2021/09/22 早朝
真城朔
涼しくなってきたから、着込んでいても目立たないのはありがたいこと。
真城朔
武装を外し、汚れた上着をごみ袋に放り込み……
夜高ミツル
狩りが終わっても道中誰かに見咎められないとも限らず、部屋に戻るまでは気が抜けない……
夜高ミツル
狩り用に買ってきた服は大体使い捨てられることになる……
真城朔
血まみれのシャツの下から晒されたミツルの肌をじっと見ている。
夜高ミツル
アドレナリンが出てて気づいてないだけのこと、案外ある。
夜高ミツル
腕を上げたり首を回したり、見えるところを確認し……
真城朔
見えなさそうなところは一応真城が確認しているが……
夜高ミツル
真城はいつもミツルを心配してくれているが、狩りの前後は特にそうなので……
夜高ミツル
こういう時の気遣いはことさら素直に受け取るようにしている。
夜高ミツル
残りの下着やらを脱いで、濡れない辺りに置いておき……
夜高ミツル
湯で返り血を流しながら、念の為また身体を検めている。
夜高ミツル
切り傷はやっぱりなさそう。骨折も大丈夫っぽい。
夜高ミツル
身体の様子を確認しながらも、さっさと洗っていく。
夜高ミツル
狩りのあとのシャワーは大体さっと終わらせる感じで……
真城朔
ミツルのぶんの下着や着替えがベッドの上に出ている。
真城朔
しばらくして、シャワーの音が響いてくる……
夜高ミツル
いつも無傷で済ませられたらいいんだけど……
夜高ミツル
それでも心配はさせるし落ち込みもさせるだろうが……
夜高ミツル
でも怪我するよりはしない方がずっといいし……
夜高ミツル
ベッドに座ってうにゃうにゃ考えている……
真城朔
バスタオルを被って髪をわしゃわしゃしている。
夜高ミツル
うにゃうにゃしてたら用意しそこねた……
夜高ミツル
立ち上がってテーブルの上にカップを2客並べる。
夜高ミツル
ケトルを台に置き、カップを持って真城の隣に戻る。
夜高ミツル
そっけない白いマグカップの中で、湯気を浮かべながらお湯が揺れている。
夜高ミツル
温かい飲み物がおいしい季節になりつつある。
真城朔
秋田でのんびりしている間に終わってしまった……
夜高ミツル
もう普通のホテルに泊まれないんじゃ……みたいな気持ちがややあったけど、このようにちゃんと泊まれている。
夜高ミツル
ていうかこれはこれで落ち着くみたいな感じがしている。
真城朔
いつもの感じのビジホにまったりしながら二人でお湯を啜っている……
夜高ミツル
カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。
真城朔
街が目覚め、人々が動き始めるのはこれからの時間。
夜高ミツル
浴室からドライヤーを取って戻ってくる。
夜高ミツル
ドライヤーを枕元のコンセントに繋いで、スイッチを入れる。
夜高ミツル
ぶおー……と温風を送り出す音が部屋に響いている。
真城朔
当たり前だが、ホテルによってこの音が違う……
真城朔
とはいえミツルの手つきは大して変わらず……
夜高ミツル
風の強さによって当てている時間が変わる程度。
夜高ミツル
他の人と比べたことがないのでわからない。
真城朔
湯を飲んでいるうちにだいぶ水分がバスタオルに吸われていただけあり、割とすぐ乾く。
夜高ミツル
乾いたな、というところでドライヤーのスイッチを切る。
夜高ミツル
コードを抜き、くるくるとまとめてバンドで留め……
夜高ミツル
いつものように、向かい合う形で横になる。
真城朔
街の目覚めにカーテンを隔て、二人はとっぷりと眠りに落ちた。
真城朔
秋の夜はつるべ落としの言葉の通り、日が沈むのも早くなってきている。
真城朔
カーテンの隙間から差し込む光が、部屋を薄橙に染めている。
夜高ミツル
起こさないようにそっと、頭に手を回す。
夜高ミツル
変わらないその感触を手のひらで確かめる。
真城朔
よいものの、撫でられるとそちらに頭を寄せてしまい……
真城朔
布団のぬくもりが恋しいぶんはミツルにくっつきつつ……
真城朔
まあ代わり映えしないいつものって感じのメニューが並んでいる。
真城朔
ホテルのルームサービスあるあるメニューたち
真城朔
重くないしその場で食べきれなくても大丈夫だし……
夜高ミツル
二人分の注文が決まったので、電話を取ってそれを伝える。
真城朔
電話くらいはできる……とも思うけど、だいたいミツルに任せがち……
夜高ミツル
北海道に行くときは太平洋側を北上して行ったので……
夜高ミツル
今は青森、秋田、山形と、日本海側を下ってきている。
真城朔
田舎を走っているといっぱい田んぼ見るし……
真城朔
ゆうて北海道出てから結構内陸の方を降りてきたので……
夜高ミツル
「最近ずっと山沿いで進んでたからな……」
夜高ミツル
狩りのタイミングだったので、人の多い場所を調べてきた。
夜高ミツル
海側にも街はあるけど、内陸側のほうが圧倒的に人が多いようであったので、こちらに来た。
夜高ミツル
自分もスマホを取って新潟で検索してみる。
夜高ミツル
すいすい……と検索結果をスクロールしている。
夜高ミツル
「会じゃないと食えないってことはないだろうし……」
夜高ミツル
しようとしたところで、部屋のチャイムが鳴る。
真城朔
すす……と入り口から見えないところに隠れる。
夜高ミツル
サンドイッチを受け取ってホテルの人を見送り、扉を閉める。