2021/08/03 昼過ぎ
真城朔
いつもどおりにエプロンを着てキッチンに並ぶ。
夜高ミツル
台の上には量り終わった材料諸々が並べてある。
夜高ミツル
意外と簡単に作れそうなレシピがあったので、挑戦してみることにした。
真城朔
餃子ピザほどじゃないけど、まあ、シンプル?
真城朔
見た目にはもうどっちがどっちだかわかんないな……
真城朔
粉と粉をとりあえずふるってボウルへと入れていく。
夜高ミツル
強力粉、正直結構何に使うのか分からなかったとこある。
真城朔
なんか調べてみたらパンケーキとかカステラとかあった……
夜高ミツル
カステラって家で作れるんだな……って思った。
真城朔
強力粉と薄力粉をふるいおわったので、粉ふるいは流し台にえい。
真城朔
粉をふるい終わったら量り済みのものをあとはぽいぽい入れていくだけなので……
真城朔
砂糖塩ベーキングパウダーヨーグルトにオリーブオイル。
夜高ミツル
コンロにフライパンを置いて火にかけて。
真城朔
を入れていきながら、ミツルの軽やかな手さばきを見ている。
夜高ミツル
あんまり褒められるといつもむず痒い感じになる……。
夜高ミツル
トマト缶を開けて、温まったフライパンにべちゃっ。
夜高ミツル
一旦火を止めて、掃除用のタオルを取る。
夜高ミツル
タオルを軽く濡らして絞り、飛び散った粉を拭き取る。
真城朔
ぴたっと固まったままその様子を見ている……
夜高ミツル
拭き終わったのでタオルを洗って、また使うかもなのでとりあえずかけておく。
真城朔
ぐるぐる というより ぐい……ぐい……みたいな……
真城朔
水分や油分のあるところに粉を押し付けるみたいな混ぜ方。
夜高ミツル
先程開けた缶のトマトの上に、スライスしたにんにくやオリーブオイルなど、諸々を入れていく。
夜高ミツル
ちなみにレシピだとトマト缶半分って書いてあったけど……
夜高ミツル
半分使うのは面倒なので、2倍の量で作っている。
夜高ミツル
ちらっと真城を見て、フライパンの方に視線を戻す。
真城朔
意外と粉っぽいとこが残るのでがんばってねりこんでいる。
夜高ミツル
とはいえこちらは火にかけながら混ぜるだけなので、やっぱりちらちらと真城の方へ視線を向けてしまう。
真城朔
こねては丸くし、上から力を入れて潰し、こねては丸くし……
真城朔
粉っぽい部分がもうだいぶなくなっているのに無心にやっている。
夜高ミツル
真城がえいえいやっている間に、ソースの方がなんとなく煮詰まった感じになってきた。
夜高ミツル
火を切って、ホコリが入らないよう一旦蓋をする。
夜高ミツル
材料を量るのに使っていた小皿などを回収していく。
真城朔
ミツルが次の作業に動き始めたのを見てはた、になる。
夜高ミツル
正直初めてつくるので分からないところもあるが……
真城朔
手で直接触れないように包んで、冷蔵庫へと。
夜高ミツル
オーブンレンジの前に立ち、220度で予熱をセット。
夜高ミツル
台の方に戻って、残りの洗い物を流しに回収する。
真城朔
冷蔵庫に入れたので、15分のタイマーをセット。
真城朔
ミツルのすすぎが始まるまで隣で立って待っています。
夜高ミツル
真城が来たのに気づいて、泡だらけの皿を水ですすいでいく。
夜高ミツル
そんな感じで次々と、いつものように……
真城朔
生地を寝かせ始めてから5分くらいしか経ってない。
夜高ミツル
「まあ、まだ予熱終わってないしちょうどいいか」
真城朔
もたもたとスマホを取って、次からを確認している。
真城朔
「寝かせ終わったら、打ち粉と綿棒で伸ばす」
真城朔
ミツルがラップを取ったのを見て、薄力粉を取ってくる。
夜高ミツル
ぴーっとラップを取って、台の上に広げる。
夜高ミツル
上の方の角をちょっと切って、水を出しておく。
真城朔
粉チーズととろけるチーズと板のチーズとみたいな……
夜高ミツル
たまにちょっといいスーパーでチーズを見ると、めちゃくちゃある。
真城朔
冷蔵庫の扉を開け、まんまるの生地を取り出し
夜高ミツル
モッツァレラのパックはとりあえず台に置き、
真城朔
綿棒を取って、えいしょえいしょと伸ばしていく。
夜高ミツル
口を出そうかと思ったけど、真城が自分でやれたので、なんか曖昧に腕を上げただけになった。
真城朔
イレギュラーで困ったらフリーズはしちゃう。
夜高ミツル
そう待たせることもなく、全体に塗り終わる。
真城朔
まるまるもちもちつやつやしたチーズを取り出し……
真城朔
ちぎったモッツァレラをそっ……とトマトソースの敷かれたピザの上に置いています。
夜高ミツル
「そんな、こう……もちもちした感じじゃないよな」
真城朔
ふしぎなチーズをちぎって生地の上に並べました。
夜高ミツル
フライパンを持ったままぼんやりと眺めてしまった。
夜高ミツル
「ソースとチーズと……あとは焼いたらバジル乗せるだけだもんな」
夜高ミツル
オーブンを振り向けば、予熱はばっちり終わっている。
夜高ミツル
オーブンシートを取り出して、ピッと破く。
真城朔
えいしょっとピザを天板のオーブンシートの上に乗っける。
夜高ミツル
いっぱいある。50gしか使わないから。
真城朔
8月9月で使い切るぞ! という意気込みで買った。
夜高ミツル
基本的に3食自炊だからいけるだろうという判断。
真城朔
というわけで使い、今は回るピザを眺めている。
夜高ミツル
そういえば色々置きっぱなしなことを思い出す。
夜高ミツル
ので……その辺りを片付けたりしていく。
夜高ミツル
ソースはタッパーに移し、洗い物は流しへ。
夜高ミツル
牛乳は去年真城にいっぱい推されたので、それ以来なんとなく買う習慣がついた。
真城朔
そうしてあとはピザを迎えるところまでというところまで整えて……
夜高ミツル
二人でおお~……になっていたが、はたと気づいてミトンを取る。
夜高ミツル
ふきんを敷いてもらったところに乗せる。
真城朔
改めてバジルをちぎり、上に乗せていきます。
真城朔
トマトソースの上でモッツァレラチーズがとろけている。
夜高ミツル
「バジル乗せるとマジでピザって感じだな……」
夜高ミツル
クッキングシートを持ち上げて、すす……とシートから皿に滑らせた。
真城朔
まんまるとはいかないし、なんか……生地が膨らんでるでもない。
真城朔
ぺたんとした生地の上にピザの具が乗ってる感じ。
夜高ミツル
包丁でもいいんだけど……今後も何回か作るだろうということで……
夜高ミツル
ミツルはピザカッターを持って、一緒に食卓に向かう。
真城朔
緊張が伝わったのか、表情を引き締めてミツルの手元を見ている。
夜高ミツル
ピザの上空で真ん中のラインをふんわりと確認し……
夜高ミツル
ルートを確認したので端っこに丸い刃を当てる。
夜高ミツル
ちょっと偏ってるかもしれないけど……概ね……
真城朔
どきどきしながらミツルがしていたのと同じように……
夜高ミツル
「滑りそうだったら、手で生地抑えていいから」
真城朔
とりあえず、このあたりか……というのがなんとなく掴めてきた……
真城朔
何回もころころさせるような感じじゃなくて、
真城朔
ぐぐぐーっと……やったら、かなり切れた感じになった。
真城朔
安心した様子でミツルにピザカッターを手渡そうとします。
夜高ミツル
ミツル本人は分かってないが、調理のあらゆるスピードは一人暮らしの頃の方が速かった。
真城朔
真城はそれを横から見ていたはずだがそれに気づいていない。
夜高ミツル
真城の方をいつも気にするし、単純に時間に追われることがなくなったしで……
夜高ミツル
よく言えば丁寧、悪く言えば手際が悪く……
夜高ミツル
そんな感じで、もたもたとピザを切り終えた。
真城朔
やや不格好なピザがたぶんまあまあきれいに6等分。
夜高ミツル
そんなに差はないけど、気持ち大きめ一切れに手を伸ばす。
夜高ミツル
持ち上げるとチーズがとろりと糸を引く。
真城朔
じっと眺めてから、ピザの先端をぱくりと食べた。
真城朔
ぱりっとした生地の上ににんにくの入ったトマトソースとチーズと……
夜高ミツル
シンプルだけど、シンプルにめちゃくちゃうまい。
夜高ミツル
「ちゃんとしたピザを食べてる感じの……」
真城朔
ちょっとずつではあるけど、いつもよりペースが早いようなどうだろうな……
夜高ミツル
チーズとトマトとバジル、最適解という感じがする……
真城朔
シンプルだな……って思ったけど、シンプルイズベストというやつだった感じがある。
真城朔
ペース早いように見えて、一切れをちまちまと食べている。
真城朔
ひと切れ目をもぐむくしながらミツルのその様子を見ている。
真城朔
外側になっていくとクリスピー感が強くなっていく。
真城朔
けど、十分おなかいっぱいになったようで、おしぼりで指先を拭いている。
夜高ミツル
もう少し食べるか訊こうと思っていたが、その様子を見て大丈夫そうだな、と思う。
真城朔
満足げな顔をし、ミツルが食べるのを見てますます満足げ。
夜高ミツル
クリスピーな端っこをさくさくと齧って飲み込み……
夜高ミツル
「こんだけシンプルな材料に入ってるってことは、それだけ大事なんだよな……」
夜高ミツル
「トマトとチーズだけだと多分単調になるもんな」
夜高ミツル
それだけでもうまいだろうとは思うけど……
夜高ミツル
18歳の出す結論がこれでいいのかは疑問なところ。
夜高ミツル
どちらもどうかと思わないのでそれでよいことになる。
真城朔
ミツルがたいらげるならそれでいいと思ってみていたが……
真城朔
牛乳を飲むミツルの肩にちょっと寄り添った。
夜高ミツル
餃子ピザのあと調べたらめちゃくちゃ種類あった……
夜高ミツル
「餃子ピザだとあんまり具だくさんなやつ作れなかったから」
夜高ミツル
餃子ピザは小さいからあんまり色々乗らない。
夜高ミツル
「食べるの大変そうだったら、小さめに切れるしな」
夜高ミツル
「今回は6個に分けたけど、8個に分けるとか」
夜高ミツル
寄せられた肩に、ミツルからも少し体重を預ける。
真城朔
ただ穏やかに触れ合うだけの時間に浸っていた。