2021/08/03 昼過ぎ

真城朔
いつもどおりにエプロンを着てキッチンに並ぶ。
夜高ミツル
台の上には量り終わった材料諸々が並べてある。
真城朔
今日はピザ作り。
真城朔
前の餃子ピザとは違い、
真城朔
生地をこねてつくるピザ。
夜高ミツル
意外と簡単に作れそうなレシピがあったので、挑戦してみることにした。
真城朔
発酵とかいらないってかいてある……
夜高ミツル
材料も思ったより手頃な感じで……
真城朔
手順も……
真城朔
餃子ピザほどじゃないけど、まあ、シンプル?
真城朔
二人並び材料に向き合い……
真城朔
ちらりとミツルの顔を窺う。
夜高ミツル
目が合う。
夜高ミツル
「えーと……じゃあ」
夜高ミツル
「生地の方頼んでいいか?」
夜高ミツル
「俺はソースの方するから」
真城朔
「生地」
真城朔
じ、と並んだ粉の二種類を見る。
真城朔
見た目にはもうどっちがどっちだかわかんないな……
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく頷いて
真城朔
「生地する」
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
「頼む」
真城朔
「ん」
真城朔
またこくこく……
真城朔
して、ボウルと粉ふるいを用意。
真城朔
粉と粉をとりあえずふるってボウルへと入れていく。
真城朔
強力粉はじめてかった……
夜高ミツル
強力粉、正直結構何に使うのか分からなかったとこある。
真城朔
なんか調べてみたらパンケーキとかカステラとかあった……
夜高ミツル
カステラって家で作れるんだな……って思った。
夜高ミツル
真城の隣でミニまな板を置く。
真城朔
ふるいふるい……
夜高ミツル
とすとすとにんにくを薄切りに。
真城朔
強力粉と薄力粉をふるいおわったので、粉ふるいは流し台にえい。
夜高ミツル
2かけ分刻んで、包丁を置く。
真城朔
粉をふるい終わったら量り済みのものをあとはぽいぽい入れていくだけなので……
真城朔
砂糖塩ベーキングパウダーヨーグルトにオリーブオイル。
夜高ミツル
コンロにフライパンを置いて火にかけて。
真城朔
を入れていきながら、ミツルの軽やかな手さばきを見ている。
真城朔
軽やかというか、軽やかに見える。
真城朔
おれとちがってなれててすごい……
夜高ミツル
あんまり褒められるといつもむず痒い感じになる……。
真城朔
べらでさっくり混ぜてます。
真城朔
さっくり……
夜高ミツル
トマト缶を開けて、温まったフライパンにべちゃっ。
真城朔
「あっ」
真城朔
粉がボウルの縁から飛んだ。
夜高ミツル
「え」
真城朔
エプロンにくっつき、床にぱたたっと散る。
夜高ミツル
したところで、真城を見る。
真城朔
ちょっとした量ではあるけど……
真城朔
「…………」
真城朔
ミツルを見る。
真城朔
おろ……
夜高ミツル
ああ……っ
夜高ミツル
一旦火を止めて、掃除用のタオルを取る。
真城朔
はわ……
真城朔
「ご」
真城朔
「ごめん……」
夜高ミツル
「大丈夫大丈夫」
真城朔
気を取り直したように謝る。
夜高ミツル
「飛ぶよな~粉」
真城朔
しょぼ……
真城朔
しょぼになりながら小さく頷いた。
真城朔
両腕でボウルを抱えている……
夜高ミツル
タオルを軽く濡らして絞り、飛び散った粉を拭き取る。
夜高ミツル
ふきふき……
真城朔
ぴたっと固まったままその様子を見ている……
夜高ミツル
拭き終わったのでタオルを洗って、また使うかもなのでとりあえずかけておく。
夜高ミツル
トマトソースもよく飛んだりするため。
真城朔
「あ」
真城朔
「ありがと」
真城朔
しょぼしょぼしたままそのように。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「気にすんな~」
真城朔
「ん……」
真城朔
しょぼしょぼめに頷き……
真城朔
今度はさっきより丁寧に粉を混ぜ始めた。
真城朔
ぐるぐる というより ぐい……ぐい……みたいな……
夜高ミツル
フライパンの前に戻って再び点火。
真城朔
水分や油分のあるところに粉を押し付けるみたいな混ぜ方。
夜高ミツル
先程開けた缶のトマトの上に、スライスしたにんにくやオリーブオイルなど、諸々を入れていく。
真城朔
おお~……
真城朔
ミツルの手際を後ろから眺めていたが……
夜高ミツル
ちなみにレシピだとトマト缶半分って書いてあったけど……
夜高ミツル
半分使うのは面倒なので、2倍の量で作っている。
真城朔
はたと我に返り、いっぱいこねる。
真城朔
へらでは結構混ざってきたので……
夜高ミツル
こねてるな……
真城朔
もういいかと手でこねるのに移行した。
真城朔
ボウルを料理台に置き……
夜高ミツル
ちらっと真城を見て、フライパンの方に視線を戻す。
真城朔
腕の力でこねこねをやっている。
真城朔
意外と粉っぽいとこが残るのでがんばってねりこんでいる。
真城朔
ねりねり……
真城朔
えいやえいや
夜高ミツル
とはいえこちらは火にかけながら混ぜるだけなので、やっぱりちらちらと真城の方へ視線を向けてしまう。
夜高ミツル
ねりねりしている。
真城朔
けっこう真剣にやってます。
真城朔
割といつでも真剣であるが……
真城朔
なんというか……
真城朔
無心……
夜高ミツル
生地に向き合っている……
真城朔
正面から生地と向き合っています。
真城朔
えいしょえいしょ……
真城朔
こねては丸くし、上から力を入れて潰し、こねては丸くし……
真城朔
粉っぽい部分がもうだいぶなくなっているのに無心にやっている。
夜高ミツル
真城がえいえいやっている間に、ソースの方がなんとなく煮詰まった感じになってきた。
真城朔
楽しくなっているのか? 作業が。
夜高ミツル
火を切って、ホコリが入らないよう一旦蓋をする。
真城朔
こねこね……
夜高ミツル
材料を量るのに使っていた小皿などを回収していく。
真城朔
こね……
真城朔
ミツルが次の作業に動き始めたのを見てはた、になる。
真城朔
目の前の生地をじっと見つめ……
真城朔
「…………」
真城朔
けっこう……
夜高ミツル
流しに置いて……
真城朔
なってきてるか……?
真城朔
ちらちらミツルを窺い始めた。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
目が合った。
夜高ミツル
「よさそうな感じ?」
真城朔
「あ」
真城朔
「っと」
真城朔
頷いて、ボウルの中身を示す。
真城朔
「よさそう……?」
真城朔
まあ結構こねっと混ざっている。
夜高ミツル
覗き込む。
真城朔
きょど……
夜高ミツル
正直初めてつくるので分からないところもあるが……
夜高ミツル
「いいと思う」
真城朔
ほ……
夜高ミツル
「生地っぽい感じになってる」
真城朔
「うん」
真城朔
「じゃあ、えと」
真城朔
考え込み……
真城朔
思い出そうとしている……
夜高ミツル
「えーと……」
夜高ミツル
「ラップかけて冷蔵庫?」
真城朔
「あ」
真城朔
いっぱい頷きます。
真城朔
「する」
夜高ミツル
一応スマホで確認する。
真城朔
ラップを出そうとし……
真城朔
手がなんかべたべと……
真城朔
流し台で洗います。手を。
真城朔
オリーブオイルとヨーグルトがね。
真城朔
じゃぶじゃぶ……
夜高ミツル
「うん、合ってるな」
夜高ミツル
確認した。
真城朔
「うん」
真城朔
「ありがとう……」
夜高ミツル
「15分だって」
真城朔
手を拭きながらラップを取ります。
真城朔
「15分」
真城朔
頷く。
真城朔
ラップを広げ……
夜高ミツル
「あ、予熱予熱……」
真城朔
ボウルから生地を
夜高ミツル
確認してついでに思い出した。
真城朔
でーんと中央めに。
真城朔
手で直接触れないように包んで、冷蔵庫へと。
夜高ミツル
オーブンレンジの前に立ち、220度で予熱をセット。
夜高ミツル
キッチンを二人で行ったり来たり……
真城朔
わたわたわちゃわちゃ
夜高ミツル
台の方に戻って、残りの洗い物を流しに回収する。
真城朔
冷蔵庫に入れたので、15分のタイマーをセット。
真城朔
ぴぴ……
真城朔
ふう。
真城朔
終わった……
真城朔
終わってないけど。
夜高ミツル
終わってないなあ。
夜高ミツル
待ってる間に洗い物をやっていく。
真城朔
待ってる間になにか……
真城朔
なにか……ええと……
真城朔
洗い物は……ミツがやってて……
真城朔
ふきんを取った。
真城朔
流しかごの方へ。
夜高ミツル
小皿たちをあわあわと洗っている。
真城朔
まだ来てなかった……
真城朔
ミツルのすすぎが始まるまで隣で立って待っています。
真城朔
ふきん片手に……
真城朔
じー
夜高ミツル
真城が来たのに気づいて、泡だらけの皿を水ですすいでいく。
夜高ミツル
じゃぶじゃぶ……
夜高ミツル
きれいになったのを真城に手渡す。
夜高ミツル
「頼む」
真城朔
「ん」
真城朔
頷いて、受け取る。
真城朔
「ありがと」
真城朔
ちょっと振って水を切り……
真城朔
ふきんで拭いては戻していく。
夜高ミツル
そんな感じで次々と、いつものように……
真城朔
二人でやっていき。
真城朔
そんなに時間もかからない。
夜高ミツル
洗い洗い ふきふき……
真城朔
これでよし。
真城朔
生地を寝かせ始めてから5分くらいしか経ってない。
夜高ミツル
「結構長いな~15分……」
真城朔
「ん……」
真城朔
ちょっとしょぼになりながら頷いた。
真城朔
もっと手際が良ければ……
夜高ミツル
「まあ、まだ予熱終わってないしちょうどいいか」
真城朔
「いい」
真城朔
「かな……」
真城朔
ええと……
真城朔
もたもたとスマホを取って、次からを確認している。
真城朔
「生地」
夜高ミツル
横から一緒に覗き込む。
真城朔
「寝かせ終わったら、打ち粉と綿棒で伸ばす」
真城朔
レシピページを読み上げている。
真城朔
「ラップ」
真城朔
「敷く……?」
夜高ミツル
「そうだなー」
真城朔
こくこく
夜高ミツル
ラップを取る。
真城朔
ミツルがラップを取ったのを見て、薄力粉を取ってくる。
夜高ミツル
ぴーっとラップを取って、台の上に広げる。
夜高ミツル
敷き……
夜高ミツル
打ち粉もするので広めに敷く。
真城朔
敷いてもらった上から粉をよいしょよいしょ
真城朔
広げていきます。
真城朔
準備ができた。生地を迎える準備が。
真城朔
あと5分くらいある。
夜高ミツル
まだあるな……
夜高ミツル
迎える準備は万全になっている。
夜高ミツル
「チーズも出しとくか」
真城朔
「うん」
真城朔
「チーズ……」
真城朔
いいチーズを買ってきた……
夜高ミツル
冷蔵庫を開けて、チーズを取り出す。
夜高ミツル
いいやつ。モッツァレラ。
真城朔
水に入ってる。
夜高ミツル
フレッシュタイプだ!
真城朔
ちょっと緊張する。
夜高ミツル
上の方の角をちょっと切って、水を出しておく。
夜高ミツル
とぽとぽ……
真城朔
どきどき……
夜高ミツル
水を切り……
夜高ミツル
改めてパックを開ける。
真城朔
上の方からじっと見ている。
夜高ミツル
「モッツァレラだ……」
夜高ミツル
真城からも見えやすいよう傾ける。
真城朔
「もっつぁれら……」
夜高ミツル
白くて丸くてもちもちのチーズが……
真城朔
復唱しながら覗き込んでいる。
真城朔
白くて丸くてもちもちだ……
真城朔
輝いている……
夜高ミツル
「白い」
夜高ミツル
「まるい」
真城朔
「つやつやしてる……」
夜高ミツル
「なかなか買わない、っていうか」
夜高ミツル
「初めて買ったな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
「なんか……」
真城朔
「チーズの種類」
真城朔
「よくわかんない……」
夜高ミツル
「な~」
真城朔
粉チーズととろけるチーズと板のチーズとみたいな……
夜高ミツル
「めちゃくちゃあるもんな、実は……」
夜高ミツル
たまにちょっといいスーパーでチーズを見ると、めちゃくちゃある。
夜高ミツル
めちゃくちゃいっぱいある。
真城朔
「ある……」
真城朔
「すごい……」
真城朔
「すごいいっぱいある」
真城朔
得体のしれないチーズもいっぱいある
夜高ミツル
「いっぱいあるなー……」
真城朔
「あれ」
真城朔
「わかる人は」
真城朔
「全部わかる……?」
夜高ミツル
「酒好きな人とか……?」
夜高ミツル
「ワイン……?」
真城朔
「お酒……」
真城朔
ミツルを見る。
真城朔
18歳……
真城朔
別に飲んでいいっちゃいいとは思うけど……
夜高ミツル
別に焦るものでなし。
夜高ミツル
20歳の楽しみに置いてある。
真城朔
「ワイン、は」
真城朔
「あんまり甘くない……」
真城朔
よくわからないことを言い出した。
夜高ミツル
「甘くないのか……」
真城朔
「甘いやつは甘い」
真城朔
「らしい、けど」
真城朔
「ジュースのほうが……」
夜高ミツル
「へー」
真城朔
「なんかしぶくて」
真城朔
とか言ってると、
真城朔
タイマーがぴぴっと鳴り始めた。
夜高ミツル
「あ」
真城朔
はたになって振り返る。
真城朔
「15分……」
真城朔
冷蔵庫へとGO。
真城朔
冷蔵庫の扉を開け、まんまるの生地を取り出し
真城朔
「…………」
真城朔
あんまり見た目は変わってないな……
夜高ミツル
モッツァレラのパックはとりあえず台に置き、
真城朔
15分で変わるはずもないか……
夜高ミツル
真城の後ろから生地を見る。
夜高ミツル
変わってないなー。
真城朔
「えっと」
真城朔
「伸ばす、ね」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「頼む」
真城朔
ラップから取り出し……
真城朔
打ち粉の中央へGO。
真城朔
綿棒を取って、えいしょえいしょと伸ばしていく。
真城朔
力作業。
真城朔
とくいなやつ
夜高ミツル
得意なので、任せている。
夜高ミツル
見守り……
真城朔
力作業は得意なんだけど……
真城朔
なんか……
真城朔
「…………?」
真城朔
伸び方がなんか……
真城朔
縦長になってきたな……
真城朔
ちょっとひっくり返して角度を変え……
真城朔
横を伸ばしていこうとしています。
真城朔
えいしょえいしょ……
夜高ミツル
口を出そうかと思ったけど、真城が自分でやれたので、なんか曖昧に腕を上げただけになった。
真城朔
けっこうきづくようにはなりつつある。
夜高ミツル
えらい。
真城朔
困ったらフリーズしちゃうけど……
真城朔
イレギュラーで困ったらフリーズはしちゃう。
夜高ミツル
そういうときもある。
真城朔
のびのび伸ばし伸ばし……
夜高ミツル
伸ばしてるな……
真城朔
「んー……」
真城朔
伸びてる……と思うけど……
真城朔
「これくらい……?」
夜高ミツル
生地を見る。
真城朔
けっこうまあ伸びてます。
真城朔
ややひらため。
夜高ミツル
「うん、いいと思う」
真城朔
ほ……
真城朔
「あとは、ええと」
真城朔
「のせる?」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
フライパンの蓋を取る。
真城朔
じー
夜高ミツル
フライパンを持って生地の前に立ち
夜高ミツル
スプーンでソースを塗っていく。
真城朔
じー……
真城朔
はっ
真城朔
「チーズ」
夜高ミツル
塗り塗り……
真城朔
モッツァレラを手に取る。
真城朔
結局塗り終わるまでは待機だけど……
夜高ミツル
そう待たせることもなく、全体に塗り終わる。
夜高ミツル
真城と場所を交代する。
真城朔
交代。
真城朔
モッツァレラを……
真城朔
まるまるもちもちつやつやしたチーズを取り出し……
真城朔
ちぎ……
真城朔
ちぎった。
夜高ミツル
もちもちが
真城朔
もちもちをちぎりました。
真城朔
なんか不思議な感覚……
真城朔
「チーズ」
真城朔
「って、もっと」
真城朔
「こう……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
ちぎったモッツァレラをそっ……とトマトソースの敷かれたピザの上に置いています。
真城朔
「硬い」
真城朔
「というか……」
真城朔
のせ……
夜高ミツル
「だよな」
夜高ミツル
「そんな、こう……もちもちした感じじゃないよな」
真城朔
「包丁とかで切る感じの……」
真城朔
モッツァレラはもちもちだし……
真城朔
断面が不思議な感じで……
真城朔
ふしぎ……
夜高ミツル
ふしぎだな……
夜高ミツル
白くて丸くてもちもちだな……
真城朔
ふしぎだ……
真城朔
ふしぎなチーズをちぎって生地の上に並べました。
真城朔
とりあえず手を洗う。
夜高ミツル
フライパンを持ったままぼんやりと眺めてしまった。
真城朔
洗って戻ってくる。
夜高ミツル
とりあえず一旦置いて……
真城朔
「なんか……」
真城朔
「こうして見ると……」
真城朔
「…………」
真城朔
「シンプル?」
夜高ミツル
「だなあ」
夜高ミツル
「ソースとチーズと……あとは焼いたらバジル乗せるだけだもんな」
真城朔
「うん」
真城朔
「チーズが」
真城朔
「高いから……?」
夜高ミツル
「なのかな……」
真城朔
二人で並んでピザを眺めている。
夜高ミツル
眺めている場合ではない。
夜高ミツル
オーブンを振り向けば、予熱はばっちり終わっている。
夜高ミツル
「焼くか~」
真城朔
「あ」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
真城朔
「焼こう」
真城朔
「えっと」
真城朔
天板をよいしょっと持ってくる。
真城朔
軽々
真城朔
片手で天板とれる
夜高ミツル
オーブンシートを取り出して、ピッと破く。
夜高ミツル
天板の上に敷き……
真城朔
えいしょっとピザを天板のオーブンシートの上に乗っける。
夜高ミツル
オーブンを開けて……
夜高ミツル
ピザの乗った天板をイン。
真城朔
ごーごー
真城朔
スマホを確認。
真城朔
「10分」
真城朔
「だって」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
蓋を閉じて、10分でセット。
夜高ミツル
ぴっぴっ
真城朔
回り始めたピザを見ている。
真城朔
じー……
夜高ミツル
そのまま一緒にピザの回るのを眺め……
真城朔
並んで見てる。
夜高ミツル
ぐるぐる……
真城朔
こういうのぼんやり見られるカップル
真城朔
「……けっこう」
真城朔
ぽつり
夜高ミツル
「ん」
真城朔
「かんたんだった……」
真城朔
「生地……」
夜高ミツル
「な」
夜高ミツル
「ソースもかなり手軽で」
真城朔
「チーズはいいやつだったけど……」
真城朔
ぐるぐる回ってるのを見ている……
真城朔
「たぶん」
真城朔
「ふつうのでも、できる……」
夜高ミツル
「できると思う」
夜高ミツル
「作れるもんだな、生地……」
夜高ミツル
「次は俺もそっちやってみたい」
真城朔
「ん」
真城朔
「そのときは、俺」
真城朔
「ソース……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「あ」
真城朔
「具、変えてみる」
真城朔
「とか……?」
夜高ミツル
「ソーセージとかベーコンとか」
真城朔
「うん」
真城朔
「いろいろ……」
夜高ミツル
「野菜も色々あるしなー」
夜高ミツル
「シーフードも良さそう」
真城朔
「ピーマン」
真城朔
「たまねぎ……」
夜高ミツル
「うんうん」
夜高ミツル
「マッシュルームとか」
真城朔
「輪切りの缶のやつ……」
真城朔
輪切り……?
真城朔
縦切りか……? あれ……?
夜高ミツル
輪……?
夜高ミツル
言いたいことは伝わる。
夜高ミツル
伝わるので頷いている。
真城朔
つたわってよかった……
真城朔
「いろいろ」
真城朔
「乗せれる……」
夜高ミツル
「粉もまだあるしな」
夜高ミツル
「試そ試そ」
真城朔
「粉」
真城朔
「いっぱいある……」
真城朔
ほんとにいっぱいあるんだよな。
夜高ミツル
いっぱいある。50gしか使わないから。
真城朔
8月9月で使い切るぞ! という意気込みで買った。
夜高ミツル
基本的に3食自炊だからいけるだろうという判断。
夜高ミツル
使い切るぞ~
真城朔
使うぞ~
真城朔
というわけで使い、今は回るピザを眺めている。
夜高ミツル
眺めていたが……
夜高ミツル
そういえば色々置きっぱなしなことを思い出す。
真城朔
打ち粉も綿棒もだしっぱなし。
夜高ミツル
余ったソースも置いてある。
夜高ミツル
ので……その辺りを片付けたりしていく。
真城朔
よいしょえいしょ
真城朔
料理台をふきふき……
夜高ミツル
ソースはタッパーに移し、洗い物は流しへ。
真城朔
ラップも片付ける。
夜高ミツル
かたしかたし……
真城朔
ついでにピザ皿の準備とかもして……
真城朔
飲み物は牛乳でいいかな……
真城朔
パン系にとりあえず牛乳を添えがち。
夜高ミツル
牛乳はおいしい。
夜高ミツル
あんまりコーラとかは買わない二人。
真城朔
あんま健康そうじゃないし……
夜高ミツル
牛乳は去年真城にいっぱい推されたので、それ以来なんとなく買う習慣がついた。
真城朔
おいしいし……
夜高ミツル
カルシウムも摂れてなんかいい。
真城朔
タンパク質は大事。
真城朔
狩人は身体が資本だから。
真城朔
そうしてあとはピザを迎えるところまでというところまで整えて……
真城朔
整えたところで、電子レンジが鳴る。
夜高ミツル
「お」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
二人でレンジの方に向かう。
夜高ミツル
蓋を開け……
夜高ミツル
「お~……」
真城朔
「おお~……」
真城朔
チーズがとけてる……
夜高ミツル
ピザの匂いがキッチンに広がる。
夜高ミツル
「ピザだ……」
真城朔
「ピザ……」
真城朔
餃子の皮ピザもかなりピザだったけど……
夜高ミツル
ちゃんとしたピザだ……
夜高ミツル
二人でおお~……になっていたが、はたと気づいてミトンを取る。
真城朔
「あ」
真城朔
「えと、バジル」
真城朔
スタンバイします。
真城朔
生バジルも結構高級感ある。
夜高ミツル
「あ、あとあれ、布巾」
夜高ミツル
「頼む」
真城朔
「あっ」
真城朔
バジルを一旦置いて……
真城朔
厚めのふきんを取って ばしゃーと濡らし
夜高ミツル
天板を取り……
真城朔
えいやっと敷く。
真城朔
スタンバイ。
夜高ミツル
ふきんを敷いてもらったところに乗せる。
夜高ミツル
じゅ……
真城朔
蒸気が~
真城朔
改めてバジルをちぎり、上に乗せていきます。
真城朔
彩り。
夜高ミツル
ピザだ……
真城朔
ピザ……
真城朔
トマトソースの上でモッツァレラチーズがとろけている。
夜高ミツル
「バジル乗せるとマジでピザって感じだな……」
真城朔
「うん……」
夜高ミツル
そんなことを言いながらミトンを外し
真城朔
まじまじ眺めている……
夜高ミツル
準備しておいた大皿にピザを移す。
真城朔
大皿にどーんとピザ。
夜高ミツル
クッキングシートを持ち上げて、すす……とシートから皿に滑らせた。
真城朔
滑っていくピザ。
真城朔
かたちはちょっとぶかっこう。
真城朔
まんまるとはいかないし、なんか……生地が膨らんでるでもない。
真城朔
発酵させてないし……
夜高ミツル
発酵させないとこんな感じなんだなー
夜高ミツル
でもちゃんとピザの見た目をしてる。
真城朔
ぺたんとした生地の上にピザの具が乗ってる感じ。
真城朔
してるしてる。
真城朔
「あ」
真城朔
「ピザカッター……」
夜高ミツル
「そうだそうだ」
夜高ミツル
このためにちゃんと買っておいた。
夜高ミツル
包丁でもいいんだけど……今後も何回か作るだろうということで……
夜高ミツル
用意しておいたので、取ってくる。
真城朔
テンションもあがる。
真城朔
それっぽくて。
夜高ミツル
ピザだな~ってなる。
真城朔
「あ」
真城朔
「運んでからにする……?」
真城朔
食卓に……
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「だな」
夜高ミツル
「そうしよう」
真城朔
「ん」
真城朔
ピザの大皿を持ち上げます。
夜高ミツル
ミツルはピザカッターを持って、一緒に食卓に向かう。
真城朔
よいしょと置いて……
真城朔
ミツルに場所を譲って
真城朔
うきうきとミツルを待っている。
夜高ミツル
譲られ、ピザの前に座る。
夜高ミツル
「……よし、切るぞー」
夜高ミツル
なんとなくちょっと緊張。
真城朔
「ん……」
真城朔
緊張が伝わったのか、表情を引き締めてミツルの手元を見ている。
夜高ミツル
ピザの上空で真ん中のラインをふんわりと確認し……
夜高ミツル
こんな感じで……よし……
真城朔
おお……
夜高ミツル
ルートを確認したので端っこに丸い刃を当てる。
真城朔
当てられた。
真城朔
当てている……
夜高ミツル
そのままぐいっと力を入れ……
夜高ミツル
ぐい……くる……
夜高ミツル
よいしょよいしょ……
真城朔
おおー……
夜高ミツル
切っていっています。
真城朔
ころころが……
夜高ミツル
ころころ……
夜高ミツル
概ね二等分くらいになった。
真城朔
はんぶん!
夜高ミツル
ちょっと偏ってるかもしれないけど……概ね……
真城朔
いつしか固唾を呑んで見守っている。
夜高ミツル
見守られている。
夜高ミツル
「真城もやる?」
真城朔
「え」
真城朔
きょと……になった。
真城朔
目を丸くしている。
真城朔
「あ」
真城朔
「でも」
真城朔
「うまく、切れるか」
真城朔
「こういうの……」
夜高ミツル
「大丈夫大丈夫」
夜高ミツル
「切れればいいから」
夜高ミツル
「俺と真城だけだし」
真城朔
「ん……」
真城朔
ためらいがちに手を出した。
夜高ミツル
ピザカッターを手渡して、場所を譲る。
真城朔
譲られた。
真城朔
どきどき……
真城朔
どきどきしながらミツルがしていたのと同じように……
真城朔
見様見真似。
真城朔
上からなんとなくルートを確認して……
夜高ミツル
「滑りそうだったら、手で生地抑えていいから」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく
夜高ミツル
どうせ手で取るし
真城朔
とりあえず、このあたりか……というのがなんとなく掴めてきた……
真城朔
気がするので……
夜高ミツル
がんばれ……!
真城朔
ピザカッターを端っこに当て……
真城朔
ぐいっっ………………
真城朔
ころ……ころ…………
真城朔
力を込めて慎重にやっている。
夜高ミツル
見守っている……。
真城朔
何回もころころさせるような感じじゃなくて、
真城朔
一回でぐぐぐーっと……
真城朔
ぐぐぐーっと……やったら、かなり切れた感じになった。
夜高ミツル
切れてる。
真城朔
なったので、ころころを戻し……
真城朔
それ以降は数往復させ……
真城朔
「…………」
真城朔
ちらとミツルを見た。
夜高ミツル
頷く。
真城朔
ほ……
夜高ミツル
「できてる」
真城朔
安心した様子でミツルにピザカッターを手渡そうとします。
真城朔
「よかった」
夜高ミツル
受け取りました。
真城朔
渡してちょっと引きました。
真城朔
場所を譲る。
真城朔
だいぶほっとしている。
夜高ミツル
再びピザの前に戻り。
真城朔
横から見つめ直す姿勢に戻りました。
夜高ミツル
戻っている。
夜高ミツル
再び切っていく。
真城朔
切られていく……
夜高ミツル
ぐい……くるくる……
真城朔
ミツのが手際がいい気がする。
真城朔
実際そんな差はない。
夜高ミツル
ないと思う……
真城朔
ないと思うけど、そんな気がしている。
真城朔
そう見えている。
夜高ミツル
ミツル本人は分かってないが、調理のあらゆるスピードは一人暮らしの頃の方が速かった。
真城朔
真城はそれを横から見ていたはずだがそれに気づいていない。
夜高ミツル
真城の方をいつも気にするし、単純に時間に追われることがなくなったしで……
夜高ミツル
よく言えば丁寧、悪く言えば手際が悪く……
真城朔
もたもた
夜高ミツル
そんな感じで、もたもたとピザを切り終えた。
真城朔
「切れた……」
真城朔
やや不格好なピザがたぶんまあまあきれいに6等分。
夜高ミツル
等分と言っていいはず。
夜高ミツル
ピザカッターを置き……
真城朔
たぶんいい。
真城朔
ピザも切れた、ほか食卓の準備もオッケー。
真城朔
なので。
夜高ミツル
手を合わせる。
真城朔
合わせます。
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
「いただきます」
真城朔
いつもの唱和。
真城朔
じっとピザを眺めゆく。
夜高ミツル
そんなに差はないけど、気持ち大きめ一切れに手を伸ばす。
真城朔
ミツルが取ったらその隣を。
夜高ミツル
持ち上げるとチーズがとろりと糸を引く。
真城朔
「チーズ……」
真城朔
じ……としながら
夜高ミツル
「ピザって感じだな……」
真城朔
「うん」
真城朔
「ピザ……」
夜高ミツル
ずっとこれを言っている。
真城朔
「…………」
真城朔
じっと眺めてから、ピザの先端をぱくりと食べた。
真城朔
ややぱりっとしている。
夜高ミツル
同じく先端をぱくり。
夜高ミツル
もくもく……
真城朔
ぱりっとした生地の上ににんにくの入ったトマトソースとチーズと……
真城朔
あとやっぱりバジルの主張。
真城朔
トマト、チーズ、バジル。
真城朔
黄金比って感じ。
夜高ミツル
ピザだ…………
真城朔
ピザ黄金比。
真城朔
イタリアン。
夜高ミツル
シンプルだけど、シンプルにめちゃくちゃうまい。
真城朔
おいしい……
真城朔
もぐもぐもくもく……
夜高ミツル
飲み込んで……
夜高ミツル
「……ピザだな~」
夜高ミツル
「うまい」
真城朔
「うん」
真城朔
「ピザ……」
真城朔
「チーズがいつもより」
真城朔
「なんか……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
つよいかんじの……
夜高ミツル
「なんか……もっちりしてて……」
夜高ミツル
「ちゃんとしたピザを食べてる感じの……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「生地は硬いけど……」
真城朔
ぱりっとしている。
真城朔
もちもちではない。
真城朔
また一口齧った。
真城朔
もくむぐ
夜高ミツル
「クリスピー? な感じ」
夜高ミツル
言って、こちらも一口。
真城朔
「……ん」
真城朔
「クリスピー」
真城朔
ミツルが出した単語を繰り返している。
真城朔
ちょっとずつではあるけど、いつもよりペースが早いようなどうだろうな……
夜高ミツル
もくもくむぐむぐ……
夜高ミツル
焼きたてのピザはおいしい。
真城朔
チーズとトマトとバジルつよい
真城朔
餃子ピザでも思ったけど……
真城朔
今回は餃子ピザよりたべごたえ。
夜高ミツル
チーズとトマトとバジル、最適解という感じがする……
真城朔
シンプルだな……って思ったけど、シンプルイズベストというやつだった感じがある。
真城朔
ペース早いように見えて、一切れをちまちまと食べている。
夜高ミツル
ミツルは真城よりも早め。
夜高ミツル
二切れ目に手を伸ばし、ぱくり。
真城朔
ひと切れ目をもぐむくしながらミツルのその様子を見ている。
真城朔
外側になっていくとクリスピー感が強くなっていく。
真城朔
それをもぐもぐ食べている。
夜高ミツル
ぱりっとした生地を齧る。
夜高ミツル
もくもく……
真城朔
こうばしい。
真城朔
ピザ感はちょっと薄いけどまあこれはこれ。
真城朔
焼けた小麦粉
夜高ミツル
うまいし。
夜高ミツル
うまいのでぱくぱく食べてる。
夜高ミツル
味わいつつ……
真城朔
一足早めに一切れ完食。
真城朔
早くはない。ミツルは二切れ目行ってる。
夜高ミツル
実は二切れ目なのだ。
真城朔
けど、十分おなかいっぱいになったようで、おしぼりで指先を拭いている。
真城朔
牛乳を飲んでいます。
夜高ミツル
もう少し食べるか訊こうと思っていたが、その様子を見て大丈夫そうだな、と思う。
真城朔
満足げな顔をしています。
夜高ミツル
よかった。
真城朔
満足げな顔をし、ミツルが食べるのを見てますます満足げ。
夜高ミツル
おいしそうに食べている。
真城朔
うれしい。
夜高ミツル
クリスピーな端っこをさくさくと齧って飲み込み……
夜高ミツル
牛乳に口をつける。
真城朔
牛乳のコップに両手を添えている……
夜高ミツル
こくこく……
夜高ミツル
コップを置く。
真城朔
「おいしい」
真城朔
「ね」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「やっぱり」
真城朔
「バジル」
真城朔
「大事……」
夜高ミツル
「バジル大事だな……」
夜高ミツル
餃子ピザのときにもそんな話をした。
真城朔
生バジルちょっとお高いしもたないけど……
真城朔
すぐしおれちゃう
夜高ミツル
でも買う価値がある……
真城朔
ピザには必須
夜高ミツル
「こんだけシンプルな材料に入ってるってことは、それだけ大事なんだよな……」
真城朔
「必要」
真城朔
「不可欠……」
夜高ミツル
頷いて、三切れ目に手を伸ばす。
真城朔
ミツルが食べるのを嬉しそうに見ている。
夜高ミツル
「トマトとチーズだけだと多分単調になるもんな」
夜高ミツル
言って、ぱくり。
夜高ミツル
むぐむぐ……
夜高ミツル
それだけでもうまいだろうとは思うけど……
真城朔
「やっぱ」
真城朔
「この……」
真城朔
「…………」
真城朔
さわやかさ……?
真城朔
さわやかではないな……?
真城朔
あじわい……?
夜高ミツル
むずかしい
真城朔
首を傾げている。
真城朔
「……バジルみ……」
夜高ミツル
頷いている。
夜高ミツル
飲み込んで……
夜高ミツル
「バジルのこの…………」
夜高ミツル
「……な…………」
真城朔
「うん……」
夜高ミツル
この……こう……
真城朔
どう言えばいいんだろう……
夜高ミツル
バジルの……バジル感が……
真城朔
「いいにおいも」
真城朔
「するし……」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「する」
真城朔
「する……」
真城朔
「おいしい」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「バジルがあるとうまい」
真城朔
結論。
夜高ミツル
言って、またピザをかじる。
真城朔
頷いて、牛乳を飲みました。
夜高ミツル
18歳の出す結論がこれでいいのかは疑問なところ。
真城朔
かなりどうかとおもわれる
夜高ミツル
どちらもどうかと思わないのでそれでよいことになる。
真城朔
そっかあ
真城朔
おいしいし……
真城朔
いっか……
夜高ミツル
うまい。
真城朔
おいしい。
夜高ミツル
三切れ目もぺろりと平らげる。
真城朔
あと残り二切れ。
夜高ミツル
腹具合的にはもう少し食えるけど……
真城朔
ミツルがたいらげるならそれでいいと思ってみていたが……
夜高ミツル
「残りは冷凍するか」
真城朔
「ん」
真城朔
「冷凍?」
夜高ミツル
牛乳を飲む。
夜高ミツル
飲み……
夜高ミツル
「……冷蔵でもいいのか?」
真城朔
「あした」
真城朔
「たべるなら……?」
夜高ミツル
「明日食うならいいか」
真城朔
「ん」
真城朔
牛乳を飲むミツルの肩にちょっと寄り添った。
夜高ミツル
「冷蔵にするかー」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく……
真城朔
くっついてピザを見ている。
夜高ミツル
寄り添われ、空になったコップを置く。
夜高ミツル
おしぼりで手を拭きつつ
夜高ミツル
「うまかったな」
真城朔
「うん」
真城朔
「こねるの」
真城朔
「結構」
真城朔
「たのしい……」
夜高ミツル
「楽しそうだなー」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
「また作ろうな」
真城朔
「うん」
真城朔
「上に乗せるの」
真城朔
「いろいろ……」
夜高ミツル
「考えとこ」
真城朔
「調べたりとか」
真城朔
「ね」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「ピザ、なんか……無限だからな……」
真城朔
「無限……」
夜高ミツル
餃子ピザのあと調べたらめちゃくちゃ種類あった……
真城朔
あった……
真城朔
ピザ屋のメニューとかすごかった
真城朔
ひたすらチーズなのとか……
夜高ミツル
「餃子ピザだとあんまり具だくさんなやつ作れなかったから」
夜高ミツル
「そういうのとかなー」
真城朔
「ん」
真城朔
「いっぱいのせる……」
夜高ミツル
餃子ピザは小さいからあんまり色々乗らない。
真城朔
コンパクトさが売り。
真城朔
「……具」
真城朔
「いっぱいあっても」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「もしかしたら……」
真城朔
「…………」
真城朔
考え込んでいる……
真城朔
「……ひと切れくらいは」
真城朔
「もしかしたら……?」
真城朔
もしかしたら……
夜高ミツル
「食べるの大変そうだったら、小さめに切れるしな」
真城朔
「……ん」
真城朔
「うん……」
夜高ミツル
「今回は6個に分けたけど、8個に分けるとか」
真城朔
こくこく……
真城朔
「いろいろ」
真城朔
「できる……」
真城朔
「粉」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「いっぱいある」
真城朔
「し」
夜高ミツル
「ピザ以外も試してみたりな」
真城朔
「うん」
真城朔
「しよ」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
寄せられた肩に、ミツルからも少し体重を預ける。
夜高ミツル
「ここ出るまでに、色々やってみよう」
真城朔
嬉しそうに目を細めた。
真城朔
「うん」
真城朔
「夏の間に」
真城朔
「いろいろ……」
真城朔
そうして更にミツルに体重を預ける。
夜高ミツル
寄り添い合う。
夜高ミツル
残ったピザとか、食器の片付けとか、
夜高ミツル
そういうのは少しだけ忘れて。
真城朔
ただ穏やかに触れ合うだけの時間に浸っていた。