2021/08/16 昼過ぎ

真城朔
開かれたカーテンから曇り空が見える。
真城朔
昨日の夕ごろからまた雨が降って、今は止んでいるけど、やや曇り気味。
夜高ミツル
しばらくはこんな天気が続くと天気予報で言っていた。
真城朔
家でのんびり……
真城朔
のんびりミツルにくっついている。
真城朔
ソファでぺったり。
夜高ミツル
昼食も後片付けも終えてまったりしている。
真城朔
ぼや……
真城朔
ぼんやりしてます。
真城朔
ミツルの肩に頬を預けている。
夜高ミツル
頭に手を回して、細い髪を指で梳いている。
真城朔
心地よさそうに目を細めている。
真城朔
しばらくそんなふうにのんびりぼんやり黙り込んでいたが……
真城朔
「……八月……」
夜高ミツル
「あと2週間だなー」
真城朔
こくこく……
真城朔
「九月」
真城朔
「なったら」
真城朔
「出る?」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
「9月入ってちょっとしたら……って感じかな」
真城朔
「ん……」
真城朔
ややしょんぼり気味に頷いている。
夜高ミツル
「色んな所見に行こうな」
夜高ミツル
しょんぼりの頭を撫でている。
真城朔
なでられ……
真城朔
「けっこう」
真城朔
「のんびりしちゃった……」
真城朔
もっとこう色々北海道隅々まで回るか? みたいなつもりだったはずが……
夜高ミツル
「ずっと家にいちゃったなー」
夜高ミツル
「居心地よかったし……」
夜高ミツル
「夏普通にめっちゃ暑いし……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「俺が」
真城朔
「あんまり、陽射し」
真城朔
「強くない」
真城朔
「から……」
真城朔
しょぼ……
夜高ミツル
「俺だって下手したら熱中症になる……」
夜高ミツル
撫でてる。
真城朔
撫でられている……
真城朔
「でも」
真城朔
「千葉より」
真城朔
「まし、だし」
真城朔
「ミツなら……」
真城朔
だいじょうぶじゃ……
真城朔
ぼそぼそ言ってる。
夜高ミツル
「マシって言っても30度越えるときは越えるしなあ」
真城朔
「今日は」
真城朔
「すずしげ……」
真城朔
「…………」
真城朔
ぼんやり窓の外を見ている。
真城朔
「どこか行く……?」
真城朔
ぺったりくっつきながらしょぼしょぼと提案する。
夜高ミツル
つられて窓の外を見る。
夜高ミツル
「そうだなー」
夜高ミツル
「散歩でも行く?」
真城朔
「散歩」
真城朔
「行く……」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「行こうか」
真城朔
こくこく
真城朔
ゆっくりと身体を離す。
真城朔
散歩なのでかるい準備……
夜高ミツル
日傘も一応持っていき……
真城朔
二人で手を繋いで外へ。
真城朔
最近はけっこう涼しい。
真城朔
八月の上旬はなんかすごかった……
夜高ミツル
千葉と対して変わんねーじゃん!って感じで……
夜高ミツル
北海道にも猛暑日って来るんだな……って思ったりした。
真城朔
乗り越えたら結構落ち着いてきた。
真城朔
し、今日もそんな感じで、曇ってて……
真城朔
そんなに厚い感じではないけど……
真城朔
「まあまあ」
真城朔
「北海道……」
真城朔
マンションの外に出たあたりで、そんなふうにぽつりと。
夜高ミツル
「北海道だなー」
夜高ミツル
「やっぱ月頭がおかしかったんだな……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「すごかった」
夜高ミツル
「普通に夏だったな……」
真城朔
「夏だった……」
真城朔
手を引かれてぼんやり歩きながら頷いている。
夜高ミツル
曇り空の下、特に目的地も定めずてくてくと。
真城朔
札幌の街をのんびり歩く。
真城朔
半年以上暮らしてて、そんなに目新しいところはもうないけど……
夜高ミツル
すっかり見慣れた景色になった。
真城朔
ハンターに土地勘は大事だし……
夜高ミツル
ここではまだあと一回狩りをすることになる。
真城朔
結構顔見知りのハンターも増え……
真城朔
顔見知りのハンターに……
真城朔
………………
真城朔
しょんぼりになってきた。
真城朔
ミツルの手をぎゅっと握る。
夜高ミツル
同じ強さで握り返す。
真城朔
ちらりとミツルの顔を窺う。
夜高ミツル
「?」
夜高ミツル
窺われて見つめ返す。
真城朔
街中の歩道で見つめ合う二人が完成した。
夜高ミツル
よくなる。
真城朔
「…………」
真城朔
黙り込んでしまった。
真城朔
元から黙り込んではいるのだが……
夜高ミツル
「……真城?」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん……」
真城朔
要領を得ない感じで頷いている……
夜高ミツル
「……」
夜高ミツル
繋いでない方の手で、くしゃっと頭を撫でる。
真城朔
撫でられた。
真城朔
撫でられながら、おずおずとミツルの顔色を窺っている。
夜高ミツル
わしわしと撫でて、乱した髪を整えている。
真城朔
されるがまま……
真城朔
心地よさそうに瞼を伏せた。
夜高ミツル
「……沖縄はもっと暑いだろうな」
真城朔
「……ん」
真城朔
ゆっくりと瞼を上げて、頷く。
真城朔
「夏は」
真城朔
「あんまり……」
真城朔
行きたくない、ってぽそぽそと。
夜高ミツル
「さすがに今度は夏前には出たいな」
夜高ミツル
髪をきれいにしてやって、指を離す。
真城朔
けなみがきれいにととのっています。
真城朔
「春くらい、で」
真城朔
「それで……」
真城朔
「したら」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「……どうしよ」
夜高ミツル
「どうしようなあ」
夜高ミツル
「四国とか?」
真城朔
「四国……」
真城朔
「香川」
真城朔
「うどん……」
夜高ミツル
「香川と……」
夜高ミツル
「……香川のうどんくらいしかイメージないな…………」
真城朔
「愛媛は」
真城朔
「みかん?」
夜高ミツル
「あ、そうだな」
真城朔
いつしかのんびり歩きながら、他愛のない話。
真城朔
「みかん」
真城朔
「冬って、イメージ」
真城朔
「だけど……」
夜高ミツル
「そうだなあ……」
真城朔
「あ、あと」
真城朔
「海……」
真城朔
「北海道も」
真城朔
「だけど」
真城朔
「四国のが、小さいから……」
真城朔
海が近い。
夜高ミツル
「あー」
夜高ミツル
「海あるなあ」
真城朔
「ある……」
真城朔
「…………」
真城朔
「海と」
真城朔
「あと」
真城朔
「山……」
真城朔
ぽつぽつしゃべる。
夜高ミツル
「山もある」
夜高ミツル
「北海道も結構あるよな」
真城朔
「ある……」
真城朔
こくこく
真城朔
「自然」
真城朔
「いっぱい」
夜高ミツル
「ていうか日本ってマジで山多いなって……」
真城朔
「うん……」
真城朔
旅行してると……
真城朔
乗り越えるハメになるわ山を何度も……
真城朔
トンネルだったりもするけど。
真城朔
トンネルは偉大。
夜高ミツル
関東平野は平野ですごかったんだな……
真城朔
栄えもするというもの。
真城朔
「山」
真城朔
「行く?」
夜高ミツル
「行くかー」
夜高ミツル
「あんまガチのとこは装備いるから行けないけど」
真城朔
「ロープウェイとか……」
真城朔
「あるとこは、たぶん……」
夜高ミツル
「遠足で行くくらいの山とかあったら、そういうとことか」
真城朔
「うん」
真城朔
頷いている。
真城朔
「街」
真城朔
「歩くのも、悪くない」
真城朔
「けど……」
真城朔
のんびり歩いていると大通りに出る。
夜高ミツル
「さすがに見慣れちゃったしな」
真城朔
大通のきれいな公園。
真城朔
札幌って感じがする。
真城朔
「うん」
真城朔
「色々」
真城朔
「行こう、って」
真城朔
「言ったし……」
夜高ミツル
「涼しくなったし、今からでも行けるだけ行ってみよう」
真城朔
「満月」
真城朔
「なる前に」
真城朔
22日だから……
真城朔
言ってて、けっこう……
夜高ミツル
「あと1週間ないな……」
真城朔
ギリギリかも……って顔になってる。
真城朔
「……天気」
真城朔
「見つつ……」
真城朔
ぼそぼそと……
真城朔
いけそうなら……
夜高ミツル
「うん」
真城朔
ごにょごにょ。
夜高ミツル
「ずっと今日みたいな感じだと出かけやすいんだけどな」
夜高ミツル
空を見上げる。
真城朔
倣って見上げる。
真城朔
ちょっと曇り空の合間から太陽が顔を出しつつある。
真城朔
ので、まぶしげに目を細めた。
夜高ミツル
「暑くなくて雨も降らなくて……」
夜高ミツル
とか言ってる間にちょっと日が差してきた。
真城朔
さしてきちゃった……
真城朔
一旦ミツルの手を離し……
真城朔
日傘をさします。
夜高ミツル
足を止めて待つ。
真城朔
日傘を肩にもたせて、そろそろと手を差し出す。
夜高ミツル
差し出された手をぎゅっとにぎる。
真城朔
そっと握り返す。
夜高ミツル
「日が出ちゃったな……」
真城朔
「うん……」
真城朔
しょんぼり。
真城朔
「……でも」
真城朔
「まだ、そんなに」
真城朔
「暑くないよ」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「もうちょっと歩いてく?」
真城朔
「んー……」
真城朔
「……うん」
真城朔
少し考え込んでから、頷いて、
真城朔
ミツルの手をきゅっと握る。
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
再び、歩き出す。
夜高ミツル
やはり当て所なく。
真城朔
手を引かれるままに。
真城朔
ミツルの隣を歩いている。
夜高ミツル
一緒にいる。
真城朔
今日も。