も、夏っぽくて爽やかといえるかもしれない……
真城朔
シロップとサイダーが甘いし……
真城朔
ちょうどよかった のかもしれない
真城朔
「夏」
真城朔
「北海道の夏だね」
夜高ミツル
「だなー」
夜高ミツル
「梅雨が明けたら出かけたいな」
真城朔
「うん」
真城朔
「色々」
真城朔
「色んなとこ……」
真城朔
「…………」
夜高ミツル
「色んなとこ」
夜高ミツル
「行こう」
真城朔
「……うん」
真城朔
頷いた。
真城朔
頷いて、星を食べる。
真城朔
星を食んでは味わっている。
夜高ミツル
短冊は書かなかった。
夜高ミツル
誰かに頼む願い事なんてない。
夜高ミツル
やりたいこと、行きたいところ。
夜高ミツル
全部二人で叶えていく。
真城朔
今日もひとつ、願いを叶えた。
真城朔
二人で作った星を浮かべて、
真城朔
並んでその胃に収めゆく。
真城朔
ひとつずつ、満たしていく。
真城朔
甘いシロップで満たされた器に、願いの星が揺れていた。