2021/09/05 昼過ぎ
夜高ミツル
ゴミの日とかも考えて、今日掃除をしようとなった。
真城朔
休日はあまり外に出たくないので、日曜日は家のことをやる日。
真城朔
最後の日曜日はひときわ気合を入れてそうしようとなった。
真城朔
というわけで、真城はとりあえず風呂場の方へと消えました。
夜高ミツル
右手にはまだガーゼが貼ってあるが、もう日常生活に大して支障はない。
真城朔
支障はないけど真城が心配するので、こういう仕事を率先してやりたがるようになった。
夜高ミツル
料理もまだ真城がメインをやってくれてる。
夜高ミツル
それから、思い出したように隅においてあったダンボールを取ってくる。
真城朔
低温調理器を捨てるのが忍びない……みたいな話を彩花にしたら、
真城朔
じゃあこっちに送ってよという返事が来て、お言葉に甘えることになった。
真城朔
他にも諸々なんか……使いきれなかった調味料とか消耗品的なものとか……
真城朔
そういうのも全然使うので送ってくれという話で。
夜高ミツル
ということで、それらを送るためのダンボール。
夜高ミツル
整理しつつ、送れるものがあったら入れていこう……ということで
夜高ミツル
ゴミ袋を持って、まずはクローゼットの方へ。
真城朔
リビングにはシャワーの水音が響いたり止まったり。
夜高ミツル
ここを出たらまたバイク旅なので、荷物はあまり多くできない。
夜高ミツル
とりあえず一旦クローゼットの中身を全部出して……
真城朔
服は最小限にしてきたつもりだけど、なんだかんだで量が積み重なっている。
夜高ミツル
それなりの量を広げた中から、持っていく分だけを選り分けることにする。
夜高ミツル
冬服はなんとなくまとめて置いておき……
夜高ミツル
寒くなったら上着を着るなり買い足すなりしよう。
真城朔
換気をしつつ、ゴムパッキンとかの黒い汚れをやっています。
夜高ミツル
半袖のシャツを数着ずつと……Gパンと……
真城朔
旅の荷物は最低限とはいえ、下着や靴下は清潔にしておきたい。
真城朔
札幌に来るまではずっと旅だったので、一応旅荷物のノウハウは残っている。
夜高ミツル
だから持っていく服を選ぶのはすぐに終わった。
真城朔
ということはつまり、それ以外はすべて捨てる服がこんもりと。
夜高ミツル
選んだ服は一旦まとめて積んで避けておき……
夜高ミツル
とりあえず、確実に着ない冬服からゴミ袋へ。
真城朔
色違いのダッフルコートはなかなかの存在感がある。
夜高ミツル
北海道の冬に耐えうるコートなので、それなりにしっかりしている。
夜高ミツル
公園で遊んだなとか、そのあと風邪引いたな……とか
真城朔
あまり外に出ず、見事に冬ごもりをしてしまった。
夜高ミツル
それでも、それなりにこのコートの出番もあった。
夜高ミツル
1シーズンしか着ていないコートは、新品並とはいかないまでもまだまだきれい。
夜高ミツル
こっちは破ったり汚したりするようなことは全然してなくて……
真城朔
冬服は重く体積もあり、ゴミ袋の底にまあまあの存在感を伴って詰め込まれていく。
真城朔
その頃風呂場では真城がハイターの泡を流してます。
真城朔
まさにいろいろ考えながら話をして二人でしょんぼりになるのを最近繰り返している。
夜高ミツル
この部屋着あったかくて肌触りがいいからよく着てたなとか……
夜高ミツル
うっかりお茶をこぼしてちょっとシミつくっちゃったんだよなとか……
真城朔
考えずに……と思うと考えそうにはなるが……
真城朔
冬服はそれでもまだましな方で、捨てる他ないと一目でわかるため……
夜高ミツル
ゴミ袋が冬服でいっぱいになったので、次の袋を取ってくる。
夜高ミツル
ばさばさと広げながら、残りの服を見る。
夜高ミツル
夏服は、出発までの間に着るから取っておいて……
夜高ミツル
冷え込むときもあるかもしれないし、長袖も一応……
真城朔
ちょっと湿った感じの真城がリビングへと戻ってくる。
真城朔
服も髪も濡れてるしバスタオルを被っている……
夜高ミツル
いっぱいで口が縛ってあるのが1袋、今まさに詰めているのが1袋……
真城朔
そういう自覚があったのか、話を切り上げるように言い出した。
夜高ミツル
しょんぼりになりつつあった真城を見送って
夜高ミツル
持っていかないし、出るまでに着ることもなさそうな残りを袋に詰めて……
夜高ミツル
まだ使えるものを捨てるのは、それなりに精神力を消費する……
夜高ミツル
でもさすがに車を援助してもらうのはな……
真城朔
すっからかんになったクローゼットに、寂しげに2セットずつの服が並ぶ。
夜高ミツル
空白の多くなったクローゼットの隅から、旅用の鞄を取り出す。
夜高ミツル
キッチンに行って、未使用の雑巾を取る。
夜高ミツル
あんまりぎゅっと絞れないので、そもそも濡らすのを程々にした。
真城朔
個室の上の物置きも拭き、換気扇も拭き、壁も拭き……
夜高ミツル
がさごそと開きながら戻って、持っていく服を詰める。
真城朔
真城はトイレタンクの蓋を風呂場でごしごし洗ってる。
真城朔
古い歯ブラシとか使ってぴかぴかにしている。
真城朔
扉が開かれたトイレの中でごしごしやってる気配。
夜高ミツル
真剣にやってるので邪魔しないでおこう……
真城朔
忘れがちだがまあまあ身長があるので苦もなくやっている。
夜高ミツル
そういえば真城マスクしてなかったな……
真城朔
振り返る。蓋を嵌め直していたところだった。
夜高ミツル
「服の整理終わって、天井掃除するから」
夜高ミツル
埃の舞ってる空気を吸わせたくはなく……
真城朔
なんだかんだ十ヶ月でホコリがついてるらしく……
夜高ミツル
見た感じは汚れてる気はしなかったんだけど……
夜高ミツル
ていうか下を向いてるのに埃がつくもんなんだな……
夜高ミツル
拭いていく途中で、はたと寝室のベッドが目に入る。
夜高ミツル
リビングの掃除している間は間仕切りを閉じればいいにしても、どうせ向こうも掃除するし……
夜高ミツル
ちょっと考えて、それからぱたぱたと玄関の方に向かう。
真城朔
マスクをした真城がこんなものだろうか……と、一歩引いてトイレの中を見回している。
夜高ミツル
俺しか使ってない場所を掃除させたの、ちょっと申し訳ないな……
夜高ミツル
掃除用具置き場からブルーシートを取り出す。
真城朔
ミツルがブルーシートを出すのを見て首を傾げた。
夜高ミツル
ばさ……とブルーシートを広げて、ベッドにかける。
真城朔
手を洗い終えたのか、ブルーシートを広げたミツルのところに戻ってくる。
夜高ミツル
「リビングがあとちょっとで、こっちがまだ」
夜高ミツル
「でも天井はすぐ終わると思うから……」
夜高ミツル
こういう所で変に無理はしないだろうともう分かるので、
真城朔
ミツルが天井を拭いているのをぼんやり眺めつつ、窓際へ。
真城朔
なってるけど、そのまま窓ガラスに雑巾を這わせ……
真城朔
窓はゆうてちょこちょこ拭いてたので、そんなに汚れているわけでも。
夜高ミツル
大丈夫そうなので、自分の掃除を再開する。
夜高ミツル
といってもリビングはもうあらかた拭き終わったので……
夜高ミツル
ベッドは保護したので、気兼ねなく寝室の天井も拭ける。
真城朔
眩しいけど、ちょっと涼しくなってきたな……と思う。
夜高ミツル
不甲斐なさを感じながら、ワイパーのシートを外す。
夜高ミツル
横に拭いてみたり縦に拭いてみたりしてたが……
真城朔
窓の外側にはまあまあ黒っぽい汚れもついてたりして……
真城朔
雑巾が汚れているのを確認したら、バケツに浸しざぶじゃぶと……
夜高ミツル
ちょっとずつ横にずれながら壁をやっていっています。
夜高ミツル
単純作業ではあるけど、天井より面積が広い……
真城朔
ベランダ際でゴミ袋に掃いたゴミを入れている。
真城朔
どこから飛んできたやらちょっとした葉っぱとか……
夜高ミツル
こっちにも窓あるけど、これは自分たちで外側拭くの無理だろうな……とか思ったり。
真城朔
なんかいろいろしつこい汚れも根気よく拭いて磨けばなんとかなると思っている。
夜高ミツル
夜にやると汚れ見落としそうでもある……
夜高ミツル
出してないからあんまり汚れてない気もするんだけど……
夜高ミツル
ずっと全開だったから全然気にしてなかった。
真城朔
そんなに広いベランダではないし、4階なので……
夜高ミツル
すっかりここが家のような気持ちになってしまった。
夜高ミツル
こんなに長くいるつもりじゃなかったのに……
夜高ミツル
ワイパーのシートを外しつつ、ベランダの方へ。
夜高ミツル
こっちあとちょっとで終わりそうだな……
夜高ミツル
ワイパーはまだ使いそうなので、とりあえず壁際に立て掛けておく。
夜高ミツル
あ、そういや掃除用にシート買ってあったな……
真城朔
ベランダを拭き終わり、バケツを手に戻ってきたが……
夜高ミツル
風呂場……は掃除してもらったもんな……
夜高ミツル
薄いテレビに掃除で落ちたホコリが積もっている……
夜高ミツル
テレビが終わったので、その下のテレビ台。
夜高ミツル
この辺は天井や壁と違って普段から掃除していたので慣れてる。
夜高ミツル
ので、丁寧にやってもまあまあさっさと終わる。
夜高ミツル
こっちも上面にホコリが落ちて積もってる。
夜高ミツル
サイドボードの次は、ベッドのヘッドボードも拭く。
真城朔
ゴミ袋の溜まってる感もなかなか大掃除って感じになってきた。
夜高ミツル
使用済みの掃除シートがいっぱい捨ててあったり……
夜高ミツル
新しいシートを出して、テーブルを拭く。
夜高ミツル
正面にはソファもあって、ベッドかキッチンでなければ大体ここにいた気がする。
夜高ミツル
その内には、この十ヶ月も短いものに感じるのだろうか。
夜高ミツル
長くこの部屋で過ごした、という感覚がある。
夜高ミツル
こうなってから初めて、二人でゆっくりと日々を過ごした。
真城朔
ホテルを転々とする旅の暮らしではなく、帰るべき場所のある生活をした。
夜高ミツル
気づかない箇所に溜まったホコリなんかからも、過ごしてきた時間の長さを感じる。
真城朔
玄関からほうきとちりとりを手に真城が戻ってくる。
夜高ミツル
対面キッチンのカウンターを拭いていた。
夜高ミツル
「靴箱まではあんま掃除してなかったもんな……」
夜高ミツル
狩り用と日常用、あとはせいぜいミツルのサンダルくらい。
夜高ミツル
その音を聞きながら、カウンターをピカピカにしている。
夜高ミツル
ルーターが隅に置いてあるので避けて……
夜高ミツル
よく見たらルーター自体にも結構ホコリが……
夜高ミツル
床より高いとこはこれで大体できたはず……
夜高ミツル
というところで、カウンターも拭き終わる。
真城朔
流石にベッドをまるごと持ち上げるのではなく、傾ける感じで……
夜高ミツル
掃除機のスイッチを入れ、作ってもらった空間に掃除機を差し入れる。
真城朔
その気になれば振り回したり投げたりできるけど、狭い室内なので……
夜高ミツル
物が落ちてないか確認したりもしつつ……
真城朔
ベッドの片側を持ち上げたままぴったり静止。
夜高ミツル
真城が家具を持ち上げてくれるので、結構普段から下も掃除できている。
夜高ミツル
ので、そこまでヤバい量のホコリが溜まってる……という感じではない。
真城朔
床の掃除は定期的にやっているので、まあまあいつもどおり。
真城朔
調べたら三ヶ月に一度はとか書いてあってびっくりしたけど……
真城朔
力がないと地味にこのそっとが難しいのだが……
夜高ミツル
真城に持ち上げてもらってる間に掃除機をかけ……
真城朔
そんな調子で真城が障害物をどかしながら掃除機をかけていく。
夜高ミツル
なんだかんだで大掃除となると結構かかったな……
<
真城朔
寝室の方で拭いている。
真城朔
そんなに内側はかからないし、外側もまあ……
真城朔
ベランダに出てちょっと高いところに腕を伸ばさないといけないのが大変なくらいで……
夜高ミツル
掃除機のダストカップを外してゴミ袋の方へ。
夜高ミツル
蓋を外すと、ホコリの固まりがどさっと……
夜高ミツル
とんとんとホコリを落とし、蓋を閉め……
夜高ミツル
ホコリが散らないようゴミ袋の口を縛る。
真城朔
さっさと内側を拭き終わり、ベランダに出ている。
夜高ミツル
縛ったゴミ袋を玄関に出して、新しいゴミ袋を出してくる。
夜高ミツル
ダストカップをはめて掃除機をしまい……
夜高ミツル
とりあえずさっきゴミ袋置いてた辺りから……
真城朔
ミツルがワイパーをやっていると、真城がベランダから戻ってくる。
夜高ミツル
さっきのホコリは大体取れたので一度シートを換え……
夜高ミツル
さっき掃除機かけたから、さすがに汚れてる感じはない。
夜高ミツル
なんかこぼしたときもすぐ雑巾で拭いてきたし……
夜高ミツル
きれいな床をさらにきれいにしていくぞ。
夜高ミツル
ワイパーは家具を持ち上げなくても下を掃除できるので
真城朔
収納スペースを拭き終わり、洗剤とかをもどしもどし……
夜高ミツル
リビングが終わったらシートを取り替えて寝室を……
夜高ミツル
寝室はやっぱりリビングよりすぐ終わる。
真城朔
鏡も事あるごとに拭いてきたのですぐ終わる。
真城朔
出して中のスペースを磨くを繰り返している。
夜高ミツル
普段掃除してきた箇所とそうでない箇所の差が出ている。
夜高ミツル
床はしてきた方なので、廊下もすぐ終わる。
夜高ミツル
また頷いて、後片付けのために洗面所を後にした。
真城朔
洗面所のシンクをぴかぴかに磨き終わって帰ってくる。
夜高ミツル
テーブルにゼリーとスプーンが並べてある。
真城朔
ちょっといいとこのスーパーで買ってきたゼリー。
真城朔
ミツルも手を合わせられるようになっている。
夜高ミツル
オレンジ色に、すっとスプーンを差し入れる。
真城朔
見るからに いいやつ って感じのつやつやな感じ。
夜高ミツル
つやつやぷるぷるのゼリーをスプーンに乗せて口に……
真城朔
自然と感じられる甘みへの感想が口をついて出ている、というふうになってきた。
夜高ミツル
そして、それっぽい言葉をいくつか並べたあとは結局……
夜高ミツル
もうスーパーのパックの寿司とか買えなそう……みたいな話をした。
真城朔
北海道以外で寿司を……? みたいな感じに。
真城朔
二人で並んで食べていると、ますますおいしい。
夜高ミツル
食レポするために食べてるわけじゃないし……
夜高ミツル
一緒に食べておいしかったらそれでいい。
真城朔
二人で食べ物を選んで、二人で料理して、二人で食べて……
真城朔
この部屋で、そういう生活を繰り返してきた。
真城朔
ちょっと寂しくなって、ミツルに身を寄せる。
夜高ミツル
それに気づいて、ミツルからも真城に寄り添う。
真城朔
カーテンを閉め直した窓はけれど開かれていて、
夜高ミツル
関東ならまだ残暑も厳しいだろうが、北海道は涼しい。
真城朔
少し早い夏の終わりを、メロンゼリーの味と共に味わっている。
真城朔
贅沢な時間の使い方も、こうして覚えてしまった。
夜高ミツル
何か特別なことをするでもなく、こうしてただ二人でいる。
真城朔
きっと、本当はだめなことなんだろうとも思うけど……
夜高ミツル
いつまでもこうしてはいられないとも思う。
真城朔
十ヶ月があっという間だったように、時間もまた有限。
夜高ミツル
この先一緒に過ごす時間の全部を、こんな風に贅沢に使うことはきっとできない。
真城朔
その贅沢を過ごした部屋に、ささやかな感謝の大掃除を終えて。
夜高ミツル
名残は尽きないけど、旅立ちの準備をして。