2021/08/22 朝
真城朔
玄関の扉を押し開けて、気遣わしげに振り返る。
真城朔
ぼそぼそ言いながらちゃちゃっと自分も靴を脱いで、
真城朔
予め用意してあったブルーシートへと武装を下ろす。
真城朔
武装のポーチから、曙光騎士団でもらってきたギプスカバーを取り出した。
真城朔
脱衣所で自分のパーカーを脱ぎ捨てると、ミツルの服をちゃくちゃく脱がしていく。
夜高ミツル
腕を上げたり下ろしたり、脱がしやすいように……
真城朔
こういうときはちょっとびっくりするほど手際が良い。
真城朔
さっさとミツルの服を脱がして、包帯を巻いた腕にギプスカバーをはめる。
真城朔
真城は最低限服を着たままで、浴室の扉を開いてミツルを招く。
真城朔
言いながらシャワーヘッドを取り、お湯を出して温度を調べる。
真城朔
しょぼしょぼと宣言しつつ、一応ミツルの足元から。
真城朔
たぶんだいじょうぶみたい……となったので、身体の方にもかけていく。
夜高ミツル
身体にべったりとまとわりついていた血が、お湯で洗い流されていく。
真城朔
恐る恐る手でお湯をなじませたりもしている。
夜高ミツル
下を向いて目を閉じて、頭を流されている。
真城朔
シャワーフックにシャワーをかけて、ボディタオルを取る。
真城朔
蛇口の方から洗面器にお湯を張ってボディタオルを沈め……
夜高ミツル
左手で顔にかかったお湯を拭いつつ、真城の様子を見ている。
夜高ミツル
「右手以外はそんな怪我ないと思うから、大丈夫……」
真城朔
また宣言して、ボディタオルをミツルの肌に添わせていく。
真城朔
デリケートなとこはあんまり気にしなくていいし……
真城朔
つま先もささっと洗って、洗面器のお湯にボディタオルを沈める。
真城朔
お湯を出して、今度は肩からしゃしゃーっとかけていく。
夜高ミツル
とりあえずいいかな……とも思ったけど……
夜高ミツル
砂埃かぶったし、返り血も浴びたような気するし……
真城朔
お湯をかけつつ、ミツルの癖の強い髪を指でわしわししていく……
真城朔
時間をかけてお湯を含ませ、一度シャワーを止め……
真城朔
多めにシャンプーを出して、手桶のお湯であわあわにして……
真城朔
ちょっと力強めだけど乱暴ってわけではなく。
真城朔
ミツルのくせ毛に泡を含ませつつわしゃわしゃとやっていく。
夜高ミツル
指の動きに合わせて、頭が小さく揺れている。
真城朔
ざぶざぶじゃぶじゃぶとミツルの頭を洗い流していく。
真城朔
自分で髪やる機会、今はもうあんまりだけど……
真城朔
まあまあ時間をかけて、多分洗い流せました。
真城朔
タオルを絞り絞りミツルの身体を拭いていく。
真城朔
なんだけど、まあいいか……って浴室の扉を開け……
真城朔
バスタオルを取って、ミツルの身体を拭いている。
真城朔
こっちは自分と同じ感覚でいいのでちゃっちゃと。
真城朔
ミツルがやっている間にバスローブを持って戻ってくる。
夜高ミツル
心配げに見られつつ、なんとかちゃんと履いた。
真城朔
履けたので、ミツルにバスローブをはおらせ……
夜高ミツル
真城が上がってくるまでは起きてるつもりだけど……
夜高ミツル
「……真城が助けてくれなかったら、これじゃ済まなかったよ」
夜高ミツル
「真城のおかげで、これくらいで済んだ」
夜高ミツル
「後遺症も残らないだろうって話だったし」
夜高ミツル
ずっと下着姿でいさせるのもなんなので、脱衣所を出ていく。
真城朔
すぐに浴室の扉が開いて、閉まる音が聞こえてくる。
夜高ミツル
いや、さすがに片手で刃物を扱うのはな……
夜高ミツル
もし失敗して怪我したら、泣くのは真城だし……
夜高ミツル
よくないので、おとなしくベッドに腰掛けている。
真城朔
そうこうしているうちにシャワーの音が止まり……
真城朔
さっきちゃっかりバスローブ二着用意してきていた。
真城朔
バスローブ姿で髪は湿ったままぺったりしている。
真城朔
頭にタオルを被ってわしゃわしゃやりつつ……
真城朔
微妙に納得できてない表情になりつつ、ミツルの隣に腰掛ける。
夜高ミツル
もぞもぞとベッドの真ん中に移動していく。
夜高ミツル
いつもなら抱きしめて眠るところだけど……
夜高ミツル
内心の反省や後悔はあれど、真城には柔らかい表情を向けている。
真城朔
ぴたりと寄り添う、いつもより高い熱の気配を感じながら。
夜高ミツル
カーテンの隙間から差し込む陽の光をよそに、眠りにつく。
真城朔
代わりにベッドのすぐ近くで、洗濯物を畳んでいた。
夜高ミツル
ついいつものように両手をつきかけて……
真城朔
畳み掛けていたタオルを放り出して、ミツルへと身を乗り出した。
夜高ミツル
今度はちゃんと左腕を使って、身体を起こす。
夜高ミツル
なんか間の抜けたタイミングになってしまった……
真城朔
ミツルの身体を支えつつ、視線を落としている。
真城朔
タオルを畳んで、大丈夫だった服を畳んで……
夜高ミツル
畳むくらいなら手伝えるかなって思ったけど……
夜高ミツル
真城がてきぱきやっているので手を出すところがなかった。
真城朔
ちなみに玄関の方を見るとブルーシートも片付けられてる。
真城朔
洗濯物も畳み終えたので、それらを定位置に戻し……
真城朔
今は風呂上がりではなく、いつもどおりの体温。
真城朔
普段やたらめったらおろつくくせにこういうときはてきぱきする。
夜高ミツル
指先が動くのをなんとなしに眺めている。
夜高ミツル
実際のところ、あれもこれも世話をしてもらうのは申し訳ない、というのは……
夜高ミツル
あまり謝るとむしろ真城の負担になってしまうのが分かるので。
夜高ミツル
ので、あんまりそういう部分は表に出さないようにしている。
真城朔
正直真城も気を遣わせているのは理解しているのだが……
真城朔
しょぼ……になっているとインターホンが鳴った。
夜高ミツル
支払いはクレカで済んでるので、手ぶらで玄関に向かう。
noname
まあまあよく来る配達員さんが届けてくれ……
夜高ミツル
焼き鳥の包みは一旦玄関の棚に置いて、扉を閉める。
真城朔
けっこう食卓整える役目は真城になりがちなので元から慣れてる。
真城朔
ミツルに料理的な部分をやってもらうため……
夜高ミツル
ミツルの方はやや落ち着かなさはありつつ……。
夜高ミツル
ミツルの方は手を合わせられないので、言うだけで。
真城朔
ほかはまあだいたい同じやつが刺さってるけど……
真城朔
いつもそうしてもらいたいと思ってるけど……
夜高ミツル
血肉をつくるといえばレバーというイメージ。
夜高ミツル
「レバー、給食で出てくるとまずいんだよな……」
夜高ミツル
内臓をやられたわけではないので、食欲は普通にある。
真城朔
なんか食べ残し食べさせてるみたいで申し訳なさはある……
夜高ミツル
ミツルが先に食べて真城に渡すパターンもあったし……
夜高ミツル
やや落ち着かなさはありつつも、真城がしてくれることに甘える。
真城朔
串を乗せた平皿と取皿と箸とコップとミツルのお茶碗と……
真城朔
まあそんくらいなので、そんなにかかりません。
夜高ミツル
いつも一緒にやっていることを真城だけに任せるのは落ち着かない……。
真城朔
手を重ねられて、戸惑ったようにミツルの顔を見る。
夜高ミツル
俯いてしまった真城に、更に身体を寄せる。