2021/07/25 早朝
真城朔
そこから覗く白い素肌は今は綺麗に傷もなく。
夜高ミツル
それには安堵しつつ、武装を外してブルーシートの上に置く。
夜高ミツル
話さなければいけないことは色々あるが。
真城朔
血を吸わせてもらったから傷も塞がったし、血戒も存分に使えたし……
夜高ミツル
傷口の塞がった腕にこびりついた血と、それから、
真城朔
結局あのあと、狩りの最中であることも忘れて熱烈に身体を重ねてしまった。
真城朔
ミツルの背中に縋って啼いていた記憶がばっちりある。
夜高ミツル
真城が痛くないよう気を回していた記憶は、ある。
真城朔
細く頼りない身体を抱くようにして俯いている。
夜高ミツル
今にして思えば、もっと根本的に気を回せなかったのか……という感じだが……
真城朔
魔女が相手だったから、とか、血が出ていたから、とか、
真城朔
言い訳はいくらでも立つが、やらかしたことはやらかしたこと。
真城朔
一応……皆魔女狩人ということで……狩りには貢献したし……
真城朔
まあそういうことも……みたいな空気感ではあったけども……
夜高ミツル
自分はともかく、真城を好奇の目に晒してしまった。
真城朔
してたからには、そういう目を向けられるのは……
真城朔
シャワーが汚れた身体を叩き、水滴となって転がり落ちていく。
夜高ミツル
あらかた汚れを流したところで、一旦シャワーを止めてフックにかける。
夜高ミツル
普段どおりにするので、普段どおりミツルが真城を洗うことになる。
夜高ミツル
手のひらでシャンプーを泡立てて、まずは頭を洗う。
真城朔
当初はどうして洗わせているんだろう……くらいの疑問があったが
夜高ミツル
あわあわにした真城の頭を、シャワーで流していく。
夜高ミツル
狩りのあとなのでトリートメントまではしない。
夜高ミツル
さっと上がってひとまず寝ようという感じで……
夜高ミツル
頭を流し終えて、今度はボディタオルを泡立てる。
夜高ミツル
それが落ちついたところで、背中から洗っていく。
夜高ミツル
洗いながら、擦り傷などついていないのを改めて確かめる。
真城朔
負った傷は血を得て治したし、それ以降はなんとか対応できた。
夜高ミツル
あの後怪我を負わずに済んだのは、まあ、不幸中の幸いだろうか……
真城朔
自分たちが手を拱いたことでこれから浮気騒ぎが増えることはあるだろうが……
夜高ミツル
怪我ならば、この状態で隠せるはずもなく。
夜高ミツル
となると……心当たりは…………まあ…………
夜高ミツル
ささっと残りの部分もタオルで洗って、再びお湯を出す。
真城朔
一息ついたところにお湯に肌を叩かれ、ひく、と肩が揺れた。
真城朔
ゆっくりと瞼を上げ、濡れた瞳でミツルを見上げる。
真城朔
ややためらいがちにバスチェアから腰を上げる。
真城朔
ミツルの首に腕を回して、しがみつくように身体を凭せかけた。
夜高ミツル
シャワーはフックにかけて、片腕を真城の身体に回す。
夜高ミツル
言って、背中側からそろそろと手を真城の脚の間に伸ばす。
真城朔
それだけで、しがみついた身体がぴくりと跳ねる。
夜高ミツル
自身も同じ状態なのが、見るまでもなく分かる。
夜高ミツル
傷つけないように、ゆっくりと指先を沈めていく。
夜高ミツル
か細い真城の声が、ごく近くに聞こえる。
夜高ミツル
指を曲げて、自身が放ったものを掻き出す。
真城朔
今は直接触れ合っている肌と肌が、さらに密着する。
真城朔
真城の上ずった声が絶え間なく耳に響いている。
夜高ミツル
出しっぱなしのお湯が、浴室の熱を高めていく。
真城朔
篭もった熱はどこにも逃がせないまま滞留していく。
夜高ミツル
心臓がどくどくと早鐘を打っているのを感じる。
真城朔
ひときわ高い声と同時に、真城の身体が強張る。
真城朔
内側がひくりと収縮して、ミツルの指を締めつける。
夜高ミツル
シャワーに肌を叩かれながら、まだ抱き合ったままでいる。
真城朔
立ち上がれなくなったぐずぐずの有り様で、ミツルに身体を委ねている。
真城朔
濡れたうめき声と、ぐずるような鼻を啜る音が響いた。
真城朔
小刻みに震える身体がミツルへと押し付けられる。
真城朔
熱と密着を求めてあさましくすり寄っている。
夜高ミツル
つい数時間前のことを忘れたわけではない。
夜高ミツル
真城の求めを拒むことが、ミツルにはどうしても。
夜高ミツル
うつむく頬に手を添えて、こちらに向けさせる。
真城朔
熱に潤んだ瞳が、目の前のミツルを映して揺れている。