2021/08/28 夕方

真城朔
エプロンを着て調理台の前に立っている。
真城朔
ちょっとずついつもの感になってきた一人での調理風景。
夜高ミツル
ミツルがそれを見守ってちょっと後ろに立っているのも。
真城朔
ミツルの怪我はだいぶよくなってきたけど、一応まだ包帯を巻いているし……
真城朔
怪我が開いたらよくないので……
真城朔
ひとりでやる。
真城朔
きりっ。
夜高ミツル
作ってもらってる。
夜高ミツル
なんでもかんでも二人でやってきただけあって、真城一人でもかなり色々できるようになってる。
真城朔
不安はあるけども……
真城朔
冷蔵庫の中から食材を取り出して並べる。
真城朔
とりもも肉と卵。
真城朔
二人の間でのそこそこの定番メニューになってきている、揚げない鶏の唐揚げを作る。
真城朔
ちら……とミツルを見……
夜高ミツル
目が合う。
真城朔
こく……
真城朔
よくわからないけど頷いた。
夜高ミツル
頷きを返す。
真城朔
ほ……
真城朔
ほっとした様子で調理台に向き直る。
真城朔
まな板を出してきて、パックから出した鶏肉を載せ……
真城朔
包丁でぶつぶつ切っていく。
真城朔
ちょっと小さめ。
夜高ミツル
作業に取り掛かる真城の後ろ姿を見ている。
真城朔
縦に切り横に切り……
真城朔
切り終わったらパックに戻す。
真城朔
包丁とまな板を洗い、戻して手を洗い……
真城朔
ボウルを出す。
真城朔
片栗粉と小麦粉が……
真城朔
粉の袋を出してきてからスマホを確認しようとし……
夜高ミツル
「あ」
夜高ミツル
「レシピ?」
真城朔
「ん」
真城朔
「うん……」
真城朔
こく……
夜高ミツル
「こっちで見る」
真城朔
「あ」
真城朔
「ありがと」
真城朔
「えっと、粉……」
真城朔
「量……」
夜高ミツル
ポケットからスマホを取り……
夜高ミツル
もにもに……
夜高ミツル
「大さじ2」
夜高ミツル
「両方」
真城朔
こくこく
真城朔
「ありがとう」
真城朔
大さじを取った。
夜高ミツル
頷く。
真城朔
粉を計って器に盛り……
真城朔
盛ったけど……
真城朔
「これ」
真城朔
「すぐ混ぜるんじゃなくて、次……」
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
ちょうどその辺りを確認してたので……
夜高ミツル
「先に肉を調味料につけて……」
真城朔
「ん」
真城朔
ミツルの方に来る。
真城朔
隣から手元を覗き込んでくる……
夜高ミツル
「酒と塩としょうゆとにんにく」
夜高ミツル
スマホを傾けて画面を見せる。
真城朔
見せてもらった。
真城朔
「酒が」
真城朔
「大さじ1……」
真城朔
ミツルの方から戻り……
真城朔
出したボウルに酒を大さじ1。
夜高ミツル
「塩が小さじ3分の1」
真城朔
こくこく……
真城朔
言われるままに調味料を入れていく。
真城朔
酒、塩、しょうゆ、おろしにんにく。
真城朔
菜箸でくるくると混ぜ……
夜高ミツル
既に結構食欲をそそる匂いがしてる。
真城朔
しょうゆのいいにおい。
真城朔
パックを取り、切った鶏もも肉を菜箸でボウルへと入れていく。
夜高ミツル
ちゃぽちゃぽ
真城朔
ぽとぽと
真城朔
全部入れ……
真城朔
入れたが……
真城朔
…………
真城朔
菜箸使っちゃったけど……
真城朔
手でやっちゃお……
真城朔
手で鶏肉に下味をつけていきます。
夜高ミツル
揉み込む工程がある。
真城朔
もみもみ
真城朔
鶏肉を丹念に揉み込んでいる。
夜高ミツル
むにむに……
真城朔
無心に……
真城朔
やりすぎない程度に……
真城朔
やりすぎない程度なのでほどほどにして……
真城朔
「10分」
真城朔
ミツルを振り返る。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
「お願い」
真城朔
こく……
夜高ミツル
スマホでタイマーをセットする。
真城朔
ミツルにタイマーを頼んで手を洗います。
真城朔
頼んだはいいものの、10分時間があくので……
真城朔
サラダは作ってあって……
真城朔
「みそ汁」
真城朔
「する……」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
謎宣言。
真城朔
小鍋を出す。
夜高ミツル
サラダは数食分まとめて作ってもらってる。
真城朔
すぐ終わる簡単なやつがいいので……
真城朔
冷蔵庫から豆腐を出してくる。
真城朔
みそ汁はいっぱい作っているので、そろそろいちいちはからなくてもできる。
真城朔
鍋に水を入れ、顆粒だしをなんとなく入れ、火にかけ……
夜高ミツル
訊かれなくなったなーと思う。
真城朔
ミツルと二人で料理するときもみそ汁担当だったりが結構ある。
夜高ミツル
担当してもらってきた。
夜高ミツル
最初はミツルが味噌汁の具も決めてたけど、今はこうやって真城が考えてくれることが多い。
真城朔
みそ汁マスターになってきたぞ。
真城朔
小鍋なのですぐ煮立つ。
夜高ミツル
マスターしてえらい。
真城朔
煮立っただし汁の火を弱め、
真城朔
まな板を出してきて豆腐を乗せる。
真城朔
まな板の上で豆腐を切っていく……
真城朔
でもまだ手の上で豆腐を切るのはこわい。
夜高ミツル
別にやらなくていいよって言ってる。
真城朔
ミツが言ってくれるのでやらない。
夜高ミツル
まな板の上で切った方が安定するし……
真城朔
豆腐を切ったまな板を鍋の上に持っていき……
真城朔
そっとぽとぽとと落としていく。
夜高ミツル
ちゃぽちゃぽ……
真城朔
またちょっと火を強めて……
真城朔
まな板と包丁を洗い直す頃には煮えてきているので……
真城朔
乾燥わかめを出してきて入れる。
真城朔
蓋をしました。
真城朔
あとはゆっくり煮つつ……
夜高ミツル
スマホのタイマーが鳴る。
真城朔
右側のコンロに小鍋を移してた。
真城朔
タイマーに振り返る。
真城朔
「10分?」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
音を止める。
真城朔
こくこく
真城朔
「粉、入れて」
真城朔
「溶き卵?」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
ほ……
真城朔
合ってた。
夜高ミツル
合ってる。
夜高ミツル
「あ、あと混ぜる前に肉の水気を取る」
真城朔
「あ」
真城朔
そっちは忘れてた。
真城朔
こくこく……
真城朔
「ありがと……」
夜高ミツル
頷き返す。
夜高ミツル
「ん」
真城朔
キッチンペーパーを出してきます。
真城朔
軽く押しつけ……
真城朔
とんとん……
真城朔
水分を吸わせて三角コーナーに捨てる。
真城朔
手を洗い……
真城朔
わりと丹念に手を洗う方。
夜高ミツル
ミツルも飲食でバイトしてたことがあるのでそう。
真城朔
だいじ……
真城朔
水分を吸わせたので、次こそ粉……
真城朔
の、前に、器を出してくる。
真城朔
卵を割り入れ……
真城朔
割り入れるのも結構うまくなってきた。
夜高ミツル
うまくなってる。
真城朔
一応毎回殻が入ってないか目視確認はする。
真城朔
じ……
真城朔
だいじょうぶそう……
真城朔
菜箸でからざも取るぞ。
真城朔
からざも取り……
真城朔
取…………
真城朔
…………
夜高ミツル
がんばれ……!
真城朔
だいぶもたもたしながら、なんとか取った。
真城朔
三角コーナーに捨て……
真城朔
がんばった。
夜高ミツル
えらい。
真城朔
混ぜるのは簡単なので、混ぜます。
真城朔
黄身を縦に切るように……
真城朔
かちゃかちゃ……
夜高ミツル
かちゃかちゃまぜまぜ……
夜高ミツル
しているのを見ている。
真城朔
真剣になってやっている。
真城朔
いっぱい混ざったので、一度溶き卵の器を置き……
真城朔
2種類の粉を鶏肉のボウルに入れ、溶き卵を入れ……
真城朔
まぜ……
真城朔
まぜまぜ……
夜高ミツル
混ぜられていってる。
真城朔
卵と違って固体との混ぜなので、あんまり軽やかではない。
真城朔
ぐる……
真城朔
まぜ……
真城朔
粉も結構いっぱい入れてるし……
夜高ミツル
粉が飛ばないようにがんばってるな……
真城朔
卵と粉を混ぜ込み……
真城朔
それから鶏肉と混ぜていき……
真城朔
こういう混ぜの行程で力いっぱいやりすぎてふっとばしたことがある。
夜高ミツル
加減するの大変なんだろうな……と思う。
夜高ミツル
大変だろうから、失敗しても気にしないでいいとは言ってきたけど……
真城朔
失敗すると泣きがちの生き物
真城朔
慎重にやっています。
真城朔
失敗するともったいないし、泣くとミツが困るから……
夜高ミツル
今はもうだいぶ慣れたように見える。
真城朔
経験を重ねて力加減がかなりわかるようになってきた。
真城朔
というわけで、混ざった。
真城朔
何度見ても黄色い。
夜高ミツル
卵の色が強くて、やっぱり既に唐揚げっぽさが薄い。
夜高ミツル
焼くともっと、唐揚げ……? になる。
真城朔
唐揚げではないけどおいしい何か
真城朔
フライパンを出します。
真城朔
サラダ油を……
夜高ミツル
「サラダ油は大さじ2」
夜高ミツル
油の容器を手にしたところでレシピを伝える。
真城朔
「ん」
真城朔
「ありがと」
真城朔
伝えられた通りの大さじ2。
真城朔
を、フライパンへと。
真城朔
熱していき……
夜高ミツル
焼きの工程を見ている。
真城朔
油が熱されたあたりで、黄色い鶏肉を並べていく。
真城朔
弱火。
真城朔
えーと……
夜高ミツル
「弱火で4分」
夜高ミツル
「時間見とくよ」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく……
真城朔
「ありがとう……」
真城朔
ひっくり返しはしないまでもちょこちょこ鶏肉をいじりつつ……
真城朔
隣のみそ汁の蓋を取る。
真城朔
まだみそが入っていないみそ汁……
真城朔
冷蔵庫からみそを出してきます。
真城朔
大さじを洗い……
夜高ミツル
味噌汁はもう何も言わなくても大丈夫なので、見ている。
真城朔
強気に大さじですくうくらいが二人のみそ汁二食分のちょうどいい具合。
真城朔
一度火を止めて、お玉の上でみそを溶かしている。
真城朔
とかしとかし……
夜高ミツル
肉の焼ける匂いに加えて、味噌汁の匂いも。
真城朔
夕飯って感じ。
真城朔
みそを溶けたので大さじを戻し……
真城朔
蓋をする。
夜高ミツル
というところでちょうど
夜高ミツル
「4分」
真城朔
こく……
真城朔
「ありがと」
夜高ミツル
「ん」
真城朔
うなずいて、鶏肉をひっくり返していきます。
夜高ミツル
実際の焼き加減の方が大事なので、タイマー使うほど厳密じゃなくてもいいだろ……となった。
真城朔
やや小さめに切った鶏肉をころころと……
真城朔
たぶんだいじょうぶ。
夜高ミツル
二人でやってるとつい時間見忘れるけど、ミツルは今何もしてないし……
真城朔
卵多めの黄色い衣によさげな焼き色がついている。
真城朔
全部ひっくり返したら、フライパン用の蓋をして……
夜高ミツル
「蓋をして……2分だな」
真城朔
「2分」
真城朔
「ミツ」
真城朔
「お願い……」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
「ん」
真城朔
こくこく……
真城朔
頷き返し……
真城朔
冷蔵庫へとみそを戻す。
真城朔
それと鶏肉パックとかボウルとか色々を流し台に持っていき……
夜高ミツル
かちゃかちゃ……
真城朔
洗うのは先にして、とりあえず水を注ぐ。
真城朔
軽く水で洗い流してから水をつけておく。
夜高ミツル
水につけておくと後で洗いやすい。
真城朔
2分は……洗いきるには……
真城朔
ちょっと短い!
真城朔
手を洗ってます。
夜高ミツル
2分は短い。
真城朔
手を洗って拭いて……
夜高ミツル
というところで、
夜高ミツル
「そろそろ2分」
真城朔
「ん」
真城朔
頷き……
真城朔
蓋を取ります。
真城朔
ぶわっと蒸気と香ばしい匂いが。
夜高ミツル
いい匂い。
真城朔
またひっくり返していく。
夜高ミツル
じゅわじゅわと油の弾ける音がしている。
真城朔
ひっくり返し終わったらキッチンペーパーをまた出して……
夜高ミツル
「あとは脂を拭き取りながら、表面がカリッとするまで3分くらい……」
真城朔
「うん」
真城朔
こくこく……
夜高ミツル
「ん」
真城朔
折り畳んだキッチンペーパーを菜箸で扱いながら、油を拭き取っていく。
真城朔
いっぱい出てくる。油が。
真城朔
なにせもも肉だから……
夜高ミツル
鶏ももは脂が多い。
真城朔
ジューシー。
真城朔
いっぱい油が拭き取れたので……
真城朔
油でたっぷりになったキッチンペーパーを捨て……
真城朔
新しいやつを一応入れてもう一度。
夜高ミツル
あとは時間よりも実際の様子が大事なので、スマホは見てない。
夜高ミツル
真城がフライパンに向き合ってるのを見てる。
真城朔
吸い取り吸い取り……
真城朔
うーん……
真城朔
小皿に小さめの唐揚げを載せた。
真城朔
ふうふう冷まして……
真城朔
ミツルを振り返る。
夜高ミツル
目が合う。
真城朔
「ミツ」
真城朔
「味見……」
真城朔
えーと……
夜高ミツル
「ん」
真城朔
爪楊枝を取ってきた。
真城朔
ぷす……
真城朔
ミツルの口元に持っていく。
真城朔
「あ」
真城朔
「熱かったら……」
真城朔
ええと……
夜高ミツル
差し出された唐揚げをぱくりと……
夜高ミツル
しようとして、止まって。
真城朔
差し出しながら挙動不審になるな。
真城朔
なっています。
真城朔
いちおうさましたけど……
夜高ミツル
「冷ましてもらったし、大丈夫」
夜高ミツル
「でも気をつけとく」
真城朔
「ん……」
真城朔
こく……
真城朔
改めて、差し出します。
夜高ミツル
改めて、ぱくり。
真城朔
かり……
夜高ミツル
あちあち……
夜高ミツル
やけどしないように気をつけて咀嚼する。
夜高ミツル
もぐ……もぐ……
真城朔
じ……
夜高ミツル
ゆっくり噛んで……
夜高ミツル
飲み込み……
夜高ミツル
「……ん」
夜高ミツル
「おいしい」
真城朔
ほ……
真城朔
「……ん」
真城朔
「よかった」
真城朔
頷き……
真城朔
コンロに向き直り
真城朔
あ……
夜高ミツル
頷き頷き……
真城朔
火を止めます。
真城朔
「……で」
夜高ミツル
そういえば点いてた……。
真城朔
「できた」
夜高ミツル
「うん」
真城朔
みそ汁はみそを溶いてから火がついてなかったので、軽く火を入れる。
真城朔
入れつつ……
真城朔
「準備」
真城朔
「しよっか」
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
並べたりはミツルも手伝う。
真城朔
食卓を拭いて……
真城朔
おしぼりを作ったりとかは真城がやる。
真城朔
冷蔵庫から出したサラダにドレッシングもかける。
夜高ミツル
お盆を取ってきて、台に置く。
真城朔
麦茶も注ぎ……
真城朔
ミツルが持ってきてくれたお盆に乗せるのは軽いやつだけだけど……
真城朔
麦茶は片手だとちょっとあぶない。
真城朔
気がする。
夜高ミツル
大丈夫だと思うけど……
真城朔
色々載せすぎるのもちょっとだし……
夜高ミツル
無理することでもないので、無理せず軽いものをお盆に乗せていく。
真城朔
おしぼりとフォークとスプーンとお箸とサラダ。
真城朔
もう一個大きめのお盆を出して、ご飯とみそ汁を盛っては載せていく。
真城朔
多めと少なめ。
真城朔
ミツルに軽いものを任せつつ、自分はそちらを持っていく。
夜高ミツル
少なめの方を運ぶ。
真城朔
ならべならべ……
夜高ミツル
二人で食卓を整える。
真城朔
鶏の唐揚げは大皿にどーんと。
真城朔
真ん中に置きます。
真城朔
取り皿も置く。
夜高ミツル
主菜としての存在感がある。
真城朔
肉。
真城朔
存在感のある主菜を前に、二人で並んで座る。
夜高ミツル
座り……
夜高ミツル
真城を見る。
真城朔
目が合い……
真城朔
手を合わせます。
夜高ミツル
それを見てから
夜高ミツル
「いただきます」
真城朔
「いただきます」
真城朔
唱和。
真城朔
して、ミツルをじっと見る。
夜高ミツル
見られながら、フォークを手に取り……
夜高ミツル
唐揚げにぷすっと刺す。
夜高ミツル
口元に持っていき、ふうふうと冷まして……
夜高ミツル
かぷ。
真城朔
じ……
夜高ミツル
あちち……になりながらゆっくり味わう。
真城朔
どきどき……
夜高ミツル
もぐ……もぐ……
夜高ミツル
飲み込む。
夜高ミツル
「うまい」
真城朔
ほっ……
真城朔
「できて」
真城朔
「る?」
夜高ミツル
「うん」
夜高ミツル
頷く。
夜高ミツル
「味も焼き加減もいい感じ」
真城朔
ほっとし続けている。
真城朔
「ミツが」
真城朔
「レシピ、見てて」
真城朔
「くれた」
真城朔
「し……」
夜高ミツル
「見てただけだよ」
夜高ミツル
「作ってくれたのは真城だ」
真城朔
「いろいろ」
真城朔
「教えてくれた」
真城朔
「ミツが……」
真城朔
「時間、とか」
真城朔
「分量……」
真城朔
「俺」
真城朔
「忘れてたこと」
真城朔
「あった、し」
夜高ミツル
「手順全部覚えるの大変だからな……」
真城朔
こくこく……
真城朔
「わすれてた……」
夜高ミツル
「俺も見ないでやってると結構忘れる」
真城朔
何回も作ったのに……
真城朔
「確認」
真城朔
「大事……」
夜高ミツル
「大事だなー」
夜高ミツル
味噌汁の椀を取る。
真城朔
その様子も見ている。
夜高ミツル
ずず……と一口。
真城朔
味噌汁はいっぱい作ってきたけど……
夜高ミツル
「ん」
夜高ミツル
「味噌汁もおいしい」
真城朔
「ん……」
真城朔
「できてて」
真城朔
「よかった」
夜高ミツル
頷いてる。
真城朔
頷いて、小さめの鶏からを取る。
真城朔
齧り……
真城朔
もぐむぐ
夜高ミツル
じ……
夜高ミツル
見ている。
真城朔
見られている……
真城朔
それなりに咀嚼をしてから飲み込む。
真城朔
「……うん」
真城朔
「いつも、の」
真城朔
「唐揚げじゃないけど……」
夜高ミツル
「唐揚げじゃないけど、うまいよな」
真城朔
「うん」
真城朔
これはこれでおいしいやつ。
真城朔
「できた……」
夜高ミツル
実際普通の唐揚げ作ろうと思ったら多分結構たいへんだし……
夜高ミツル
これは気軽に作れて助かってる。
夜高ミツル
「うん」
真城朔
揚げ物は大変。
夜高ミツル
「ちゃんとできてる」
真城朔
「……うん」
真城朔
頷いて、みそ汁を啜る。
真城朔
ほうと息をつく。
真城朔
「……ミツの」
真城朔
「おかげ……」
夜高ミツル
「それほどでも……」
夜高ミツル
本当にそれほどでも……と思っている。
真城朔
「いっぱい」
真城朔
「教えてくれた」
真城朔
「から……」
夜高ミツル
「真城が上手になったから、おいしくできてるよ」
真城朔
「それが」
真城朔
「ミツが、教えてくれた……」
夜高ミツル
「……ん」
真城朔
「ん」
夜高ミツル
面映そうに笑う。
真城朔
こくこく。
夜高ミツル
唐揚げを齧る。
夜高ミツル
今度はご飯も一緒に……
真城朔
真城も唐揚げを取って齧ってる。
夜高ミツル
もくもくもぐもぐ……
真城朔
もぐむく……
真城朔
二人で並んでのんびりと食べる。
夜高ミツル
冷めない程度にのんびりと……
真城朔
味わっている。
真城朔
ゆったりのんびり。
夜高ミツル
真城に作ってもらった料理を、じっくり味わっていただく。
真城朔
ミツルのおかげで作れるようになった料理を、のんびりと食べている。
夜高ミツル
もうすぐここを出て、そうしたらしばらくは料理を作る機会もない。
真城朔
だからこそ、残された時間でゆっくりと料理をする。
夜高ミツル
ゆっくりと噛みしめる。
夜高ミツル
残された時間と一緒に。
真城朔
二人で過ごす時間ばかりは、
真城朔
いくらでも続くと信じながら。